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2022年5月26日 (木)

無誘導抵抗とは

無誘導抵抗という部品を知っている方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。

誘導性(インダクタンス成分)がない抵抗のことを言うのですが、厳密には完全なゼロではありません。というのも、リード線を引き出すだけでインダクタンスがあるからです。

目くじらを立てずに、通常の抵抗より「誘導性分が少ない構造」の物と考えると良いでしょう。

Muyudo01

無誘導抵抗として有名なのはデールのNS-2Bですね。オーディオマニアの中では不動の地位を築いているといっても過言ではないと思います。

ところが、

この抵抗はリード線が磁性体です・・・

 

それはさておき、無誘導性抵抗ってどんな構造をしているのでしょうか?

上の抵抗のような巻線型アキシャルタイプのものは、抵抗線を2重に巻き付けています。

 

通常の巻線抵抗の場合は下のような巻き方です。

Muyudo02

 

無誘導抵抗の巻き方は、以下のように逆巻きを追加した2重巻きです。

Muyudo03

これでコイル状の巻いたインダクタンス成分をキャンセルしています。

 

デールの抵抗ではありませんが、少し大型の無誘導抵抗を分解して中身を見たことがありました。

Muyudo04

よく見ると反転2重きなのが判ります。

 

それ以外にもバイファラ巻きで折り返して戻ってくるような巻き方の無誘導性抵抗もあるようです。

 

 

 

オーディオアンプ用の抵抗として無誘導型が良く使われる部分があります。

それはエミッタ抵抗です。

金属板抵抗とかプレート抵抗と呼んでいる白い薄っぺらい抵抗です。 セメント抵抗と同じように白いセラミックのケースに入っていますが、中身は巻線ではなく「金属板」をジグザグつづら折りにして誘導性をキャンセルした低抗体が入っています。

Muyudo05

アンプの中ではよく見かける金属板抵抗。

 

Muyudo06

分解中。 外皮のセラミックが固い。

 

Muyudo07

中身が完全にでました。見事に金属板ですね。

つづら折りにするとインダクタンス成分がキャンセルされるのは、高校物理あたりで習うでしょうか。秋月電子でも売っている福島双羽電機のMPC74シリーズは非磁性体のリードを使用して低ひずみを実現しています。

 

実際にネオジム磁石を付けてみたところ、全く付きませんでした。デールのNS-2Bは本体は引き付けないけどリード線は強く付きました。鉄リードっぽい感じですね。

音質的な観点では、適度な磁性体のひずみが加わり鮮度が高く感じるという効果があるのかもしれません。好みで使い分けるのが良いと思います。

 

Muyudo08

まさにスケルトン抵抗。。。なんちゃって

 

Vishay

こちらはVishayのホイル抵抗のデータシートからの抜粋です。抵抗体はつづら折りになっていて誘導性をキャンセルしています。ついでにトリミング機構を持っていて、誤差を減らす仕組みを作っています。

 

 

 

 

追記 ==============================

せっかくですのでLCRメーターでインダクタンス成分を測ってみました。インダクタンス成分の違いが出やすい100kHz交流測定です。

Muyudo10

左から無誘導構造のプレート抵抗MPC74、無誘導巻きの巻線抵抗NS-2B、KOA金属皮膜 2.2Ω、同1.0Ωです。

金属皮膜抵抗の1.0Ωだけ少し異なりますが、その他は0.066~0.072uHと誤差のような数値です。金属皮膜抵抗の1.0Ω以外はつまりどれも無誘導と言えます。

 

通常の金属皮膜抵抗などは、抵抗体の厚さ、抵抗材料の種類、スパイラルカットの刻み具合で数値を出しているのですが、そのスパイラルをどのくらい刻んでいるかでインダクタンス成分が決定されるのだと思われます。

Muyudo10

KOAのwebサイトより。

 

以下は推測ですが、一桁くらい抵抗値が違うと、抵抗体の厚さや材料を変えて、スパイラル状カットの少ないものから徐々にスパイラルを増やして抵抗値を高くしていくんじゃないかと思います。つまり同じシリーズでも抵抗値によってインダクタンスが低いものと高いものが存在する。

無誘導抵抗はどの抵抗値でもインダクタンスが低いことが約束されている。んじゃないかと思います。

 

 

 

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電子回路」カテゴリの記事

コメント

たかじんさん

以前、あるアンプのACラインのラッシュカレント防止用の抵抗としての
福島双羽のMPC 1Ωを、電源基板の制御FETが飛んでいるのに気付かず、
セラミック部半分破壊1回、内部焼損(オレンジ色に光りました)1回とおバカを
やってしまいました(^^;

セラミック破壊の際は、なるほど本当に金属板抵抗というのがよく分かりましたが、
こんなに綺麗に全体を見たのは初めてです(笑)

えふさん

そういえば書きませんでしたが、無誘導抵抗はインラッシュ電流防止には向きません。

インダクタンス成分が少ないためインラッシュ電流をガンガン流します。 大雑把にいうとチョークインプットのような効果がないんです。

また巻線型の場合ですと、巻線が2重になっているため、同じ抵抗値の1重巻よりも抵抗線が細く切れやすいのです。

それにしてもオレンジ色に光った所を見れたのは、面白い経験でしたね。 円筒形の金属皮膜抵抗が真っ赤になるのは見たことあるけど、金属板抵抗はそういう壊れ方をするとは知りませんでした。

>まさにスケルトン抵抗。。。なんちゃって

「SOULNOTE」の技術者加藤さんのお話を思い出しました。解放的な音になるかも?アブナイのでお勧めできないにしてもどんなか実験してみてほしいな。TO-220タイプの高価格品を使って好結果を報告されていた方もいましたね。


私も福島双葉MCP74を使っていました。たしか金田さんが40年以上前に言い出した記憶があります。その後メーカーのアンプもMCP74になったと思います。

たかじんさんのALX-03の抵抗を秋月の金属皮膜抵抗からアルファ抵抗(青いやつ)に替えて変えてみましたが、あまり音質が変わらずしばらく落ち込んでいました(笑
よくよく観察するとエミッタ抵抗だけが替えていなかったのでデールNS-2Bに替えたら、、、音が変わりました。印象は鮮度が上がった(鮮度という表現は適切でないかも)
気をよくしてOHMITEの厚膜抵抗器(TO220型)も使ってみましたがデールNS-2Bとほぼ同じ印象でした。
NS-2Bは無誘導型だから音がよいという印象ですが、それだけの理由ではないでしょうね。
スケルトンは塗装に含まれている鉄分が音を悪くしているという話がありますがどうなんでしょうか。ならば全部スケルトンにしてほしいです(笑

トライアンドエラーでよい部品を見つけることと理屈やデータでの裏付けの両方からよい部品を見つけていくしか方法はないのでしょうか。最近、全部チップ抵抗にしたらと考えましたがお気楽さんがチップ抵抗が使える電流帰還型アンプ基板をリリースしていますが評判は今一つのようです。

反転増幅アンプを開発されていますが、抵抗やコンデンサーなどのパーツの話題も自作派としては楽しみです。

そういえば、チップ抵抗はリード線の抵抗よりもインダクタンス成分が小さいため音が良いという情報をどこかで読んだ記憶があります。
最近は薄膜抵抗など、通常の厚膜タイプの金属皮膜と比べて性能が良いものも多いので、耐圧が許す箇所はそういうので置き換えるのもいいのかもしれませんね。

NS-2B高いですねー、アルファよりはずっと安いですが。
RN55は買ったことがあります。

onajinn さん

ここ数年はソウルノートではネイキッド抵抗という名称の物を使っていますね。
あのスケルトン抵抗というより、向こう側が透けて見えるのでスケルトンと書いてみただけです(笑)

振動を抑えるものが一切ないので、プレート抵抗を裸にするとあまり良くなさそうな気もしますが、せっかくなので試してみようかと思います。


マイペースさん

なるほど、色々と試されていらっしゃるのですね。NS-2Bもプレート抵抗もどちらも無誘導抵抗ですので、音の違いは材料によるところが大きいのかもしれません。

抵抗にかぎらず、電子部品の絶縁塗装が音へ影響があるというのは一部で言われていて、海外のメーカーのアンプの基板はレジスト(緑などの絶縁塗装)がないものを使っていたりもします。 さすがに危険なので最近では殆ど見なくなりました。

高周波的にはチップ抵抗が優れているのは事実です。しかも小さければ小さいほど高周波を減衰なく通します。 ただ、オーディオでは熱歪の観点も重要なので、小さくて熱容量が少ないと不利になる面も出てきます。 そもそも数100MHzなんて周波数はオーディオに必要ないですしね。


ごまさん

確かに、チップ抵抗とひとくちに言っても材料が違ったり構造が違ったりしますので、どの抵抗が良いのか見極めが肝心ですね。 オーディオ用と明確に謳った抵抗は、やはりリードタイプが主流ですので、チップ版が出てくると面白くなると思います。


天 婦羅夫さん

NS-2Bなど価格が高いと音が良いと信じたくなりますが、数年寝かせて購入時の興奮が冷めてきた頃に使うと冷静な判断ができるかもしれませんね(笑)
RN55も良いですよね。一度使ったことがありました。

この話題は、実は刺さります。

以前から漠然と感じている音響オカルト説。
「音が良い」受動素子部品のもつ物理的・構造的な特徴は何か?です。
磁性・非磁性もその一つ。
強力な磁界が存在していた時代なら誘導電流による回路動作の不安定性を想像できるのですが、強烈な磁界が存在しない場での不安定性の理屈って、何????
って感じです。
ちゃんと電気回路理論を勉強すれば自明なのか、と思いきや、そんな検証言及は不幸にして探し当てておりません。

往々にして、
機械振動と電気振動、RFとAFを混同した物言いが蔓延って
「計測器には表れない特性があるんだよ」
と煙に巻かれるのがとても気持ちが悪いです。

人間の感知が機械の測定限界を超えるのは当たり前なのですが、
物理現象として定性的であっても説明できないか?
せめて物理的な仮説があって一部が検証されているのでは?
ともやもやが続いています。

「音響機器用抵抗器」の内部構造は
どんな設計理論がべーすにあるのか、
検証データの一端でもいいから
まずは知りたいなぁ、と思っております。
(以上、ただの感想文でした)

sawanoriichiさん

なんだかんだ、オーディオとオカルトは親和性が高いですね。そして電磁気学や科学とも。

フレミングの法則で、電流と磁界、そして動き(振動)があるとお互いに影響し合うとろまでは電磁気学と思います。アンプ回路の近くには大抵の場合トランスからの磁界漏れがありますからね。
強磁性体はヒステリシス効果があり、交流の微小信号を流すと歪みを生み出す要因になると思います。もちろん磁界の影響も受けやすくなるかと思われます。そこまでは頑張れば測定上で検出・判別することが可能かもしれません。

音響用抵抗は非磁性体で構成されてる所までは理解しやすいと思うのですが、それ以外の部分が今ひとつですよね。表面の絶縁塗料などが特に。

インダクタンス成分は少ない方が多量のNFBを掛けたときに動作を安定させやすいという面があります。RCのカットオフ1段で位相は90度遅れます。ここまでは負帰還で発振しません。LCのカットオフだと180度まで位相遅れが発生し、負帰還は安定性を失いやすくなります。
という訳でフィードバックループ内のLが嫌われるのです。

ここまではオカルトではないと思います。問題はその先です。実際に抵抗やコンデンサの種類によって音が変わるのが厄介。
YouTubeではアンプの音の違いはダンピングファクターによるものだ!と断言している方もいますが。。。

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