オペアンプ 実測データから求めるGB積
先日、アナログディスカバリでオペアンプのオープンループゲインを計測してみました。
アナログディスカバリから供給できる電源が±5vなので正確に測れているか気になりますね。各オペアンプのデータシートと一致しているか確認してみましょう。差が分かりやすいのはGB積(利得帯域幅積)で、グラフで言うと周波数が高くなるほどゲインが下がる斜め線の部分になります。
測定結果はこんなでした。
GB積は、ゲインx周波数で求めることができます。 NJRCのデータシートの条件欄には周波数は10kHzと書いてありますので、10kHz時のゲインで計算してみましょう。MUSES01のデータシートはf=10kΩって書いてるけど間違いです。
MUSES 01 実測では、約51.5dBほどですので、 10^(51.5/20 )=375.8倍
GBW=10kHz x 375.8倍 = 3.758 MHz
3.3MHzと3.76MHzなので、わりと近い値です。
MUSES 02 実測では、約60.0dBほどですので、 10^(60/20)=1000倍
GBW=10kHz x 1000倍 = 10.0 MHz
11MHzと10MHz。 まあまあ。
MUSES 02 実測では、約61.5dBほどですので、 10^(61.5/20)=1188.5倍
GBW=10kHz x 1188.5倍 = 11.9 MHz
12MHzと11.9MHzなのでかなり近い。
NJM2114 実測では、約70.5dBほどですので、 10^(70.5/20)=3349.7倍
GBW=10kHz x 3349.7倍 = 33.5 MHz
13MHzと33MHz。 う~ん。 2.5倍ほど離れています。
この値が正しいと読むのかどうか、難しいところではありますね。
というのも能動負荷による増幅率はけっこう大きくバラつくからです。回路でいうと以下のようにNPN/PNPのコレクタ同士をぶつけているような部分。
トランジスタのアーリー電圧が高いと、ここ1段で70dBにも到達する増幅率になります。ですが、トランジスタのアーリー電圧は、hFEほどではないにしろ特性にバラツキが存在します。ざっくり能動負荷のゲインは5~6dBのバラつきがあってもおかしくありません。最悪値としては20dBくらいのズレもありえるらしいです。(昔うけた日立の半導体回路セミナー講師の話。)当然、そのバラツキも考慮して安定動作するよう回路設計されています。あと、温度でもGB積は変化します。
データシートのGB積の数値をみると最小、最大の欄は空欄で標準値しか掲載されていません。
ところが、電圧利得のところでは、最小値と標準値が載っています。 最大値は書かれていませんが標準と最小の間で22dBもの差があることが見てとれますね。増幅率にして12.5倍ものバラツキです。最大値も含めたらどれだけ大きくバラつくんでしょうか。
いかがでしたでしょうか。
測定が正しかったともいえるけど、偽物の判定に使えるような使えないような微妙な結果かもしれませんね。
ただし、2ポール位相補償の有無は回路構成で決まるので、そこも加味しながらの判別は出来なくもないと思われます。
一番上の図でいうとMUSES03はほぼ直線ですから2ポール位相補償はしていません。 NJM2114は明確に2ポール位相補償が入っており、MUSES02は僅かに位相補償が入っているようにも見えます。MUSES01は殆ど直線ですが2ポール目が3~4MHzあたりに存在しているような雰囲気です。
三毛にゃんジェロさんのリクエストにより、正負電源入力端子を増設しました。
こういうのが本当ならば、落札された方がかわいそうです。
毎度おなじみMUSES03の偽物。いつもの9CTですねえ。インクが白すぎます。#oragzi7381 #ヤフオク #新日本無線 #日清紡マイクロデバイス #オペアンプ #fakehttps://t.co/ieoZDu7AVG pic.twitter.com/2OQyFHwyHa
— fakecomponents💉💉💉 (@fakecomponents) June 26, 2022
真贋不明なのに高値で売っているというのがオークションの闇ですね。
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