A1015/C1815フルディスクリート ヘッドホンアンプ
汎用トランジスタの代表格の2SA1015と2SC1815だけを使ったディスクリートアンプです。
おそらく、このトランジスタでここまで音質を突き詰めることはあまりしないでしょう。 なぜなら、世の中にはもっと良いトランジスタが沢山あるからです。 とは言っても、200個一袋を秋月で買ってしまって、沢山余っているという人もそれなりに多くいると思います。 そんな方々のため、少しでもこのトランジスタの活用方法を広げられればとも思います。
設計コンセプトは下記のような項目で始めました。
1.使用するトランジスタは、2SC1815/2SA1015のみ
ローノイズでローコストのトランジスタです。 終段もこの
トランジスタで行けるのかは試してみないと分りません。
2.電子工作の範疇であること
あまりに複雑過ぎて、だれも作れないような構成にはしない。
出来るだけ簡素化。 でも性能も追求。 選別とか面倒な
ことをしなくても性能を維持する。
ある程度チューニングする余地も残しておく。
3.お金はかけない
無駄なお金を使わない反面、頭を少しだけ使おうと思います。
設計にあたり、構成を決めていく部分から定数の決め方、ざっくりとした入出力インピーダンスの計算などを行なってブログに書いてきましたので、少し勉強になりましたでしょうか。 私自身もオーディオ回路から離れて7~8年ほど経ちますので、今回、色々実験してみて改めて良い勉強になったように感じています。
ただ、当初考えていたよりトランジスタの使用個数が多く、初心者がユニバーサル基板で作るには、少々ハードルが高くなってしまいました。
アンプ設計に関しては初心者でも、ハンダ付けなどの電子工作はそこそこ数をこなしてきたという方が作るにはちょうど良いと思います。
音の方は作ってみてご感想をいただければと思います。
ある程度は音質の調整もできますので、お使いのヘッドホンと好みに合わせるようなことも可能と思います。
現在 こちらにて 電源部とリレー式保護回路を統合した改良版のプリント基板を頒布しております。
ユニバーサル基板より格段に作りやすくなっています。
トランスは、ざっと探したところ下記のものが見つかりました。
・春日無線変圧器 B6X6320 6.3V 1.2A x2
・東栄変成器 J631W 6.3V 1A x2
・トヨデン(TOYOZUMI) HT-612 6.3V 1A x2
AC6.3Vx2巻きのヒータートランスで、どれもEIコアの格安のものです。
整流ダイオードは、ファーストリカバリかショットキーバリアの方がお薦めです。
出力リレー駆動回路です。 電源ON時のタイマーとDCオフセット検出でリレーを制御します。
R1とR2は33k~47kの方が良いです。 それでもちゃんと検出できることを確認しました。
上の回路はDC12V コイル280Ωのリレーの場合の抵抗値が入っています。
秋月でもっと駆動電流の少ないものが売っているようですので、そちらの方が無駄な電流が少なくて済みそうです。
電源とGNDの配線は、このようにすると良いと思います。 図のようにシャシーに落とすところは1点にします。
ヘッドホン端子が直接シャシーに落ちる場合は、そこも落として2点アースとします。 それでも問題はないと思います。
■■■■■ アンプの構成について ■■■■■
こちらがアンプ全体のブロック図です。
回路はこのように4つのブロックからなっています。 それぞれの
役割を分けて考えると理解しやすいです。
また、複雑なテクニックを一切使っていないシンプルな構成で、
理解はしやすい部類だと思います。
■初段 差動増幅部 定電流回路
差動部は、実は音声帯域などの低い周波数ですと、左右でほぼ
同じ電圧が入力されてきます。
ですので、共通エミッタの電位は音声信号と同じだけ振られることになります。
電圧が振られても、常に一定の電流を流し続けるのが下部の
定電流回路です。
■2段目 電圧増幅部
初段の差動部で数倍の増幅がありますが、アンプ全体をみると電圧
増幅の殆どはこの2段目の仕事です。
出力バッファの入力インピーダンスが高ければ、この段だけで50dB
(300倍以上)にも及ぶ電圧増幅度があります。
そんなに増幅してどうするの? という疑問はもたいでください。
NFBをかけて歪みの低減にこの増幅度を食わせるのです。
■出力バッファ 電力増幅部
2段目の増幅した信号は、結構なハイ・インピーダンスでそのまま
ではヘッドホンを駆動できません。 この出力バッファでインピー
ダンス変換を行い低いインピーダンスで出力するようにしています。
30Ωのヘッドホンを50mWまでA級でドライブするために、最終段は
3パラ接続としています。
とても素直な音と発振しにくい特性で使いやすく、当初考えていたより
A1015とC1815は出力段に向いているようです。 特にベース抵抗
を入れなくても発振しないというのは音質的に有利なポイントです。
ベース抵抗をいれると躍動感が薄れ、楽器までの距離が遠くなり、
やさしい印象にります。
■■■■■ 使っている部品について ■■■■■
ここで使っている部品について少し説明をしておきます。
■トランジスタ
東芝2SA1015/2SC1815 GRランク 選別なし
Yランクでも問題なく使えますが、さすがにYランクGRランクをごちゃ
混ぜで使うのは避けた方がよいでしょう。
少なくとも初段の差動TRは同じランクの物を使う必要があると思います。
■抵抗
1/4W 5%カーボン抵抗でも問題ないですが、左右のゲイン差を減
らすという意味ではNFBの22kと10kは1%の方が望ましいです。
音質を重視するなら金属皮膜抵抗をお薦めいたします。
私も秋月で売っているものを大部分で使用しました。
□最終段の抵抗とバイアスについて
最終段のエミッタ抵抗は10Ωの2パラで5Ω≒4.7Ωで良いと思います。
私もそうしています。
バイアス部の抵抗は、使うダイオードにより抵抗値を調整しないと最終
段のアイドリング電流が流れすぎる可能性もあるので十分注意し
てください。 4.7Ωくらいから始めて最終段に10~8mA程度流れ
るように調整します。 1N4148以外のダイオードを使うときには特
に注意してください。
■定電流ダイオード
2~3mA欲しいのですが、秋月では1mAの物しか無かったため
2パラにしました。 4.7kΩの抵抗1本でも構いません。
その場合は多少、音が変わるかもしれませんが動作に問題ありません。
■位相補償コンデンサ
2段目に入っている47pFとNFBの5pFは、できればディップマイカ
をお薦めします。その他フィルム系も可。
低誘電率のセラミックコンデンサでも可。
5pFは5~7pFあたり、47pF側は47pF~68pF程度にしてください。
大きく値の違うものを使うのはNGです。
初段のエミッタ抵抗が33~47Ω程度いれてあるのであれば47pF
側を30pFくらいまで減らしても大丈夫です。
■入力フィルタコンデンサ
入力に入っている220pFのコンデンサは、ディップマイカ、マイラ、
スチコンがお薦めです。
セラミック系はやめておいたほうが無難。 容量は100~330pF
あたりをお好みで入れておきます。
ここで音楽信号以外の不要な高周波成分がアンプに入らないよ
うにフィルタをしています。
■電源コンデンサ
一般品を使用していますが、音響用の方が良いと思います。
電源の品質は音質にかなりの影響力を持ちます。 容量は適当に。
少ないとハムが残る可能性が高いです。
■入力カップリングコンデンサ
なぜか、一般品の方が無難な音がしました。 黒いミューズ
は変なバランスの音がして撃沈しました。
全てのチューニングが終わってから聞き直したら黒いミューズは
高域の伸びがすばらしく解像感が高い音がしました。 その代わり
少し低域が物足りなくは感じます。 色々試されてはいかがでしょうか。
容量は少なくとも10uF以上は必要です。 47~220uFがお薦め。
■半固定抵抗
初段に入っているDCオフセット調整用の半固定ですが、わりと
シビアな調整ですので多回転型のものが良いです。
また長持ちさせるにはサーメット型が必須です。
調整がシビアだったため並列に330Ωを追加しています。
秋月の多回転型半固定抵抗は少しバックラッシュが大きいよう
ですが、値段が安くてお薦めです。
調整は、粗調整を一度行い±1mVにしておき、10~20分くらい
経ってからもう一度±1mVに調整します。
■ボリューム
できれば16型以上の大きさのものを使います。 意外と9型程度
の小さなものをお使いの方が多いですが音の空間表現とかに
違いが出ます。 抵抗値は10k~50k。 抵抗値が高いと外来ノイズ
を拾いやすくなります。
■■■■■ 測定結果 ■■■■■
負荷抵抗30Ωの特性です。
1mW 歪み波形(10mWでも同様の見え方)
100mW歪み波形
RMAA計測 サウンドカードLOOPBACK THD特性
(アンプは通っていません。 これ以下の歪みやノイズは計測できません)
RMAA計測 THD特性
LOOPBACK時と若干出力ボリュームの位置が変わったためか
50kHzのピークなどに変化がありますが、基本的には50Hz、
100Hz、150Hz、250Hzのハムノイズが増えただけ。
簡単にいうと、サウンドカードの性能よりヘッドホンアンプの方
が良くて計測不能ということです。
RMAA計測 IMD特性
インターモジュレーションは-120dB以下に埋もれていて
見えていないことが判ります。
唯一120Hzが60Hzの2次歪みとして計測されている -103dBです。
ちなみにIMDが大量に発生するとこんな波形になります。 (参考まで)
7kHzの上下に60Hz刻みで付随してまとわり付くように歪みが発生しています。
このHPAは全体的に低ひずみなため元の音楽や雰囲気を阻害し
にくい音調と思います。 そのため入力カップリングコンデンサの
カラーレーションが素直にでます。
■■■■■ 音質の調整方法について ■■■■■
■初段の電流値
2段目のエミッタ抵抗の値を変更して、DCオフセットを±5mV以下に再設定することで初段の電流値を変更します。
僅かな電流の変化で、大きく音質が変わりますので、まずはココで調整します。
2段目のエミッタ抵抗 270 330 390 470 560
初段の電流値 1.0 1.1 1.3 1.5 1.7 mA(片側)
低域 あっさり<-------->こってり
■初段のエミッタ抵抗の値
エミッタ抵抗 0 10 22 33 47 68 100
ノイズ量 少ない<----------->やや多い
音質 ゆったり<----------->にぎやか
この2つのパラメータを変更して好みの音質へと調整してください。
私のヘッドホンですと初段「68Ω」、2段目「220Ω」でほど良い音質が得られました。
入力カップリングコンデンサをMUSEに変更すると、ガラッと音の印象が変わり、初段「0Ω」、2段目「470~560Ω」
あたりで好みの音質となりました。 さわやかで、響きが美しく残響音が消えていく瞬間がすばらしいです。
初段電流を小さくして可変抵抗で調整できないところまで行った場合には、並列の330Ωを
470Ω程度に変更するか、外してください。
10Ω前後の低インピーダンスで高能率のヘッドホンでは「サー」というノイズが聞こえるかもしれません。
気になるようでしたら、出力に直列に10~22Ω程度の抵抗を追加してください。
2012-10-8 追記
その後、初段の差動トランジスタのみ2SC2240へと交換してみました。 最初はそんなにノイズが減らないな。
と思っていたのですが、1~2日ほどエージングすると明らかにノイズが少なくなりました。
しかも、低音がたっぷりで量感があり中域は艶やかでボーカルの表現力が増しました。 これは低音マニアでロックを聴く方にはおススメです。 腹の底に響き渡るような重低音とド派手ななりっぷりの良さにはシビレます。
抵抗は、エージングで音のにぎやかさが変化するので、抵抗値を変更したあと1日くらいは通電してから
判断した方がよいようです。
■■■■ 初段トランジスタ 一言レビュー ■■■■
2SC1815
・割とローノイズ
・オーディオ用
・ローコスト
一言レビュー やや大味だが元気いっぱいで前面に押し出す力がある
2SC2240
・超ローノイズ
・オーディオ用
・高耐圧
一言レビュー 滑らかでゆったりしているが、解像感が高く響きもきれい 躍動感も抜群
2SK30ATM
・ローノイズ
・オーディオ用
・中gm(min.1.2mS)
一言レビュー 低音の量感たっぷりで聴き心地のよい音 しかも安心感がある
2SK170
・超ローノイズ
・オーディオ用
・高gm(typ.22mS)
・MCヘッドアンプ初段に最適
一言レビュー ちょっと高級オーディオ的な響きで落ち着いた雰囲気
MPSA18 Onセミ
・超ローノイズ
・オーディオ用
・高hFE(500-1500)
一言レビュー 帯域が広くフラット やけに密度の高い音で楽器の数が増えたような印象
BC550C フェアチャイルド
・ローノイズ
・オーディオ用
・ローコスト
・高fT(250MHz)
一言レビュー ぶ厚く暖かく、そして滑らかな音 往年のマランツ機のような雰囲気
個人的に気に入ったものは下記
■2SC2240 / BC550C
滑らかさとゆったりさが同居しつつ情報量も結構ある。残響音
も綺麗で広がり感が良い。
何といっても躍動感・グルーブ感は、もう抜群で、楽器のすぐそば
でノリノリで聞いているかのようです。
クラッシックからジャズ、フュージョン、ロック、女性ボーカルまで何でもOK。
万人受けタイプというのでしょうか。
BC550Cはやや低域が暖かいけど似たような傾向でC2240に迫る音質。
高域の透明感と響きの滑らかさはむしろC2240より上手かもしれない。
■MPSA18
ちょっと硬質・ハイスピード系ですが曲によってハマる。 ちょっと
古いiPodなど大人しい
音質のソースで物足りないと感じるものを元気にしてくれる。
派手めなキャラクタで演出性は強いけど、全く嫌味ではない。
MP3音源・ロック・ポップ・アニソン向きだと思う。 特に優良録音
ではないソースに良く効く。
原音忠実再生とは方向性が違う。
でも、やっぱ音楽はこうでなくちゃ! と考えさせられる逸品。
初段TRは影響力があるので、色々試してみると面白いです。
ちなみにFETは、多少のIDSS選別が必要です。 ±10%くらいに
選別しておかないとDCオフセットが調整しきれない場合があります。
チェンジニアって楽しい
■■■■■ ブログ記事 一覧 ■■■■■
新企画 A1015/C1815 フルディスクリート ヘッドホンアンプ
初段の設計(1) 初段の設計(2) 初段の設計(3) 初段の設計(4) 初段の設計(5)
2段目の設計 出力段の設計(1) 出力段の設計(2) 出力段の設計(3)
出力段の設計(4) 出力段の設計(5) 出力段の設計(番外編)
全体をつなげてみる(1) 全体をつなげてみる(2) シーマン回路ではなく。
基板レイアウト案 抵抗の定数の決め方 電源部の回路 製作開始 とりあえず試聴開始
改善案(1) 改善案(2) 改善案(3) 歪みを測ってみました バランス エミッタ抵抗の効能
初段のチューニング 初段のチューニング(2) 電源の見直し2 見て見ぬふり 出力段の調整
オーソドックス 完成としましょう
アンプのリレー式保護回路
はじめまして
いつも楽しみに拝読しています。非常に勉強になり助かっています。
いきなりですが、少し質問があります。
回路上で信号のGNDと電源のGNDの間に2.2Ωの抵抗が挿入されていますが、どういう効果があるのでしょうか?頒布のプリント基板にもあるようで、少し気になってます。
投稿: エリー | 2012年10月19日 (金) 23時40分
エリーさん はじめまして
目の付け所が鋭いですね。
今回のプリント基板ほど小さいと、メインのGND配線と電源配線ループが小さいため、効果はあるかどうか微妙ですが、
もっと大きなループで電源・GNDループが起きると、そこでノイズを拾いやすくなります。
上の3Dチックな基板間配線図のような場合です。
ただし、完全にループを切ってしまうと今度は、GND電位の相違がでてきてもっと大きなハムが発生したり
します。
そこで、1~2.2Ω程度の抵抗でループを切るというテクニックを使用しています。
抵抗ではなく、フェライトビーズで高周波成分のみをループ切りする手法もあります。
アンプ1つくらいの場合は顕著ではありませんが、AVアンプとか、特にビデオ信号も一緒に入ってくるような
アンプだとこういった対策はきっちり行なわないとまともなS/Nが得られなくなります。
投稿: たかじん | 2012年10月20日 (土) 14時13分
毎日楽しみにブログ拝見させていただいております。
A1015/C1815フルディスクリートヘッドホンアンプの記事中にある出力リレー回路ですが、動作原理がよくわかりません。(もちろん自分の知識不足です)
もしよろしければ、ブログにてリレー回路の説明をしていただけないでしょうか。
誠に勝手な要望なのですが、よろしくお願いいたします。
投稿: mithril | 2012年12月22日 (土) 20時06分
そういえば、あまり詳細な説明をしていなかったかもしれませんね。
真ん中あたりのC3、R4が電源ON時のタイマーで、その右側のQ6、Q7はダーリントン接続
した出力回路で、リレーを駆動しています。 D2とD3はC3のコンデンサのチャージ量を
増やしてタイマーを伸ばす作用と、12Vリレーへの電圧降下を狙っています。
+Vと-V間の電圧は15Vくらいあるからです。
C3の両端の電圧が0.6Vx4=2.4VくらいになったらQ7のコレクタ電流が流れ始めて
リレーをONします。
そしてQ5がC3のディスチャージです。 このQ5をドライブするのは、Q1からQ4なのですが、
これらは、アンプの出力が600mV以上大きなオフセット電圧が発生したときに電流を流して
Q5を駆動するようになっています。 プラス側とマイナス側、どちらにオフセットしても検出します。
R1とR2が3.3kとなっていますが、若干、音質へ影響があるので、一桁高い値を使うほうが
よいかもしれません。 具体的には33kか47kくらいです。
電源ONタイマーを伸ばすにはC3の容量を大きくします。
おそらくこの手の回路は、NPNで組まれることが多いのですが、アンプ部でNPNの使用数が
多いためPNPを沢山使うように意識して考案しました。 結局Q1からQ4まではNPNなので
C1815の方が使用数が多くなっていますが。。。
HPA-12のリレー駆動(保護回路)は、これに電源OFF時の即時リレー切り機能も
追加しています。 そちらの方の回路図も参考にしてみてください。
トランジスタをつかったリニア回路でも、単純なON/OFFだけのスイッチング回路でもない
微妙な回路ですので、あまり見慣れることはなく分かりにくさが倍増しているかもしれません。
普通はTA7317Pなどの専用ICを使います。 入手が難しいのでバラックでその機能を
組んでいるだけです。
投稿: たかじん | 2012年12月22日 (土) 21時35分
1年ほど前に基板を頒布頂き、A1015/C1815フルディスクリートヘッドホンアンプを作製し、やっと最近になって完成しました。音質に大変感動し毎日ヘッドホンにて音楽を楽しんでおります。
更に異なる音質も経験したいと考え基板を再度購入し、初段トランジスタを2SK170で作製したいと考えておりますが、抵抗、コンデンサ等、定数も上記回路図通りで、A1015/C1815の代わりに2SK170にすれば問題ないのですか。お教え頂ければ大変ありがたく。
初歩的な質問で申し訳けありませんが、よろしくお願い致します。
投稿: yasu303 | 2015年6月 3日 (水) 20時27分
yasu303 さん
FET入力にするのであれば、下記のFET入力版が良いのではないでしょうか。
https://nw-electric.way-nifty.com/blog/hpa12_classA.html
A1015/C1815とは少し違った傾向の音が聴けると思います。
FETを挿す位置はトランジスタと違いますので注意して下さい。
投稿: たかじん | 2015年6月 6日 (土) 00時08分
こんにちは
今までパワーアンプしか作ったことが無かったのですが、魅力的な基板なので初めてヘッドフォンアンプにもチャレンジしてみようと思っています。
そこでお伺いしたいのですが、最大300ΩとなるとやはりHD800を鳴らすのは厳しいでしょうか?
HD800は一応公称300Ωですが、周波数によっては更に大きな値になるようなので…
宜しくお願いします。
投稿: MM100 | 2015年8月 2日 (日) 17時05分
こんばんは
公称の値はそんなものです。
気にする意味はないと思います。
投稿: n’Guin | 2015年8月 2日 (日) 19時22分
MM100 さん
HD800は感度が高めなので300Ωでも大丈夫な可能性が高いです。
アンプとしては、むしろ低インピーダンスのドライブ能力を問われることが多く、高いインピーダンスの負荷は、単に電源電圧との関係で振幅がとれるか取れないかというのが支配的です。
作った後に、もっと大音量再生したくなった場合、電源を少し高い電圧にすると希望が叶うと思います。(発熱が増えるのでアイドリング電流は下げる)
投稿: たかじん | 2015年8月 6日 (木) 23時56分
たかじんさん
はじめまして、古い記事へのコメントで申し訳ありません。
実は、3年くらい前にこの記事を見つけて以来ずっと気になっていたのですが、意を決して今回制作しました。ちょっとモディファイさせて貰った部分は、初段をPNPにしたことと電源を電池仕様(±6V)としたことです。
PNPは理由がありまして、実は40年くらい前に入手したゲルマニウムのトランジスタが何種類かあり、今回それの音も聴いてみたかったというのが理由です。
出来栄えですが、全体としてかなり素晴らしいのでは?と感じております。
初段の石は2SA970からスタートして、2N2905A、2SA1029、そしてゲルマの2SB370、2SB439、2SB324と試して現在2SB439で聴いています。初段をソケットにしたため、すぐに差し替えが出来ます。
各石、なかなかに個性があってなかなか面白いです。
持ち運びがしたかった為、電池駆動にしましたが、アイドリングで60mAくらい流れていますのでそんなに長時間持ちませんでした。そりゃぁそうですよね。
実は禁断の・・・とかも先に制作していまして、それとの比較もかなり面白いです。
まずは、ご報告と素晴らしい回路を使わせてもらった御礼でした。
失礼します。
投稿: Sang-Chang | 2016年10月10日 (月) 15時34分
Sang-Changさん
PNP初段は、昔はよく使われましたね。
S/Nでは、その後の新しいトランジスタの方が有利になっていくとは思いますが、味、といういみでは古いトランジスタには個性があって楽しめますね。
ゲルマニウムトランジスタは、さすがに聴いた事がないです。
交換できるように製作されたとのことで、いろいろと楽しめて良さそうですね。
OP-AMP式も、回路次第で楽しむことができますね。
投稿: たかじん | 2016年10月13日 (木) 22時06分
たかじんさん
その後のご報告です。
しばらくゲルマの2SB439で聴いていましたが、音色はHiからLoまでちゃんと出ていて、しかもどこか丸く艶のある音で良かったのですが、いかんせん、SNが悪く、無音時のヒスノイズが気になってしまいました。
そこで、Loが伸びず、おとなしい音の印象で評判と随分と違う印象だった2N2905Aでアイドリング電流を結果的に1.8mAまで増やした所、全く違う印象になりました。Loは聴感上むしろ多めで、Hiも伸びていますが中域が押し出す感じがあり、艶があります。同じアイドリングのまま2SA970で試しました。こっちのほうがHiの伸びが良く空間表現も良いように感じた部分もあったのですが、好みですが、音楽をより楽しく感じられた2N2905Aを現在は採用しています。
因みに、2N2905AはhFEが100無いくらいなのでゲインが下がります。というか、ゲルマも同じくらいだったから2SA970にすると上がると言うべきでしょうか。
OP-AMPの方は、実はシングルを使っていてNJM5534とOPA627の組み合わせに落ち着いています。電池の±電源のものとDC12V単電源の物と作りましたが、DC12V単電源の物は中点を作るのに、たかじんさんの回路のOP-AMP方式で最初作って、後にトランジスタでディスクリートに組んだものに変更しました。あ、両方共「禁断の・・・」の回路です。あの回路はシンプルながら実に興味深い動作をしますね。
投稿: Sang-Chang | 2016年10月17日 (月) 23時23分
Sang-Changさん
報告ありがとうございます。
ホワイトノイズが若干きこえるくらいでも、音がいいって感じることがありますね。
あまりにひどいと我慢できないですが。。
初段の動作電流はとても影響力が大きく、しかもトランジスタ種類によって最適と思われる電流値が違います。
2N2905Aですか。 CANタイプは古いFETしか使ったことがないですが、2N2905Aは面白そうですね。
禁断の・・は、オペアンプだけでも、こんな音が聴けるんだという驚きがありますね。
投稿: たかじん | 2016年10月22日 (土) 10時18分
基板の配布は終了したのでしょうか?
改良版などの基板はございますでしょうか?
ご教示の程宜しくお願い致します。
投稿: | 2017年3月31日 (金) 17時21分
在庫は手元にありますので、近いうちに補充いたします。 よろしくお願いします。
投稿: たかじん | 2017年3月31日 (金) 22時43分
たかじん様
ご返信頂き有難うございました。
補充を心待ちしております。
時期はいつ頃のご予定でしょうか?
投稿: papasan_eee | 2017年4月 3日 (月) 19時27分
papasan_eee さん
日曜日に発送していますので、そろそろ補充されるころかと思います。 よろしくお願いします。
投稿: たかじん | 2017年4月 4日 (火) 12時18分
たかじん様
有難うございました。
早速、入手させて頂きました。
これからがとても楽しみです。
投稿: papasan_eee | 2017年4月12日 (水) 07時39分
papasan_eee さん
ありがとうございます。
投稿: たかじん | 2017年4月12日 (水) 21時51分
はじめまして!!
古希を過ぎた高齢者です。
トランジスタが有効に利用できると思い、2020年に質問いたします。すみません。
部品集めはほぼ出来つつあるのですが、電源トランスが2次2回路が手に入らず12Vでセンタータップ6Vの物を購入しました。基盤を購入して、ふと接続を考えたのですが、少々不安になりお聞きします。
AC6.3Vの4端子のうち上と下どうしを結び、そこにトランスの0Vと12Vを接続し、ダイオードはD80,D81とD86,D87のみ接続し、トランスのセンタータップはEARTHに接続すればいいでしょうか?
基盤はRev.ⅱです。よろしくお願いいたします。
投稿: tomo | 2020年10月 4日 (日) 11時23分
tomo さん
はじめまして。
センタータップ式のトランスですね。
https://nw-electric.way-nifty.com/blog/2013/01/post-90d2.html
こちらに例が書いてあります。
ちょっとパズル的な感じの整流部になりますが、できるはずです。
アース端子にセンタータップを接続するアイデアは思いつきませんでしたが、いいですね。
本当は、このアース端子は金属シャシーにつなげる端子として用意してありました。
投稿: たかじん | 2020年10月 4日 (日) 13時13分
たかじん様
お返事ありがとうございました。これでいいのでしょうか。
センタータップはダイオードのアース側に付けようかと思いましたが、
穴が小さそうで・・・
頭がクルクル回りましたが、理屈では出来そうな気がしました。
アース端子はシャーシアースでしたか。何に使うのかわかりませんでした。
ありがとうございました。
投稿: tomo | 2020年10月 4日 (日) 14時37分
tomo さん
ダイオードブリッジ部は、基板のパターンを見ながら作業する方が分かりやすいかもしれないですね。
空中でブリッジを作って、+V、-V、そしてGND(センタータップ)と接続しても良いかもしれません。
アース端子はご自由に使ってください。シャシーへ落とさなくても問題は起きません。
投稿: たかじん | 2020年10月 5日 (月) 22時25分
ディスクリートアンプ好き
いろいろグーグルで検索したら2SC1815/2SA1015のが来ました。
それができたら今度はディスクリートの全表面実装のヘッドホンアンプを妄想してます。
2SC2712, 2SA1162 から2SC3325, 2SA1313など
投稿: ディスクリートアンプ好き | 2022年12月16日 (金) 16時54分
ディスクリートアンプ好きさん
良いですね。 C1815/A1015はセカンドソースからも出ているので、それを使うという手もあります。
SMDタイプのトランジスタは、リードが極小なので高周波的に優れたアンプを組むときは有利になるかと思います。メーカー製のアンプでもチップ品を使ってモジュール化しているものがありましたね。
投稿: たかじん | 2022年12月17日 (土) 11時36分
初めまして!!
この度、偶然こちらの製作記事を目にしまして、設計コンセプトに共感しました。
高価で高性能なアンプはよくありますが、多額な予算をつぎ込めば高性能な製品ができるのは当たり前ですね。
今回、主役のC1815/A1015は1個5円ほどで売られていいる超メジャーな汎用トランジスターで、私もパーツケースに数十個は在庫があり、何かに使うことがあるかなと思っていました。
オペアンプICを使ったヘッドホンアンプは簡単に作れて、そこそこ、いい音で鳴りますので、それ以外のアンプは考えたことはなかったのですが、この製作記事を見て制作意欲を刺激されました。
ユニバーサル基板で作ったのですが、時間にゆとりを持って作ったので一発で正常動作できました。
バイアス回路の抵抗は何度か取り替えてみて、ほどよいところに落ち着いています。
製作後、初めて鳴らした時は、そっけない鳴り方で、やっぱりダメだったかと思っていましたが、翌日に鳴らした時は角が取れたような鳴り方になって、二日後には帯域が広くなって穏やかな鳴り方になりました。
最終的には強調されたところがなく、全帯域でフラットに鳴っていてそれでいて音数が多く感じられました。
32Ωのヘッドホンを使っているのですがノイズは全く聞こえず、CDの無音時のごくわずかな静寂感が聴きとれるほどローノイズなアンプに仕上がりました。
聴きなれた音楽も改めて楽しめる、何時間でも聴いていられるアンプになりました。
C1815を使ってこんなに高性能なアンプが作れるとは思ってもみませんでした。
これからは常用のヘッドホンアンプとなりそうです。
回路設計と部品の定数が適切であったのだと感心しました。
素晴らしい回路を公開していただき、設計主様に感謝申し上げます。
投稿: 太郎と花子 | 2023年2月14日 (火) 00時04分
太郎と花子さん
一発動作おめでとうございます。
2SC1815/2SA1015は銘トランジスタと思います。 今、秋月電子で購入できるのは台湾UTC製のものですが、まったく悪くありません。
初段のトランジスタを変更すると音の傾向がけっこう変わりますので、もし興味がございましたら実験してみるのも面白いと思います。
投稿: たかじん | 2023年2月16日 (木) 10時53分