MN型ボリュームとは
殆どのステレオコンポ、ミニコンポ、ステレオラジカセ、プリメインアンプ、プリアンプに搭載されているバランスボリュームは以下のような抵抗カーブをしています。これをMN型カーブと呼んでいます。
外見は普通の2連ボリュームで、センターにクリックが付いていることが多いのも特徴です。センターでは左右どちらも減衰することなくボリュームを通過できます。(縦軸の100%は信号が減衰していないことを示しています。)
< MN型ボリュームの構造(こちらから拝借)>
回路記号で書くと以下のようになります。
「白抜き部分」が抵抗ゼロの領域で「ギザギザ部分」が抵抗体です。イメージしやすい回路記号になっています。
ところが・・・
新JISの回路記号では、低抗体を白抜きの四角にしてしまったためNM型ボリュームを表すことができません。新JIS記号は10年経っても色々な方面で物議を醸していますね。
JIS記号を考えた人が悪いのではなく、その元になっている国際標準化委員会IECには、電子回路に詳しい人がいなかった(NM型ボリュームをメンバーが知らなかった)のではないかと思われます。
私の推測では、電子機器などを開発する弱電系の人ではなく産業機器などの強電系の人たちが集まって回路記号の刷新をはかったのだと思います。その証拠にブレーカーやらマグネットコンタクタ、リレー、ランプ、操作ボタンスイッチ、ヒューズなどがシンプルで描きやすく(ワープロの図などでも)なっています。
産業機器を設計・製造する会社さんは、いまだに機械系CADで直線や四角を使って電気回路図をかいていて驚きますが、もしかしたら日本だけじゃないのかもしれませんね。
派手に脱線してしまいました。
話を戻して、
以前はアルプス電気のボリュームにもMNカーブが載っていたと思うのですが、今、見てみたら載っていません。さすがにMN型を製造中止にしたという訳ではないと思います。売っているところもありますし。
https://www.ttelectronics.com/TTElectronics/media/ProductFiles/Datasheets/P165.pdf
上のデータはこちらのデータシートからの抜粋です。
現在進めている4連ボリューム基板は、MN型ではなくB型カーブ(直線)を使ってマイコンが可変抵抗の位置を読み取ってボリュームICへ指示を送っています。
動作はMN型と同じように、センターでは減衰なし。左右に回していくと片方のみ減衰していくので違和感はありません。
マスターボリュームを操作すると左右の減衰差を保ったまま音量を操作できます。とりあえず基板は問題なく動作しているので、デバッグを進めつつ、基板量産の準備(シルク修正など)と、Balanceを含めた”表示”をどうするかを考えようかと思います。
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