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2022年9月23日 (金)

TTA1943/TTC5200 東芝のコンプリメンタリパワートランジスタの謎

オーディオ用パワーアンプの終段に適したコンプリメンタリのパワートランジスタがどんどん製造中止になり、使える品種は限られてきています。そのなかで東芝が製造している以下の3種類について調べてみました。

2SA1943 / 2SC5200
TTA1943 / TTC5200
2SA1943N / 2SC5200N

Powertr01

2SAxx、2SBxxなどトランジスタの型番を決めていたJIS規格が1993年に廃止になり、メーカー独自型名になりました。ほぼ同じスペックと名称を引き継いでいるこれら3種類のトランジスタに違いはあるのでしょうか?

 

まずは、各トランジスタのスペックを比較してみましょう。

 

スペック比較

PNPトランジスタ

  2SA1943 TTA1943 2SA1943N
生産開始時期 1990年頃 2009-3 2012-8
パッケージ TO-264 TO-264 TO-3P
構造 三重拡散形 エピタキシャル形 三重拡散形
VCEO -230V -230V -230V
Ic -15A -15A -15A
hFE(-1A) R:55~110
O:80~160
80~160 80~160
Pc 150W 150W 150W
VCE(sat) -3.0Vmax -3.0Vmax -3.0Vmax
fT 30MHz 30MHz 30MHz
Cob 360pF 240pF 360pF

 

NPNトランジスタ

  2SC5200 TTC5200 2SC5200N
生産開始時期 1990年頃 2009-3 2012-8
パッケージ TO-264 TO-264 TO-3P
構造 三重拡散形 三重拡散形 三重拡散形
VCEO 230V 230V 230V
Ic 15A 15A 15A
hFE(1A) R:55~110
O:80~160
80~160 80~160
Pc 150W 150W 150W
VCE(sat) 3.0Vmax 3.0Vmax 3.0Vmax
fT 30MHz 30MHz 30MHz
Cob 200pF 145pF 200pF

 

いかがでしょう。似ているけど、ちょっとだけ異なる点がありますね。リード品のトランジスタを大量リストラした東芝が、わざわざこの3種類を用意する必要があるのか理解しにくいです。

特性的にはCobが小さいTTA/TTCが優れているように見えるので、パッケージが一緒の2SAxx/2SCxxと TTAxx/TTCxxは、後者をNEWモデルとして過去の製品を止めても問題なさそうな気がします。

それに対して「N」はパッケージがよくあるTO-3Pになっているため他社のトランジスタからの置き換えを容易にしています。また、hFEランク「O」のみです。

 

 

VCE-Icカーブ比較

2sa1943_vi

2sa1943n_vi

Tta1943_vi

縦軸のスケールが異なっているので分かりにくいですね。

よく見るとTTA/TTCのみカーブが異なっているようにも見えますが良くわかりません。

というより、2SA/2SCと「N」とでは、測定データ(グラフ)が同一なのでデバイス的には何も変更していないということの表れともとれますね。

 

 

 

市販アンプでは

使用しているアンプを探してみると、

Powertr03

2SA1943 / 2SC5200 

https://www.luxman.co.jp/product/l-590ax

https://www.luxman.co.jp/product/l-595al

https://www.luxman.co.jp/product/l-550ax

という具合にラックスマンの純A級のプリメインアンプには2SA1943/2SC5200の写真がカタログに掲載されています。AB級モデルは鮮明な写真がないため不明です。ただ、同じトランジスタを大量に購入するというメリット、A級フラッグシップ機と同じ音の傾向を下位モデルへ展開するという目的からも同じトランジスタを使っている可能性が高いような気がします。

上の写真はLuxmanのM-10X(160万円)のパワーアンプブロックです。ハッキリとは見えませんが2SA1943/2SC5200と思われます。

また、エソテリックのパワーアンプもTO-264の形が見えるのですが「2SC5949/2SA2121」と思います。カタログの写真でははっきり見えません。

 

 

 

 

Powertr02

2SA1943N / 2SC5200N

https://www.accuphase.co.jp/cat/m-6200.pdf

https://www.accuphase.co.jp/cat/p-4500.pdf

https://www.accuphase.co.jp/cat/e-5000.pdf

などアキュフェーズのハイパワーなモデルに「N」が搭載されているようです。E-5000はボヤけていて良く見えませんが、P-4500やM-6200などバイポーラトランジスタを使っているモデルと同じトランジスタの可能性が高いと思います。

上の写真はAccuphase M-6200(モノラル1台90万円)のパワーアンプブロックです。ベース抵抗がチップ品というのも気になりますが、ブロックケミコンのアース配線の方がもっと気になる。

Poweramp_07

 

 

 

TTA1943 / TTC5200 を使っている市販アンプの写真は残念ながら見つかりませんでした。

トランジスタはCobが小さい方が高域が伸びるため、単純に特性が良さそうなTTA/TTCを秋月電子で買って使いましたが、実のところ音質比較していません。

 

 

 

まとめ

結論から書くと

2SA1943 / 2SC5200 -> TTA1943 / TTC5200 高域特性改善&単一hFEランク
2SA1943 / 2SC5200 -> 2SA1943N / 2SC5200N パッケージ変更&単一hFEランク

音の方は実際に聴き比べしないと判断できません。

ということになりますが、高級オーディオメーカーがTTA/TTCを聴いていいハズもなく、その上でCobが大きな2SA/2SC や「N」を使っていることを考えると、音質的な何かがあると勘ぐってしまいます。

TTA/TTCは高域がキレイで爽やかな印象ですが、LAPTと比べてしまうと低域の押出し感というかパワー感がもう少し欲しいと思ったりもします。(低音ギークな私の個人的感想です)

 

 

 

互換トランジスタ

なんと、2SA1943 / 2SC5200はフェアチャイルド(現Onセミ)やUTC等が互換トランジスタを製造していたようです。

https://www.alldatasheet.jp/view.jsp?Searchword=2SA1943

https://www.alldatasheet.jp/view.jsp?Searchword=2SC5200

Fjl4215

Fjl4315

ネット上の一部では三重拡散形よりもエピタキシャル形のトランジスタの方が音が良いなんて話もあるので、Onセミのペアを使ってみるというのも面白いかもしれませんね。

https://www.digikey.jp/ja/products/detail/onsemi/FJL4215OTU/1057510

https://www.digikey.jp/ja/products/detail/onsemi/FJL4315OTU/1057395

 

 

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パワーアンプ」カテゴリの記事

コメント

>音質的な何かがあると勘ぐってしまいます。
十分な高音質が得られているのに新規品採用でキャラが変わるのを嫌ったとか?

>ブロックケミコンのアース配線の方がもっと気になる。
単電源??

>Onセミのペアを使ってみるというのも面白いかもしれませんね。
食指が動きかけました…。

海外メーカーでの採用実績も知りたいところですね。

onajinn さん

確かに音が変わってしまうリスクもありますよね。

> 単電源??
あはは。単電源だったらウケますね。

海外メーカーのパワーアンプは、あまり調べていませんがサンケンが多いような気がしています。まあ、日本のメーカーもちょっと前まではサンケン(LAPT)が多かったですし。

先日、MJを立ち読みしたら最新のマッキントッシュが5本足のサンケンのトランジスタを使ってました。温度補償が内蔵されているので少スペースなんですよね。

TTA,TTCのペアについてですが、それぞれプロセスが異なるトランジスタとはびっくりです。
かつてヤマハから発売されていた2ストローク500CCのバイクRZV500Rの前2気筒と後ろ2気筒がピストンリードバルブとクランクケースリードバルブの違和感に通じます。
同調をとるのが大変だったらしいです。

M-6200のブロックケミコンの処理はGNDの配線が細いのも気になりますが、整流前と後でバスバーにスリットいれて2系統で配線してほしい所です。ハイエンドクラスなので他メーカーはもっと情熱をもって設計しているのが説明から伝わりますが、さらりとしていますね。

TTA/TTCが市販のアンプで使われていない理由に関して、想像するしかないのですが、コストの問題もあるのではないでしょうか。
半導体の価格は使用するプロセスで大きく変わってしまいます。エピタキシャルは、その分高くつくのかもしれませんね。(パワー素子なので、厚く成長させる必要があるのかも。)
N型にしても、Cobが小さくなっているので、同じ三重拡散形でもプロセスまたはプロセス条件を変えていると思われます。

>音質的な何かがあると勘ぐってしまいます。

設計者は、思った素子を使わせてもらえなくて、悔しがっている可能性もあります。

つにさん

+側振幅と-側振幅でデバイスが異なるというのは、厳密にコンプリメンタリとしてカーブが等しくないことを考えると、そんなに細かく気にしなくても良いような気もします。 ただ、デバイスメーカーとしてコンプリのペアとして違う物を組んでくるところに驚きがありますね。

それに、準コンプリの場合なんかは、デバイスが同じでもコレクタでドライブする方とエミッタでドライブするほうで、全く特性が異なりますからね。

最近のYAMAHAはクロスシャント方式で、これも+側と-側とで経路が異なるという不思議さがあります。 YZF-R1は不等間隔爆発ですし、もはや伝統なのかもしれません。

ブロックケミコンの中点(GND点)には、スピーカーに流れた電流のリターンもL/Rそれぞれありますし、どこかでL/Rリターンとトランスのセンタータップ配線をミックスしてしまう気持ち悪さは普通の回路設計者なら我慢できないと思われます。


フルデジタルさん

なるほど、コスト要因ですか。 上に挙げたアンプのように多数パラの場合はわずかなコスト差も大きく跳ね上がってくるので十分考えられますね。 1台160万円のアンプだったとしてもコストは大事ですから。

デジキーでは下記のようになっていました。 「N」はパッケージが小さいので他よりは安いようです。

2SA1943-O(Q) ¥473
2SA1943N(S1,E,S) ¥387
TTA1943(Q) ¥428

AccuphaseのアンプはGND線の細さに最初びっくりしましたが、よく見たらBTLアンプ
のようです。

keizy さん

確かにBTLアンプでは±電源へ均等に負担がかかるのでGNDに電流が流れないですね。 昔のサンスイのアンプでGNDをフローティング(抵抗で浮かす)している物もありましたので、意図的な細さの可能性もあります。

東芝製の、パワーアンプのドライバや終段に使えそうな品種が全てNRNDに・・・。

Isingさん

なんと!
これはヤバい。 情報ありがとうございます。

ローム、東芝、三菱の連合の話がホットニュースになっていますからね。

東芝ローム三菱の事業統合って
パワーデバイス分野だけじゃないんですか?

三菱による東芝とロームのパワーデバイス部門の吸収な気がしてます。
ワイドバンドギャップデバイスの開発で厳しい状態だったですからね。

sawanoriichi さん

どこまでなのでしょうかね。 

三菱のパワーデバイス以外の半導体はルネサスになっているので、残っている半導体部門はパワーデバイスのみ。

ロームはSiCに集中するため汎用デバイス系を大量リストラ中。

東芝は、NANDフラッシュをキオクシアに分離したので、パワーデバイスというかメモリ以外の半導体が残っていましたが、ここにきて汎用トランジスタの大量リストラ。

これら3社からパワーデバイスを除いた半導体部門って、それぞれ生き残れるのでしょうか。

天 婦羅夫さん

TTC015B/TTA008B, TTC004B/TTA004Bのコンプリメンタリペアも生産終了になるではないですか。🙀

三毛にゃんジェロさん

これはイタイですねぇ。さらにいいのが置き換えにあればいいですが…

一方、オムロンが電子デバイス部門をカーライルに譲渡するとか…
こちらで関係するのはリレーくらいでしょうか。
https://www.omron.com/jp/ja/ir/irlib/pdfs/20260330j.pdf
https://www.omron.com/jp/ja/news/2026/03/c0330.html

天 婦羅夫さん
三毛にゃんジェロさん

そうなんですよ。 パワトラもですが、TTC004B/TTA004Bのコンプリペアの音が良いので残念です。 まだ製造中止まで期間があるので今のうちに確保しておこうかと思っています。

オムロンも発表していましたね。 リレーのほかスイッチ、D-subやDINコネクタなども良く使われていると思いますが、切り離されるみたい。
シーケンサーなど制御機器系は別の部署なので切り売りされていない様子です。

どうも、コンデンサやスイッチなど小さな電子部品は、設備の老朽化が進んできて、設備入れ替えするほど今後の利益も見えないということで製造停止するというのが目立ってきましたね。

たかじんさん

TTC004Bは秋月でゼロで入荷未定なんですよ…
千石、若松にはあるんですがね。

天 婦羅夫さん

TTC004Bは1人50個までの購入制限がありますが、樫木総業で1個33円(税込)で購入可能です。秋月電子より1個あたり7円安いです。
TTA004Bも同価格で取り扱いがあります。
樫木総業で最も安い送料はゆうパケットの250円(税込)ですので、36個以上購入すると秋月電子よりお得になります。
また、5500円以上購入するとゆうパケットの送料が無料となります。

Isingさん、ありがとうございます。

うちはTTAの数が少ないので利用することにします。

天 婦羅夫さん

TTA004Bは購入制限がなさそうです。

Isingさん

それはありがたいです。 NPNの使用が多いんですね。

天 婦羅夫さん
Ising さん

樫木総業、ときどき話題にあがりますが意外と良い部品を取り揃えていますよね。
一昔前の若松通商的な立ち位置でしょうか? でも秋月より安いのは素晴らしいです。

とりあえずまだ生産終了になっていないので、秋月電子も補充されるんじゃないかと思っています。

たかじんさん

そうですね。割と古い物が出てくるようで重宝してます。

Ising さん  天 婦羅夫 さん
たかじんさん

TTC004B / TTA004B をさっそく樫木総業に発注しました。 とりあえず、50個ずつ頼みました。 現在、自宅ではないので、手持ちの在庫がどれぐらいかはわからないのですが、20個程度しかないと思います。 

たかじんさんの Blue Snow DAC と同じで、三端子レギュレータで定電圧化してリップルを取り除き、音質的な理由で、KZ電解コンデンサを利用したリップルフィルタにちょうど良いのです・・・。

追伸 65歳で定年退官となり、再就職しました。 車で1時間ほどなので通うつもりでいたら、家族の反対に遭い、また週末に自宅に帰る生活です。
職場の居室では、IrBerryDAC を使った USBDAC + HPA-12 A級ミニアンプをヘッドホンアンプとして使っています。 これまでは AKG K712 でしたが、Hifiman Arya を使うことにしました。

みなさん

パイポーラー型ぺるけ式にTTC004B / TTA004Bを使おうと思っていますが、現状32個ずつ在庫があり、かつそれ以外に使う予定もないので、慌てて購入せずに様子見といった状況です。
NRNDとなったとしても、入手不可になるまで1年以上の余裕はありそうですし。


それより、地味に痛いのが廣杉の値上げ。😿
https://www.hirosugi-net.co.jp/shop/t/t1121/
基板の固定には基板1枚に対して(なべネジ・スプリングワッシャー・平ワッシャー・両メネジスペーサー・皿ネジ)が4セット必要なので、合計すると結構な金額に。🙀
とりあえず、ワッシャーとスペーサーの在庫が各100個になるようには確保しました。
廣杉ではステンレス素材のトルクスねじは扱ってないので、トルクスのなべネジと皿ネジはモノタロウで調達予定。

n'Guinさん

長い間のお勤めお疲れ様でした。 
職場まで車通勤が1時間というと、やはり疲れが出てきますからね。

私か勤めている会社は60歳定年で、65歳までの延長雇用は週に3日という勤務が多いです。給料面と週休4日という事で2年かそこらで離れていく人が多くいます。

一方、自分で会社を起こして外注として70歳を超えて働く人もいて、選択肢は色々あるようです。
老後2000万円問題もありますが、金銭面以外では元気に過ごせるのが1番ですね。

Hifiman Aryaちょっと重たいですが、音いいですよね。

たかじんさん

レスをありがとうございます。

さて、本題ですが、マルツの会員になっていると、最近クーポンが届きます。  今週は、三端子レギュレータなどを含んで、税別3000円以上で、500円の割引なそうです。 この話題はまだ出ていなかったかと思って、書き込む次第です。

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