免責事項

  • 本サイトの情報の利用、内容、サービスによって、利用者にいかなる損害、被害が生じても、著者は一切の責任を負いません。ユーザーご自身の責任においてご利用いただきますようお願いいたします。

    本サイトで頒布している基板およびキットは、技術者、またはそれに準ずる電気的知識をお持ちの電子工作ファンの方のためのものです。一般のオーディオファンの方のためのものではありません。
    また、頒布基板およびキットは、いかなる条件でも動作を保証するものではございませんので、あらかじめご了承ください。

    電子工作では、火傷、感電、火災などの可能性があります。十分に注意をして作業して下さい。

    営利目的のご使用は認めておりません。 記事の転載や、基板・キットの商用利用の方は、ご連絡ください。学生やサークルの学習目的でまとめてご購入する場合は特別価格でご提供させていただきます。
無料ブログはココログ

スポンサー

« 差動回路の出力合成(2)初段カレントミラー負荷 | トップページ | 差動回路の出力合成(4)バランス負荷2段と差動2段 »

2026年2月 8日 (日)

差動回路の出力合成(3)カレントミラー正負反転式

差動回路の出力を合成する方法をいくつかあげています。前回は初段に能動負荷を使った回路構成でしたね。

今回は、HPA-1000という据置きヘッドホンアンプで使った方法になります。

Diff_cir02

この回路に名称がついているか分かりませんが、Q2側の電流をカレントミラー回路で反転させてマイナス側へもっていき2段目のSEPP部で合成する回路になっています。 ここでは仮の名称として「カレントミラー正負反転式」と呼ぶことにします。

 

元の回路と比較してみると分かりやすいと思います。Q2の負荷にカレントミラーを追加しただけですね。

Diff_cir0a

 < 元の回路 差動回路のQ2出力を使わずに捨てています >

 

Q1側の出力は負荷がR1です。上側の緑色のラインで2段目(Q6)へと接続しています。

Q2側の出力はカレントミラー回路(ピンク枠)にて電流を反転し、負荷R2に流れる電流をR13にも流れるようにして下側の緑のラインで2段目のマイナス側(Q7)へと接続しています。

Q6とQ7とでSEPP(シングルエンドプッシュプル)構成になって差動成分が合成されます。

 

実際のHPA-1000の2段目はダーリントン接続+カスコード回路の3トランジスタ構成で豪華な回路にしていたのですが、初段差動から2段目へと接続していく部分は基本的に変わりません。

 

初段にカレントミラー負荷を付けた場合と比較して、本回路は負荷抵抗なのでシミュレーションしても振幅電圧が見えて理解しやすいと思います。 シミュレーションは無料のLTspiceがおすすめです。

 

 

■動作電流の決め方

1段目の電流値はQ3のエミッタ抵抗(R3)で決定するのはこれまでの回路と一緒です。

音の好みで1~2mAあたりに設定します。

 

2段目は個別の定電流回路はありません。1段目の負荷抵抗(R1、R2)と2段目のエミッタ抵抗(R7、R8)で決めます。

出力段のドライブ力の観点から2~5mA程度にするのが良いかと思います。 もし負荷抵抗(R1、R2)の値を変更するならカレントミラー部のR12,R13も同じ値にします。

 

 

■心残りな点

この回路はHPA-1000で使った回路ですが、実は唯一心残りなところがあります。 

それはQ1,Q2のコレクタ電位に0.6Vの差がある事です。 熱的なバランスは、0.6V程度の差であれば殆ど無視できるとは思うのですが、完全ではありません。 どう音に影響が出ているのか不明です。

たかが0.6V。されど0.6V。 といったところですね。

 

 

ということで、次の回路に続きます。

 

そうそう、今回の一連の回路はあくまでも初段の差動回路の出力合成の説明なので、出力段は簡易的で位相補償も入れていません。実用的に使うなら出力段の強化と適切な位相補償を追加してください。

 


参考まで

このカレントミラー正負反転式回路が使われていた市販アンプの回路例です。

サンスイAU-X911DG(AU-α907L Extraと同年代の海外モデル)のサービスマニュアル、プリアンプ部抜粋です。 同じ年代の別モデルにも同じ回路が搭載されていると思います。

Sansui_a907l

当時は低ノイズなDual FET、 Dualトランジスタが生産されていたので全面採用されています。 出力バッファなしで構成されているのはサンスイらしさです。 Dualトランジスタを使わず、ダイオードとトランジスタのペアでカレントミラーにしているアンプもいくつかありました。

 

オンキヨーの一部のアンプでもこのカレントミラー正負反転式回路が採用されていました。日本用モデルはIntegra A-927と思いますが、2段目からフィードバックした終段無帰還アンプなのとインバーテッドダーリントン出力段が特徴的なアンプです。

 

« 差動回路の出力合成(2)初段カレントミラー負荷 | トップページ | 差動回路の出力合成(4)バランス負荷2段と差動2段 »

電子回路」カテゴリの記事

コメント

たかじんさん

HPA-1000の解説をありがとうございました。

2段目はダーリントン接続+カスコード回路としているのは、どうしてかと思いましたが、これは解説がありました。
https://nw-electric.way-nifty.com/blog/2019/09/post-f921aa.html

カスコードブートストラップについても解説がありました。
https://nw-electric.way-nifty.com/blog/2015/12/post-9279.html

至れり尽くせりな解説に感謝です。 次が楽しみです。


n'Guin さん

ありがとうございます。 自分で書いていたのに忘れていました。

カスコード回路とカスコードブートストラップ回路の違いについては、ちゃんと書かれていませんでしたね。

たぶん次回辺り扱われるフォールデッドカスコード回路のメリットは、
検索キーワード
usp4532479
(US Patent 4,532,479)
でヒットする日本語pdfを思いつきます

Icが2倍毎にvbeは18mV増加するみたいさん

ご推測ありがとうございます。

フォールデッドカスコードも良い回路ですよね。 ほぼ1段増幅回路のゲインですので安定度もありますし、何よりも高速な動作が魅力です。

一時期、マランツのHDAMというアンプモジュールに採用されていたと思います。

特許の資料も見ました。  上下の差動ペアは、入力レールツーレールでは良く使われる回路ですが、2段目をフォールデッドカスコードにするとシンプルで良いですね。 LT1218などで使われていますね。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 差動回路の出力合成(2)初段カレントミラー負荷 | トップページ | 差動回路の出力合成(4)バランス負荷2段と差動2段 »

Select Your Language

サイト内検索(new)

2026年3月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31