Select Your Language

免責事項

  • 本サイトの情報の利用、内容、サービスによって、利用者にいかなる損害、被害が生じても、著者は一切の責任を負いません。ユーザーご自身の責任においてご利用いただきますようお願いいたします。

    本サイトで頒布している基板およびキットは、技術者、またはそれに準ずる電気的知識をお持ちの電子工作ファンの方のためのものです。一般のオーディオファンの方のためのものではありません。
    また、頒布基板およびキットは、いかなる条件でも動作を保証するものではございませんので、あらかじめご了承ください。

    電子工作では、火傷、感電、火災などの可能性があります。十分に注意をして作業して下さい。

    営利目的のご使用は認めておりません。 記事の転載や、基板・キットの商用利用の方は、ご連絡ください。学生やサークルの学習目的でまとめてご購入する場合は特別価格でご提供させていただきます。
無料ブログはココログ

スポンサー

« RPiZeroRP2040 USB-DDC基板試作 | トップページ | トランジスタ技術 2024年10月号 »

2024年9月 7日 (土)

修正版の禁断のヘッドホンアンプ S

大変お待たせいたしました。

基板を修正してRev1.1 から Rev 1.2になりました。 サクッと組み立てて動作確認しました。

Kindans12

千石電商さんのwebサイトからご購入された方へは、基板が千石電商さんへ届き次第、発送されると思います。店頭でご購入された方はこちらからご連絡ください。

 

Rev1.1基板は回収いたしませんので、煮るなり焼くなりご自由に調理してみるのも良いかと思います。Rev1.1修正情報はこちらからどうぞ。

 

 

さて、動作を見てみます。

Kindans12b

1chオペアンプとして定番のNJM5534を使いました。 R3,R4を100kΩにしているため出力のオフセット電圧は-50mVほど出ています。本当は±10mV以下にしたいところですが、とりあえず及第点として作業を進めます。(R3,R4=15kにすれば解消するので)

 

電源は±6Vです。 1kHz正弦波で33Ω負荷。 Lch/Rch同時に見ています。

5534_6v1

クリップ直前で6.3Vppくらい出ているようです。  

 

次に、クリップしたときの波形です。33Ω負荷。

5534_6v2

少しマイナス側から先にクリップし始めるものの、特におかしい部分は見当たりません。 無負荷では+電源、-電源それぞれから1V落ちまで振幅していました。(±6V電源に対して±5Vまで振幅できていた)
大抵のヘッドホンはこのくらい振幅が取れれば十分に爆音再生できると思います。

 

 

次に 電源電圧を±12Vにしてみます。33Ω負荷。

5534_12v

下側でクリップしたところが太くなっていますね。これ、発振です。 常時発振ではないので寄生発振と呼ぶこともあります。

クリップ直前までは発振波形は観測できませんでした。信号の振幅は10.8Vppほど出ています。普通に使っていたら10Vppなんて振幅まで音量を上げないと思うので何も起きないかもしれません。

某M電器さんもOPAMP電源を±6Vに落としていたのは発振対策であったように感じなくもないですね。オペアンプは電源電圧によって動作上特性が僅かに変化するものです。その僅かな変化によって発振したり、しなかったりという事が起きるのはどこかに不安定要素があるということになりますが、この回路構成上しかたない部分だと思います。

 

 

 

位相補償の最適化やOPAMPの品種を吟味すれば±12Vや±15Vでも発振しないようにできるとは思いますが、お手軽にOPAMP交換する場合は低めの電圧の方が心配が少ないように感じます。

Ada4898_1

秋月電子で売っていたADA4898-1という1回路入り超低ひずみ・超低ノイズのオペアンプをV-amp側に使ってみました。 ±6Vでは発振しませんでした。

音は繊細な傾向になりますが、C-amp側のNJM5534とチグハグ感は否めません。中音域の立ち上がり感が良いのに高域のヌケが悪い。スパッと伸びきる高域再生ができて”発振しない”C-amp用オペアンプが欲しいところです。

 

私もまだまだ修行が足りないようです。

C-amp側にぴったりなオペアンプが見つかりましたらまた報告したいと思います。

 

ではでは、よろしくお願いします。

 

 

 

====<追記>=========================

C-ampにぴったりなOPAMPを発見しました。 AD817ANZです。

このオペアンプはフォールデッドカスコード構成で、差動入力回路なのにスルーレートが350V/usもあるという代物です。低ゲインなので、負荷Cにも強く発振しにくいオペアンプです。

Camp_ad817

C5,C6は付いていないようにみえるけど、検討のため裏面に付けています。 5p、10p、33p、47pと色々テストしてみましたが大きく変化はしません。

C-amp側の位相遅れを小さくするのが近道なようで高速なAD817は適任です。

 

電源電圧は±12V。結構クリップしていますが発振しません。出力抵抗は68Ω。負荷抵抗は33Ωです。

Ad817_12v

出力抵抗が33Ωではクリップしたあと更にボリュームを上げると、ごく僅かに発振していましたが、68Ωにすると解消されました。

 

 

そしてAD817の音抜けが素晴らしく、曇りが一切ない高音域は魅力的です。

高速、低ゲイン、高安定なオペアンプですが低ノイズでも低ひずみでもありません。でもノイズやひずみ率などは、ほぼV-amp側で決まるのため問題ないと思います。

価格が高いって部分だけがネックですね。

Ad817_akizuki

 

V-ampをADA4898-1にすると近代的なハイスピードサウンド。 でも個人的にはNJM5534の方が重心が低く説得力のある音かなって思いました。

お好みでアレコレ試してみるのも良いですね。

 

 

« RPiZeroRP2040 USB-DDC基板試作 | トップページ | トランジスタ技術 2024年10月号 »

ヘッドホンアンプ」カテゴリの記事

コメント

あ、いよいよ修正版のリリースですね。

テストとしては、正弦波の振幅を少しずつ大きくしていって、クリップや発振が発生する前後のアンプ出力電圧をモニターしたということでしょうか。

10.8Vppだと3.8Vrms相当のはず。
W = V * I = V^2 / Rの式にV=3.8, R=33を代入すると、おおよそ400mWの出力。
ヘッドフォンの能率を100dB/mWと仮定すると、400mW入力時の音圧レベルは126dB。
126dBなんて航空機のジェットエンジン相当の音量だから、実用上は問題ないでしょう。

三毛にゃんジェロ さん

どうなんでしょうね…
私は、「実際にその音量で使うかどうか」よりも、「その音量で使うことが出来てしまう(発振させることが容易である)」ことに問題があるような気がします……
もちろん自作なので自分の責任で好きにすればいいと思うのですが、もし私がどうしても高電圧で動作させたいのなら、入力にアッテネータなどを入れてボリュームを最大にしても発振しないように調整すると思いました。
もしそういうことまで含めた上でのコメントでしたら、すみません。

nakaさん

市販品ではなく、あくまでも自作で自分が使うものだし、使用しない時はボリュームを必ず0にするという癖が身についているので、その点は全く心配していません。もちろん、故障で可変抵抗がスルーされるという可能性までは排除できませんが、それでもヘッドフォンの耐入力で何とかなると思っています。

問題は作成したアンプを他人様に進呈する場合ですね。
先日製作した2ch基板版では±12Vですが、これは操作説明書に明記するとともに厳重に注意する必要があるとは思っています。

たかじん さん

>電源電圧を±12Vにして、クリップしたところが太くなっていますね。 これ、発振です。

う〜ん悩ましいところですね。某氏の説では発振寸前の音質が良いというのもありますし。
取り敢えずBlueWind±12Vの可変電圧を下限まで下げようかな。
すべてNJM5534(JRC)の場合ですけど、±6V〜±12Vのどのあたりに臨界点あるのかなぁー。
組み合わせにもよるのかもしれませんが、V-ampとC-ampのどちらのキャラクターで発振条件になりやすいかも興味あります。

みなさま

寄生発振している、典型的なオシロの提示をありがとうございます。

我が家の ClassAA フラットアンプは、±12V ですが、寄生発振がないことを確認しています。 V-amp OPA827, C-amp LME49720 で、ユニバーサル基板に組んでいます。 

回路図をみると、ほとんど同じですが、フラットアンプなので、出力抵抗が 120Ωと高いことだけが、違っています。  やはり、ClassAA は危険な回路だと再確認した次第です。 

パワーアンプ版の V-amp LME49720, C-amp TDA2030 パワーオペアンプの構成でも、寄生発振はありませんでした。 ただし、こちらは Zobelネットワーク が付いています。 

この禁断の基板の場合、Zobelネットワークをいれると安定するかもしれないと思ったのですが、いかがなものでしょうか。

三毛にゃんジェロ さん

>問題は作成したアンプを他人様に進呈する場合ですね。

確かにそうですね。結局、内部の動作原理を理解し危険性を把握している人が使うというのがある意味で究極の安全策なのかもしれません。

onajin さん

NJM5534など一回路オペアンプには、外部位相補償ピンがあることも多いのでそれを使うのもありだと思いました。

三毛にゃんジェロさん
naka さん

ほぼほぼ問題ないとは思いますが、解消できるものでしたら解消した方が安心感があります。

5534などの外部位相補償を行うのは良いアイデアですね。
C-amp側の位相遅れに起因してV-amp側が位相補償しきれずに寄生発振しているのではないかと推測しています。

追記しましたが、C-amp側を高速なものに変更すると発振しにくくなる傾向がありました。 という訳で外部位相補償を行うならV-amp側の方が効果が高いような気がします。


n'Guin さん

さすがですね。 OPA827もLME49720 も結構高速なOPAMPなので、基板の作り方が上手なのだと思います。 
出力抵抗は、負荷抵抗の値を大きくしたのと同じ効果があるのと同時に、容量性負荷などに強くなる傾向があります。 120Ωという抵抗値の選び方も良かったのだと思います。

Zobelネットワークは、高域負荷を与えて置いて超高域ピークを抑える働きもするので、一定の効果があると思います。

たかじん さん

早速の==<追記>==大変ありがとうございました。
石橋叩きの身としてC-ampにぴったりなOPAMP[AD817ANZ]いいですね。
先ほど他の部品(別製作品用)とともに注文してしまいました。楽しみ〜。

たかじんさん

AD817ANZが高いといっても、OPA627、OPA827、MUSESシリーズなどを惜しみなく使う層にとっては、1000円未満なんて安いと思ってしまうかも。😹

大雑把な比較でしかないんですが、ADのオペアンプはTIのものに比べてユニティゲイン安定な製品が少ないような気がして、これまではちょっと敬遠気味でした。

onajinn さん

石橋を叩き割る方へは、AD817はぴったりと思います。

この手の所謂ビデオアンプ的ICをなめてました。 75Ω駆動 フラットな10MHz帯域が必須ですが、S/Nや歪、大振幅のリニアリティなどオーディオ用と比べると劣るスペックだからです。

実際に使ってみないと分らないものですね・・・


三毛にゃんジェロさん

そうですね。 12AX7なども1000円くらいと思っていたら、いまは最低3000円。 有名メーカー製は5000円ですからね。 

オーディオ用としてリニアテクノロジやアナデバ、マキシムなど(現AD社)のOPAMPってなかなか出番がないと私も思っていました。 JRCやNEC、三菱など国内メーカーのOPAMPが市販オーディオ品によく使われていたのもあると思います。 PhilipsのOPAMPも時々使われていたかもしれません。 でもAD社の採用例は見かけないですよね。

NJM5534ですが、等価回路を見ますと吸い込み電流がある値以上になると(出力段high側の電流が0になると)、急に出力インピーダンスが高くなりそうです。なのでC-ampには不向きなのかもしれませんね。
NJM4580なら、電流リミッタが掛からない限りそんなことは起きないですが、こちらはデュアル。シングル・オペアンプを使う人は、少しコストを掛けても気にしないかもしれませんね。

フルデジタルさん

なるほど。そういう考察もありですね。 OPAMPの終段のアイドリング電流は2~3mAくらいと思いますので、すぐに上側の電流は枯れると思います。

準コンプリなので、下側だけで電流を吸い込むとき、コレクタ出力となりインピーダンスが上がるように見えなくもないですね。

準コンプリをちゃんと解析したことはないのですが、意外とちゃんとプッシュプル動作していて驚きます。 NFBのなせる技なのか、、どこかに見落としがあるのか、、、

たかじん さん

禁断S基板を2枚使いでのBTL出力(バランス接続)がボチボチ完成まじかですが、ついで2回路OP-Amp.仕様基板で組み立てたヤツのC-Ampを秋月DUAL化基板介して AD817ANZ×2にしました。出力抵抗も68Ωに交換。

>そしてAD817の音抜けが素晴らしく、曇りが一切ない高音域は魅力的です。

お言葉通りで、ナチュラルクリアー感がたまりません。
V-Amp.もADA4898-2にして“近代的なハイスピードサウンド”とやらも聴いてみたいな。

onajinn さん

おおぉ。 AD817ANZ をDUAL変換ですか。 

ナチュラルクリアー  素晴らしい表現ですね。 そう思います。

ADA4898-2 と ADA4898-1 中身は同じですので音も似ている可能性は大きいですね。 大音量で聴き続けるとちょっと疲れが・・・

ようやく作り上げました。私は、ICの種類ごとに基板を作りました。私は不器用なので、
IC交換中に足を曲げてしまいそうな事を第一に思ったからです。シングル用は古いOPAMPですが、LF356やNJM5534、OPA627の3種類、ディアルはMUSE1、NJM4580DD、MUSE8820を作りました。記事と同じ値。位相補正は10PFです。
ただ出力抵抗は130Ωです。
n'Guinさんの意見を参考にしていただきました。すると発振は有りませんでした。(電源電圧は±6.5Vです。)

参考までにLF356は、1984年ラジオ技術1月号で、黒田先生のプリアンプの記事でICの電源電圧±6.2Vで動作例が有ります。いまのICと比べると性能は劣りますが、音を聞くとわかりません。(笑)

KAZUO さん

沢山製作して頂きましてありがとうございます。

LF356ですか。 音を聴いたことありませんが、古い回路の良さもあるように思います。 ノイズや歪率の低さだけでは音は決まりませんからね。  楽器用ではRC4558など重宝されていたりもしますし。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« RPiZeroRP2040 USB-DDC基板試作 | トップページ | トランジスタ技術 2024年10月号 »

サイト内検索(new)

2024年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31