Select Your Language

免責事項

  • 本サイトの情報の利用、内容、サービスによって、利用者にいかなる損害、被害が生じても、著者は一切の責任を負いません。ユーザーご自身の責任においてご利用いただきますようお願いいたします。

    本サイトで頒布している基板およびキットは、技術者、またはそれに準ずる電気的知識をお持ちの電子工作ファンの方のためのものです。一般のオーディオファンの方のためのものではありません。
    また、頒布基板およびキットは、いかなる条件でも動作を保証するものではございませんので、あらかじめご了承ください。

    電子工作では、火傷、感電、火災などの可能性があります。十分に注意をして作業して下さい。

    営利目的のご使用は認めておりません。 記事の転載や、基板・キットの商用利用の方は、ご連絡ください。学生やサークルの学習目的でまとめてご購入する場合は特別価格でご提供させていただきます。
無料ブログはココログ

スポンサー

« アナログディスカバリでインピーダンス測定 | トップページ | 音が良いと噂のポータブルVideo-CDプレーヤー SL-VP50入手 »

2022年6月23日 (木)

Panasonic SL-S390 ポータブルCDプレーヤ 逝く。修理復活

昔、ついつい買ってしまったSL-S390 というパナソニックのポータブルCDプレーヤが壊れてしまいました。

1995年のモデルです。買ったのは97年か98年あたり、型落ち品で投げ売りされていました。

さほど使用していたわけではありませんが、ちょっと改造していて音はそこそこ良くなっていたと思います。ピックアップをスライドする機構のギヤが欠けてしまい、選曲するとガリガリと異音がでて、再生中にも時々音飛びする不具合が出ています。

S370_00

 < 部品取りのSL-S170(左) 治したい SL-S390(右) >

ということで、ヤフオクで同じピックアップメカを使用しているモデル(電池フタなしジャンク品)を500円ちょい(送料込み1100円)で購入し、復旧させてみました。

 

 

2機種ともフタをあけるとこんな感じです。

S370_01

    < SL-S170(左)  SL-S390(右) >

同じCDメカが入っています。SL-S170は94年、SL-S390は95年モデルらしいです。 S390の方だけショックプルーフ機能が搭載された上位機種になります。

S370_04

S170の基板は、カーボン印刷抵抗が使われています。初めて見ました。カーボン部分を細くしたり長くしたりで抵抗値を変えているように見えます。パターンの方も印刷っぽい。銀ペーストか何かでしょうか。銅箔のパターンとは明らかに違います。お詳しい方がいらっしゃったらコメントください。

一方、S390はこのクラスとしては豪華な両面実装の銀スルー基板です。また、要所要所に三洋のOSコンが使われているのは当時のPanasonicの意地ですかね。コストを掛けても音を良くしたいというのが見てとれます。

 

S370_02

さて、問題のCDメカ。赤い矢印の部分のギヤが欠けていました。

おそらくスライダーのボールねじのグリスが固まってきて負担が掛かっていたのだと思います。古い機器を使っている方は、壊れる前に定期的にメンテナンスした方が良いですね。

 

S170に入っていた方がボールねじが汚れていて状態がよくありませんでした。まだギヤが欠けてないのが救いです。このまま使ったら同じことが起きそうなので、硬くなったグリスをきれいに拭き取って新しいグリスを塗ってS390へ搭載しました。グリスはプラスチックを侵さないシリコングリスを使用しました。

 

 

ちなみに、S390の改造箇所として最も音に効いたのは、コレ。

S370_03

純正では、33.8688MHzのセラミック発振子が付いているのですが、それを水晶発振子へと入れ替えています。水晶の両端に数pFのセラコンも付けています。(写真の反対の面に実装)

それとカップリングコンデンサへPMLCAP 1uFも並列に付けています。電解コンは交換していませんが、交換するともっと良くなくという噂もあります。

 

上の写真のNPCのIC(SM5856A1)はデジタルフィルタではなく、ショックプルーフICです。ショックプルーフをONにするとディスクが2倍速で回転し、バッテリーを喰うので殆ど使ったことありません(笑)

メモリ時間が3秒とのことで、おそらくデーター非圧縮のタイプです。20秒とか30秒などの長時間ショックプルーフは、ほぼ確実に圧縮モード(当時はADPCM)なので音質劣化は避けられません。

 

 

という訳で、ばっちり修理できました。ピックアップのスライダーも快調です。CD-RのTOC読み込みも早くなったので、レーザーもまだまだ元気なようで良かったです。

蛇足ですが、このようにピックアップ(CDメカ)を交換しても一切調整することなく動作するのは、デジタルサーボの最大の利点です。内部DSP処理によりフォーカスゲイン、フォーカスオフセット、トラッキングゲイン、トラッキングオフセットを起動時に自動で調整するようプログラムしています。スレッドゲインは固定でOK。スピンドルは8cmと12cmディスクとで2段階切換えが一般的。CD-RW対応にはRFゲインも可変します。

 

 

 

搭載されているDACは?

SL-S390に搭載されているDACは、MN662740REというサーボプロセッサに内蔵している1bit DAC(MASH)です。専用のDAC-ICと比べるとサーボプロセッサ内蔵DACの性能は期待できません。ただ、第1世代MASHが登場した1988年から7年も経っていて、世代が進んで悪くない印象を受けます。8倍オーバーサンプリングデジタルフィルタも内蔵されています。SPDIF出力もあるので、改造してSPDIFを出すのも面白そうです。

S370_05

1bit DACのMASHはNTTと共同開発されたものです。当時の他社の1bit DACよりも透明感の高い音が出ていたと思います。

MASHは高級機に殆ど採用されなかったので最上級のDACとしては厳しかった可能性もあります。でも低価格帯、普及価格帯のDACの品質の底上げをしたのは確かだと思います。約8千円で売っていたポータブル機ですらこの音ですから。

ぶっちゃけSONYのパルスDACよりMASHの方が個人的に好みです。

 

S370_06

SL-S390の上位モデルであるSL-S490には光デジタル出力が搭載されているので、基板には空きパターンが存在します。

 

 

 

音質対決

せっかくなので、ギヤが欠けたCDメカをSL-S170へと入れて音質を比較してみました。

 

SL-S170

第一印象は低域の量感があって分厚い印象をうけます。そして耳に付く粗を出さない優しさもあり上手くまとめています。ただ、S390(改)と比べると薄いベールを被った感じで奥行きや定位感もなく、なんか惜しい。全体的には悪くないのですが聴き比べると物足りなさをはっきり感じてしまいます。電解コンデンサの劣化の影響などがあるのかもしれませんね。

S170_01

DCアダプタから電源を供給するとバックライトが光るSL-S170。電池フタ欠損のジャンク品でした。

 

SL-S390改

くっきりスッキリした印象、かつ透明感があって見通しが良いです。繊細でやわらかな表現も得意でMASHの良さが出ていると思います。女性ボーカル物は特に艶とリアルさがあります。高域のヌケもよく爽やかで清々しいです。セラミック発振子だった時はもっとぶっとい音だったハズなので低域の量感がもう少しだけ増すと完成度が高まると思う。

 

SB32+Pro DoPと比べると、ホールトーンがすっと切れてしまい音場が狭く感じますが、1bit系DACに通ずるキレイさがあると思います。静けさ的な表現、音が消えていく緊迫感はESSはうまいですね。ただ、20年以上も時代が違うことを考えると、MASHも健闘していると思いました。

 

 

 

 

安価に購入したSL-S390ではありますが、長年連れ添った(?)プレーヤーですので壊れてしまうと寂しくなってしまいます。

今回は1000円ちょっとの出費で治すことができたので良かったです。

 

 

 

参考にさせて頂いたwebサイト様

パナソニックのポータブルCDプレーヤー wiki

スタフ屋 Panasonic SL-S170

スタフ屋 Panasonic SL-S390

内部写真が掲載されていたので同じCDメカを搭載しているモデルが分かりました。 96年以降の新しいモデルに搭載されているCDメカは、それ以前のCDメカと互換性はないようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

以下、追記========================

 

 

やっぱり付けちゃおう TOSLINK

色々調べていたところ、パナソニックSL-S480とテクニクスSL-XP490のサービスマニュアルを見つけました。サポートが切られた製品の修理に役立ちます。それらを見て、こうじゃないかと推測して部品を付け足します。

S370_09

PNPデジトラ1個、0.1uF x2個、1k抵抗1個を基板裏に追加。TOSLINKは秋月のPLT133/T10W

S370_spdif

S370_07

足を加工してツラを合わせています。固定ピンは位置が合わないのでカット。

S370_08

光デジタル出力を追加できました。プラスチックの加工が微妙な部分は気にしてはいけません。

SL-S490相当になったと思います。

ちなみに、DCアダプタから電源を供給して、ショックプルーフをOFFにした時のみTOSLINK出力されます。TOSLINKの電源をコントロールしているので光っているかどうかで簡単に判別できます。

SL-S390、SL-S290を持っていて興味がある人は改造してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

« アナログディスカバリでインピーダンス測定 | トップページ | 音が良いと噂のポータブルVideo-CDプレーヤー SL-VP50入手 »

オーディオ機器メンテナンス」カテゴリの記事

コメント

ポータブルCDプレーヤーの修理記事、楽しく拝読しました。
私はCD自体を既に処分して一枚も保有していないのですが、やはり音楽好きな人はCDの音も嗜まれるのでしょうね。

ポータブルCDプレーヤーで思い出すのは、それが世に出始めた頃、塾の先生の車に乗せてもらった時に、車内でCDプレーヤーとカセットテープの形のアダプターを使って音楽を聞きました。
イケイケの先生が、ユーロビート(笑)を音飛びしないように超安全運転をしていたのがとても滑稽でした。

ウチにも、PanasonicのSL-SW870があります。
赤/黒は新品で購入、青/シルバーはオークションで入手しました。
青/シルバーの方は、禁断零号機完成の暁には共に知人に贈呈予定。でも、いつになるんだか。😰

SL-SW870にLINE OUTは装備しているものの、OPT OUTがないのが残念です。
VMSSはLINE OUTには効かないとずっと思ってたんですが、つい昨日ふと確認してみたらLINE OUTにもVMSSが効いていることが判明しました。これには本当にビックリ。😱
ANTISHOCKをオンにすると音が悪くなるのは経験上知ってましたが、圧縮してたんですね。なるほど。

CDは全てApple Losslessでリッピングして2台のハードディスクに保管してありますが、ハードディスクの故障や事故・災害などで失われるのが怖いので、CDは手元に残してあります。
レコードプレイヤーでアームを降ろすような操作の楽しみはありませんが、たまにCDを聴くのも楽しみです。

色々と興味深かったです。
ポータブルCDPではピックアップの移動がボールネジなんですね。まあ当然でしょうけど。かなり前SONYの高級機試聴会で初期のプレイヤーでの音飛トラブルにはCDピックアップのレールのオイル切れがあり、清掃後専用のオイルで薄くワイプして対処する方法をメーカー講師から教わりました。

>要所要所にOSコンが使われている
最初に購入したYAMAHAのCDX-900はトレー駆動ベルト交換時に覘いたら、ブラックゲートや神栄のオーディオ向けPPコンデンサなどが使われていてチョット感心しました。

次に購入したCDPはなんとKENWOOD DCP-R7で、金属筐体の凝ったヤツです。場所をとらない卓上用途としてでした。二次電池駆動のポータブルに向かない重さです。現状動作不明

あみのんさん

ありがとうございます。 昔のCDPは音飛びしやすかったですね。
でも車載用のCDチェンジャーなどは、メモリ式のショックプルーフなどが無かったころでもメカニカル的な振動対策がされて、殆ど音が飛ばなくなっていました。このポータブルCDは、ショックプルーフOFFでも割と頑張っています。

むかしリッピングしてMP3にしてブックオフに売り飛ばしていた事もあったのですが、後からFLACやALACなどの可逆圧縮フォーマットが出てきて、失敗したな。って思ったのです。


三毛にゃんジェロさん

SL-SW870ですか。 あの奇抜さはすごいですよね。40秒メモリなので圧縮でしょうね。圧縮機能があるショックプルーフICでも、大抵は非圧縮モードもあるはずなので、切り替えできるようにソフトを作ってほしいです。 アンチショックON/OFFを聞き比べると全然違いますからね。


onajinn さん

そうそう。薄型のピックアップの場合は、ほとんどボールねじですね。ノートPC用のCD/DVD-ROMドライブなんかも含めて。 厚みがあってよいものはラック&ピニオンギアが多いです。リニアモーターを採用していたのは初期のCDPだけですね。見た目は圧倒的にリニアモーターがかっこいいですけども。

Philipsのスイングアーム式を除いて、対物レンズはフォーカス方向とトラッキング方向に動けるように作られているので、スライダー(スレッド)は0.5mmくらいの誤差があっても読み取れます。 なので、動きをじっくり見ていると30秒に一度とかそのくらいの頻度でしかスライダーは動いていません。

CDX-900ですか。 私もCDX-2200を中古で購入して持っていた時期がありました。内部はとてもお金がかかっていたと思います。

KENWOOD DCP-R7は知りませんでした。 かっこいいプレーヤーですね。当時、SONYにも薄型で金属筐体のポータブルCDPがあって憧れていました。D-150など。 やっぱりデザインって重要ですよね。

ご無沙汰しています。

この基板は、印刷抵抗回路基板(PRC)です。
北陸電気工業が有名でした。
https://www.hdk.co.jp/japanese/prfile_j/prf003_j.htm

確か、パナソニック(松下)でもPRCを作っていたと思います。
基板を見て頂いて、「M」か「△」??のマークが有れば、パナ製です。
何となく思い出しました、シルク印刷の色が、黄色が北陸で、黒色がパナだったような?

印刷抵抗回路基板(PRC)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jiep1986/2/4/2_4_232/_pdf/-char/ja

当時、両面基板のガラエポ基板やコンポジット基板はコストが高かったので、紙エポキシ基板で両面基板をやる場合、このPRCが一番コストが安く出来ました。

この印刷抵抗回路基板は、図面発注から基板の量産まで時間が掛かりましたので、基板の修正変更などあるとヒヤヒヤでしたね。w

たかじんさん

Technics SL-XP7(Blk)も使ってたとですよ。初めて購入したCDプレーヤーでした。
家ではTechnics SA-C02に接続し、車でもTechnicsのカセットレシーバーに接続してました。ところが、カーオーディオへの接続アダプターが曲者でアクセサリーソケットから電源を供給し、LINE接続するとノイズの嵐。購入店に症状を説明して保証による交換または修理を依頼したら、実はGNDループができるという回路上の欠陥が発覚。結局、そのLINE接続アダプターはカセットアダプターに姿を変えましたとさ。
全ての車で同じ現象が発生するのか、自分の車種だけでの現象なのかは不明です。

X_Underbar さん

お久しぶりです。 基板の情報ありがとうございます。 PRCと言うのですね。初耳です。やはり銀ペーストによるパターンと印刷抵抗なんですね。銀スルーで両面銅箔プリント+片面実装というのは使っていたのですけども。

20年以上昔、片面紙フェノール基板も量産では金型を起こしていました。基板改版がどのくらいかかっていたのか把握しておりませんでしたが、マイコンのマスクROMは200~250万円と言われてビビッていました。


三毛にゃんジェロさん

SL-XP7ですか!?  もやは伝説の名機ですね。 見た目もかっこいいけど、音も素晴らしかったと。 でも聴いたことがないんですよ。

カーステのLINE入力は、シガーソケットからの電源供給でノイズがでるのはよくある現象だと思います。そもそもLINE入力があるカーステレオが少ないですけども。
今はAmazonなどで、絶縁信号トランスが売っていて簡単に対策できますよね。グランドループアイソレーターという名称でヒットします。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« アナログディスカバリでインピーダンス測定 | トップページ | 音が良いと噂のポータブルVideo-CDプレーヤー SL-VP50入手 »

サイト内検索(new)

2023年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30