東京インターナショナルオーディオショウ最終日に覗いてきました。
東京インターナショナルオーディオショウは「TIAS」と略すんですね。 Twitterでそう書いている人がいて初めて知りました。
隅々まで展示を見て聴けたわけではないので、私が回って注目したところだけ報告しようと思います。 最終日は他の日よりも短いというのもありますが、いくつかのブースは整理券を朝イチで配っていて部屋に入ることもできませんでした。
評論家の先生が公演している最中でも自由に出入りできるブースがあり、そういったところを中心に見てまわりました。
■ ソウルノート
今回は A-3からプリ部を除いた A-3 Core と光カートリッジ専用のフォノイコライザを中心に株式会社ソウルノート COO 加藤氏による説明。
独特の内部回路説明で興味深いです。 TO-3 CANパッケージのバイポーラトランジスタを使用しているのですが、展示している本体、カタログとも表面の印字を消しているため型番は不明です。 OnSemiあたりと思うのですが分りません。
デモで使ったレコードの音は本当に鮮烈でびっくりしました。 あとで知ったのですが光カートリッジは出力レベルがMCより50~100倍ほど高くS/Nが稼ぎやすいメリットがあるようです。
■エレクトリ
激混みで、まともに聴けるところまで辿り着けませんでした。 見えているスピーカーはYG Acoustics の MAGICO M7 というモデル。オーディオ的な凄さを見せつけるようなデモ曲の選択。 みんな聴き入っていたように思います。
■Marantz
今回もMarantz製品ではなくB&Wとカナダのアンプメーカー CLASSEの組み合わせデモ。 805の新しいモデルです。サイズからは想像できない低域がポート共振によって生み出される。 部屋の環境が素晴らしい。アコーディオンカーテンのようなもので覆われていて吸音材、反射材など一切見せない配慮も美しい。
■LINN
フラッグシップアンプ KLIMAX(クライマックス)のデモ。 使ったスピーカーのウーファーがアクティブスピーカーという不思議な組み合わせ。 三浦孝仁先生によるデモと解説。 終段の8パラプッシュプルのバイアス電流をADCで取り込んでFPGAによりダイナミックに調整しているとのこと。8個すべてが正しく、そして経年変化もないという事を強調していましたが、音は無色透明で自己主張なし。
■Accuphase
メーカー説明員によるデモでしたが、今回はイコライザーを使わずSACD(DP-770)->プリ(C-3900)->パワアンプ(A-80)という接続。 スピーカーはちょうど切替えでJBLからB&W。 レコードもかけていました。 違和感なく普通に良かったです。
アンプ基板を横で展示していましたが、終段のMOSFETはVishayの「IRFP240」と「IRFP9140」でした。 IRFP9240ではないんですね。 以前使っていたOnSemiはディスコンなったのでビシェイに鞍替え。いま製造中の中から使えるデバイスを探すというスタンスなのですね。個人的にもビシェイのMOSFETの音は好きなので、良いです。
■太陽インターナショナル
アバロンのスピーカーとナグラのパワーアンプ。この組み合わせだけで2600万円を超える。ちょうど土方久明先生の解説が始まるところでした。ミュージックサーバー 1800万円、DACはdCS で800万+外部クロック430万。プリアンプは説明なし。
デモ曲で驚愕したのが以下の音源。
ロサンゼルス・フィルハーモニック
アデス:ダンテ
12曲目
生のオーケストラを超えたと思いました。
そんなことあるか!
と異論もあるとは思うけど、コンサートホールに聴きに行っても最高の席で聴くことはなかなか難しいですし、この音源は観客席というよりステージの上の音。 もっと言うなら指揮者の位置で聴いているかのような録音の良さでした。
躍動感。音の方向。弦の1本1本の振動する様。金管の響き。腹の底から感じる打楽器。どれをとってもオーディオシステムの音ではない。生の楽器から4~5メートルという距離感の音そのものです。
土方先生はこのシステムでの再現性を予想してきたのでしょうか。とんでもない・・・
ちなみにAmazonMusicにあるので聴ける方は聴いてみるのもよいかも。録音の良さは体感できると思います。
■LUXMAN/フォーカル
再び三浦孝仁先生の解説とデモ。 LINNでのデモと同じ曲も何曲かありましたが、こっちの方が私的に好きな音でした。フォーカルのスピーカーが良いのかラックスのアンプが良いのか・・・
新作のフォノイコライザーはMCカートリッジからバランス入力が可能との事でしたが、今回のデモはアンバランス入力のみ。それでも三浦先生が持ってきたレコードの笛の音は強烈でした。
■エソテリック/タンノイ
終了時刻がまじかになったころ、エソテリックのブースへ。タンノイのラージモニターを鳴らしているところでした。
レコードでピンクフロイドの「On the Run」。 レコーディング時に使われたのがこのタンノイのラージモニターだったとのこと。 なるほど。良くわからん。
そして最後の曲は トップガンのサウンドトラックCDから「トップガンのテーマ」
解説員の方の中学の頃の思い出話と、最後にかけるならこの曲とのことで。
懐かしさと胸熱。 最高にかっこよかったです。
自分の気に入っている曲を大音量で聴く。これでいいんだよ。
■まとめ
今年の夏開催は、秋に会場が改修工事になるからとの事でした。 展示されている方も、来場者も暑い中大変だったと思います。
数年前に行った時より各ブースの鳴らし方、デモがうまくなっているように感じました。それは解説の仕方だったりスピーカーのセッティング、吸音材、反射材の使い方、配線の引き回しなどなど多岐に渡ると思います。
その一方、高級オーディオが、より高級な価格へと舞い上がっていて一般庶民のオーディオファンが手を出せるような価格ではなくなっているところが気になりました。
オーディオ機器を大量生産・販売しても会社が成り立たない時代になって、生き残るには利益率UPをはかるという事だとは思うけど・・・
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コメント
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私も似たようなブースを聴きましたが、音量も含め、デモに使用しているスピーカーの影響も大きいように思います。個人的にはYGやTADを使っている所の印象が良かったですが、avantgardeのスピーカーも良かった。ただ、どれも、とても家に置けるスペースがありません:)
今回、外に出ないで、国際フォーラムへの近道が大分わかってきました。
投稿: AYOR | 2024年8月 4日 (日) 13時10分
AYOR さん
今回の目玉として、ド級大型スピーカー展示だったみたいですね。 B&Wはド級には属していませんが、高級スピーカーとしての基準点みたいな存在になっているように思います。
そういえばTADブースは行かなかったです。 アバンギャルドですか。 ちょっと聴いてみたいかも。
ビビッドオーディオと、ソナスファーベルの巨大スピーカーも見たかったけど回れませんでした。 整理券配っていたところかな?? ソナスのSupremaは1億7千万円だそうです。
ド級スピーカーは大きな家、大きな部屋、そしてお金がある人むけですね。
価格に見合った音かどうかは判断できませんが、それでしか出せない音というのはあるように思います。
そうそう、東京駅の地下までそのまま繋がっている通路ありますね。 酷暑でもゲリラ豪雨でも問題なく行けそうです。
投稿: たかじん | 2024年8月 4日 (日) 17時28分