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2023年5月18日 (木)

40000カウントのテスター「RQ-770D」を購入。実測。

少し精度が高い40000カウントのデジタルマルチメーター(DMM)を購入してみました。これまで使ってきたものは秋葉原で980円で買った格安テスターとフルークの4000カウントの物です。

格安テスターはどうでも良いとして、、

アイドリング電流を調整するときに、4000カウントよりもう少し細かい数値が測定ができたら良いなって思っていました。

 

Rq770d_00

購入したのは「RQ-770D」というモデル 熱電対っぽいものも付録されていました。ソフトケースも地味に便利です。

 

ネットでレビューされている人もいらっしゃって、そこそこ良さそうと思っていた物です。4月の下旬で6千円弱でした。

 

 

DMMのカウント数とは

表示する数値の桁数に関係します。

例えば2000カウントでは、2000から0まで表現できます。「2000」の次は一桁ズレて「201」と3桁になります。

もっと具体的に書くと
 19.98V > 19.99V > 20.00V > 20.1V > 20.2V 

4000カウントなら
 39.98V > 39.99V > 40.00V > 40.1V > 40.2V  

20000カウントなら
 19.998V > 19.999V > 20.000V > 20.01V > 20.02V 

 

という具合にカウント数を超えると桁数が変わります。カウント数が大きいほど高分解能な表示が可能ですが、その数値が正確かどうかは別の話です。とはいえカウント数の多いモデルは高価なモデルなので、それなりに精度も高くなる(測定誤差が小さくなる)傾向があると思います。

 

 

 

開封から5分で分解する羽目に

GW中に開封して、セレクトレバーを回転させること4~5回。 なんと誤挿入防止のカバーの内部リンクが外れたのかレバーが何かに引っかかって、半分から回らなくなってしまいました。仕方ないので分解してカバーを取り外しました。

Rq770d_01
   < 開封から5分で分解することに… >

こんな事もあるんですね。

誤挿入防止カバーはなくても特に支障はないので外してそのまま(返却せずに)使っています。なんというか構成するプラスチック全般が安っぽい素材なんですよね。マクドナルドのハッピーセットのおもちゃ的な。筐体だけでなくテスターのリードもです。

 

 

 

測定値の表示

さてさて、肝心の精度というか分解能を見てみましょう。 mVレンジでご覧のような桁数表示です。

Rq770d_02

素晴らしいですね。 数値の更新は1秒あたりに4~5回という感じで数字がチラつかず見やすいです。ですが上のバーメーターも同じタイミングで更新されていて電圧の細かい動きなどは目視で捉えることができません。

フルーク、HIOKIなど良く出来たテスターでは、

7セグは毎秒4回くらい
バーメータは毎秒30回くらい

で更新されるので「7セグ数値の読みやすさ」と「アナログ的な電圧変動の表現」を両立しています。んまあ、テスターのバーメーターの動きで電圧異常などを発見した経験がないので、特に不都合があるわけではありません。何かおかしいなってときはオシロを使った方が確実です。

 

■結果

必要にして十分な表示更新速度。 40000カウントはすごい。

電圧・電流モードのAC/DC選択は「SELECT」ボタンで手動で選びます。

電流はまだ測定していません。(あまり使う機会がありません)

 

 

 

hfe測定機能

2万、4万、5万カウントあたりのテスターは他にもいくつかあったのですが、私が「RQ-770D」を選んだ理由として「hfe」測定機能があることです。

実は、一昨年くらいに半導体テスター(TC1)を買っていました。トランジスタ、FET、ダイオード、抵抗、LED、ツェナーなどが一発で測れるというものです。このブログを定期巡回されている皆さんならご存じの方も多いと思います。
ベース、エミッタ、コレクタなどピンアサインとBJT,FET,IGBTなど種類を自動で判別してくれるという優れものではあるのですが、お手軽な反面、各端子に一瞬逆電圧を印加されているんじゃないか? とか疑問に思ったりもします。

あと、ちょっとhfeの精度が怪しいのです。400を超えたあたりから「ぴったりと同じ数値のトランジスタが高頻度ででる」ことから、おそらく測定分解能が不足気味じゃないかと思われます。
正確な数字を覚えていませんが、425、451、483、514・・・という感じでそれ以上細かい数値が現れなくなります。

この分解能不足はhfeの高いトランジスタだとより明確にわかります。 蛇足ですがトランジスタのhfeがこんなに揃っているわけはありません。

 

 

格安テスターの方はソケットの接触が悪く、トランジスタを挿してグリグリグリグリ、グリグリ。。。グリグリとこじり続けて30秒から1分くらいでやっと数値が確定できます。

という事で、まともなhfe測定できるテスターが欲しくなっていたのです。

 

Rq770d_03

PNP側の穴がちゃんと空いてなかった。。。モールド部品のチープさが何とも言えない味を醸し出しています。精密ドライバを挿して穴を拡大しました。これでトランジスタが挿せる。

 

 

 

前置きが長くなりましたが比較していきましょう。

左から「半導体テスター」「RQ-770D」「格安テスター」です。

同一個体のトランジスタを3種のテスターで見てみました。

Hfe_ksc1845

NPNトランジスタのKSC1845の場合。

まあ、RQ-770Dが僅かに低い数値ですが、どれも大丈夫そう。

ちなみに半導体テスターは「START」ボタンを押したときに種別やピンアサイン解析を実行してから表示するので連続的に数値が更新されて行きません。他の2機種は連続測定しているため、手でトランジスタを温めるとゆっくり数値が変化していくのが分かります。手の温度くらいでもhfeは3~5くらい上昇していく様子が見てとれます。

 

 

Hfe_ksa992

PNPトランジスタのKSA992。

今度は半導体テスターだけ「614」と大きな数値を表示して乖離していますね。この辺は既に分解能が怪しい領域。

 

 

Hfe_bc550c

高hfeなBC550C(カタログスペックはhfe=420~800)

今度はRQ-770Dが 1600超えを出してきました。怪しさ満点ですね。手でトランジスタを温めても1621から動かないため分解能的にダメっぽい。

 

■結果

皮肉なことに980円の格安テスターが一番安定的な数字を出しているようにも感じられます。(接触不良がなければ一番使える)

 

 

 

抵抗測定機能

よく使う抵抗測定をみてみましょう。

最大レンジ40MΩ、最小レンジ400Ω(分解能0.01Ω)

Rq770d_06

5桁表示なので高分解能の良さが出ているように感じました。数値が正確かどうかは不明です。

 

■結果

問題なし。40000カウントの分解能を堪能できます。

 

 

 

キャパシタ測定機能

コンデンサの容量測定は1万カウントになります。

最大レンジ99.99mF、最小レンジ99.99nF(分解能10pF)です。 

小容量を実測してみるとどうでしょうか。

Rq770d_04

測定できるのは400~500pFあたりが限界っぽいです。100pF以下は信用できません。 

写真のものは47pFなので、本来であれば00.05nFと表示されて欲しいところです。コンデンサを外してみると00.02nFと表示されましたので、リード線の浮遊容量が20pFあるのかな? 差し引くと、案外正確な数値になっているとも取れますね。

 

■結果

1uF、0.01uF、1000pFなども測ってみたところ、正確な数値が出ているように思います。 100pF以下など小さいのはダメですが、それ以上の容量であれば信頼できる結果を得ることができそうです。

 

 

 

オートバックライト

オートバックライトが付いています。マニュアル操作では点灯しません。

Rq770d_05

照度センサーの部分を覆う(SDカード載せてます)とバックライトが光ります。 セレクトレバーの先端も光っています。暗闇でテスターを使うことはないと思いますがギミックとして楽しいです。

 

 

 

以上、駆け足で見てみました。いかがでしたでしょうか?

 

hfeは少し微妙な結果になりましたが、40000カウントの電圧測定はやっぱり圧倒的で4000カウントのテスターとは一線を画すものと思います。プラスチックの安っぽさが相当なレベルなので万人に薦めるというモノではありませんが、その辺を許容できる人で測定表示が5桁欲しいという場合には良いと思います。6000円という事を考えるとお買い得です。

 

 

ちゃんとしたテスター(仕事で使えるもの)が欲しいという方には、フルーク 187、287、HIOKI DT4281、DT4282 、sanwa PC7000 あたりが良いかと思います。

 

 

 

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電子回路」カテゴリの記事

コメント

テスターは三和のCD800aを使っています。
トランジスタのhFEを測定するためだけにHONEYTEKのDT9205A+という中華テスターを使ってますが、正しいhFEの値を期待しているわけではなく、hFEの揃ったコンプリメンタリペアを選別するのが目的といった感じです。

本当は秋月で販売されているPeakのDCA55という半導体アナライザが欲しいのですが、Analog Discovery用トランジスタ・ダイオードテスターと悩むところです。悩んでいるうちにhFE測定する必要がなくなる可能性も大ですが。

そういえば、最近巷ではFNIRSiという会社のDSO TC3という1ch簡易オシロ兼マルチメーターが話題になってますね。
ちょっと興味はあるものの、それを買う金があったら部品代に回したいと思うんですよね〜。

トランジスタ評価のページを見ていたらhfeの話だけでもよくわからなくなってきました(笑)

http://flip-flop.world.coocan.jp/audio/keisoku/Tr_data1/index.html
http://flip-flop.world.coocan.jp/audio/keisoku/Tr_data1/index_LN.html

2240は非常に優秀に見えます。

三毛にゃんジェロさん

三和のCD800a、 webで見てみましたが小さくて良いですね。
そうそう、私もhfeの絶対値が欲しいというより、相対的な数値としてちゃんと選別できれば良いと思います。  上の記事に追記しましたが、分解能不足で表示する数値が飛び飛びになって、hfe差が3以内とか5以内を探すということができません。 ぴったり同じ数値になります。 差がゼロです。 と喜べもしない(笑)

DSO TC3、私もちょっと気になっていました。 半導体テスターと簡易オシロを1台で実現しています。 ただ、記事で上げたように分解能の問題があるので、正確な測定にはちょっと物足りなさを感じます。
おそらくオシロ機能についても、普通のオシロを持っているひとからすると納得できないポイントが出てきそうだなっと思いました。

とはいえ、電子工作を開始するとき、テスター(DMM)の次に何があると便利か? と考えるとDSO TC3は素晴らしいTOOLになると思います。


levi さん

すごいサイトの紹介ありがとうございます。 hfeも奥が深いんですね。
リニアリティをここまで明確に表わしているのは初めてみました。 NECの2SC1845/2SA992も出ていましたね。 KSC/KSAは残念ながら測定対象にはなっていないようでした。

C2240は低ノイズで良いトランジスタですよ 。音も繊細です。

半導体テスター「TC1」のhfe測定が怪しいというのを文章で伝えにくいので、動画を撮ってみました。
こんなに同じ数値が高頻度で出るはずはありません。。。

https://www.youtube.com/watch?v=2SwJFMpFDm4

たかじんさん

ピタッと3極に収束するなんて・・・。😹😹😹
本当に正しいhFEが測定できるなら、正規分布になりそうなもの。
もっとも、メーカーがhFEでランク選別しているなら、歪な正規分布になりそう。

興味が出て調べてみたら、BC550CもコンプリメンタリのBC560Cもディスコンで入手が困難なんですね。コンプリメンタリで使いたいなと思いましたが、探すという無駄な努力はしないことにしました。

ぺるけ氏ご推奨のタカス電子製作所の3点連結パターンユニバーサル基板がROHS対応ラインナップに切り替わり、単価も上がるようです。特に72x94サイズは30%近い値上げとなるようです。
http://www.takasu-el.com/19.html

新製品では電源ライン上にハンダを盛ったり、錫メッキ軟銅線を這わせたりする電流容量増大化処理ができるかどうか不明なので、現行品の47x72と72x94を各数枚確保しました。

トランジスタの量に圧倒されました。
自分で実験しないので10~20しか持ってません(汗

三毛にゃんジェロさん

hfeのバラつきは非常にランダムで標準偏差的な集中ではないというのをどこかで読んだことがあります。
これは、BL、GR、ORなどで選別する前のバラつきが非常に裾野が広いバラつきだったとして、そこから特定範囲の(たとえば、200~400という)hfe選別がされているからだと思われます。

BC550もA、B、Cで選別されている型番です。 PNPのBC560C廃番なんですね。 耐圧違いのBC559などはまだあるようです。

この辺の型番は、耐圧、ノイズ(NF)、hfeで選別して出荷する型式が決まる、製造上で同一トランジスタなのかもしれませんね。


天 婦羅夫さん

数量は気にしないでください。 一時期頒布していたBC550Cは、2000個買って切り売りしていました。 多分その残りで200個くらい確保したものだと思います。

三毛にゃんジェロさん

タカス基板の値上げ。。。 仕方ないところですね。 
安いユニバーサル基板がそこら中で売っているので、タカス式が厳しくなるのは逃れなれないように思います。 それにプリント基板も20年前から比べて安くなっていますしね。

皆さんこんばんは。私はテスターを使い分けています。まず年齢は69歳です。抵抗のカラーコードが50代前半から読み間違えが起こり始めテスターで確認するようになりました。これはサンワのTR-360で、トランジスタのhFEも測れます。主に製作時に使うテスターです。アンプのアイドリング調整の時はクランプ付きの共立デジタルテスターを使っています。パワーアンプ終段のエミッター抵抗を使わない回路だったので、思い切って買いました。回路を切らずに直読出来るので非常に楽です。その他電圧確認は日置のDT4253を使っています。高価なテスターは有りませんが、楽で、安全な作業のために使い分けています。ただhfeの値は?ですが。、

KAZUO さん

私もカラーコードは3本のものまでですね。 1%精度の4本カラーコードは読み間違えやすいのでテスターで確認しています。

クランプメーターでDCも測れるものは良いですね。 安いクランプメータだとACしか測れないものが多いと思います。 エミッタ抵抗がないアンプですと、アイドリング電流をどう図るか悩ましいです。

サンワTR-360 のhfe測定方法(原理)が気になります。 なにか精度よくhfeが測れる回路が組めないか考えているのですが、よいアイデアがまだ浮かんできていません。

KAZUOさん
たかじんさん

抵抗のカラーコードは、照明の発光スペクトルの違いによって色が転ぶことがありますね。カラーコードに使われている顔料によっても違いがあったりとか。
例えば、3波長型蛍光灯下では紫がグレーや茶色に見えたりすることもあるので、テスターでの確認は欠かせません。

三毛にゃんジェロさん

おっしゃる通りです。
個人的には、橙、赤が 22x、33x、とか3桁目の数値としても似ているのでよく間違えます。 抵抗のベースの塗料の色によっても色が分からないってことありますね。

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