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« SMR-01 対称差動パワーアンプ基板 TIPS | トップページ | 対称差動パワーアンプSMR-01のMOSFET版 検討開始 »

2022年9月11日 (日)

パワーアンプに必要不可欠なものを削除して高音質化を目指したアンプ

オーディオ用パワーアンプの出力部にあるとある重要部品を削除したアンプがあります。

通常、終段パワートランジスタ以降で出力端子までに以下の部品があります。

エミッタ抵抗(MOSFETのときはソース抵抗)、空芯コイル出力リレー

Poweramp_01

これらはアンプ動作を安定させたり、スピーカーの保護といった大切な役割がある重要部品ですが、直接出力へと電流を流す部品でもあるため音質への影響も大きく、排除できるならしたい部品でもあります。

 

 

高度な技術(特許を取っているケースもある)で問題を解決して、これらの部品の一部を撤廃したアンプが市販されていたことがありました。現行モデルもあります。

まずは、出力リレーを取り除くことに成功したNEC A-10Xを見てみましょう。

 

 

NEC A-10X

当時、価格を超えた物量を投入してもやは伝説級のNEC A-10Xです。A-10シリーズの最終モデルで、初代A-10に近い硬派な音が人気でした。

a10x

https://audio-heritage.jp/NEC/amp/a-10x.html

こちらから拝借したブロック図です。

万一アンプ動作に不具合が生じたときに、入力、DCサーボ部、バイアス電圧、出力端子、そして電源の+-間を順次ショートさせて行きスピーカーを保護しています。

A-10Xの回路図がネットで探してもみつからないため詳しいところまでは不明ですが、最後の±電源をショートさせるSCR(サイリスタ)は、非常に大きな電流を流すことができるので、コンデンサに貯まった電荷をディスチャージすると同時に1次側に入っているAC100Vラインのヒューズを切ってコンセントからの電源を遮断するものと思われます。

電源ON時のポップノイズはどう抑えていたのでしょうか。設計に相当な苦労があったことは想像に容易いですね。

ここまで大掛かりなことをしてでも、出力リレーを排除するだけの音質的メリットがあったということなのでしょう。30年も前にこのようなプロテクション回路を搭載していたことに驚きますね。

Neca10234
       < A-10 Type IIの基板

個人的な(基板フェチ?な)意見としてはA-10シリーズの左右独立したメイン電源のコンデンサとパワトラとを直結した配置が理想的すぎて、これ以上のレイアウトは無いんじゃないかと思うくらい素晴らしいところも見逃せません。

A-10シリーズ開発に加わったという鈴木哲氏のファンダメンタルのパワーアンプ出力リレーを排除しているらしいです。同一方式なのかは不明です。

 

 

 

SONY TA-A1ES

つぎは、SONYのTA-A1ESです。 わりと最近まで販売されていたアンプですが、なかなかお店では見かけなかったので試聴を逃してしまいました。以下がwebサイトからの抜粋です。

Poweramp_02

このように、パワートランジスタのエミッタ抵抗と、出力コイルを削除していると書いてあります。

リレーは搭載されているのがこちらの資料から分かります。エミッタ抵抗のような配置で白いセメント抵抗が基板上に4個づつ搭載されているため、コレクタ側の電流を検出していると推測できます。ボリュームの位置によってバイアス電圧を可変して、1W~10WのあいだでA級動作させているらしいです。

Poweramp_04

結局、どういった仕組みでエミッタ抵抗を撤廃できたのか特許申請中(特開2015-065526)のため詳しく書けないといっていますが、相当な技術が必要なのは確かです。 んまあ、エミッタ抵抗を省いた代わりにコレクタに抵抗が入っているのはどうなの? という意見は昔だれかが言っていたような気がします。MJ誌あたりでどなたかがそういう回路を掲載していたのかもしれません。

 

下の写真はヘッドホンアンプ部でディスクリート回路で組まれています。凝ってますね。

hpa

こちらはコイルとリレー、エミッタ抵抗が入っているようです。気のせいかパワーアンプ部よりも基板のレイアウト、パターンがきれいです。左右にフォトカプラが見えます。フォトカプラでバイアスを可変する方式は90年代初期にデノンやマランツでやっていましたね。

 

 

 

 

DENON PMA-Sシリーズ

つぎはデノンのUHC-MOSを搭載したPMAシリーズです。PMA-SA1に分かりやすいブロック図が掲載されていました。

pmasa1

UHC-MOSは正式な名称ではなくデノンが独自に付けた大電流MOSFETの呼称です。日立の2SK1303(30A)/ 2SJ216(35A)もしくは2SK2955(45A)/ 2SJ554(45A)あたりが使用されていたようです。

このMOSFETは大電流が流せる代わりに耐圧が低いので高耐圧なバイポーラトランジスタでカスコードブートストラップして耐圧を稼いでいます。PMA-SA1ではソース抵抗を省いたと書いてあります。カスコートブートストラップにより終段UHC-MOSが受け持つ電圧が低いため発熱が抑えられるから熱暴走しないという仕組みです。おそらくUHC-MOSに印加される電圧VDSは5V以下になっていると思われます。

1996年発売のPMA-S10でも同様にソース抵抗を省いたと書いてあります。すべてのUHC-MOS採用モデルでソース抵抗を省いたとは書いていないので、ソース抵抗が付いているモデルもあるのかもしれません。

 

以下はPOA-S1のwebページからの抜粋です。

Poweramp_06

こちらは1993年のモデルです。UHC-MOSを使用、かつ、ソース抵抗出力コイルを省いた最初のモデルでしょうか。

デノンのUHC-MOSのアンプの特徴である明瞭、パワフル、曇りが一切ない音はこういったところから生まれているのかもしれませんね。

 

 

 

 

テクニカルブレーン TB-Zero/int

最後に、テクニカルブレーン社のアンプです。プリメインのTB-Zero/intのほか、モノラルパワーアンプのTBP-Zero/EX2エミッタ抵抗および出力リレーを排除しています。出力コイルについては何も書かれていませんが搭載している様子はありません。

Poweramp_03

webサイトには出力リレーを削除したとは書いていませんがYoutubeにて解説しているところで、リレー(接点)が良くないとしてアンプ全体でリレーを使っていないとをおっしゃっています。

興味がありましたら、ご覧ください。

またテクニカルブレーン社はエミッタ抵抗を排除する特許をとっているようです。

特許第4284102号

Brain_1

この構成が基本になっているようです。 通常のバイアス生成「Vbias1」と終段と熱結合した「Vbias2」の2段構えです。 D1,D2は終段と同じトランジスタ(ダイオード接続)もしくは同じ温特のダイオードを使って高速に温度補償するようです。

意外と簡単な方法ですね。

 

Brain_6

図6のTr3、Tr4がトランジスタをダイオード接続した例です。選別して同一特性のトランジスタなら並列接続できるようです。

 

面白いなって思ったのは次の図3。

Brain_3

Q5、Q6、Q8、Q9を見るとダイヤモンドバッファですね。エミッタ抵抗なしの。

熱結合してエミッタ抵抗を省いたダイヤモンドバッファ出力段をもつヘッドホンアンプを作っている方は沢山いらっしゃいます。じつは電源電圧が±3vなどと低ければ意外と熱暴走しません。

でも、テクニカルブレーンの回路はBTL 8Ω350wなので電源電圧は±45vを超える電圧でしょう。

励振段に通常バイアス生成回路を搭載し、ダイヤモンドバッファの前段の上下にあるトランジスタQ4、Q7は定電流回路ではなくエミッタフォロアとしているため、シンプルなのになかなか特徴的な回路になっています。コレクタに抵抗をいれたり、変な電流検出など行っていないシンプル回路で本当に熱暴走しないなら素晴らしいアンプじゃないでしょうか。ほんと面白いですね。

また保護動作時に±電源をショートしてコンデンサに貯まったエネルギーを消す手法はA-10Xに通じるものがあります。デバイスがSCRからIGBTに置き換わっただけです。

 

 

 

SONYの方も特許申請中とかいてあったけど検索してもヒットしません。もし見つけた方がいらっしゃったらコメント欄にお願いいたします。

TA-A1ESが発売された2013年以降の新しい特許のハズです。

フルデジタルさんありがとうございます。



 

※その昔、パワーアンプの電源を入れる度に「ボツっ」てポップノイズを垂れ流していたモデルは出力リレーは搭載されていませんでした。

 

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コメント

>SONYの方も特許申請中

特開2015-065526 ですかね。
終段のTrに対してVceが一定になるようにコレクタ電圧を振ってあげて、温度変化を小さくするもののようです。

エミッタ抵抗を省くことができると、場合によっては寄生発振止めのベース抵抗を省くこともできそうです(そう大きなメリットとは思えませんが)。

出力のリレーは、仰る通り、ポップノイズ対策という面も大きいように思います。非反転増幅回路とした場合、回路によってはターン・アップ現象(*1)が発生する場合があり、そのときは結構大きいポップノイズが発生します。(売り物にならない?)

*1 オペアンプなどで、同相信号入力電圧が動作範囲を超えたとき、増幅器のゲインの符号が変わる現象。負帰還が正帰還になるので、コンパレータ状態になる。通常動作時以外でも、電源の立ち上がり時に起こることもある。
この現象、他の呼び方もあるようなのですが、覚えていません。オペアンプの特徴に、「sign inversion free」とか書いてあったような記憶があります。

フルデジタルさん

ありがとうございます。 よく見つけましたね。 ほぼ、これで間違いないと思います。

熟読してみます。

この特許、最終的には取り下げているようですね。。。

コレクタの電位を振るアンプは、ぱっと思いつくだけでもDENONのUHC-MOSで採用しているし、スレッショルド社のSTASISでもパワトラの耐圧を稼ぐために1/2に分圧しています。 よく使われている回路でエミッタ抵抗を省くという部分をどう説明して独自性を表わせるかが鍵になりそうです。

と言いますか、DENONのUHC-MOSアンプでもソース抵抗を省いていることがわかりました。記事に追記してみました。

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