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2023年3月 3日 (金)

2023年 生産中のコンプリメンタリで使用可能なパワーMOSFETとドライバ段

自作でパワーアンプを作ろうとしたとき、パワートランジスタやパワーMOSFETの入手性が悪化して困ることが多くなりましたね。多くのものが生産中止になったからです。

特にオーディオ用は、コンプリメンタリで特性が揃っていることが重要です。そうでないとクロスオーバー歪が多量に発生します。NFBにより補正されはしますが、最初から歪の発生が少ない方が有利なのは確かです。

E800_mosfet

という訳で、本日は、現行品(生産中)のパワーMOSFETと、ついでにドライバ段のデバイスの調査を行いました。

 

ここで一旦、出力段の一般的な呼び方をおさらいしましょう。以下の回路図は3段ダーリントン構成のものです。

Three

プリドライバ段、ドライバ段、終段(ファイナル段)と呼びます。

低価格帯のアンプは2段ダーリントン構成のものが多いです。ですがコスト的にはプリドライバの有無だけですので極端に大きな差はありません。少し高級なアンプで2段構成になっている場合は音つくりからの選択と思われます。

発振のしにくさで言うと2段の方が優れています。個人的には低域の明瞭度から3段構成の方が好きです。

 

 

 

 

では終段のデバイスを見ていきましょう。

 

■Vishay Siliconix (旧 IR)

IRFP240PBF: 200V 20A 
IRFP9240PBF:-200V 12A 

これは、私が使用した中で最も素晴らしいMOSFETデバイスと思います。 ネルソン・パスさんがキットでNchの方を使用されていました。最大ドレイン電流がNchとPchとで随分と違うのでアンバランスに感じるかもしれませんが、非常にきれいな響きがでるので心配無用です。

 

■ onsemi(旧 フェアチャイルド)

FQA28N15:150V 33A
FQA36P15:-150V 36A

このペアはアキュフェーズのE-800やA-48などで使用されているものです。上の写真はカタログの一部で型式が読めます。アキュが使っているため音は折り紙付きなはずです。ただしFQA28N15の方が今年で製造中止になるらしいです。このあとどうするのでしょうか。

 

■EXICON

ECX10N20: 200V 8A
ECX10P20: -200V 8A

Ising さんから情報を頂きました。 ありがとうございます。リニアアンプ用に作られたコンプリメンタリのラテラル型MOSFETです。順方向アドミッタンスが2.0S、cissが500pFと小さいので2SK405/2SJ115くらいの世代と同等スペックの貴重なMOSFETです。

 

バイポーラトランジスタに関してはこちらの記事に書いたように

2SA1943 / 2SC5200(秋月電子)
TTA1943 / TTC5200(秋月電子)
2SA1943N / 2SC5200N

ですかね。東芝製。秋月で売っているのが嬉しいですね。LUXMANやアキュフェーズの現行モデルの多くに使用されています。サンケンのLAPTもwebサイトをみると生産されているようですが個人で入手できるルートがほぼ壊滅しているのが惜しい。オーディオメーカでもここ5年で採用例が殆どなくなっているため、かなり厳しいと思われます。

 

 

 

次に、ドライバ段(TO220パッケージあたり)を見てみましょう。

■東芝 バイポーラトランジスタ

TTA004B:160V 1.5A ft100MHz(秋月電子)
TTC004B:-160V 1.5A ft100MHz(秋月電子)

ここ半年くらい秋月電子でTTC004Bが売り切れているのが心配です。TO220より一回り小さいTO126Nというパッケージで、足の配列も違うため注意が必要です。個人的にはこのトランジスタの音は素直で癖がなくて好きです。ヘッドホンアンプの終段としても良いです。

 

■サンケン バイポーラトランジスタ

2SC4382: 200V 2A ft15MHz(秋月電子)
2SA1668: -200V 2A ft20MHz(秋月電子)

現在、秋月電子では売り切れていますがこちらのペアも良いと思います。同じサンケンの2SC4883A/2SA1859Aには特性で及ばないものの手に入る貴重なトランジスタですね。

 

■onsemi バイポーラトランジスタ

KSC2073H2TU:150V 1.5A ft4MHz
KSA940TU:-150V 1.5A ft4MHz

もともと日本のJIS式名称っぽいのですがチラッと調べた限りよく分かりませんでした。2SC2073/2SA940って東芝かな。東芝の互換品を作るなら2SC5171/2SA1930をコピーしてもらいたいですね。ft=4MHzはさすがに低いような気がしますので発振を引き起こす可能性あります。

 

■Vishay Siliconix MOSFET

IRF610PBF:200V 3.3A
IRF9610PBF:-200V 1.8A

MOSFETにはトランジション周波数というスペックが書かれていませんがスイッチング速度から30MHz以上までフルスイングできると思われます。

ドライバ段にMOSFETを採用しているアンプは、80年代、90年代の高級モデルに結構あったのでちょっと憧れますね。入力インピーダンスが非常に高いため2段ダーリントン構成でも励振段から電流が漏れ出ることがなく電圧増幅段の負荷が軽くなるメリットがあります。日立の2SK213/2SJ76などが良く使われていました。

 

 

 

いかがでしたでしょうか。

他にも生産中で良いのがあるよ。という方がいらっしゃいましたら教えてください。

 

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電子回路」カテゴリの記事

パワーアンプ」カテゴリの記事

コメント

MOSFETのペア取りというと、Vgsでしょうか。

天 婦羅夫さん

いい質問ですね。
テスターなどで調べられるVgsは微小領域ですので、パワーMOSFETやパワートランジスタでは、おそらくペア選別に貢献しないと思われます。(つまり無選別でOK)

実際に使用する領域(アイドリング電流の200mAから実負荷時の1Aなど)でのVgsペアを選別するなら意味があるかもしれません。

並列接続するときは、Nch同士、Pch同士のvgsは揃えてあげるのが良いですね。アイドリング電流の領域で揃えるのがベストですが、Nch同士、Pch同士であれば同じvgs-idカーブを描くと思うのでテスターで測っても一定の効能はあると思います。

国産の横型パワーMOSFETは終息してしまいましたね・・・。
海外ですとEXICONのECX10N20、ECX10P20がまだあるので2SK1058,2SJ162の代替として使えそうです。
Profusionという海外の電子部品販売サイトで購入可能です。(送料はわからないですが単価は結構安いです。)
アイドリング領域でのVGS測定は"0301sp3.pdf"で検索すると良い回路が見つかります。

たかじんさん、みなさん

こういう記事を読むと、確保したくなってしまいます・・・。

トランジスタのほうは、VFA-01 を作るときに確保したのがあります。
MOS-FET は手持ちがありません。

確保しておこうかなぁと思う一方で、作るあてがないような・・・。

VFA-01を追加で作ろうとしたらドライバー段のトランジスタが払底していて
困りました。以前4ch分だけ確保したのが2ch分残っているのですが
あと2ch追加で作りたいのです。サンケン4382/1668で音がどうなるか・・・
4883/1859には独特の良さがあるようなことを確かこちらで見たことがあるような気がします

Ising さん

通常のMOSFETに横型か縦型って書いていないので、どちらか不明なことが多いですね。 耐圧が60V程度しかなく「トレンチゲート構造」ってやつは明らかに縦型MOSだとは思います。
200Vを超える高耐圧MOSは横型が多いらしいです。IRFP240PBF/IRFP9240PBFあたりも横型のような気がします。

国内メーカーは縦横に関係なくディスクリートのトラジスタ、FET自体を終息させようとしているように思えてきます。残すのは車向けくらいかな。

ECX10N20、ECX10P20の情報ありがとうございます。


n'Guin さん

まあ、無駄に部品を買い集めても仕方ないですしね。 人のこと言えないくらい私も部品を肥やしにしていますが(笑) 


levi さん

4382/1668は使ったことありませんが4883/1859は、迫力のあるサンケンらしい音です。 ただ、ちょっと電流を多めに流して使った方が良いです。

leviさん
2SC4883AはDigi-Key、2SA1859Aは樫木総業で如何でしょうか?

たかじんさん
いつもお世話になっております。なるほど、耐圧が高くトレンチゲートと明記されていないものはラテラルMOSFETである場合があるのですね!とても参考になります!

leviさん
2SC4883AはDigi-Key、2SA1859Aは樫木総業で如何でしょうか?

たかじんさん
いつもお世話になっております。なるほど、耐圧が高くトレンチゲートと明記されていないものはラテラルMOSFETである場合があるのですね!とても参考になります!

すみません。何故か2重投稿になっている模様です・・・。

パワーMOSFETはほとんどが縦型ですよ!たぶん日立とExiconしかありません。
サブストレートがソースに接続されているのでフランジがソースになっています。
ヒートシンクと寄生容量ができるので日立のアンプはシャーシやヒートシンクをアースから10Ω程度で浮かせていたりします。
構造上Crssが非常に小さいなどの特徴があります。

日立だと
2SJ48 2SJ55 2SJ160 2SJ351
2SK133 2SK175 2SK1056 2SK2220
これらと耐圧違いしかないと思います。
中電力なら2SK213/2SJ76なども横型です。
もうみんな終息品、昔話です。

Ising さん

樫木総業さんは、手ごろな価格で提供してくれているので良いですね。

MOSの高耐圧が横型というのはガセでした。すみません。 高周波高耐圧(ハイパワーRF)のMOSは横型が多いようです。 AF領域のMOSFETは歴史的なところがあるみたいです。


ダンベルカールさん

いつも情報ありがとうございます。 V-FETで名をはせたソニーのTAN-8550(74年発売)の説明では、従来の横型に対して縦型のV-FETを新開発して載せたという旨が書かれています。
https://audio-heritage.jp/SONY-ESPRIT/amp/tan-8550.html

ということで、TAN-8550が発売される以前のFETの殆どが横型だったのではないかと推測しています。(そもそもV-FETはMOSではないという話もありますが)のちに縦型MOSFETが開発されて大電流化が可能になり、80年代からスイッチング電源など大電流アプリケーションが出てきたことで多くの半導体メーカーが縦型に切り替えていったように思います。

おっしゃる通り、70年代は日立がMOSFET独擅に近い状態。ただ日電や東芝、松下、三洋の物もいくつかあったようです。
例えば東芝の2SK405/2SJ115なんかはどうだったのでしょうか。 同じ世代なので横型のような気がしてなりません。cissが500pF以下と小さいのも根拠のひとつです。

https://toragi.cqpub.co.jp/Portals/0/backnumber/2004/08/p139-140.pdf
こんな資料がありました。

2SK1056など90年代後半まで作っていた日立は貴重な会社だったのかもしれませんね。

ありゃ、2SC5171もディスコンでしたか。手元には一生かかっても使いきれない分量は確保してありますが。。。樫木総業さんにはいつもお世話になっています。不思議な会社ですよね。

たかじんさん
高周波だと横型パワーMOSFETがあるんですね。
ソニーの言うVFET以前の横型FETというのは小信号用JFETのことだと思います。VFETはMOS構造とは全く違う別物です。パワーMOSFETはそれ以前にはありません。

J115K405はフランジがドレインですし東芝が今でも使っているΠMOSという呼び方をしているのでやはり縦型だと思います。

wikipediaに歴史が結構詳しく書いてありました。https://en.wikipedia.org/wiki/Power_MOSFET
74年に数社がVFET(SIT)を製造(MOSFETと書かれているが誤り)
75年にsiliconixがVMOSを製造(VFETと一緒に雑誌記事になっていた記憶がある)
77年に日立が横型を製造 83年まで横型は日立だけ

78年ごろにソニーが内製で縦型MOSを製造
https://audio-heritage.jp/SONY-ESPRIT/amp/ta-n9.html
82年ごろに東芝が2SJ115/2SK405を製造
https://audio-heritage.jp/AUREX/amp/sc-lambda90f.html

80年代前半まではHigh-Ftトランジスタやノンスイッチング回路の採用がさかんで、FETは高価なためかあまり採用されなかったようですね。あるいは日立がLo-Dでライバルだったため?

上の書き込みは私です。

けいさん

> 手元には一生かかっても使いきれない分量は・・・
それは素晴らしいです。2SC5171/2SA1930 に相当する他のトランジスタが出てこないので大切に使うしかないですね。


ダンベルカールさん

wikipedia、ありがとうございます。大変勉強になりました。
最初はやはりベル研究所だったのですね。 VMOSって呼び方が混乱を招きそうですが、今のトレンチゲートのはしりのような感じに見えます。 しかも日立が開発していたとは。
V-FETを混ぜるとややこしくなるので省いて年代別に並べると

59年 ベル研究所がMOSFETを発明(横型)
69年 日立が最初のVMOSを発表(V溝縦型)
75年 SiliconixがVMOS量産(V溝縦型)
77年 日立がLDMOSを発表(DMOSの横型)

こんなサイトを発見しました。
https://www.shmj.or.jp/museum2010/exhibi301.html

69年 電総研がDSA MOSFETを発表(横型)
  ->πプレーナ型DSA-MOSの図があり、横型DMOSらしい、これがLDMOSの原型?
75年 日立が縦型メッシュゲート構造パワーMOSFETを発表(縦型)

電総研のπプレーナ型は横っぽいので東芝の初期のπMOSがどういうものだったのか結局謎ですが、今のπMOS VIはメッシュゲートの縦型ですね。
それにしても日立はMOSFETに対して相当な力の入れようだったみたいで、まさに縦横無尽に開発していたという事がわかりました。
VMOSからV溝をやめて平ら(プレーナ型)にしたのがDMOS(Double-Diffused MOSFET/二重拡散MOSFET)ですかね。

ここにも当時のパワーMOSの縦横について書いてありました。(日立)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieejjournal1888/103/1/103_1_19/_pdf/-char/ja
単位面積あたりのコンダクタンス-ドレイン耐圧のグラフが興味深いです。

Vgsは使用環境で計るというのは製作記事で出てきますね。
電源用意しないとなんないですが、やってる人も選別しなくてもOKなこと書いてますし。
MOSFETって割と古い開発なんですね。知らなかった。

バイポーラもFETも製造が終わったのが増えてて困りますね。
某先生が市場在庫のみのトランジスタ使うからプレミアついて云々言われてましたが、今では普通に使ってたモノも入手難、プレミア付きになってきました。 なんとも困ったことで、ちょい発表の古い回路だとあれもナイこれもナイになってしまい、代りは!?ってなります。 こうなると買いあさってしまいます(笑)

天 婦羅夫さん

MOSFETのVgsは品種により大きな差がありますが、同じ品種内でもバラつきがあるんでしょうね。

そうそう、トランジスタの品種も減ってしまってコンプリで使えるものはホントに少なくなりました。チップトランジスタはまだ東芝が作っているのですが、あの会社も先行き不透明でいつまで続けられるか分かりませんね。
NXP(ネクスペリア)のチップトランジスがが使えるかもしれないので、ちょっと調査しようかなって思っています。ラズパイ用DAC基板ではNXPを使っていました。

秋月でttc004bが販売再開しましたね!
何ヶ月ぶりでしょうか...

TTC004Bの復活と引き換えに2SC2240が消えてますね。
頻繁にチェックして確保しておくんだった。

あ、本当に無くなってる...
まだ樫木総業とかで買えはしますが、秋月の値段と比べると買いにくいですよね

三毛にゃんジェロさん、774さん、みなさん

> TTC004Bの復活と引き換えに2SC2240が消えてますね。
TTC004Bの復活はありがたいです。 HPA1000 に必要ですから。
それにしても、2SC2240 がなくなったのですか。
使い勝手が良く、音も良い NPNトランジスタだけに、残念です。

秋月の2SC2240GR,は3週間ほど前にチェックした際には
すでに無くなっていました。仕方が無いですね。
相方の2SA970Grはまだありますが、片肺では・・・・

川崎のサトー電気には2SC2240BLがありますが
120円ほどのお値段だったと記憶しています。(買ったことがあるわけです・・・)
GRでも同じ値段だったと記憶していますが、
秋月の4倍かぁ、少しブレーキがかかる値付けですね。

774 さん

ついにTTC004Bが!  情報ありがとうございます。


三毛にゃんジェロさん

ぉ。。。 2SC2240在庫、無くなってしまいましたか。


n'Guin さん

うー-ん。 ほんと残念ですね。 UTCなどで2SC1815は作ってるけど、2240はないですから。


sawanoriichi さん

サトー電気でも売っているのですか。 その価格だと選別使用は厳しそうですね。 いっそのこと若松通商のJFETみたいに選別ペアで売ってくれればいいんですけども。

2SC2240/2SA970はどちらも20個ずつ在庫があるけど、あと20個ずつ積み増したいところ。

TTC004B/TTA004Bも各25個在庫してるけど、これもあと10個ずつ確保したい。

三毛にゃんジェロ さん

2SC2240/2SA970は、低ノイズでありながら耐圧も高いので励振段としても使用可能で使いやすいですからね。 ついでに音も良い。

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