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2024年9月25日 (水)

アキュフェーズ ANCC 歪打消し回路シミュレーション(2)

先日の続きです。 本日は、フィードバック型のANCCをシミュレーションしてみます。

回路はこのようにしました。先日と同様にわざと歪を付けるためのD1,D2をU1の出力に挿入しています。dumbbellcurl さんご指摘のようにU2側の回路はオペアンプ回路による負性抵抗そのものです。

Ancc_20

負性抵抗の計算式は、こちらを参考にさせて頂きました。

※ 回路図中のD1,D2はシミュレーション上でわざと歪をつくり効果を分かりやすくするものです。

この回路の抵抗の番号で書くと、

      R4        7.674k
R = - R7(---) = - 1k (----) = - 7.674k Ω 
      R3          1k

つまり、R7とR3の抵抗値を揃えるとR4の抵抗のマイナスがU2側の抵抗値になります。 この例ではR3=R7=1kΩにしていますが、2.2kとか4.7kとかでも良いかと思います。抵抗値を高くし過ぎるとU2出力がクリップして補正できなくなるので適度なところにしておくのが良いと思われます。

 

10kと33kの並列抵抗 が  10k//33k = 7.674k  なので R4の値にしてみました。

このときの波形を見てみましょう。

Ancc_21

拡大してみます。

Ancc_22

緑:本来あるべき波形(U1回路でD1,D2なしの波形)
赤: U1の出力波形
青:IN2の波形

本日は本来あるべき正解波形も一緒に表示するようにしました。 基準がみえると一目瞭然ですね。

 

さて、U2回路の負性抵抗を R1//R2にすると、若干過剰補正気味に見えます。

 

面倒なので、.stepシミュレーションでR4の値をざっと動かしてみました。 ちょうどR4のマイナスの抵抗値になるのでわかりやすいです。

Ancc_23

緑:本来あるべき波形(U1回路でD1,D2なしの波形)
赤: U1の出力波形
青:IN2の波形

結果は、このようになりました。 負性抵抗が12kΩあたりがちょうど良いようです。

 

D1,D2挿入によるひずみはノッチ型になっており、U2側の位相補償が47pFでは大きすぎてノッチのタイミングがずれていたので、今回は3pFまで小さくしています。

補正後で一番しっくりいく波形(ノッチが穏やかな波形)は20kΩくらいかもしれませんね。

 

先日のフィードフォワード型の補正ではもう少しノッチをうまく打ち消せていたように思います。

Ancc_07_20240926195301
    < フィードフォワード型の歪打消し >

こうして見比べるとわかりやすい。 まあ、そもそもD1,D2のように非線形な状態になることはないので、このシミュレーション結果だけで判断すべきではないと思います。

 

反転アンプのーIN端子に現れる歪波形を負性抵抗で増幅してあげることで歪を補正できる。と考えるよりフィードバックして補正していると考える方が思考がシンプルな気もします。 回路は同じですけども。

 

いかがでしたでしょうか。

アキュフェーズ ANCC回路の「フィードフォワード型」と「フィードバック型」どちらも反転増幅回路の-IN端子に現われる歪やノイズを検出機として利用し、それらを補正する回路に独自の名称をつけて製品の売りにしているところが優秀だと思います。(-IN端子の現象自体は一般に知られていて利用されてきたと思います)

 

 

 

 


普通に考えると、アンプの前後を比較してその差分を出すことで歪成分を抽出するのが分かりやすいです。

Sony_dist_sens01

こちらはSONY TA-ZH1ES 方式を反転アンプ型にしたもの。メインアンプが反転だと歪検出アンプもシンプルです。R10とR11とで比較してます。

Sony_dist_sens02

青:U1の出力波形
桃:IN2波形(-IN端子波形)
緑:U2の出力波形

当然のように歪波形が見えていますね。ただし歪波形が逆位相なので、この回路図のように差動受けするのは間違いです。 こちらに掲載していたサンスイ・フィードフォワード型の例ように抵抗MIXするとか後段で同相MIX回路で統合するのが良いでしょう。

 

 

なかなか面白かったですね。

残るは LUXMANのLIFES(旧ODNF)回路シミュレーション??

 

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電子回路」カテゴリの記事

コメント

以前別の記事でリンクを貼っていた、アナログデバイス社のOPアンプ本(pdf)の
7_3-6_Signal_Amplifiers
OPアンプ・アイデア集 > 負性抵抗バッファ P.242
に重たい負荷を駆動する一案にあるけど、
ほかにも負性抵抗の使い道ってあるんですね

ところでBTL駆動をFEED FORWARD駆動に変更すると
虹・三次な歪みを低減する記事を見つけたので つ

FEEDFORWARD パワーアンプ(続μPC2002革命)
https://hohon88.zouri.jp/amps1/htm/hp3503.htm

Icは2倍毎にvbeは18mV増加するみたいさん

なんと。 紹介していた私ですら見落としておりました。 ありがとうございます。

この負性抵抗バッファは、負荷抵抗の値が明確に分かっているときにメインアンプの負荷が無くすことができますね。 ClassAAは、どんな負荷がぶら下がってもメインアンプの負荷がない状態にできる点が違います。

フィードフォワード制御は、昔から広く使われてきた技術と思いますが、フィードバックに比べて、有効な条件が狭いような気がしています。

ただ、今回のシミュレーションではフィードフォワード型の方が時間遅れも少なく良好な結果が得られたので、どこかで活用できたらいいなっと思います。

オーディオアンプのフィードフォワードエラーコレクションはQUADのカレントダンピングが王様ですよやっぱり。
サンスイのスーパーFFもTHX AAAもその派生です。

ODNFはトポロジー?としてはフィードフォワードパスのある負帰還アンプという見かたができ、ZDRなんかのエラーコレクションとはちょっと違います。
フィードフォワードという言葉になってしまいますがエラーコレクションではなくてNE5534の内部補償やLM301の外部補償で出てくるものです。ちょっとほかに言葉を知らないので。

パワーアンプのCLASS AAの電流アンプのオペアンプ電源ピンは振幅をかせぐためブートストラップしてありますがこれが2段目コモンへのフィードフォワードになっているのでは実ODNFと同じです。

dumbbellcurl さん

さすがお詳しいですね。
そういえばQUADのカレントダンピングを解析していませんでした。 テクニクスClassAAとの比較とかスレッショルドのSTASISと比較されていたと思いますが、先にカレントダンピングが発明されていたからですよね。

どの回路も目的はひずみを小さくすることだと思うのですが、歪を検出して直接的にに補正するタイプと、負荷を軽くして歪の発生を抑えるタイプに大別できるかと思います。

また、メジャーループ内にフィードフォワードorフィードバックを追加するものと、メジャーNFBから抜けたところで歪を抑えるためのフィードフォワードorフィードバック追加という分け方もできますね。

更にはサンスイやTHXのように帯域分割してMIXする部分帯域補正と、ANCCやZDR、SONYのように帯域分割しないで全域補正、とでも分けられます。

ただ、ODNFは毛色が異なるような気がしています。 名称は絶妙なのですが、殆ど差動側アンプの性能(普通にNFBかけている)に依存している・・・ような気がします。 差動ではないエミッタ接地回路の方は差動回路動作に邪魔(介入)して音の味を出すという機能(?)を提供しているものなんじゃないか。 と。

いかがでしょうか。

カレントダンピング サンスイ THXが帯域分割というのは違います。
加算部分がLCRなのは位相補償の時定数とのブリッジがバランスしていると打ち消せるという感じです。抵抗ブリッジでないのでノートに書いて考えてみないとわかりにくいかもしれません。

どの方式でも副アンプ自身の歪みとか位相回転とかで完全に歪みゼロとはいきません。それぞれ一長一短あると思います。

ODNFはおっしゃる通り言ってしまえば負帰還アンプですよね。これを閉ゲイン1倍にすると打ち消し?バランス完璧で面白いと思います。

dumbbellcurl さん

なるほど。 カレントダンピングは解析していないので、まだ理解しておりませんが、山水などLCR回路でメイン出力とFF出力をミックスしているところは、周波数依存性があるため帯域分割と書きましたが、語弊をうむ表現だったように思います。

抵抗MIXであれば(表向きは)周波数依存性がなく全帯域で補正されるので、FF式ANCCなどとの違いという意味でした。

おっしゃる通り、メインループNFBの関係から位相補償にLCRが使われている点も見逃せないですね。 パワーアンプ版のClassAAもその類ですね。

補正MIXポイントをマクロ的にみると周波数依存性がある・・・ という表現が正しいかったと思います。

ODNFは、独創的で面白い回路と思います。 何年か前の輸入オーディオショウで聴いたときは中高域に微妙なクセのある音に感じましたが、今年聴いたモデルは自然な響きでかなり良かったです。 LIFES と名称を変えたのも意味があるんでしょうね。

アキュフェーズもひずみ補正アンプを作っていたのですね。
これらの技術はヤマハのZDRやラジ技誌で発表されたDNFB、ラックスのODNFしか知りませんでした。
私もこの歪補正については興味がありハンドルネームhohon88さんのページや故上条さんのホームページを参考にPCのシミュレーションでいろいろやっています。
このアキュフェーズのANCCは故上条さんが発表されているMugendyne方式に対象増幅器の非反転、反転端子の歪を検出するということでは考え方がそっくりですね。
sandoman回路に対するClassAAなど回路の基礎的な考え方は出尽くしていてあとはその変形回路なんでしょうね

pon さん

色々な回路をシミュレーションされていらっしゃるのですね。 ヤマハZDRなど、80年代の回路技術は素晴らしいものがあったと思います。

アキュフェーズANCCはオペアンプを使ったシンプルな構成で、今の所パワーアンプへの適応はされていないようです。 近年のプリアンプやDACに使っています。

ClassAAもオペアンプ版(簡易版)が出る以前のパワーアンプ版では、ブリッジ回路がもっと複雑で、実現する(市販レベルにする)には相当な技術力が必要だったと思います。

上條氏の回路も本当に凄いですよね。 解説も丁寧でわかりやすく、応用も利く頭の良い人だったと思います。
Mugendyne・・・ 命名に洒落があって良いですよね。

強いて難点を上げるとすると、高度過ぎて氏の回路を凡人がコピーして製作できないってところでしょうか。

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