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2022年6月18日 (土)

アナログディスカバリでインピーダンス測定

アナログディスカバリのオプション基板でインピーダンス計測ができるものを昨年買っていました。

リレーで基準抵抗を切換えられるようになっている優れものです。

Discovery01

 

https://digilent.com/reference/test-and-measurement/guides/waveforms-impedance-analyzer

詳細は上のURLをご覧ください。現在のソフトでは3種類の測定方法を選ぶことができます。

インピーダンス測定基板は1番目の構成で「Adapter」というのを選択します。 そうすると基準抵抗 1M,100k,10,1k,100,10Ωから選択したときにリレーで切り替えてくれます。

Discovery00

DUTという部分に測定するデバイスを入れます。

インピーダンス測定基板を持っていなくても、これらの接続にしてあげれば測定できます。基準抵抗は用意した抵抗値に設定してあげます。

 

 

測定する前にOPENとSHORTで校正をしてあげます。とりあえず使用する10Ωのみ。

Discovery05

ネットワークアナライザではおなじみの測定前校正を実行。ネットアナではOPEN、SHORT、LOAD(50Ω)の3回行いますよね。アナログディスカバリでも同様に周波数範囲など条件を変えたら毎回校正を行います。

 

 

 

まず手始めに、電解コンデンサを見てみましょう。

Discovery02

持っているコンデンサでなるべく大きなものを測定してみます。理由は、アンプが出すDC漏れをカットできればアンプの出力インピーダンスを直に測定可能かもしれないと思ったからです。

 

Discovery04

こちらが測定結果。

上から4700uF、6800uF、15000uF、22000uFの4本。共振点で低く落ち込むものとあまり低くならないコンデンサがあるんですね。音質的に優れているものを調べるのにも参考になりそうです。

さてさて、アナログディスカバリで10mΩ以下まで測れるみたいです。そこは素晴らしいのですが、10Hzから1kHzくらいの領域では最大の22000uFでもインピーダンスが高くてアンプの低周波領域は測れません。

 

どうも電解コンデンサでのDC切りではアンプの出力インピーダンス測定に難ありです。

 

 

仕方ないのでダイレクトに接続してみます。

DCオフセット調整して1mVくらいにしました。(ゆっくり変動するのでこれ以下にできなかった)
オフセットがあると低いインピーダンスの測定値に誤差が出てしまう可能性があります。実際にやってみることにします。

Discovery03

こんな感じ。 どうかな?  接続ケーブルの影響もゼロではないので短くしました。

 

 

Smr_imp1

ばっちり測れたみたいです。 ワニ口をショートさせると3~5mΩくらい(緑色のライン)を示しています。これが測定限界のようです。

 

水色:VFA-01

赤色:SMR-01(今回の新アンプ基板)

50mΩ~30mΩあたりのインピーダンスも測れていますね。想定以上に素晴らしいです。

 

 

 

ダンピングファクタ

出力インピーダンスが判明するとダンピングファクタを計算できます。式は以下の通り。

      8
DF=---------------------
   出力インピーダンス

 

Smr_df1

エクセルで計算させたグラフがこちら。 

ちょっとガタガタしているのは測定限界に近いからです。10mΩ以下の低インピーダンスを測るのはこの方法では厳しいかもしれません。今回の30mΩあたりがギリギリと思われます。(時間をかけて平均化をすればもう少し滑らかにはなるかも。)

 

ダンピングファクタの数値は

 VFA-01:190

 SMR-01:250

どちらも1kHz以上の高域では落ち込んでいます。

 

 

 

ダンピングファクタにまつわるエトセトラ

真空管アンプとソリッドステートアンプ(半導体アンプ)との比較で「ダンピングファクタは100以上あれば十分」と正当な理由を述べずに言われている。

とか、

ダンピングファクタが高いとスピーカーのコーンがダンピングされて低域が引き締まり、低いと低域がゆるくドローンとした音になる。

という話を耳にしたことがある人も多いと思います。

 

一方で、DF=1000とか5000、20000という数値を謳ったアンプも存在していました。

・トリオ(ケンウッド)のシグマドライブ
  L-02AL-03AL-06ML-08MKA-900KA-1000など

・オーレックス(東芝)のクリーンドライブ
  SB-66SB-70SB-Λ77SC-Λ90F

・アキュフェーズのリモートセンシング、バランスドリモートセンシング

他にもあったかもしれません。テクニクスの一部でもリモートセンシング的な配線になっていたと思います。

 

いづれもダンピングファクタを大きくするのが目的の技術。

NFBをスピーカー本体の端子からかけたり、アンプ内部の出力端子からかけたりするという技術で、出力リレーの接点抵抗や配線抵抗をNFBによって低減する手法です。

NFBすべてをスピーカー側のターミナルから戻す方式だと、ケーブルが繋がっていないときにアンプ出力が吹っ飛ぶので、内部でリレーでNFBループを切り替えたり、ほどよくフィードバックするというサジ加減がされています。モデルによってフィードバック量が少なかったり多めにかけたりとで差があるみたいです。あまり詳しくは追っていません。

 

 

VFA-01(DF=190)とSMR-01(DF=250)アンプとを聞き比べると、SMR-01の方が低域がたっぷりしていて落ち着きのある上品な音調と思います。低域が引き締まっていてスピード感があるのはVFA-01。

DFの数値だけで音は決まらないということでしょうね。

 

 

 

※ VFA-01は過去に8Ω負荷ON/OFF法で測って280という数値がでていました。こちらは、MOS-FETリレーが含まれる電源基板の影響を省いて測定したときのものです。

 

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コメント

私も純正のインピーダンスアナライザー基板持ってますが
プッシュロック式のターミナルが曲者で、せっかくの低抵抗まで
測れる性能が台無しで、無駄に遠くなるのでインダクタンス分が増えるわ、接触抵抗が大きくてしかも不安定だったので
2.5mmピッチのネジ式のスクリューターミナルに交換してしまいました。
MLCCの共振点とか測るとその差歴然です

Analog Discoveryは購入したものの、現在は製作するものの部品が揃っていないので、まだ実戦には投入していません。

今回の記事は大いに参考になりました。👍
たかじんさんなりのAnalog Discovery使いこなしノウハウが他にもあると思うので、随時紹介してくださいませ。🙇‍♂️

HILO@町田さん

2.5mmピッチでこんなターミナルがあるのですね。 確かにセラコンなど1MHz以上を測定するなら配線のL分も無視できないと思います。

個人的にはDFを正確に測るため、もっと低インピーダンス領域の誤差を減らしたいなっと思います。 1mΩまで正確に測れるとDF=800のカーブがキレイに描けるはずです。 もうひといきなんですよね。

3つの接続方法のうち、どれがより低インピーダンスに向いているのかな? っと考えていますが、このソフトの校正機能を使おうとすると、どれが有利なのか分かりません。1つ目の接続で信号レベルを大きくするのがもっとも測定誤差が少なくなりそうな気もしますが、基板上の10Ωがあまりに小さい。。。


三毛にゃんジェロさん

アナログディスカバリはsoftwareが進化していて、より高機能になってきました。 単純なUSBオシロとは違うところが良いですね。 アンプの測定項目としては、スルーレートもアナログディスカバリひとつで測定できます。

>3つの接続方法のうち、どれがより低インピーダンスに向いているのかな? 
う〜ん、悩ましいですね。 ADCが14bitなので測定できるDレンジが限られるので、この場合結局はWGの信号をブーストして低い抵抗を使って低い値まで読めるようにすることになると思います。Analog Discovery1は出力電流が多くは取れなかったので手が限られましたがAnalogDiscovery2だとACアダプタを繋ぐと少し電流も流せるのでLT1010とかの電流バッファーを追加した基板を作れば力技で低いインピーダンスまで読めるようになりそうな気がします。 BTLアンプだとどの方式が向いてるのか判らないけど、シングルエンドならW1-C1-R-C2-DUT-GNDが素直に測りやすそうな予感がします。

HILO@町田さん

いまのソフトでは、基準抵抗の最低値が10Ωなのもネックですよね。 Open/Shortの校正がよくできていて使いやすいので測定後にエクセルなどで補正する気になりませんが、うまく換算できるなら、1Ωの基準抵抗で計測できたりすると良いかもしれません。

LT1010はよさそうですね。 何かしらバッファを追加して実験してみたいです。

たしかにBTLは測りにくいかもしれませんね。 基準Rを信号源側に置くか、GND側に置くか悩ましいです。

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