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2025年12月13日 (土)

トラ技で話題になっている超低ひずみヘッドホンアンプ TRHPA-0001A

2023年頃にトラ技で連載されていた超低ひずみヘッドホンアンプ TRHPA-0001Aをお借りしました。

遂に最終版か完成して、現在、共立電子にて予約を受け付けているようです。

Cq_onkyo_00

これまでイベントで聴かせてもらった事はあるのですが、今日は、じっくり自宅で聴いた感想を正直に書こうと思います。

 

回路的な部分では以前、解析したこともありました。 今回のトラ技版とは少し回路が違っているようですが、その辺はトラ技を読んでみてください。

 

Cq_onkyo_02

基板は1chで1枚のツインモノラル構成です。

2枚の距離も離れているためチャンネルセパレーション的には有利です。

一方、このような構成にするとGNDが左右で離ればなれになってしまい、コンセントの電源の50Hz/60Hzに起因するハムノイズに悩まされます。 ですが、TRHPA-0001AではUSB電源からDC/DCコンバーターにより±12Vを生成して回避しています。

聴感でも当然ながらハムノイズは一切聞えません。

 

 

■スペックを追う事の意味

みなさんは、超低ひずみアンプと聞いてどんな印象を持たれるでしょうか?

1980年代から90年代前半まで、オーディオメーカー各社のアンプは原音再生を目指し、低ひずみ率、高S/N、広帯域、ハイスピード、高剛性、高重量、高コストパフォーマンスなど熾烈な競争をしていました。

その結果、低ひずみ率で勝ったアンプの評価は・・・

・無色透明
・物静か
・迫力がなくツマラナイ
・薄味

なんて印象が多かったように思います。結局スピーカーのひずみ率(1%)、部屋の暗騒音(30dB)などからアンプ単体の過剰スペックは実使用上で意味をなさないと言われはじめ、徐々にカタログからTHD+Nグラフ、誇大広告的なスペックが消えてゆき、90年代半ばには一連のスペック競争に終止符が打たれました。

ご存じのとおり、今現在、カタログスペックで競争しているのは中華メーカーが殆どです。バブルに向かっていた頃の日本と同じですね。

 

別の視点として、単純に回路技術の限界への挑戦。 理想的な基板アートワークの追求。をしているのがトラ技 TRHPA-0001Aだと思います。 その辺はトラ技の記事を読んで私自身が感じたことです。

 

 

 

■音の印象・感想

試聴に使ったヘッドホンは、ここ半年ほどメインにしているゼンハイザーHD490 PROです。

第一印象は、元気な音で楽しい。 です。

 

全体的にはクセが少なく素直なのですが音量を上げていくと音数が多くにぎやかで鮮やかです。

残響音は割とタイトめで、豊かな響きで聴かせるという感じではなく、沢山の音の粒を描写して濃密な音楽を奏でてくれます。 OPAMP単体で駆動するヘッドホンアンプとは一線を画すものと思います。

使用しているOPAMPはTIのNE5532です。片チャンネルをDCサーボ回路として使える回路を基板上に用意しているものの、お借りしている基板ではDCサーボを殺していました。DCサーボってOFFしてみると何か悪さをしていたんだな、って気づかされるんですよね。

さて、

電流ブーストのトランジスタは2SA1020/2SC2655というコレクタ電流=2Aを3パラプッシュプルで使っていて、最大瞬間電流は合計で6Aになるかと思います。(DC/DCコンバーターの制限で連続出力ではムリ)

この辺の部品選定も音質に一役買っているのではないかと思います。

とにかく低域に余裕があって、男性ボーカルの声がブっとく聴こえてTIのNE5532の線の細さは感じません。 というか、低ひずみ率という印象も良い意味で感じません。

 

付帯音が少ないためかドライブ能力に余裕があるためか定かではありませんが、音量をUPしても耳が痛くなる気配がなく、音量を上げれば上げるだけバックに埋もれている小さな音も聴こえてきて楽しいです。

ついつい爆音再生になってしまうので気を付けなければいけませんね(笑)

 

 

 

■音の良さの秘訣?

妙に楽しめる音がでるTRHPA-0001Aヘッドホンアンプの秘密を推測してみようと思います。

Cq_onkyo_03

・ボリューム直後にNE5534でバッファしている

・信号入力からボリューム、アンプ基板までの配線が最短ルート

・メインアンプ部は反転増幅回路

・L/R独立基板(ツインモノラルアンプ)

・出力バッファの電流の余裕が極端に大きい

・出力ミュートリレーがGNDショート型

・DCサーボを使ってい

・GNDループが形成されない絶妙なGND引き回し

・信号配線も含めて銅箔パターンが太い(最低1.4mmくらいある)

その上でONKYO特許回路による超低ひずみアンプとなっている。 

 

という感じかと思います。 高価なフィルムコンデンサ非磁性体の音響用抵抗など使っていないんですよ。

自作派としては、なかなか刺激的なアンプです。 回路図はトラ技にて度々公開されているので興味のある方は見てみると良いかと思います。参考になると思います。(2025年9月号が特にお勧めです)

 

 

 

 

以下は今回の試聴曲です。

藤井 風 / きらり

 

岸田教団&THE明星ロケッツ / レベルを上げて物理で殴る

 

 Superfly / 愛をこめて花束を

 

Nowlu  / シロガラス

 

いわゆるオーディオフリーク・オーディオマニアの好む音源ではないと思いますが、このアンプではYoutubeの音でも普通に楽しめます。

 

 

 

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ヘッドホンアンプ」カテゴリの記事

コメント

ま、です。たかじんさん、お久しぶりです。
 今月初旬に忘年会で上京し千石通商だったか、たかじんさんの基板を発見しニンマリしてそのまま帰ってきました(爆)
 「超低ひずみアンプ」って聞くとそうですか!って感じですね。実感として歪み率の小数点以下のゼロの数が多いオペアンプでも、ゴッタ煮系の音が多い印象なので、きっと音の良さはそこではないんだと思っています。まぁ未だに数値による音の良さを表す指標が確立していないのでしょうがないですね。ここのところディスクリートで組んだオペアンプもどきの「TROP-006MF」で聴いてます。個人的にはMUSES05よりDACのIVアンプとしてイイ感じです。

ま。 さん

お久しぶりです。 ありがとうございます。 千石電商は、本店1階の良い場所につるしてもらっていますね。

私も、ひずみ率はオーディオの性能のごく一部でしかないように感じています。
0.001%切るくらいになると「測定技術・測定環境」が重要になってくる領域ですしね。  ひずみが無くなるとアンプの音がなくなってソースの音だけが聴こえるのか? というとそれも違うようです。

薄味なアンプもあれば、特色の濃いアンプもあるようで、今回のアンプは後者と思います。 OPAMPやバッファICで構成するのではなく、半ディスクリート構成だからというのもあるかもしれません。

ひずみ率うんぬんよりも、単にヘッドホンアンプとしての完成度の高さが、私自身への刺激になりました。

TROP-006MF  そんなに良いのですか。 少し変わった回路のアンプなんですよね。

たかじんさん、お疲れ様です。
 歪み率の話はたかじんさんからの振り出しのニュアンスがそうだったので、、、全く違和感ありません(笑) 随分昔ですがオーディオブーム全盛のころ、アンプは「ゲインを持った1本の導線に近づく…」というフレーズがありました。今でも方向性は正しいと思っていますがその定量的な評価方法が確立されていない気がします。
 TROP-006MFの回路の件、そうなんですよ。MUSES05の対抗を探していたとき、等価回路をみてフォールデッドカスコードだしバイアス段にMOSFETが入っていて?で。即!試してみたいと衝動買いです(笑) スペック上は普通のOPアンプにも敵いませんが、05にくらべ中低域に厚みがあって、その辺りのハーモニーをより気持ちよく聴かせる気がしています。因みに換装したDACのIVアンプは(平衡出力もしていて)負荷が重いからなのかもしれませんが。

ま。さん

> 振り出しのニュアンスがそうだったので、

あはは。

オーディオ製品でスペックオタクが喜ぶものって、期待してしまうからか、あまりいい印象にならない事が多いですしね。  ついつい防衛本能が働いてしまいます。

私も、電気的評価方法には限界がある(というか限界がけっこう低い)と感じています。
もしひずみ率やS/Nが音の評価にモロに結びつくなら真空管アンプを好むひとはいなくなっているハズです。

> フォールデッドカスコード

純粋なフォールデッドカスコードとはちょっと違うように思う不思議な構成。 MOSFET部はソースフォロア的に見えますね。 終段のバイアス生成はダイオード2直列かな。

こういうオリジナリティあふれる回路が出てくるのがディスクリートならではですよね。
大きめなトランジスタを終段に使っているのでドライブ能力は高そうです。

基板2段重ディスクリートオペアンプ回路基板を作ってみるのも面白いかもしれませんね。

この超低ひずみアンプ、キット購入したけれど、別の事象に
興味が移ってしまい、未だにキットのままです。
秋の夜長に組み立てるつもりでしたが、予約後50-60日で
やっと販売準備完了の連絡を受けたの時には、
冬になってましたもの。
そりゃそうと、今月号のトラ技。
デュアルトランジスタを多段に使ったヘッドホンアンプの記事を
読ませていただきました。これ2台使ってますけれど、
相変わらず、いい音してますよ。

 USB 5Vから±12Vの生成にDC-DCが使われているようですが、歪率にはあまり気にしない?、スパイクノイズは観測できないのでしょうか。

MOSAKU さん

Low-V Amp2.0のご購入ありがとうございます。 気に入って頂けているようで私も嬉しいです。

トラ技記事の方もありがとうございます。

「多数並列」で記事をかけないか、という無茶振りな特集案件で、ちょっと面白かったです。
殆どの内容はブログで書いているのですが、電流帰還型アンプの伝達関数は書下ろしになっていました。

こちらの超低ひずみヘッドホンアンプもなかなかの音ですよ。 ぜひ組み立てて聴いてみてください。


AYOR さん

鋭いところに気が付きましたね。DCDCコンバータの出力ラインにフェライトビーズが入っていて高周波ノイズ対策されているので、意識されている設計と思います。
市販のDCDCコンバータのスイッチング周波数は100~200kHzあたりが多いです。一般のオーディオ用ひずみ率計の周波数範囲はフラット帯域で500kHzと決まっています。(JEITAかEIAJかの基準)

ただし、ひずみ率計に内蔵したLPFをONすることで帯域制限をかけることができて、20kHz、80kHz、A-waitと測定機により色々設定できます。
低ひずみ率を謳うアンプでは 80kHzのLPFを使う事が多いと思います。(デジタルアンプは20kHzです)

いま、見かえしてみたら2026年1月号の私の記事、原稿には「THD+N LPF 80kHz ON」とグラフに書いたのに実際の本では消されていました。。。 うーーん。 気が付かなかった。
THDかTHD+Nでも数値に差があるし、LPF条件もです。チェック漏れですね。

たかじんさん、
 
 件の今回使われたTDK-LambdaのCC10-0512DP-Eを、正負電源としてDACのアナログ段に使おうかと思いました。リップルノイズ typ/max 30/120 mVp-pのようですが、可聴周波数帯での特有のノイズはあるのではと思っています。

 

こんにちは、およそ10年ぶりの書き込みです。

以前はトラ技25年9月号を買ってみたものの、あまり興味がわかなかったのですが、
たかじんさんの記事を見て改めて読んでみました。
アートワークをはじめとしたこだわり、初めて見るような回路、とてもチャレンジングで情熱的な記事で音が気になりました。
トラ技はオーディオ特集が出ると買うのですが、ものすごいこだわりを感じます。

欲しい…
とはいえちょっとお値段が…
そこでユニバーサル基板で組んでみようと思います。
私はユニバーサル基板で作るのが好きなのですが、初めてのディスクリートはたかじんさんのHPA12なのです。それがきっかけです。
東芝の2SA1020/2SC2655はもうないのでUTCですかね。
チェンジニアを卒業して汎用品やセカンドソースで楽しんでみたいと思っていたのでちょっとチャレンジしてみようと思います。

AYOR さん

情報ありがとうございます。DCDCのリップル、結構大きいですね。
でもDCDCの出力電圧の安定性は抜群だと思います。

パルス系のノイズはフェライトビーズなどフィルタを付けても完全にゼロにはなりません。 周波数は100kHz以上と高いので、直接耳に聞こえることはないハズですが、音楽信号と合わさって変調して影響が出る可能性はありますよね。

その辺は割り切って(というか含めて)、音のチューニングをされているのかもしれません。
私が作ったSoundRABBITも同じようにDCDC使っています。


のぶ さん

お久しぶりです。 コメントありがとうございます。
TRHPA-0001Aは、一見すると電流帰還型かな。 っと見過ごしてしまいますが、オーバーオールの電圧帰還も反転アンプとしてかかっていて、面白いですよね。

この「反転アンプ」というのが音に一役買っているんじゃないかと思っています。
反転アンプの入力抵抗が10kΩなのでボリューム直後のNE5534バッファも必須と思います。

おっしゃるようにキットは高いので、ユニバーサル基板で製作できるのでしたら作ってみるのも良いと思います。 DCサーボは無効化されているので、キットの基板よりも少ない部品点数になります。

2SA1020/2SC2655はUTC製です。

こちらに、当該回路のオンキヨーの開発者の方の声も載っています。

https://www.phileweb.com/review/column/202512/23/2825.html

DSK さん

情報ありがとうございます。 この記事、知りませんでした。

USB-C端子でギブアップ。。。 たしかにSMD部品を付けたことない人にとっては難関ですね。

BNC端子による入力は、結局変換ソケットを使うことになるので、接点が増えるだけ。 という気もしないでもありません。
0.0005%あたりのひずみ率を測定できる機材をもっている人は、多くないと思いますし、そういう部分も含めて市販製品とは一味ちがう部分を楽しむんでしょうね。

音質と基板パターンに関しては、殆ど一緒の印象です。 付帯音が少ない、のに力強くメリハリのある音が聴ける不思議なアンプです。

そんなKITに悪いことを企んでいます(笑) アンプ基板を差替えてもいい・・・ なんて書かれているし。

ま。です。
イイですね〜、禁断の白は青基板に映えるかもですね(笑)
まぁBNCやUSB-Cとか、ターゲットが誰なのか? ちょっとアレですが。。。

ま。さん

確かに青色と白色の組み合わせはいいですね。
USBーCは、もはや時代の流れということで許容するしかないのですが、端子のピッチが狭くて半田が難しい。 採用してある端子は極数が少ない簡易型なんですけども。。。

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