Select Your Language

免責事項

  • 本サイトの情報の利用、内容、サービスによって、利用者にいかなる損害、被害が生じても、著者は一切の責任を負いません。ユーザーご自身の責任においてご利用いただきますようお願いいたします。

    本サイトで頒布している基板およびキットは、技術者、またはそれに準ずる電気的知識をお持ちの電子工作ファンの方のためのものです。一般のオーディオファンの方のためのものではありません。
    また、頒布基板およびキットは、いかなる条件でも動作を保証するものではございませんので、あらかじめご了承ください。

    電子工作では、火傷、感電、火災などの可能性があります。十分に注意をして作業して下さい。

    営利目的のご使用は認めておりません。 記事の転載や、基板・キットの商用利用の方は、ご連絡ください。学生やサークルの学習目的でまとめてご購入する場合は特別価格でご提供させていただきます。
無料ブログはココログ

スポンサー

« VFA-02 the next | トップページ | ゲート電圧が高いMOSFETでも限界まで出力振幅を高くする方法 »

2025年3月 9日 (日)

ゲート電圧が高いMOSFETを使うとアンプの出力振幅が低くなる理由

これまでに出力段にMOSFETを使うと、同じ電源電圧なのに出力の振幅が取りにくいという話を何度かしていたと思います。

ただ、ちゃんと説明を書いていなかったような気がしましたので、本日はその辺について書こうと思います。

Los_v01
一般的な差動2段アンプで上側(+側)で説明します。 回路はこんな感じですね。 今回、下側(-側)はちょっと無視してください。 純コンプリメンタリアンプであれば対称的なので下側も同じように見積もることが出来ます。

 

既に上の回路図に電圧を書き込んであるので拡大してみてみると分ると思います。

 

■励振段

信号を大きく振幅する段の事で、差動2段回路の場合は2段目になります。

ここではR9抵抗に10mA流したときで計算しますが抵抗値や電流に依存します。

270Ω x 10mA = 2.7V ですね。

次に、Q6のエミッタ-コレクタ間電圧です。 Vce(sat)としてトランジスタに依存しますが、信号増幅用のトランジスタでしたら0.5~0.7V程度で飽和します。

合計で 2.7V+0.5V = 3.2V ほど電源電圧から落ちたところが振幅限界になります。

 

 

■ドライバ段

エミッタフォロア回路の場合で説明します。回路図でいうとQ12が相当します。

2段ダーリントンであればVbeの0.6Vだけです。 3段ダーリントン構成ならプリドライバ段があるので、Vbeが2つで1.2Vになります(共にバイポーラトランジスタの場合です)

 

 

■終段

エミッタフォロア回路、ソースフォロア回路で説明します。 回路図でいうとQ14のところです。

バイポーラトランジスタならほぼ0.6~0.7Vで簡単です。 MOSFETの場合はVgs-Id特性のグラフからざっくり読み取ります。(個体バラつきや温度依存があるのでざっくりでOK)

Los_v02

このグラフはIRPF240PBFのものです。対数グラフになっているのでちょっと読みにくいかもしれません。

アイドリング電流300mAであれば緑色のライン Vgs = 4.2Vあたりですね。 これは信号が振幅していないときです。

例えば、8Ω負荷で10Vほど振幅したとき、10V÷8Ω = 1.25A です。上のグラフから読み取ると青色のラインで Vgs = 4.7Vくらいになっています。

 

 

■合計では

励振段 : 3.2V
ドライバ段:0.6V
終段: 4.7V

合計したロス電圧 = 3.2V + 0.6V + 4.7V = 8.5V 

 

電源電圧 = 18Vの場合では、18V - 8.5V = 9.5V で頭打ちになる計算です。 ノンクリップパワーは8Ω負荷時(9.5V÷1.41)^2 / 8Ω = 5.67W です。

 

SiC-MOSFETのようにVgs = 5.5V ~ 6.5V というデバイスを使うともっと振幅電圧が下がってしまいます。 VFA-02の振幅が7.5Vで頭打ちにになってしまう理由が見えてきましたね。

 

 

もし、

終段がバイポーラトランジスタだったら

励振段 : 3.2V
ドライバ段:0.6V
終段: 0.6V

合計したロス電圧 = 3.2V + 0.6V + 0.6V = 4.4V 

なので、振幅は 13.6V になり、ノンクリップパワーは8Ω負荷時(13.6V÷1.41)^2 / 8Ω = 11.63W です。

 

 

いかがでたでしょうか?

 

 

« VFA-02 the next | トップページ | ゲート電圧が高いMOSFETでも限界まで出力振幅を高くする方法 »

パワーアンプ」カテゴリの記事

コメント

たかじんさん

今回の記事の内容は、タイトルから想像がつきました。 内容も想像通りでした。

それにもかかわらず、この記事を読んだあとに VFA-02 next の記事を読んだら、どんな改良なのか見えてきました。
差動2段にエミッタコモン(定電流源負荷)増幅ブラス準コンなのですね。
差動2段に昔の準コンアンプがついた形だと理解できました。

追伸
ZOBELは、SGndではないのですね。
ClassAA パワーアンプで、SGndに落としてました。 もしかすると不安定さの原因?

ClassAA の実験材料にしようかと、テクニクスの安い ClassAA プリメインを出に入れました。 音の感じが全然違うので、あれっ……っとなっています。

n'Guinさん

既に内容を理解されているご様子で、さすがです。 

出力部のゾベルフィルタの接続先は、基本的にスピーカーのリターンGNDと同じで良いかと思います。

アンプの入力信号の基準となるGND配線側へつなげると、微弱信号を汚してしまう可能性があるからです。 とはいえ、GNDを分離していない場合などは一緒になるので、状況に応じて音の良い方へ繋げてあげればよいと思います。

そういえば、テクニクスのClassAA プリメインアンプの音って、ちゃんと聴いたことないかもしれません。
聴いたのはCDプレーヤーなどライン出力系のみ。。。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« VFA-02 the next | トップページ | ゲート電圧が高いMOSFETでも限界まで出力振幅を高くする方法 »

サイト内検索(new)

2025年3月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31