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2025年9月29日 (月)

MUSES8820とNL8802、MUSES8920とNL8902を聴く

日清紡の新しいオペアンプ NL8802、NL8902をMUSESシリーズと比較試聴してみました。

Nl8xxx_01

SOPなので秋月の変換基板を使いました。

 

■試聴環境について

禁断のヘッドホンアンプのV-AMP側のみにしてヘッドホンを駆動しました。 C-AMPを挿さないとこんな回路になります。 

Nl8xxx_05

約10ΩがOPAMP出力に付いているだけと考えると、そんなに不思議な回路ではありません。

正確には10Ω //(33+3.3k+1k)= 9.977Ω

出力保護抵抗は33Ωですので、約43Ωがヘッドホンに対して挿入されている状態ですね。

 

ヘッドホンはゼンハイザーHD490 PRO。 他のヘッドホンもいくつか使ってみたのですが音の変化を感じやすく適任でした。

Hd490pro_01

 

とりあえず試聴するオペアンプを並べてみます。

Nl8xxx_00

ヘッドホン駆動として重要な最大出力電流だけ数値比較しておきます。

NJM4556AD:73mA
MUSES8820D:50mA
MUSES8920D:100mA(JFET入力)
NL8802:60mA
NL8902:50mA(JFET入力)

 

 

はじめに「基準オペアンプ」としてNJM4556ADを聴きました。

 

■NJM4556AD

70mA以上出力できるヘッドホンドライブ向けとして有名なオペアンプです。

まとまりのある音調で安心感があります。低域から高域までそつなく出してくる。目立つ欠点はなくジャンルを選びません。

これで十分という人が多いのも納得できる音です。

 

 

 

■MUSES 8820DとNL8802

どちらも初段バイポーラ構成のオペアンプです。音源までの距離感が近く、明瞭でパワフルに聴こえます。

MUSES8820Dの方が極低音がぶ厚くゆったりしていてNL8802の方はベース音の輪郭がはっきり聴こえる。 NJM4556ADより明らかに明瞭で音数が多く録音の差がでます。ゾクゾクする感じがあって音楽を聴いていて楽しくなります。まさに感性に響く音楽って感じですね。一度でも聴き比べてしまうとNJM4556ADには戻れなくなります。

 

中高域はMUSES8820Dは破綻なく上手に表現する一方、NL8802は音源の中に僅かに潜む音も描き出そうとする。ボーカルのニュアンスをより鮮明に出してくるのでハイレゾ録音モノを隅々まで堪能したいという現代的な要求に応えるものと思います。高域重視な人にはぴったり。

 

リラックスして聴くならMUSES8820D、集中して音楽にのめり込みたいならNL8802。

ロックをガンガンに鳴らすならMUSES8820D、近年のアニソンを聴くならNL8802。

でしょうか。

 

 

 

■MUSES 8920DとNL8902

こちらは初段JFET構成のオペアンプです。バイポーラ入力と比べると中高域が繊細で、距離感は一歩引いた感じに聴こえます。 オーケストラをホールの中央で聴いたような感じでクラシック向きとも言えますが、ポップスでも女性ボーカルが繊細で優しく聴こえるため好む人も多いですね。

試聴に使ったMUSES8920Dは生産終了になっていて、現在はMUSES8920AEに引き継がれました。

MUSES8920Dは全域のバランスがよく繊細さも併せ持つ優等生です。一方のNL8902は高域の響きが特徴的でどこまでもつき抜けていく天井の高さがクセになります。MUSES03で感じた高域の特徴と同じく、決して嫌味に感じることはなく、一度聴き慣れると他のオペアンプではつまらなく感じてしまう中毒性があるヤバイやつです。

それと、NL8902はJFET入力なハズなのに音源までの距離感がバイポーラのように近く鮮烈さがあります。ドラムスのスピード感、パワー感に起因するんじゃないかと思います。

 

俯瞰して聴くならMUSES8920D、かぶりつきで楽しみたいならNL8902。

クラシックを聴くならMUSES8920D、テクノポップを聴くならNL8902。

ですかね。

 

 

ここまで4つの中で注意しなければいけないのは、録音が良くないガヤガヤした音源を鳴らしたとき聴き疲れしてしまうのはNL8902だけです。あくまでヘッドホン駆動という使い方においてですので、プリアンプなど負荷が軽い使い方や、スピーカーで聴くときはまた違った評価になると思います。

※NL8902 エージングは100時間ほど行いました。

 

 

 

■番外編 MUSES05 DUO

本物のDUOプレゼントは外してしまったので自作することにしました。 秋月電子で売っていたMUSES05のキットのICと自作基板との組み合わせです。

Nl8xxx_02

キットの基板は使わず、自作基板でDUO化します。

Nl8xxx_03

やはり格が違う音と思います。 JFET入力らしい俯瞰した音場ですが、その中に音の粒が飛び交うような空間の広さ。そして余裕のある低音域。 音のひとつひとつのキメも細かい。

なんでしょうね。これ。 同じ基板で出てくる音と思えない。

 

 

 

■まとめ

番外編はさておき、4つのオペアンプで個人的にヘッドホン駆動として使うなら「MUSES8820D」です。 最大の理由は、低域表現の懐の深さと破綻しない安心感です。

次点は「NL8902」になります。 音源を選ぶ諸刃の剣ではありますが、良質録音のソースを聴くとこんな音も入っていたのか!? と妙に楽しめるんですよ。

また、銅箔パターンが異様に細い秋月のSOP変換基板を使ったNLシリーズの方は、もしかしたら本領を発揮できていない可能性もあるためご注意ください。

Nl8xxx_01

 

皆さんも秋の夜長に「好みのオペアンプ探求」をしてみてはいかがでしょうか。

 

 

今回の試聴曲の一部(YoutubeではなくAmazon Musicにて試聴)

ロクデナシ / 雨景色

 

 茜屋 日海夏 / Side U (Prod. AmPm)

 

 Strasbourg / St. Denis

 

Perfume / FLASH

Perfumeの活動休止は寂しいですね。 この曲はとっても大好きな曲で年が経っても全く色あせません。

 

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コメント

試聴により各OPアンプの特色を教えて下さりありがとうございます。私は、MUSES03の高音中毒症です。
 ホームネットワーク用オーディオサーバSoundgenic HDL-RA2HFの電源を密閉型鉛バッテリーからLDOレギュレータを介して供給しています。ヴァイオリンの高音部がシャープかつ繊細になることを改良の目標としています。

詳細なレポート、ありがとうございます。
ところで、C-ampには何を使ったのでしょうか。それとの相性の可能性も否定できないので、できれば教えて下さいませ。🙇🏻


位置付けとしては、
・MUSES01 → MUSES8920 → NL8902 → NJM8901
・MUSES02 → MUSES8820 → NL8802 → NJM8801
という感じでしょうか。
日清紡マイクロデバイスがNL8902/8802を中級グレードとして扱っているのは、NJM8901/8801も含めてなんでしょうね。
でも、MUSES01/02が消えたままMUSES8920/8820が最高グレードとされるのはやめて欲しいもの。😿

くさぎさん

コメントありがとうございます。 MUSES03 中毒者さんなのですね。
05では低域が厚くなり03のような高音域が目立たなくなってしまいました。

NASのバッテリー駆動化ですか。 NASってデータを置いているだけで、音に変化が出る事じたい不思議なのですが、どこを変えても音に影響が出る奥深さは、私も感じています。

バイオリンの高音域をきっちり表現するのはオーディオ的に難しい部分なのかもしれませんね。


三毛にゃんジェロさん

分かりにくくてすみません。 C-ampは未実装です。 このあと、ClassAAとしてC-ampを使う時にはどれが良いのか検証していくつもりです。
つまり、この記事には続きがある。 ということです。お楽しみに。

MUSES01、02のように2chオペアンプで高級路線というのは、今後消滅するような気がしています。 なぜかというと、高級オペアンプとして1ch品が幅を利かせてきているからです。

視聴レポートありがとうございました。

私はJ-FET入力のオペアンプの音質が好みです。
そういえばずいぶん前に
秋月でRENESASのISL28110FBZ(シングル)が販売していた
ときに10個ほど購入していたのを忘れていました。(笑)
2個入りのISL28210だったらすでに視聴テストしていたかも
しれません。シングルのテスト環境も考えてみようかな
と思いました。

たかじんさん

あ、ClassAA回路ではなく、オペアンプ単独でヘッドフォンを駆動した場合の比較だったんですね。
C-ampにMUSES02を使った組み合わせに興味があります。😸

0dB HyCAAの24V化ではMUSES01とMUSES02の組み合わせを考えてたんですが、MUSES01が入手不可能だったら2xOPA827とMUSES02の組み合わせにしようかと思料中。
市中在庫のMUSES02を数個確保しておくか、これも悩みの種。😿
TDA1552Qアンプ零号機のトーンコントロール回路にはLME49720かOPA2134を使おうと思ってますが、初号機には思い切ってMUSES02を使おうかという妄想もあったりして。😹

MUSES05 DUOのオリジナル基板、はんだ付けは楽でしたか。

ステンシルを自作して、リフローしたのですが、最初からこの基板があれば。基板だけでも頒布すれば、結構、需要があったかも。

makiさん

JFETの音って、やはり違いがありますよね。
ISL28110FBZは全く知りませんでした。ルネサスというより、ハリス、Intersilのネームバリューの方が上な気がしますね。
M&Aするにしても伝統のあるブランド名は残しておいた方が売りやすいような。。。 
ただ、半導体企業はほとんど社名変えてしまうようです。

途中で切れてしまいました。 バーブラウンくらいしかブランド名を残したICを知りません・・・


三毛にゃんジェロ さん

分かりにくくてすみませんでした。 試聴時の回路も追記しました。

C-AMPにMUSES 02ですか。 初段の方が適任かなっと思っていたのですが、出力も50mA流せますし安定度も抜群なので良いかもしれませんね。
個人的には01より02の方が好みの音です。  OPA2134は少しクセのある音なのでうまく料理してこそですね。


AYORさん

DUO化基板は、配置を90度回転させてランドの長さを確保したため、秋月の付録基板よりずっと付けやすくなっています。 05の次世代OPAMPがどういう形状で登場するか情報はありませんが、内部2チップで独立した電源端子を出していることを考えると同じパッケージで出てきても不思議ではありませんね。


C-ampを入れることで最大出力電流の低さ、秋月基板のパターンの細さがカバーされて、NL8902の音質がアップすることを期待しています。

デジタルさん

音質UPという判断は、個人の好みがあるので難しいところではあるのですが、素のNL8902も魅力はあります。
MUSES03のような独特の世界があって、ハマる人は確実にいると思います。

個人的には低域側に余裕というかぶ厚さがもう少し欲しい所ではありますね。 電源を工夫するなど周辺でバランスを好みの方向にしていくのもアリかもしれません。

C-AMP選定は選択の幅が広くて迷います・・・ 

たかじんさん

太パターンの変換基板作りません?

天 婦羅夫の意見に1票。😹
あ、もちろんPMLCAP 0.1uF/50Vを両面で実装可能に。

三毛にゃんジェロさん

ですよね~(笑)

ところでMUSES8921というのが出るそうです。NLはどうなっちゃうの?
「MUSES8921 は、オーディオ用として特別の配慮を施し、音質向上を図ったJ-FET 入力タイプの2 回路入り高音質オペアンプです。」
特別の配慮??

天 婦羅夫さん

あ、前のコメントでは呼び捨てにしてしまい、失礼しました。
申し訳ありません。🙇🏻

MUSES8921のデータシートはここですね。
https://www.nisshinbo-microdevices.co.jp/ja/pdf/datasheet/MUSES8921_J.pdf

これもDIP8はないので、やはりSOICをDIP8化する基板をたかじんさんに作って貰わないと。😹

変換基板 秋月

販売コード 115952
型番 AE-HSOP8-DIP8

これではダメでしょうか?

70才4K以上が?さん

もちろん、知っています。
別のAE-SOP8-DIP8は実際に使ってもいます。

ただ、これらの変換基板にはPMLCAPを実装できるランドが用意されていません。
オペアンプの動作を確実にするためには、やはりデカップリングコンデンサはオペアンプのすぐ近くに実装したいので、パターンを太くしかつPMLCAPも実装可能なSOP8→DIP8変換基板をたかじんさんが作ってくれたらというのが、天 婦羅夫さんと小生の妄想ということです。😹

cattleyaさん

あ、本当だ。🙀

日清紡マイクロデバイスのオペアンプ一覧やMUSESの紹介ページにMUSES05が残されていたのは、これを見越してのことだったのか。
いっそのこと、MUSES05の再生産だけでなく、MUSES05-Duoも本格的に生産して欲しいもの。

天 婦羅夫 さん

ですよね。 私もそう思いました。 MUSES05 DUO基板と一緒に作れば良かったです。


三毛にゃんジェロさん

そのアイデアもらちゃっていいでしょうか。 対GNDではなく+-電源間になりますが、効果はありますよね。 1chOPAMPを2ch変換する秋月の基板でそういうのありました。

MUSES8921・・・ 見落としておりました。 NL8902より1ランク上なのは確かだと思います。


70才4K以上が?さん

そういえば、ありましたね。 見覚えがありました。
ハンダ付けが厳しいめだとは思いますが、配置的にはベストな変換基板と思います。 裏面にCを付けられるようにも出来ていますし。


たかじんさん

ぜひ、PMLCAP実装可能な
・シングルSOP8 → シングルDIP8
・2xシングルSOP8 → デュアルDIP8
の変換基板を作ってくださいませ。🙇🏻


あれ、AE-HSOP8-DIP8って裏にコンデンサを実装できる構造になってるんでしょうか。
もしそうなら、70才4K以上が?さんに失礼なコメントをしてしまいました。どうぞ、ご容赦を。🙇🏻

三毛にゃんジェロさん
いえいえ、小生若輩者故かまいません(笑)
70才4K以上が?さんご参照のものは裏のパターンが夫々のピンから(何かを実装すれば)放熱パッドに接続されるように見えます。
私もこれ買いまして使いましたが、キャパシタとか載せてませんです。

たかじんさん
ありがたやありがたや

三毛にゃんジェロさん

さっくり基板レイアウトが完成しました。 これを並べてVカットすれば基板屋に出せます。
製造上、Vカットするとき基板サイズ制限がかかるため1シートあたり6列x6段の36枚どりになります。

1シート(36枚組)で頒布するか、6枚に分割するか。。。 ちょっと悩みますね。
3種類を1シートに入れてしまうという手も。


天 婦羅夫さん

そうそう、裏面のチップのせ部は、サーマルパッドに対して各pinから接続できるようになっている物です。 
サーマルパッドをどこかのピンに接続して使うICのためと思いますが、応用例としてCを入れても良いと思います。 

ただハンダ付けが・・・ MUSES05キットの付録基板は、かなり厄介でした。

たかじんさん みなさん

周回遅れですが、作成中の DAC キットの LPF に NL8802 が載っていて、試聴しました。

たかじんさんがおっしゃった、「NL8802は音源の中に僅かに潜む音も描き出そうとする」というのがわかるような気がします。 少し落ち着かないですが、トランスをEIコアにしたせいか、バランスが取れた感じです。

自分自身はというと、LME49720 にはまっている感じがします。 オペアンプで、直接真空管を駆動する差動アンプを作りましたが、実に鮮烈、ワイドレンジで、かなり驚いています。  ただ、LME49720 の値段がどんどん上がっているのが困りものです。

n'Guinさん

DACのポストフィルタにNL8802が載っているものがあるのですね。

トランスや、整流ダイオード、電解コンデンサなど電源部品で音の傾向は変わりますよね。
バランスが取れたとのことで良かったです。

LME49720。 最近聴いていませんが、私も結構気に入っていました。

TI製品が上がっている、というか、米国はインフレしていて、物価は10年で2倍。
10ドルのハンバーガーが20ドルになった=1ドルの価値が下がった。
日本のインフレは円安による輸入品の価格上昇が主体。 という構図がどうにも納得いかないですね・・・

ドルの価値が半分に下がったなら、10年前の1ドル100円から1ドル50円へと、円高になっても良さそうなものです。

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