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2023年6月10日 (土)

そうだ電子負荷を自作しよう

電子負荷ってご存じでしょうか? 

そう、抵抗値を自由に変えられる負荷です。 電源回路を検証するときに使うと便利な機器で、市販されていますが通常は個人で買うような代物ではありません。

Elc_load00

という訳で、ブレッドボードでさくっと作ってみました。

 

PC画面を写真に撮ったという回路図ですみません。

Elc_load02

 

市販されている一般的な電子負荷の動作Modeは、

「定抵抗動作」
「定電圧動作」
「定電流動作」
「定電力動作」

がありますが、今回は電流動作が欲しいので、その動作だけ機能するものを作ります。

また、動作速度(スルーレート)も問わない直流電子負荷のため簡単に実現できます。

 

 

今回の仕様として、

 〇直流の負荷(応答速度はとわない)

 〇定電流モードのみ(0mA~1Aくらいまで)

 〇制御電源は5~6V(電池4本の完全フローティング駆動)

 〇最大入力電圧は30V程度まで

 

回路図上の5V(V1)が制御回路用電源で、20V(V2)がテスト側の電源になります。

 

OPAMPの選定

0mA付近から動作させようとすると、OPAMPは入力レールツーレールのものが必要になります。2023年5月号のトラ技の執筆で使ったNJU7062Dが手元に転がっていたので使いました。NJU7062は入力側はレールツーレールと謳っていないのですが、わりと0V近辺から動作するることが分かっています。このOPAMPを使ううえでの注意点は出力電流が100uA程度しか取れないところです。なので、終段をMOSFETにしました。

 

 

MOSFETの選定

MOSFETはIRFP240という、ネルソンパスさんのアンプでも使われている有名なものを使いました。これも以前使ったので家にありました。Si-MOSFETであれば何でもよいのですが、Vgsがあまりに高いものだと電池駆動している電源電圧の制約で電流が流せなくなるので注意が必要です。また今回の仕様の30V 1Aを大きく超えられるものが必要です。 IRFP240は200V 12Aなので合格ですね。発熱が多くなるので大きなヒートシンクに取り付けられる形状が有利です。

 

 

電流の指令値

電子負荷に流れる電流値をコントロールするのはR4可変抵抗(多回転100kΩ)で行います。この電圧はR2の0.47Ωに流れる電流値と等しくなるように回路が動作します。OPAMPの仮想短絡を考えると分りやすいと思います。

つまり、100mA流したければ

0.47Ω x  100mA = 47mV  なので

47mVになるように可変抵抗を設定してあげればOKです。

LEDはVf=2V(赤)を使っています。 制御電源の電池の電圧が多少動いても指示電圧が変動しないようにするためのものです。光ることで電源インジケータの役目もしてくれます。TL431LM385などのシャントレギュレータ/リファレンス電源を使うともっと電圧変動に強くなります。

 

R5(10k)とC1(2200pF)で位相補償していて発振しないように速度を落としています。

U2側は、実際に流れる電流値をテスタで直読したいときに便利な電流モニター出力です。(今回は作っていません)追記->

100mA流れたとき  100mV となればテスタ(電圧計)を見るだけで換算しなくても読み取れるようになります。

 

 

さて、この電子負荷を何に使用するのか、というとこれですね。

Elc_load03

MOSFETの発熱量は、24V x 500mA = 12Wほどになるためヒートシンク(50x70x30mm)をFANで冷却しています。

FANレスを実現したければ弁当箱くらいのサイズのヒートシンクを用意します。

R2(0.47Ω)は2W品を使用しました。 最大電流1Aとすると 1A x 1A x 0.47Ω= 0.47W となり、最低でも1W品より大きな許容電力の抵抗が必要です。今回はFANの風があたる位置なので強制空冷で放熱もできています。

 

 

 

 

ということで、実験用の直流電子負荷はとても簡単に作れます。

皆さんも自作電源を検証したくなったとき作ってみてはいかがでしょうか。ハンダ付けして基板を作るまでもなく手軽に回路を作れるのがブレットボードの良いところですね。

 

 

 

=追記==============================

電流値直読用の電流モニター出力も増設しました。回路図上のU2部分です。

Elc_load04

0.47Ωの両端電圧が47.5mV = 101.064mA  で、

直読側の表示が101.09mVとなって簡単に電流値を読み取ることができています。いちいち換算しなくても済むのでとてもラクチンです。

 

抵抗値を半固定抵抗で微調整できるようにしてあるのがポイントです。実は測定器系の回路ではNFB部に半固定抵抗を入れることはよくあります。昔のカセットデッキの回路のイコライザー部も半固定抵抗で調整していたりしますよね。 あれと一緒です。

半固定抵抗の摺動子が接点不良になったときのことも考えて、可変範囲を狭めにしておくのがベストです。

 

 

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コメント

たかじんさん

私も定電流負荷はちょくちょく作りました。1Aは結構大変ですよね。
R2は大抵メタルクラッドの0.1Ωにヒートシンクを付けて使用していました。
500mA以下ならそんなことしなくても大丈夫なんですけど。

半田マニアさん

さすがですね。 私は、この回路で2回目ですので半田マニアさんの方が大先輩ですね。
おっしゃるように熱をどう逃がすかがカギと思います。0.1Ωのメタルクラッドとはかなり電流が流せそうです。

電子負荷というとだいたいググっても直流用しか出てこないが、交流用って難で見ないんでしょうね。電子負荷って裏返せば定電流源にもなり得ますが、定電流源ならキャリブレータの電流出力に仕えたりテスタ・マルチメータの校正やチェックに使えそうなのにと思っちゃいます。

たこ さん

交流電子負荷は電圧が+電位になったり-電位になったりするし、周波数の応答性も求められるため、なかなか厄介と思いますよ。

DMMの校正を行うにはそれ以上に正確な機器としなければいけないため、調整には飛び切り高精度なメーターが最初に必要になりますね。 据え置きDMMなら6.5桁クラスのものがチラホラあります。

どうせつくるなら

.1. 1Aまで流したい
2. 任意の電流以上は過電流保護でオフしてほしい
3. 定電流を調整したい

などとわがまま言ってしまいサーセンです。

ゆきお さん

ご自由にどうぞ。

この記事の例では、ヒートシンクの放熱次第で1A以上もいけると思います。

電流値は自分で可変抵抗を回して設定するので勝手に過電流にはなりません。
MOSFETの定格電圧(200V)を超える電圧を入力してMOSFETが破壊すると、その限りではないですけど。

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