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« 2022 東京インターナショナルオーディオショウ | トップページ | エミッタ抵抗レスなアンプを簡単に実現する方法? »

2022年10月 9日 (日)

サンケン LAPTではない2SA1494/2SC3858 は使えるのか!?

現在、秋月電子にて販売されているサンケン製のトランジスタでコンプリメンタリが揃っているのは 2SA1494/2SC3858 しかありません。すでに在庫処分価格で叩き売りしているため近いうちに入手できなくなると思われます。

https://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-07752/
https://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-07753/

ということで、入手してみました。

Sanken01

このように裏側には金属が出ているためヒートシンクに取り付けるには絶縁シートが必要になります。

 

最大の難関は、このMT-200というパッケージに合う絶縁シートが売っていないことです。

Sanken02

私の手持ちのシートはこの3種類でした。

右下の白いシートはTO-220を2個並べて使うためのシートっぽいのですが余剰分を切って固定用の穴をあけて使うことにしました。

余談ですが、TO-3Pを使うとき写真中央の半透明なマイカシートを使った方がくっきり、しっかりした音になります。メーカー製のアンプでも昔はマイカシートが多かったと思います。25年くらい前に製造上の作業性が良い白っぽい絶縁シートが出てきて乗っ取られてしまいました。

 

 

Sanken00

  < ヒートシンクに取り付けたところ >

ヒートシンクの高さ方向が80mmなので温度補償トランジスタも合わせるとちょっとだけ寸法が足りなくなってしまう。
無理矢理感満載ですが、どうにか付きました。

 

動作もばっちしなので、エージングをかけて5日間。。。

TTA1943/TTC5200の時と定数は全く同一です。 MOSFET版の抵抗値から戻しました。

 

 

 

 

ざっとトランジスタのスペックを見てみましょう。

比較対象は、VFA-01などで使用していたLAPT(2SA1186/2SC2837)と MT-200のLAPT(2SA1216/2SC2922)と今回の2SA1494/2SC3858です。

LAPTとはリニア・アンプ・パワートランジスタの略で、サンケンが名付けたオーディオ用パワートランジスタの総称です。マルチエミッタ構造、高ft、高リニアリティが特徴とされています。

 

スペック比較

PNPトランジスタ

  2SA1186 2SA1216 2SA1494
LAPT ×
パッケージ TO-3P MT-200 MT-200
構造 エピタキシャル形 エピタキシャル形 エピタキシャル形
VCEO -150V -180V -200V
Ic -10A -17A -17A
hFE O:50~100
P:70-140
Y:90-180
O:30~60
Y:50-100
P:70-140
G:90-180
Y:50~100
P:70-140
G:90-180
Pc 100W 200W 200W
VCE(sat) -2.0V max --- ---
fT 60MHz 40MHz 20MHz
Cob 110pF 500pF 500pF

 

NPNトランジスタ

  2SC2837 2SC2922 2SC3858
LAPT ×
パッケージ TO-3P MT-200 MT-200
構造 エピタキシャル形 エピタキシャル形 三重拡散形
VCEO 150V 180V 200V
Ic 10A 17A 17A
hFE(1A) O:50~100
P:70-140
Y:90-180
O:30~60
Y:50-100
P:70-140
G:90-180
Y:50~100
P:70-140
G:90-180
Pc 100W 200W 200W
VCE(sat) 2.0V max --- ---
fT 70MHz 50MHz 20MHz
Cob 60pF 250pF 300pF

 

スペックで比較すると非LAPTである2SA1494/2SC3858 は確かにfTが低い。とはいえ20MHzありますのでAF帯域は十分に超えています。マルチエミッタ構造であるかどうかはデータシートからは読み取れません。

 

 

 

音質は

サンケンらしく低音楽器の存在感が目立ちます。同じバイポーラトランジスタである東芝 TTA1943/TTC5200と比較すると、高域のキレイさ繊細さでは劣るものの、明瞭でメリハリのあるベース、バスドラの響きはLAPTに通じるものがあると思いました。

恐らくLAPTだともっと高域側の伸びというかキメ細かさがあったと思うのですが、2SA1494/2SC3858も決して悪くはありません。

 

 

あくまでも低音フリークな私個人の感想として、、

 

東芝:TTA1943/TTC5200(バイポーラ)

高域のキレイさ、女性ボーカルの伸びやかな感じに好感が持てます。やや低域の押出し感というか迫力が不足しているように感じるところが惜しい。ひずみ感は皆無でナチュラルな響きです。

 

ビシェイ:IRFP240PBF / IRFP9240PBF(MOSFET)

全域フラット、かつ、滑らかで透き通った雰囲気。空気感がふわっと軽いです。ステージまでの距離感が遠く、俯瞰して聴いているような感覚。残響音がリッチでスピーカーの後ろ側に音像が定位してホールで聴いているかのような錯覚に陥ります。クラシックを聴くならこれがベストか。極低域も伸びているので弦バスもいい感じで出てきます。

 

サンケン:2SA1494/2SC3858 (バイポーラ)

一言でいうとド派手。ロックなど、小スペースのライブハウスで聴いているような距離感。高域の雑さはあるけど、その欠点を上回るようなエレキベースの存在感で押し切ってきます。パワープレイ的なチート能力か、こいつの存在自体がロック。 昔、ミニコンポで「ラウドネススイッチ」を常にONして聴いていたような人には合うと思います。

 

 

高級オーディオに通じるような上品で繊細、破綻のない描写を望むならIRFP240PBF / IRFP9240PBFかと思います。一方、X JAPANの「紅」を大音量で聴きながらドラムスの超絶タム回しを腹の底から感じたいって人には断然、2SA1494/2SC3858 です。

自作アンプなので、このくらい下品な「クセ」があっても面白いですね。

 

デバイスを交換しても殆ど発振せずに動作してしまう安定度の高さは反転アンプのSMR-01ならではです。あれこれ交換して楽しみたいという人には良い選択かもしれません。

Sanken03

 

 

 

おまけ

以下はいわゆる「コピバン」ですが。。。レベル高し

にこやかにトンデモないドラムを叩いているのは むらたたむさん。

気になった人は、こちらもおすすめ。

序盤でリズムに乗り切れてない箇所もあるが、それ以降はアクセル全開、めちゃめちゃ楽しそう。 笑顔がメンバーに伝染していくのも最高です。後半は、この一発撮りでミスらないで終わらせようと、みな真剣な顔つきになっていきます。

 

 

 

 

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パワーアンプ」カテゴリの記事

コメント

色々とアンプを楽しみたい小生はつい先日とうとう“IRFP240PBF/IRFP9240PBF(MOSFET)”も入手してしまいました。
又悩ましい検証記事をありがとうございます。
音質レビューで思い出したのは、以前ヤフオクで入手したPAアンプのケース(ジャンク)の放熱器に張り付いていたのもサンケン製のパワーTRでした。
又もう50年位前の話です。ラジオ店のオヤジさんが、某ブラックフェースのアンプを眺めていた私に「終段のトランジタが飛びやすいよ。」と言ったことです。べつの機会に推薦できるのはサンケン製のTRが定格通りでタフだと教えてくれました。昔は販売店で修理するのがあたりまえにあったからでしょう。

先日SMR-01の基板も入手させていただいたのですが、
よくよく確認してみたら入力インピーダンスが5kΩ!?
うちのシステムだと入力トランスのダンピング抵抗の変更
まで必要で頭を抱えています・・・w

VFA-01は完成してエージング中ですが良い音ですね。
ただアイドリング電流が0.5A(測定ポイント間電圧110mV)を
超えるあたりから音が豹変するのでもし聞いたことがない方が
いらっしゃるなら絶対一度は聞いておくべきだと断言できます。

onajinn さん

IRFP240PBF/IRFP9240PBF はなかなか良いMOSFETだと思いますよ。 少なくともこのサンケンよりずっと高級オーディオ的な鳴り方です。 レンジ感がフラットで広く、滑らかです。

サンケンは、将来性のないオーディオ用デバイスに見切りをつけているみたいですね。 残念ですけども。 LAPTは本当に良いトランジスタでした。


levi さん

ありがとうございます。 SMR-01は色々と挑戦した代わりに使いにくさも同居していますね。 反転しているので、出力の極性が逆だったり、入力インピーダンスが低かったり。。。と。

おっしゃる通り、アイドリング電流が音に影響するところは大きいです。
100mA->200mA と増やしていくと確かに500mAから音が変わりますね。 私もその根本原因を調べようとしているのですが、いまだ解明できていません。

音楽が生き生きしてくる。 心にジーンと沁み込んでくるんですよね。

音がアイドリング電流と関係する原因は明確には知らないのですが、信号による出力段の温度変化が関係しているようにも思えます。
負荷が純抵抗の8Ωで、電源電圧が±20Vのとき、アイドリング電流1.25Aで、微小信号に対するパワーTrの消費電力変化はゼロになります。
しかし、スピーカは共振周波数においてインピーダンスが上がりますので、あまり単純ではないのかもしれません。
ヘッドフォン負荷の場合は、ヘッドフォンによってインピーダンスが大きく変わりますので、対応が容易ではありません。

フルデジタルさん

おっしゃるように温度に依存するところもあるかもしれませんね。 電源ONから30分以上しないと本領を発揮しないアンプは割と多いかと思います。

トランジスタや真空管の動作点の設定は、アンプ性能を決定づける最重要項目であることは疑いないと思いますが、複雑な音楽信号で最適な電流というのは意外と難しいのかもしれません。
トランジスタのftやhfe、出力インピーダンスは電流で大きく変化します。これはアイドリング電流だけでなく、音楽信号によって増減する電流でも例外なく変化しますね。 そして温度依存性もありますので、大電流が流れた瞬間に発熱が増え、hfeも変化する。 なんてことも考えると、なかなか答えは出てきません。

500~600mAを境界にして音がぐんと変わるところは、電源が±15Vでも±30Vでも同様で、発熱が少ない15V電源の方が手軽(ケース加工、ケースサイズなど)ですし、夏場も使いやすいというメリットがありますね。

>500~600mAを境界にして音がぐんと変わるところは、電源が±15Vでも±30Vでも同様で、

失礼しました。
ということは、A級動作になっているかどうかが関係していることも考えられ得ると思います。

フルデジタルさん

そうなんです。 A級アンプの音が良いのがなぜなのか? という点から既に謎ですね。

500mAを超えてくると、大きな音で聴いても小さな音で聴いても、400mA以下だったときと差が結構あるので、A級動作からAB級になった瞬間にダメになる訳でもないですし。
フルデジタルさんも自作されていらっしゃるとの事でしたので、調整して体感してみると面白いと思います。

こういうのはD級アンプだと体感できないのでAB級の面白い部分かもしれませんね。

「お客様からのご要望(リクエスト)により取扱開始しました。」とセカンドソース品も出てきたので需要がそれなりにあるようですね。こちらもディスコンで在庫処分特価になっています。音質の傾向はどっちよりだろう?
hfeは少し低いようです。

いつもお世話になっております。
LAPTの2SA1186と2SC2837のYランク品(hFE 90~180)は11/21時点で樫木総業さんに100個/200個の在庫があり@|\198(税込)です。私は各8個購入しました。MT-200パッケージ用の放熱シートはサーコンCW-200をカットして革用のパンチで穴を開ければできそうですが、@\800程でMOQ(最低発注数量)が10枚というのがつらいですね・・・。

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