MUSES72323 バランスボリューム基板
MUSES72323
Balance Volume
高音質電子ボリュームMUSES72323を2個使用したバランス型電子ボリューム基板です。
できるだけシンプルに使用できるようにしました。ご自身で部品を別途用意して組み立てる基板です。0.65mmピッチのICの半田付けが必要な上級者向きの基板です。
< 制御コントローラが付録します >
特徴・スペック
◇ 新日本無線が誇る高音質ボリュームMUSES72323を2個使用
◇ バランス型ボリューム/2WAYマルチアンプ モード切替え
◇ オーディオ用シャントレギュレータ(NJM7400)
◇ Bカーブ可変抵抗による指示(配線による延長も可)
◇ Aカーブボリュームと同等の操作感
◇ 約4秒間の電源ONミュート後、指示ボリューム位置までRAMP-UP
◇ ATT範囲 -100dB~0dB -75dB以上で0.5dBステップ
◇ OPAMP部のゲインは0dB、+9dBから選択
◇ ステータス・インジケータLED
◇ 最大入力信号電圧 9Vrms
◇ 最大出力信号電圧 9Vrms
配線
オーディオ信号の入出力のほか、電源として±16~24Vを供給します。
指示用の可変抵抗を配線で引き延ばすことで「オーディオ信号配線をフロントパネルまで持ってくることなくアンプへと入力」できて信号経路を最短化することもできます。
延長するときの可変抵抗は、10k~20kΩのBカーブを使用します。 以下のような物が操作感良いのでおすすめです。
VR24mm B103 10KΩ
回路図・部品表・外形図
(※)電源電圧に応じて抵抗値を選択する箇所があります。ご注意ください。
R15, R16
24V = 390_1W
22V = 330_1/2W
20V = 220_1/4W
18V = 150_1/4W
16V = 75_1/4W
15V~8.5Vのときはシャントレギュレータをバイパスすることで使用可。
(※)C1,C2,C3,C4 入力カップリングコンデンサは22uF PMLCAPもしくは100uF電解コンデンサの排他使用です。
モード切替え
メインボリューム、サブボリュームの2つの可変抵抗(コントロールつまみ)があり、サブボリュームの仕様には2通りのモードがあります。ご使用される用途に合わせてMODEを選択してください。
J6(MODE) | MODE | 機 能 |
Open | MODE-1 | バランス型ボリューム (サブボリューム=L/Rバランス) |
Short | MODE-2 | 2way マルチアンプ想定のツイーター/ウーファー (サブボリューム=Hi/Lowバランス) |
サブボリュームは上図の緑枠/赤枠のバランスをコントロールします。 どちらのモードでもLch/RchでそれぞれMUSES72323を独立して使用するためチャンネルセパレーションが良い状態で使用できます。
L/Rバランスは左右21dBまでで0.5dBステップで調整できます。21dBを超えると片側ミュートになります。センター時はLED点灯が長く光るためセンターポジションを正確に把握することができます。
MODE-1の接続例です。 XLR端子は2番HOTと3番HOTがありますので、接続する機器の端子仕様をご確認ください。
MODE-2の接続例です。LPF、HPFを接続すれば2WayのHi/Lowのレベルをサブボリュームで調整できます。
ボリュームの位置と実際のボリュームカーブ
メインボリュームは一般的なオーディオ用のAカーブボリュームと同様の減衰特性にしているため違和感なく音量操作できます。操作・指示用ボリュームはBカーブを使用します。
-75dB以上の領域で0.5dBステップです。
OPAMP部のゲインは標準0dBと+9dBが選べます。ユニティゲインにて発振しやすいOPAMPの場合でもゲインを上げると使える可能性があります。ただし、ゲインをUPするとバックグラウンドノイズが増えますので用途に応じて選択してください。
J6 にジャンパーピンを挿すことでゲインを決定します。
J6(GAIN) | ゲイン |
Open | 0dB |
Short | +9dB |
つまみ付きのジャンパーピンが使いやすいのでおススメです。
ハンダ付けの順番
MUSES72323の周囲に電解コンデンサなど背の高い部品を配置しています。順番を間違うとハンダ付けが出来なくなりますのでお気を付けください。
基本的な考え方としては、背の低い部品を先に付けて電解コンデンサやコネクタなど背の高い部品は後にします。
チップ部品同士でも順番を考えないと付けにくくなってしまう箇所がありますので、一歩先を考えながら作業してください。
ICの1ピンの方向も間違えないようご注意ください。もし間違ってしまった場合は低温ハンダ(特殊ハンダ)を使うと基板から剥がすことが出来ますが難易度は非常に高くなります。
DCオフセット調整
1回路入りオペアンプでDCオフセット調整機能(Trim端子)がついているものがありますが全て同じではなく、いくつかのタイプがあります。
1. 1-8pin に可変抵抗を付けて+Vへ接続
2. 1-5pin に可変抵抗を付けて-Vへ接続
3. 1-5pin に可変抵抗を付けて+Vへ接続
MUSES72323基板では「1」のタイプで出力DCオフセットを調整することが出来ます。
ただし、可変抵抗の値はOPAMPによって1k~100kΩと大きく異なるためご使用するOPAMPに合わせてください。非常にシビアで調整しきれないものもあります。
< 1-8ピンへ可変抵抗をつけて+Vへ接続するタイプに対応 >
以下は、私が試したものです。(上図のLT1028はとても発振しやすいOPAMPなので試していません)
TI NE5534 100kΩ とてもシビアで±10mVが限度(発振気味?)
BB OPA177GP 20kΩ ±0.1mV以下まで調整可能
BB OPA627 1-5pinなので調整不可 0.2mV 価格高い
NJRC NJM5534D 100kΩ ±0.3mVまで調整可能 <- おススメ!
NJRC MUSES 03D TRIM端子なし 1mV 価格高い
DCオフセット調整可能な場合においても、安全をみて後段のアンプ入力部でDCカットしておくことをお勧めします。(MUSES72323データシート通り)
DCオフセットが乗った状態よりもDCオフセットをキャンセルした方が、OPAMPが発生する歪は小さくなる傾向があるため、調整できるタイプでは調整しておいた方が良いと思います。いくつか試した中ではNJM5534がノイズも小さく音像の奥行き感が素晴らしいのでお薦めです。OPA627やMUSES03も音は良いですが価格が非常に高いのがネックです。
オペアンプBYPASS
OPAMP部の3-6pinをジャンプすることで、MUSES72323を単なるATTとして使用することが出来ます。
< OPAMP部の3-6pinをジャンプしてバイパス >
後段のアンプの入力インピーダンスが100kΩ以上と高い場合はバイパスしても使用できます。バイパスするとOPAMPで発生するノイズ分がなくなり高s/nにできる可能性があります。(外来ノイズには弱くなるため配線は短くするなどの対策が必要です)
9型ボリュームのぐらつき
秋月電子で販売している9型ボリューム(Bカーブ)はアルプス電気製と、海外メーカー製のものがあります。
どちらでも良いと思っていたのですが、実際に使ってみると、青いSupertech Electronic社のボリュームは軸がぐらぐらで、バックラッシュが大きく、音量操作用のボリュームとしては使い物にならないことが分かりました。緑色のアルプス電気の9型ボリュームは殆どぐらつかず、バックラッシュも極小です。
アルプス電気を強くお薦めします。
余談ですが、9型ボリュームは音楽信号を通すと劣化が目立ちます。電子ボリュームの指示用としては分圧された電圧を読むだけですので特に問題はありません。
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※ MUSES72323の消費電流2mA、コントローラは1mA以下とノイズを極力抑える設計をしていますが、Arduino+OLED表示機は約27mAと大きな電流が流れる点に注意が必要です。5V系電源へのノイズは増えてしまいますので、ご理解頂ける方のみ付けてください。
MUSES72323 Balanceボリュームの表示機追加について
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