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2022年9月26日 (月)

パワーアンプ基板 3兄弟の特徴と相違点

殆ど同じ基板に見えてしまうパワーアンプ基板3種についてそれぞれの特徴をまとめておこうと思います。

Power_amp3

 

サイズはどれも80 x 96mmという寸法で、基板固定穴、最終段パワートランジスタの位置、温度補償トランジスタの位置は同一です。

電源配線、信号入力配線の位置も大体似たような位置にしてありますが、SMR-01だけコネクタの種類がターミナルブロックからVHコネクタ、XHコネクタへと変更しました。ピンアサインは同一です。

 

 

 

さてさて、それぞれのアンプの特徴と音質的な感想を少しだけ書いておこうと思います。

 

 

VFA-01

Voltage Feedback Amplifier の略でVFAと名付けました。その名の通り電圧帰還タイプのオーソドックスなアンプです。

構成は差動2段回路です。熱平衡に優れDC安定度が良いためDCサーボ回路など余計な回路も必要ありません。1980年代から90年代の多くのアンプに採用された回路で、最もよくある普通の回路と言えます。

Vfa009

■音質的なところ

正確な音を目指していた80年代のアンプの雰囲気があると思います。最終段にLAPTを使っていたため、特に低域のリアリティさは出力を超えた説得力がありました。

現在、LAPT->2SC5200/2SA1943に変更して製作可。「低域の迫力重視」から「高域のキレイさ」へと傾向が変わってきています。

 

 

 

ALX-03

Mark Alexander氏が考案された電流帰還形アンプです。 アレキさん = ALX-03 と敬称を含めた基板名になっています。 01や02はありません。

初段に通常型のオペアンプを使っていて全段にフィードバックが働く構成と、オペアンプの電源ピンから電流を取り出して後段のトランスインピーダンス段へと信号を伝達するところが特徴的です。確かAlexander氏はこのアンプで特許をとっていたと思います。

オリジナルは終段がIGBTで構成されるなど、他では例を見ない特徴もあったのですがALX-03は入手しやすい部品にて再構成しています。

Alx03ti

■音質的なところ

初段のオペアンプを交換することでガラリと音の傾向が変わるため好みの音に変更できる楽しさがあります。特にMUSES03を使用した時の独特の高域は「超現代的」で凛とした雰囲気を感じます。

大電流MOSFET 2SK3163/2SJ555 版では、透明度とパワフルさ、MUSES03の高域のキレ味も相まって色の濃いアンプになっていました。

 

 

 

SMR-01

初段に上下対称差動回路を使用しており、Symmetric(対称)回路から命名しました。

音質への影響が大きい「アクティブ素子による定電流回路」を排除するために反転増幅にしていて、自然派的なものが作れないか挑戦したアンプです。

Smr_02

■音質的なところ

肩肘を張らず、ゆるりと音楽を聴くというスタイルに合うと思います。どこか「作られた音」というのが少ないので抵抗の種類による音の変化をとてもよく感じることができます。同様に音源に含まれるニュアンスの違いも描き分けるのが得意なようです。

IRFP240PBF / IRFP9240PBF を使用したMOSFET版では、空気感がふわっと軽く、ボーカルは滑らかで透き通った雰囲気をまとっています。ハイレゾ音源がより自然体になりいつまでも聴いていたいという気持ちになります。

 

 

 

 

 

以上、3つのアンプの違いはいかがでしたでしょうか。その時々で最終段のデバイスが異なっているため、アンプ形式だけの音の違いではありませんが、もっと深いところの傾向的にはやはり出てくる音の違いというのはあると思います。

 

 

以下は各基板のwebページへのリンクです。

VFA-01

ALX-03

SMR-01

 

※ スイッチサイエンスへ基板の補充分を送りましたので、もう少しでVFA-01、ALX-03も再開されると思います。よろしくお願いします。(国葬のため新宿近郊の宅急便が止まっているとの連絡がありました)

 

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パワーアンプ」カテゴリの記事

コメント

3種類の回路の音の説明をありがとうございます。
昔から疑問に思っていることですが、音色は何で決定されるもしくは影響されるのでしょうか。
今までいろいろなアンプを作ってきましたが、発表された方のコメントや製作された方のコメントを参考にしていました。
一つの回路でトランジスターの選定、抵抗、コンデンサーなどの決定方法はおおよそ理解しているつもりですが・・・・・と言ってもオームの法則と単にもう少し電流をながしてやれなどの乱暴な決定法ですが(笑
たかじんさんが3種を設計されるときに、ねらった音にする何かノウハウのようなものがありそうで。もし何か公開してよい情報があれば教えて下さい。
教えてくれたからなんだということなんですが(笑

たかじんさん、みなさん

VFA-01, ALX-03, SMR-01 の特徴について説明していただき、ありがとうございます。 

図らずも、「最終段にLAPTを使っていたため、特に低域のリアリティさは出力を超えた説得力」という、自分の好み通りの VFA-01 を選択していたようです。 とはいえ、ALX-03 を選んでいたら、オペアンプの交換で、自分好みの音を作っているに違いありません・・・。

情熱の真空管のぺるけさんが、デッドコピー という記事を載せています。
http://www.op316.com/tubes/honneb/honneb26.htm
どうやっても同じものを作るのは難しいという記事ですが、同感です。

私が作った VFA-01 は、おそらく他の方々が作成されたものとは、いろいろ異なる音作りだろうと思いますし、それが自作オーディオの楽しみかと思います。

追伸 私は真空管アンプなら設計もできますが、ねらった通りの音が最初から出たことはありません。 でも、NFB 量の調節をしたり、動作点をいじったりしている間に、自分好みの音に変わっていくように思います。 このホームページでいろいろ教えていただいて、測定器をそろえてから、珍妙な音に出会うことは減っているように思ってます。 ありがたいことです。

マイペースさん

まあ、最初から狙っていたという音はありません。わりと成り行きです。

でも、私が「音楽鑑賞に堪えうる音」「納得できる音」になるまであれこれ調整はしています。そのなかで、それぞれの特徴を伸ばしてあげられれば良いなと、だんだん方向性が決まってきます。

LAPTが秋月で売り始めたときは喜びましたね。 サンスイがLAPTを前面に押し出して宣伝していたので、「あの音」が出せるんじゃないかって。

残念ながら、その願いは叶わず。 。。でも、エレキベースの弦の震えが手に取るようにわかるリアルさなど素晴らしい所が垣間見たので、よりその方向で楽しめる音にしたつもりです。

これはノウハウというより経験値になるのではないかと思います。

既成品と違って、せっかくの自作ですので、あれこれご自身で部品交換(定数変更)して音の変化を味わってみるのも醍醐味のひとつ。じゃないでしょうか。


n'Guinさん

VFA-01は、オーソドックスに徹したド直球の電圧帰還アンプです。 これと同時に基本に徹した電流帰還のアンプも別の方が設計していて、2つの記事がトラ技へと掲載される予定でした。 電源、トランジスタ、コンデンサなど全て共通部品、電力増幅部においては動作電流から基板パターンまで完全同一で、帰還方式だけが違うアンプです。

でも誌面の都合上、時期がずれて一貫性がなくなってしまいました。

> ぺるけさんが、デッドコピー という記事

まさにそれですね。ひとの気持ちが入ると独自性を出したくなる。上記、電流帰還アンプを製作された方が、いいボリュームを持っているからと、それを使ったり、ドライバ部の電流を増やした方が音が良くなるからと、抵抗値を変えたり、、、と徐々に乖離していき「帰還方式のみの音質比較」は結局実現しませんでした。

でも、自作ですので、それで良いのだと思います。
ちなみにHPA-1000デモ機は都合上3台つくりましたが、同一人物がつくれば完全コピー品は普通に作れますね。


> 珍妙な音に出会うことは減っているように思ってます。 ありがたいことです。

ありがとうございます。 珍妙な音で、さてどうしようと悩んだのがALX-03の大電流MOS版でした。。。 それでも最終的には好きな音になったので良かったです。

>私が「音楽鑑賞に堪えうる音」「納得できる音」になるまであれこれ調整はしています。そのなかで、それぞれの特徴を伸ばしてあげられれば良いなと、だんだん方向性が決まってきます

ふむふむ(笑
たかじんさんのご苦労が手に取るように分かります。

私は鈴木章治さんのクラリネットの音色が好きで抜けるような音をめざしています。いろいろ作った中で、ALX-03に出会いました。これだと思い、オペアンプを変えたり抵抗、コンデンサーを変えたりしています。
私もサンケンのLAPTはすばらしいトランジスターだと思っています。しかもまだ生産をしているという(はずです)

今後ともよいアンプのリリースをお願いいたします。

マイペースさん

ありがとうございます。 ALX-03は特に苦労しました。 サンケンのLAPTの中で一番音が透明でベールがかからない2SC2837/2SA1186のペアが製造中止になってしまい残念でなりません。

このコンプリペアを使用しているオーディオメーカーも沢山あったと思うのですがね。 たびたび納期トラブルをだして東芝など別の会社のパワートランジスタに変更されてしまったのかもしれません。

クラリネットのように中高域の楽器であれば東芝のトランジスタでも良い結果を得られる可能性はあります。 バスドラム、フロアタム、エレキベースなど低音域になるとやはりLAPTが得意な分野になってくるように思います。

鈴木章治さんのCDは聴いたことないのですが、以下の動画を見る限りだとLAPTの方が合うように思います。
https://www.youtube.com/watch?v=PPj55NrTRSo
こぶしの効いた芯のあるクラの低音域と、やわらかな中音、煌びやかで伸びのある高域、とても表現に富んだクラ奏者ですね。

たかじんさん

2SJ555ですが。
2SK3163と共にお使いですが、2SK2586と組み合わせたり、2SK3307と使ったりという話を見聞きしました。
コンプリメンタリが無いんで仕様の近いものと組むのかと思いますが、いかがなものでしょう。

2SK3307はもう市場にも無くなってますが、2SK2586は少々あるようです。

天 婦羅夫さん

デンオンがUHC-MOSと言い始めたこの手の大電流MOSFETですが、そもそもコンプリメンタリで製造された品種ではありません。 ですので、ご自由に組み合わせて良いと思います。

個人的に気にしているところは、VgsーIdカーブです。20W程度のパワーアンプでは大電流領域は使わないので、10A以下の領域で比較するとよいと思います。

あとは順方向アドミッタンスですかね。 Id=0.1~10Aの領域で比較しています。

たかじんさん

説明ありがとうございます。
どうやら部品枯渇でそうそう組めるものが見つからなくなってきてるので、2SK3163にとどまりそうですね。

天 婦羅夫さん

大電流のMOSFETは新しいものが沢山でていますが、古いものもどんどん無くなっていますね。

SiC-MOSの Pchがあれば面白いとも思うけど、現状では準コンプリメンタリで組むしかなさそうです。 しかも VgsがシリコンのMOSFETより高いので、電源電圧を高くする必要も出てきます。

色々と悩ましいです。

ALX-03(最終段MOS-FET 2SK1529/2SJ200←長期在庫品使用)とVFA-01(最終段2SC5200/2SA1943)でいろいろ聞き比べて楽しんでいます。

ちょっと思いついて、VFA-01の終段アイドリング電流を400mAから600mAに上げて、どんなふうに変化するかを試したところ、急に高域がでてくるようになっておどろきました(壊れたかと思った)。2SC5200のデータシートを見てみると、Icが500mAくらいから直線状になっている感じがするのですが、ここまで変化するものなんだ、と。もっと電流流すか迷っています笑

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