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2022年5月21日 (土)

新パワーアンプ 設計中です

久しぶりにパワーアンプを設計しています。

今回は、以前からやってみたいと思っていた構成を実験しています。

それは「反転増幅アンプ」です。

近代のオーディオアンプでは殆ど例をみなくなった反転増幅は、実は動作原理的な利点を持っています。

Smr_01

今回は上下対称差動にしています。 2段目への信号伝達がラクチンだからという部分もありますが、回路構成をシンプルにしたかったというのが最大の理由です。

Smr_00

上下対称差動回路のほか、ダイヤモンドバッファを使ったカレントフィードバック回路など上下対称な回路は基板上でキレイに配置できるという隠れたメリットもありますが、電源リップルの影響を上下で打ち消しあうためトランス電源での実質的なPSRRが確保しやすいってところも大きい。

 

Smr_02

    < シャシーへ組み込んだところ >

 

事前にシミュレーションしてあったので発振はしていません。DCオフセット調整もうまく機能してドリフトも20mV程度とパワーアンプとして十分な安定度と思います。

 

Smr_03

   < 実験を開始したアンプの回路図 >

定数はこれから検討して変更になる部分があると思います。回路構成のみご覧ください。

初段差動回路の定電流回路が抵抗1本のみという部分もミソになります。(上側は半固定抵抗で抵抗値を微調整できるようにしてあります)

 

Smr_04

  < 8Ω負荷 1Vpp出力時のFFT シミュレーション >

シミュレーション上では初段に定電流回路をくまなくても、反転増幅ならこのくらいのひずみ率が実現できるみたいです。まあ、半信半疑ではあります。

 

 

 

そもそも反転アンプと非反転アンプの違いって

ずいぶん前に非反転増幅と反転増幅の違いを説明していました。

音質的な部分ではなく動作的な説明です。

 

実際に反転で組んでみたのはSoundRABBITです。この音の雰囲気がやっぱり良い、というか個人的に気に入ったのでパワーアンプとして作ってみたいという動機になりました。

ちなみにSoundRABBITは、表向きトランスリニアバイアスを前面に紹介していますが根底部分に「反転増幅アンプ」というのがあります。あまりにニッチな基板でしたので再販の予定はありません。悪しからず。

 

差動アンプの動作として反転増幅が音質的にも効いているんじゃないかと思います。そこを技術的に説明するのは意外と難しくて、色々と考えてみたのですが単に理屈っぽいオヤジの話になるので自重しておきます。

 

 

有名なオーディオアンプとして反転増幅回路を採用しているのはJBLのSA600が挙げられます。

回路図はweb検索すると沢山出てきます。興味のある方はこちらあたりを見てみてください。

一見すると単なる差動2段アンプなのですが反転増幅になっています。

 

 

 

一応、ここで反転アンプの欠点も上げておきます。

・信号の位相が反転してしまう。(スピーカーケーブルの+と-を入れ替えれば、まあOK)

・入力インピーダンスを高くしにくい。(高くするとS/Nが悪化してしまう)

 

反転アンプの利点は、

・差動回路の共通エミッタ電圧が入力信号によらず一定で動作点が安定している。

・・・それだけかも。

 

どんな回路にもメリットとデメリットがあり、完全に理想回路いうのは存在しないのかもしれませんね。

 

 

実験を開始したアンプの音は・・・ また後日ということで、あまり期待しないでお待ちください。 ALX-03 MOS-FET版の検討開始初期よりもずっとマシな音で、少しだけ安心しています。

 

 

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パワーアンプ」カテゴリの記事

コメント

たかじんさん

ぺるけさんのOPアンプ式平衡型ヘッドホンアンプ(URLから飛べます)が、反転増幅器のみでの構成になっています。

「単に理屈っぽいオヤジの話になるので自重しておきます。」とのことですが、ぜひ説明をお願いします。

追伸: 「ずいぶん前に反転アンプと非反転アンプの違いを説明」のリンクが切れています。  ソースを見ると末尾に「ず」がはいっています。
https://nw-electric.way-nifty.com/blog/2013/03/post-40f1.html
読ませていただきました。

n'Guinさん

リンクミスのご指摘ありがとうございます。訂正しました。

そうそう、バランス入力-バランス出力のアンプは動作として反転アンプと同様です。さすがよくご存知で。 そういう意味ではぺるけさんの平衡アンプも、サンスイのXバランスアンプも有名ですね。

理屈は、また後日ということで・・・

反転増幅のパワーアンプですか。
違いを意識たことが無いので、どういう音になるのか想像が出来ないです。

SoundRABBITが反転増幅アンプであるとの記述を拝見し、改めて回路図を見て見ますと、あら、確かに反転アンプだ。でも、反転アンプだから音がどうの、と言うのは全く分からないのが駄耳たる私の現状ですねぇ。
ただSoundRABBITの出してくる音はストレスが感じなくて好きです。(最近はお手軽なながら聞きが多いので禁断ばかりですが)

かなりお久なディスクリートのパワーアンプですね。
VFA-01やALX-03と比較試聴すると面白い経験が着るのかなぁ?と夢想して楽しみに待つことといたします。
また、開発の進捗記事も楽しみにしております。


sawanoriichi さん

SoundRABBITは、PCによるストリーミング再生をヘッドホンで聴くというターゲットが決まっていて「やわらかで耳障りの良い音」を目指していました。

理由を見つけ出すのは難しいのですが、非反転アンプと比べると明瞭なアタック音が「優しくなる」傾向があると感じています。

ただ、耳に近いヘッドホンと、距離が離れるスピーカーとでアンプに求める音の傾向が違うという部分もあるかもしれませんので、実際に試してみないと何とも言えません。

今も音を聴きながら書いていますが、ゆったりしたい気分になれます。

そういえば、パワーアンプでディスクリートはVFA-01以来になりますね。
HPA-1000でディスクリートアンプは作っていたので、久しぶりな気はしていませんでした。

こんにちは。
反転増幅回路のアンプ開発期待しています。
以前、窪田先生のアンプを作りましたが反転増幅回路でした。上下対称形で3段増幅でした。初段はデュアルFETを使っていてドリフトの少ない安定したアンプでした。
このアンプよりもたかじんさんのALX-03の方がよい音でしたので解体してしまいました。同じような回路でも動作電流、ちょっとした工夫などで音が変わることがあるので回路だけでない何かも音に表れるのではないかと感じています。
でも新しい回路はいつも大きな期待をしています。
今後が楽しみです。

マイペースさん

ありがとうございます。
窪田氏は、昔から上下対称差動回路とFETをご使用されていましたね。3段増幅にしているのは見たことありません。

オーディオメーカーでも3段増幅にしていたのはDENONやサンスイなどのごく一部のアンプにとどまっていたと思います。3段増幅はゲインが過度に高く、安定させるのが非常に難しいからです。
その代わり、多量のNFBが掛かりDCオフセットが小さくできるというメリットはありますね。

今回のアンプは、オープンループゲインが100dBくらいですので、約70dBの帰還がかかる計算です。

おっしゃる通りトランジスタの動作電流を1~2割増やす、減らすくらいでがらっと音の傾向は変わりますね。 当然ながらトランジスタの種類を変えても変化ありますし、そのトランジスタのベストな動作電流というのが存在すると思われます。

ALX-03の音を超えられるかどうかよりも、聴き心地の良さを前面に出していこうかと思っています。

たかじん さん

反転増幅回路であることのみならず、東芝のリニューアルした出力素子も気になりますね。
同じ規格でありながら改良?された特性の違いからどんな音が醸し出されるんでしょうか?以前のものは使ったことも使用機器も聴いた覚えもありませんが。できればBTLで組んでみたいなどと思いつつ、ブラッシュアップでの吉報を楽しみにお待ちします。

確かにおっしゃる通りで反転アンプは非反転アンプと違う音がしますね。
私が思うに初段のベースが仮想接地点になるので、VBEが動かず電流でNFBされた信号が加算されて伝わるのでベース電位が動く非反転アンプと音が違ってくるのは当然なのかも? NFBも電流で戻ってくると考えるとなんとなく違う理由も見えてきそうな予感がしますね。

oanjinn さん

さすが、よく気が付きましたね。

東芝のTTC/TTAシリーズのパワトラもとても良いと思います。
アキュフェーズのアンプでは2SC5200/2SA1943が今も使用されているみたいですが、その新しいバージョンがこれに当たります。

サンケンLAPTのブリブリっとした低音の強さも気に入っていたんですけど、東芝の美しく響く余韻も良いです。

HILO@町田さん

なるほど。NFBの電流ですか。

電流帰還と電圧帰還とで考察したことはあったのですが、電圧帰還であってもベース電流は流れるので、影響はあるのかもしれませんね。
個人的には、共通エミッタの電位が動くか動かないか=定電流回路の影響の大小あたりかなっと思っていたりします。

たかじんさん

>共通エミッタの電位が動くか動かないか=定電流回路の影響の大小あたり

そうですね、非反転のように差動回路のポジ入力側とネガ入力側が常に動いて電流を取り合う動作するのと、ほとんど片側だけでしかもベースの一点でNFBまで清算された結果が入力信号になるの反転アンプでは音が違ってきても当然なんでしょうね。

HILO@町田さん


確かにNFBで清算されたベース1つの入力と考えると、ほぼ、動作点の変動がないアンプ動作と言えますね。
何かの本で読んだ記憶があるのですが、OPAMPの基本は反転アンプだ。 と。

このアンプもエージングが少し進んできて、あれこれ試していますが、肩の力を抜いたリラックスサウンドで、音量を上げても下げても印象が変わらないアンプだなぁっと感じています。

ボーっとして忘れてましたが、うちのメインシステムはアノ雑誌の10年前のアノ先生の記事によるもので、反転増幅になってました(汗)
音の違いは…わたしの耳ではちょっと(笑)

天 婦羅夫 さん

あの先生のアンプですか。しかも反転増幅だったとは、さすが目の付け所が違います。
同じ回路のまま、反転と非反転が切換えられれば違いは判るかもしれないですね。

10年前に突然電流伝送にすると言い出して、ついでに反転に変わりましたね。
最近は微妙にアレンジして電圧伝送も混ぜてるらしいですが。
電流伝送だとDACの電流出しをそのまま食わせられるんで楽かも。

天 婦羅夫さん

なるほど。 電流転送方式のときの受け側アンプですか。納得です。インピーダンスを下げる=電流転送 ですからね。 電流出力DACなら、確かに変換なしでいきなりアンプへと送れるメリットはありそうです。

ゼロΩ受けなら完全に電流のみ。
100~500Ωとかなら電流多め、電圧少なめ。
1k~5kΩあれば電流ちょろちょろの電圧転送。
100kΩなら、電流ほぼ無しの電圧転送。

って感じですね。

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