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2023年3月27日 (月)

バランス入出力アンプの検証(2)

先日の検証気になっていたところがありましたので測定機材を変えて再検証してみました。

まずはDCドリフトから。 AnalogDiscoveryではなく通常のオシロの登場です。

Bba2_01

AnalogDiscoveryと違ってノイズないですね・・・あの接続配線がイケてなかったみたい。

横軸は50秒/div。12マス=12 x 50s=600s なので10分間のグラフになりです。

うーん。やっぱりズレますね。いちおう電源ONから10分後くらいにオフセットがゼロになるように調整したのに、最大9mVくらいのズレが見えてます。

 

色々やった結果、ドリフトが小さくなりました。

Bba2_02

これならDCカットのコンデンサが無くてもヘッドホンを守れると思います。 DACの出力としては後段にDCアンプが繋がれる可能性もあるためDCカットしておいた方が良いでしょう。

 

 

で、

DCドリフト対策として何をしたのかというと。

1.初段トランジスタのhfe選別。hfe=400付近で「差5以内ペア」に。
 あまり変わらず。でも電源ON/OFF時のポップノイズが減りました。=>採用

2.初段トランジスタの熱結合(銅テープ巻き)
 少し良くなったような、変わらないような。=>劇的変化なし

3.カレントミラーのペアの熱結合(銅テープ巻き)
 DCドリフトが安定するようになった。=>採用

 

Bba2_03

という訳で、ご覧のようになりました。 

熱結合しやすいようにこれらのペアを近づけておくのが良いですね。

 

 

 

次に、CMRRです。

AnalogDiscoveryでの計測では漏れ(飛び込み信号)が多いように見えましたのでちょっと納得できません。

そこで登場するのはKenwoodのAG-203Aという発振器です。

Bba2_04

完全アナログ式の発振器で、なんと10MHzまでの正弦波と方形波が出せます。8年くらいまえヤフオクで8000円くらいしました。ネット上に回路図が出回っているため故障したときも修理できますね。ただ、性能はAG-204の方が良いので、もし手に入れるならAG-204の方がお薦めです。

 

シングル入力して動作確認します。

Bba2_05

黄色が入力。約1Vpp。 水色がHOT、紫色がCOLDの出力。ともに3.2Vくらいで正常に動作していることがわかります。

 

CMRR測定するために入力の「HOT-COLD間をショート」して同相の信号を入力します。

Bba2_06

すると、こんな感じ。

出力のレンジは1mV/divですが殆ど波形が見えません。0.1mVの揺らぎがあるとしても-80dBのCMRRです。

やっぱりAnalogDiscoveryでの計測はイケてなかったみたいです。WG1とWG2で同期した信号を入れていましたが、入力のHOT-COLDショートして単一の信号源で計測すべきでしたね。

 

ところが、周波数を上げていくと出力のHOTとCOLDで明らかな違いが見えてきました。以下の写真は100kHz時。

Bba2_07

水色がHOT、紫色がCOLDの出力。

 

COLD側は1mVpp程度の漏れが見えてきましたが、HOT側は0.1mVpp程度の漏れです。

Bba2_08

グラフ化してみると差は歴然。この違いがどこにあるのか突きとめる必要がありそうです。両方ともHOT並みの漏れ(CMRR)なら万歳ですね。

 

 

 

 

という訳で、本日はここまで。

 

こういう検証実験って面白いですね。 作ったことのない回路なので、どこに注意すべきか私自身まだ把握できていないんです。

カレントミラーのhfeを揃えてみるとかくらいからやってみようかと思います。トランジスタの選別が特性に数値として現れるなら説得力もあるし。

 

あと、AnalogDiscoveryで数mVくらいの信号を観測するには接続配線に気を付けなければいけないこともわかりました。あのバラ線はだめです。

 

 

続きはこちら

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バランスアンプ」カテゴリの記事

コメント

たかじんさん

興味深く拝見しております。
現在、電源電圧はどれぐらいなのでしょうか。

ヘッドホンアンプにできそうというのも、とても気になるところです。
今後の進展を楽しみに待っています。


追伸 
Analog Discovery ですが、おっしゃるようにバラ線は駄目です。
私は Arito さんが配布していたアダプタを使用していますが、現在は配布中止になっています。 現在は、Softone で、Analg Discovery2 用が出ています。

与太話でご免なさい。

AG-203、なぜか持っています。
押入れの奥で誇りにまみれている、と思う。

KENWOODじゃなくてTRIOだったかも???
ここは記憶が定かではないです。
だってもう10年以上も触っていないんです。てへ?

n'Guinさん

電源電圧は、現在±8Vから±12Vでテストしていますが、出力バッファ部の抵抗値を変更して電流を絞れば±20Vとか±24Vでも動作すると思います。
初段側も絞れば±30Vでも±40Vでも可能かもしれません。

Analog Discovery用のアダプタですか。 そういえば私もBNC端子が出る子基板も持っていました。 BNCケーブルが3mしか持っていないので今回は使っていません。 50cmくらいのBNCケーブルを作ればいい感じになるかもしれないですね。

10mV以下の小さい信号を見るにはちゃんとしないといけませんね。


sawanoriichi さん

なんと。AG-203はトリオ時代からあるのですか。 基本設計がしっかりしていて使いやすいのも良いです。 回路設計をやっているところなら、どこの会社にも数台はあると思われる隠れた名機ですね。

楽しみなアンプです。
ところで、熱結合は、トランジスタの平面同士を密着・接着するのはいけませんか。

天 婦羅夫 さん

ありがとうございます。 今回の試作ではエミッタ抵抗レスバッファの部分は平面同士を密着する配置にしていたのですけども、初段差動側もやった方が良さそうと言うのが分ってきましたので次の基板を作るときは変更しようと思います。

また高域のCMRRがCOLD側でだめな理由も分ってきました。 うー-ん。 思っていた以上にパターンが効いてきますね。 まったく手抜きができない。

たかじんさん、こんにちは。
すでに考慮なされてましたか。失礼しました。

ところで100kHzでの入力信号と出力との位相差はどこからくるのでしょうか。

Head Box IIの測定にAnalog Discoveryを使うつもりですが、予想通り剥き出しのバラ線ではノイズに弱いんですね。
BNCケーブルを使う手段があれば・・・。

n'Guinさん

Digilient純正のBNCアダプター基板があるようですが、それとは何が違うのでしょうか。

天 婦羅夫さん

するどいご質問ですね。 私もあれ?っと思ってました。
何が起きているのか、続きの記事で画像つきで説明しようと思います。


三毛にゃんジェロさん

バラ線は厳しいですが、BNCアダプタを使えばマシになるかと思います。
https://akizukidenshi.com/catalog/g/gM-07743/

このアダプタは、差動入力をアンバランス入力にしちゃっているので、差動でみたい時には使えません。まあBNCってアンバランスで使う事が殆どですので支障はないかと思います。

三毛にゃんジェロ さん

オリジナルのBNCアダプタだと、アンバランス入力ですが、私が使っている Arito さんのアダプタや Softone のアダプタを使うとバランス入・出力が可能になります。 Arito さんのアダプタのほうは、回路図が記載されているので、ご覧いただけます。

Aritoさんのアダプタ:
http://www.za.ztv.ne.jp/kygbncjy/tubeamp/Adapter/FRAplus_Adapter.htm

Softone のアダプタ:
http://softone.a.la9.jp/FrontBox/FrontBox1.htm

私はバランス入出力のアンプを作ることがあるので、周波数特性などをほぼ児童ではかってくれるので、結構便利に使ってます。

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