Select Your Language

免責事項

  • 本サイトの情報の利用、内容、サービスによって、利用者にいかなる損害、被害が生じても、著者は一切の責任を負いません。ユーザーご自身の責任においてご利用いただきますようお願いいたします。

    本サイトで頒布している基板およびキットは、技術者、またはそれに準ずる電気的知識をお持ちの電子工作ファンの方のためのものです。一般のオーディオファンの方のためのものではありません。
    また、頒布基板およびキットは、いかなる条件でも動作を保証するものではございませんので、あらかじめご了承ください。

    電子工作では、火傷、感電、火災などの可能性があります。十分に注意をして作業して下さい。

    営利目的のご使用は認めておりません。 記事の転載や、基板・キットの商用利用の方は、ご連絡ください。学生やサークルの学習目的でまとめてご購入する場合は特別価格でご提供させていただきます。
無料ブログはココログ

スポンサー

« BlueWind DC-Arrow +/- 頒布開始しました | トップページ | Low-v Amp の続きをさっそく注文 »

2023年7月17日 (月)

3Vで動作する最強レールスプリッタ回路

低電圧ヘッドホンアンプのケース探しをしているのですが+と-各2本の電池で構成すると、どうしてもサイズを小さくできません。+側と-側で分けて電池使うのはGNDがしっかり保てるというのが最大の利点で、音質的にも最良だと考えられるのですけども。

Rail_spl0a

試しに電池(ニッケル水素)2本の±1.2Vではどうかと実験してみたところ音量を上げようとするとひずみが増えて流石に厳しいようです。

そこで電池3本ではどうかと抵抗2本で作った簡易型のレールスプリッタ回路で試したところ、十分な音量が取れるみたいでした。ですが、基準電位(GND)がしっかりしていないため左右の分離感が希薄で感動的な音にはなりません。音が沢山重なるような音源はゴタゴタになる印象です。

 

ということで3V程度の低い電圧でもしっかりと動作するレールスプリッタが欲しくなりました。

 

みなさんご存じだとは思いますが、レールスプリッタとは電源電圧を半分にして仮想のGNDをつくる回路のことです。

 

以前は秋月電子にレールスプリッタICなるものが売っていたのですが、買いそびれてしまいました。TIのTLE2426というもので動作電圧は4V~40Vです。

ニッケル水素 x 3本では1.2V x 3 = 3.6Vなので微妙に足りませんね。 バッテリー終止電圧になると3.0Vまで下がります。

次に考えられるのはOPAMP式ですが、やはり±1.5Vで動作するOPAMPを探すのは厳しいです。低電圧動作が得意なCMOS-OPAMPはノイズが多いのと出力電流が少ない傾向があります。

 

 

というわけで設計したのが以下の回路です。電流帰還型低電圧ヘッドホンアンプの回路から思いついた構成で全段エミッタ抵抗レス、トランスリニアバイアス方式です。前・後段間に100%の電流帰還が掛かっていて動作は高速です。

Rail_spl00

R3,R4の抵抗値でカレントミラーのバランスを崩し、後段のアイドリング電流を増やしています。

 

R5の30Ωを介して外乱(V3)を加えて負荷変動除去率をシミュレーションしました。1V印加して出力ポートに1mVしか電圧がでなかったら-60dB(1/1000)に減衰したことになります。

Rail_spl05

可聴帯域全域(というか500kHzくらいまで)約80dBほどの負荷変動除去率があるようです。

Rail_spl04

電源電圧3.6V時に消費電流20mA流したときのシミュレーション結果です。

約5mAまで減らすと60dBくらいまで減りますがそれでも十分な性能と思います。50mAまで増やすと90dBを超えるくらいまで行きますが電池が持たなくなるのでやり過ぎですね。10~20mA程度が良いのではないでしょうか。

C1,C2のデカップリングコンデンサ(100uF x2個)を接続するとトランジスタだけでは抑え込めなかった200kHz以上の周波数で減衰量が高くなります。これはデカップリングコンデンサの効能ですね。

Rail_spl06

低ノイズLDOなどのレギュレータでもPSRRが80dBほどで帯域500kHzまでフラットに保てるものは少ないと思うので、(目的は異なるけど)このレールスプリッタ回路は最強クラスじゃないでしょうか。

 

 

 

とはいえ、

シミュレーションしていても音は聴けないので、さっそく実機にてテストです。

最大出力電流を強化するため出力トランジスタは2SA950/2SC2120(Ic=800mA)を使ってみました。

Rail_spl01

Rail_spl02

抵抗が少ないので意外と簡単に製作できました。配線を考えるのに20分くらい頭を悩ませたけど。。。

 

Rail_spl03

実際に動作させてみると、なかなかいい感じです。 電池2本+2本と音色的に遜色なくエミッタ抵抗レスの立体感、透明感が出ています。SONY MDR-M1ST と TOMOWORKS REVOLVE にて試聴しました。

4本から3本に電池が減ることで最大振幅が減るのは仕方ないですが、アンプの音色など特徴を保ったままケースを小型化できるメリットはあるように思います。

これでケース選びの幅が広がりましたね。

 

レールスプリッタ回路自体は他のアンプなどにも利用できると思いますので、ぜひご活用ください。

ちょっと定数変更すれば、禁断のClassAAヘッドホンアンプにもぴったりかもしれませんね。

 

 

 

追記===============================

小型レールスプリッタ基板を発注しました。2SC1815/2SA1015などのTO-92トランジスタで組めるようにしてあります。

詳細はこちら。

 

« BlueWind DC-Arrow +/- 頒布開始しました | トップページ | Low-v Amp の続きをさっそく注文 »

電子回路」カテゴリの記事

コメント

週末にLow-v Amp v01 組み立てました。
これまでに聞いたことがない空間表現にぶったまげました。兎に角音が近い。まるでステージの上にいるような錯覚に陥ります。
こんな音がするとは、もはや反則級です。
色々な音源を聞いてみます。

Low-v Amp 01を入れるケース選びしていました。W(50mm)*D(80mm)*H(35mm)のアルミ箱に収めようとしたのですが無理でした。そこまでやってやっと気が付いたのですけど、電池交換が簡単にできなきゃ意味がない。電池4本では適当な箱を探すのが難しい。それにもう一つ気が付いたのですが、LEDです。電池消耗で減光してくれるし良いマーカーになってくれるんですけど、筐体を箱に入れるとLEDの光が見えない。
外部に光を引き出す良い場所があれば教えていただきたいのですが。
ヘッドフォン用にレールスプリッタ用のICをオイラも以前探したのですが、入手できませんでした。でコンデンサーで電圧を1/2分割していました。電圧12Vを半分にする為にこの回路定数変更など必要ないでしょうか?

TLE2426系はDigiKeyや千石にまだあるようですが、あれはどうでしょう?

TLE2426、注文させていただきました。

こっこりさん

もう完成させたのですね。  おっしゃるようにこのアンプは躍動感と臨場感、そして距離感が面白いほどよく出てきます。
どうぞ楽しんでください。


Mosaku さん

はやりケースですよね。 LEDの位置は、試作だからと思って特に考えずに配置してしまいました。細いポリウレタン銅線などでひっぱってケースの開口部までLEDを移動させても良いと思います。チップLEDである必要もありません。

レールスプリッタは、抵抗の定数を変更する必要があると思います。
分圧部の1kは、1mA程度流れる抵抗値に。 47Ωは、終段のトランジスタの許容損失を見て電流を設定してあげる必要があります。

TLE2426で済ませられるのでしたら、それでOKと思います。 TLE2426で、どんな音がでるかお楽しみですね。 最大電流が20mAなので、ヘッドホンを強力にドライブできるアンプでは力不足になる可能性もありますが、普通の音量で聴いている限りは問題ないと思います。


天 婦羅夫さん

よくご存じですね。 さすがです。

たかじんさんのきれいな回路で作ってみたいですね。

こんにちは。

まさかの、ディスクリートレールスプリッタとは。TLE2426を使った物や、オペアンプを使った物は試しましたが、結局、安易にDCコンバータに走って、ノイズ対策に明け暮れた覚えが有ります。偶数電池による安定したグランドと、全体を監視しながら、浮遊するグランドと、どっちが有利なんでしょうか?電池って、結構バラツキありますしね。レールスプリッタの方が利便性は上かな?緊急対策で、5Vなんて、対応すると、格段に使いやすくなります。(何気にNutubeに誘導(笑))

ま、全ては、聴いてみてからなんですが、部品の発注に立ちはだかる、物欲の嵐。トランジスタより、ホットエアーの方に悩まさられるとは(笑)

天 婦羅夫さん

ぜひぜひ作ってみてください。 ユニバーサル基板でもそんなに難しくありませんが、子基板的な感じのを起こしても良いかもしれませんね。


scraphearts さん

正負電源のDCDCコンバーターも使い方次第ですよね。 以前、もっと単純なディスクリートのレールスプリッターも作っていました。
https://nw-electric.way-nifty.com/blog/2022/07/post-683777.html

今回のは、ちゃんとフィードバックをかけているので、きっちり中心をキープします。
5Vならそのままの定数で行けると思います。

ホットエアーを使う目的次第で安価な物でOKか、ある程度しっかりしたものが良いかが分かれてきますね。 QFPのICをリワークしたりするなら、アダプタサイズがちゃんと揃っているものが必要になりますし、熱収縮チューブを縮めるくらいなら細いノズルがあれば何でもOKかと思います。

たかじんさん

コメントありがとうございます。
その後も聞き続けています。 このアンプを通すと音の粒がくっきりして演奏の熱量がより濃くなる印象です。

DAPはLotooのPAW6000というものをメインで使用います。 このDAPは大人しめな音調でクラッシックには最適ではあるものの、フュージョンやJAZZでは若干物足りなさを感じることもあります。

しかし、Low-v Amp 01を通すとすべてが解決されます。
目下、ケースを作ることを計画中です。

こんばんは。

たかじんさん

>正負電源のDCDCコンバーターも使い方次第ですよね。

割り切ってしまえば、何とでもなるとは思っています。極端なノイズはあれですが、究極の音には達しないが、それを引いても余りある利便性が入るとなると考えさせられます。要はバランス、どう折り合いをつけれるかですね。そういう点ではHyCAAは素晴らしかったと思っています。

と言いつつ。たまに、尖った物を欲してしまう自分が居ますが(w


>5Vならそのままの定数で行けると思います。

USBポート給電ってのもありかもですね。こうなってくると、arrowよりの5Vでの給電との音の違いも気になりますね。

あと。NJM8080のオペアンプの等価回路図にFETが使われていて。何の役割を果たしているのかさっぱり何ですが。FETを使うことで電流の流れにメリハリが付くのならば。こういった回路にFETを使ってみるのも面白そうな気がしますがどうなんでしょう?オペアンプのレールスプリッタにFET系を使って面白かった記憶があるのですが。


>ホットエアーを使う目的次第で安価な物でOKか、

正直、目的もあいまいなんですが、05の件以来、今後必要かな~と思い始めてます。省スペースの為、05の両面実装をする為、秋月基板からきれいに剥したい、ってなのが一つありますが(w

こっこりさん

気に入って頂けているご様子で、大変光栄です。

実験的な基板ではあったのですが、私も想像より良かったと感じています。
PAW6000は、確か「はんてん」さんもご愛用のDAPだったと思います。 一度聴かせていただいたのですが、大変美しい響きが印象に残っています。
あれと相性がいいというのは嬉しいです。 ケース、頑張って作ってみてください。


scraphearts さん

HyCAAの件、ありがとうございます。 すべてにおいて完璧というのはまずないので、どこかで割り切るというか、特徴を出すというのが良いのかもしれないな、っと私も思います。

何というか、欠点をなくしていくと、どんどんつまらない方向に向かっていくような気がしているんですよね。 それよりもどこか1点でも飛びぬけている部分がある方が面白味があるんじゃないかと。

USB給電でもそれなりに良いものがありますよね。 最近、USB-PDを使って5V以外の電圧がもらえるという子基板があって気になっています。 9Vとか15Vとか、最大20Vでしたっけ。

これをレールスプリッタで分割すると程よい電源になりそうです。

NJM8080は、ノーチェックでした。 等価回路を見ると4558系っぽいですね。 この回路のJFETは定電流回路です。
定電流源にJFETを使うのはよくあります。 シンプルで定電流性に優れていますが、ディスクリートで使う場合にはIDSSのバラつきを考慮する必要があります。(選別しちゃうのが手っ取り早い)

> 05の両面実装をする為、秋月基板からきれいに剥したい

なるほど。 実装されたものを剥がすときのホットエアーは細心の注意が必要です。 プロの業者でICを剥がすときでも、そのICを生かした状態で再利用したいというと、だいたい煙たがられます。 気を付けて作業すますが保証はできませんよ。。。 っと。

ICの上から400℃くらいの風を当てることになるので、取れる前にICがめっちゃ熱くなってしまうんですよ。
小型ホットプレートで基板の下から熱を加えて剥がす方がICへのダメージが少ないかもしれません。

https://amzn.to/453qOnS
こんなのとか。


たかじんさん

>欠点をなくしていくと、どんどんつまらない方向に向かっていくような気がしているんですよね。

難しいですよね。究極の行き着く先は、超平凡、、、でも、それが案外大事と言う気もします。平凡をしるからこそ非凡を楽しめる訳ですし。しかしながら、たかじんさんの作品は尖った物でも、高い次元で見事にまとまっているので、安心して聴いていられます。

>最近、USB-PDを使って5V以外の電圧がもらえるという子基板があって気になっています。 

秋月の新製品にPDのチップが有りましたが、抵抗の設定で、要求電圧を変えるみたいですね。初期の物は相性が有るとか無いとか。残念ながら、対応機器が無いので何とも。5V〜20vとなると、ノイズ酷そう。家の環境は、つい先日、やっと携帯がUSBCになったばかりです(笑)

>等価回路を見ると4558系っぽいですね。 この回路のJFETは定電流回路です。

ちょっと見比べればわかったはずでしたね(笑)先入観からの思い込みコンボでした。お手間お掛けしました。似たような番手に3種類位あって、禁断のポータブルのCアンプに使ってます。出力もあり、メリハリが有るから、FETぽいバイポーラに感じてました。05に絡めたいのですが、スペースの関係で、02に合わせてます。

>ICの上から400℃くらいの風を当てることになるので、

既にコテライザーでオペアンプ何本か焦がしてます(笑)素直に低温半田使うのが一番楽でした。

>小型ホットプレートで基板の下から熱を加えて剥がす方がICへのダメージが少ないかもしれません。

こんな、小型のがあったんですね。全体をじっくり温めてギリギリの温度で攻めるか、高温を局所的に短時間で攻めるか。場所や部品で使い分けるのがベスト何でしょうけどね。そうなると、あれもこれも欲しくなります(笑)しっかし、どれもこれも高いなぁ~。温度と風量を調節出来るドライヤーとちっちゃなホットプレートなのに(笑)
 


必要なコンポーネントがわかる
BOMリストを作るようにしてください

こちらをご覧ください。よろしくお願いします。

https://nw-electric.way-nifty.com/blog/spl1.html

BOMリストありがとうございます。

パーツ手持ちあるから買ってみようとか
これがないからついでに買ってーというのがすぐわかるってことは
売り上げが上がるはずです。 

こんにちはレールスプリッター基板注文させていただきまして昨日届きました。
ド素人な質問で恐縮なのですが、現在DACから平衡出力で平衡アンプに繋いでいるのですが、その途中に平衡のオペアンプ具体的にはltc6363-0.5で減衰しようとしています。
その電源にレールスプリッターを採用しようと考えているところです。で平衡ケーブルの処理なんですけどもGND線を繋げてアンプ及びdacとグランドを共通にしても大丈夫でしょうか。よろしくお願いします。

トランスリニアバイアス方式のレールスプリッタ、すごいですね。

またこの回路から簡略化したカレントミラーにするときは、Q7, Q8を通さずに、R1, R2と同じ値の抵抗を電源、GNDからつなげば(Q7, Q8のドレイン-ソース間に入れるようにしたら)簡略できそうですね。

tako さん

ありがとうございます。 この回路をベースに改造するのもアリですね。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« BlueWind DC-Arrow +/- 頒布開始しました | トップページ | Low-v Amp の続きをさっそく注文 »

サイト内検索(new)

2024年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31