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« 対称差動パワーアンプSMR-01のMOSFET版 検討開始 | トップページ | TTA1943/TTC5200 東芝のコンプリメンタリパワートランジスタの謎 »

2022年9月19日 (月)

対称差動パワーアンプSMR-01のMOSFET版 定数決定

MOSFET版を1週間ほどエージングをしたあと、ドライバ段、プリドライバ段の最適電流値を検証しました。

Irfp_mosfet_03

ヒートシンクに貼り付けたアンプ基板はアイドリング電流の調整がしにくいのが難点なようです。

でも、長めの電源配線を使ってヒートシンクごと仰向けにすれば調整しやすくなります。もちろんDCオフセットもこの状態で調整すると簡単。

 



さてさて、最終的に調整した値をまとめると以下のようになります。

SMR-01_MOSFET回路図.pdf

SMR-01_MOSFET部品表_20220919.pdf

 

回路図中に水色の下線を入れたところがバイポーラトランジスタ版との違いです。

ざっと説明すると、

 

R16:バイアス電圧

バイポーラトランジスタのVbeはどれでも約0.6vですが、MOSFETのVgsは2~4V程度で品種により異なります。IRFP240PBF/IRFP9240PBFは少し高めで3.2Vくらい必要なようです。

C8:バイアス安定コンデンサ

10uFでは明るく軽い音。47uFまで増やすと深みのある落ち着いた音調になります。ここはコンデンサの種類によっても音が変わるポイントなのでいくつか試してみるのも良いかと思います。中間の22~33uFにするという手もあります。

 

R22,R23:プリドライバ/ドライバ段の電流値設定

トランジスタの発熱が増えるため最大電流に上限はありますが傾向的に電流値を増やすとアタックなどのスピード感は増してきます。今回は軽やかでふわっと滑らかな音がIRFP240PBF/IRFP9240PBFの特徴っぽいので、その特性を活かすためドライバ段は少なめな電流にしています。

 

R24,R25:ゲート抵抗

寄生発振防止の抵抗です。抵抗値で音が変わります。抵抗値が高いと線が細く音源までの距離感が遠くなり、逆に低くするとクッキリ透明度が増す傾向があると思います。低くし過ぎると発振の可能性もあるため危険が伴います。今回は10Ωまで下げてボーカルの生々しさを重視してみました。

通常は100Ωあたりが(MOSFETらしい一歩引いた距離感を演出するという意味でも)無難な抵抗値です。 最大値としては1kΩくらいと思います。

 

 

 

MOSFETを使うと最大出力が減る理由とは

MOSFETを使うと上に書いたようにバイアス電圧がバイポーラトランジスタよりも高く必要になります。回路図に電圧を書いてみると以下のようになります。

Irfp_mosfet_06

実測でドライバ段のR23両端が7.6V。プリドライバ段のR22両端で8.9V。バイアス生成部で10.1Vでした。

バイポーラトランジスタでは、各段のVbeが0.6vx2なのでR23両端=1.2V、R22両端=2.4V、バイアス生成部で3.6Vほどになるハズです。

 

つまり、バイポーラトランジスタを使ったときのバイアス3.6VからMOSFETのバイアス10.1Vを引いた6.5vほど出力振幅が減ってしまいます。(+-合わせたピークtoピーク電圧)

Smr_clip02_20220609212801

±20V電源(フルパワー時は±18Vまで降下)のときバイポーラトランジスタでは約14Vでクリップしていましたが、MOSFETでは6.5÷2 = 3.25Vほど目減りして約10.75Vでクリップすることになります。

これが最大出力が減る原理です。低能率スピーカーの場合はちょっと出力不足になるかもしれません。その時は少しだけ高い電源電圧を使うことで解消できます。 それでも±24~30Vくらいまで上げれば十分と思います。電源電圧を上げると発熱が多くなり最終段のアイドリング電流を上げにくくなる弊害が発生します。

 

 

 

エージングが進んで実在感が増す

IRFP240PBF/IRFP9240PBFに交換して1週間。電源投入時間は50時間くらいと思います。

当初からの「出音が軽くスッキリ伸びた高域」という持ち味はそのままに、各所の定数変更により低音の引き締まった感じが少しほぐれて量感が出てくるようになりました。ドライバ段の電流を増やすと低域のスピード感は増すのですが高域のふわっと軽い音も硬くなってしまうようで、あまり電流を増やさないことにしました。何事にも最適なポイントというのがあり、トランジスタの動作点(アイドリング電流)の設定も重要だと思います。

 

この定数での音は、

高域は繊細さとスッキリ感があって爽やか。バイオリンやボーカル領域なども異常に滑らかで、ダイアナクラールのall or nothing at allの声なんかはその傾向が際立ちます。

Irfp_mosfet_04

低域はLAPTのような暴力的なメリハリ感は出ないものの、量感が増えてきたことで少し腰高感があった当初よりも落ち着いたバランスの良い鳴り方になりました。ぐっと深い低域に支えられたピラミッド型の安定感は音の説得力、実在感が増すようです。

極低音まで伸びたおかげで高域の伸びとあわせてレンジ感がめちゃめちゃ広大。いわゆるオーディオ的な面白みがあると思います。

Irfp_mosfet_05

ショスタコーヴィチの交響曲 第5番「革命」第4楽章 Allegro non troppo はオーディオ的な楽しみ方をするなら良いかも。このボストン交響楽団の演奏(録音)は、ダイナミックレンジと帯域レンジが広く大音量で聴くとなかなか楽しめます。 特に最後が。。。もしAmazon musicが聴けるのであればぜひ試してみてください。

 

また、あまり良質録音ではないJ-Rockやアニソン音源も滑らかな中音域のおかげで聴きやすく、耳障りのよい音になっています。

 

 

 

 

 

現在、秋月電子でTTC004Bが売切れ中のようです。 東芝 TTC004B/TTA004Bはドライバ用トランジスタとして「品の良い音」がでるトランジスタと思うのでディスコンにはしてもらいたくないですね。

ヘッドホンアンプの終段としてもぴったりですし。

 

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パワーアンプ」カテゴリの記事

コメント

基板は品切れ中ですが、ALX-03での検証も期待しています。
又逆にALX-03の基板を外してSMR-01に替える荒業する人いないかな?

onajinn さん

ALX-03とVFA-01はリピート製造中です。もう少しで入荷すると思います。

ALX-03でもこのMOSFETに入換可能と思います。 バイアス部の抵抗定数などは上のMOSFET版のを使用してください。
ただ、音が同じになるかどうかは何とも言えません。ALX-03は初段のOPAMPに依存するところが大きいからです。

初めまして。

自作パワーアンプのリニューアルを検討する中でこのページにたどり着きました。
現在も反転アンプを使っていることもあり、SMR-01に惹かれます。

ところで、MouserでPch MOSFETを物色していて、IRFP9140という石を見つけました。
耐圧は100Vですが、オン抵抗やトランスコンダクタンスはIRFP240にかなり近く、これでも良いんじゃないかと思えますが、いかがでしょうか?

ディスクリートアンプの製作は経験がないので、ご教示いただければ助かります。

よろしくお願い致します。


Iridium17さん

興味をもって頂き、ありがとうございます。

IRFP9140のスペックを見てみました。 確かに良いですね。 耐圧も100Vあれば十分ですので、これをペアとして使っても問題ないかと思います。 むしろIRFP9240PBFよりも良いと思います。

たかじん様

早速のご教示ありがとうございました。それではIRFP240PBF/IRFP9140PBFで組んでみようと思います。さきほどスイッチサイエンスに基板を2セット(BTLにするので...)発注致しました。

だいぶ先になると思いますが、完成しましたらご報告したいと思います。

Iridium17 さん

ありがとうございます。 うまくいくと良いですね。

たかじん様

今“バイポーラトランジスタ版”のケース加工がほぼ終に近づいて電源整流部基板を作製しています。このほかに“MOSFET版 ”も作ってみたいのですが、こちらもアイドル電流をより多め(500mA↑)に流した方が良い変化を感じられるのでしょうか?
>「何事にも最適なポイントというのがあり、トランジスタの動作点(アイドリング電流)の設定も重要だと思います。」
ドライバー段のお話でしたがMOSFET終段が気になります。

onajinn さん

MOSFETでも最適な動作点はあると思われます。

バイポーラトランジスタのVbe-IC特性は指数関数的ですが、MOSFETは2乗的な特性です。 ですので、最大電流の1/4をアイドリング電流にすると、最低限なA級動作となりスイッチングしなくなります。

発熱を無視すると、

次に考慮する点としては電源リップルがあげられます。アイドリング電流が大きくなると大容量の整流回路がないとリップルが増えてしまいます。

SMR-01は、定電流回路を使っていない回路構成のため電源リップルの影響がでやすく、思っていたよりもアイドリング電流を上げにくくなっています。

具体的には600mAくらいで音がごたごたしてきてボヤけがちになってきます。(電解コンデンサをもっと大きくすると解消する可能性もあります)

バイポーラトランジスタのように400~500mAでぐんっと良くなるポイントも見えないため、200mA~250mAくらいで使っていました。IRFP240PBF/IRFP9240PBFであれば、このくらいの電流でふわっと柔らかく奥行きのある響きが楽しめると思います。 100mAでは少し薄めな印象だったと思います。(悪くはないけど、声が少し硬い印象)

たかじん様

早速のご教示ありがとうございます。
不勉強故の質問に対する詳しい解説も良くわかりました。
来年になるだろうMOSFET版製作が楽しみです。
それにしても円安は困るな~。

SMR-01のMOS-FET版ですが、IRFP240PBF/IRFP9240PBFの代わりに2SK3163/2SJ555は利用可能でしょうか?
もし定数など変更が必要な個所があれば ご教示いただけると幸いです。
電源は15V(共立HDR-80+PRT-02)の予定です。

corins さん

2SK3163/2SJ555も使用できると思います。
出力段の3段ダーリントンの抵抗値をALX-03で2SK3163/2SJ555を使っているものを参考にしてください。

https://nw-electric.way-nifty.com/blog/2017/12/alx-03-x-muse-4.html
このページの回路図で、緑色に塗っているところです。SMR-01 MOSFET版の回路図で水色の下線を引いてあるところを置き換えてください。

ドライバTR(TTC004B/TTA004B)は、逆向きにしなくてもよくなりました。
(その代わりTO-220のトランジスタが使えなくなっています)


2SK3163/2SJ555はエージングに時間がかかるので、1週間くらいはまじめに音を聴かない方が良いかもしれません。

たかじんさん

コメント返信、どうもありがとうございます。

>2SK3163/2SJ555も使用できると思います。
>出力段の3段ダーリントンの抵抗値をALX-03で2SK3163/2SJ555を使っているものを参考にしてください。

了解です!

抵抗値の変更をまとめると以下ですね。

R16 8.2k → 6.8k
R22 2.2k → 1k
R23 330 → 150
R24,25 10 → 100


>2SK3163/2SJ555はエージングに時間がかかるので、1週間くらいはまじめに音を聴かない方が良いかもしれません。

了解しました。
完成しましたら、音の変化も楽しみつつ、気長にエージングしてみます。

corins さん

> 抵抗値の変更をまとめると以下ですね。

その通りです。
C8の容量は好みで選んでください。 10uF~100uF程度です。 小さいと高域が出やすく、大きいとどっぷりとした安定度のある音になります。

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