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« 旭化成のDAC製造再開 | トップページ | アクリル板の加工データを作ろう(1) »

2022年2月11日 (金)

基板用CADであるKiCADを2D-CADとして使ってDXFを出力する方法

数年前に DraftSightという無料の2D-CADを紹介していした。AutoCadライクなユーザーインターフェースとDWG、DXF互換性でとても良かったんですが、現在は年間2万円くらいのサブスクリプションに変更されました。まあ、あれだけのソフトウェアが無料というのがおかしかったとも言えます。

そこからDXF、DWGを(無料で)出力できるCAD探しの旅が始まりました。でも、あれこれ探しても決定打が見つかりません。

Cad_01

そんなある日、基板用CADであるKiCADでDXF出力できることに気がつきました。

 

まあ、別にDXFじゃないといけないという事はないのですが機械系の加工を依頼するときには便利です。

タカチなどにケースの加工を依頼するときもDXF、DWGで図面を提出すると5%割引になったりします。

 

 

 

KiCADは、回路図や基板のデータを作るためのCADで、3D表示など凝ったこともできます。ただし、使い方をいちから全て説明するのはさすがに骨が折れますので、DXFデータを出力する要点だけを紹介しようと思います。

 

今回の目標イメージ

今日は、既に基板のデータが出来上がっているとして、基板に合わせたアクリル板のカバーを作るところを想定します。

Soundrabbit_case2

前に書いた、アクリル板を想像してもらえると良いかと思います。

基本的な作画をKiCADで行い、加工データの色やレイヤー分けなど仕上げをinkcapeで行います。

 

 

 

作画するレイヤー

基板のデータは以下のような基板とします。

基板を作る時に出力するガーバーデータに必要なレイヤーは銅箔やシルク、レジスト、外形があります。それ以外にもユーザーが自由に使ってよいレイヤーが余っていますのでそこを利用します。DXF出力はレイヤーごとに独立して出力されますので、銅箔パターンなどを消す必要もありません。(万が一、何かやらかしたときのために元の基板データは保存しておく)

Cad_02

      <  基板の例です  >

 

部品や銅箔パターンは邪魔なので非表示にして作業します。

Cad_03

シルクと外形だけを表示させたところ。アクリル板の外形を位置合わせの目安にしていきます。

 

作業レイヤーはEco1.Userにして線(図形ラインや円弧)を引きます。

Cad_05

今回は基板外形から1mmほど広い面積のアクリル板を作ろうと思います。グリッドを1mmにしておくと作業しやすいです。

 

 

線を描く

黄色い線が基板外形で、緑の線がEco1.Userです。基板外形から1mmのところに線を引いていきます。かどのRも同様です。

Cad_04

穴位置は銅箔レイヤーを表示すると見えるので、適時、表示ON/OFFして作業します。穴径はM3ビスを通すなら直径3.5mmくらいが良いと思います。

Cad_06

出来上がりました。 スライダーボリュームのところは結構てきとうです。

シルクから位置出しして、実物の部品をノギスで測ってこのくらいの長さと幅を開口すればイイかな?という感じで配置しています。アクリルが割れにくいようにするには、角穴の内側を半径0.5mm程度で丸めると良いと思います。(上の図は直角のまま)

 

ここまででアクリル板を切り落とす外形データができあがりました。

 

 

レーザー彫刻も入れちゃおう!

外形の加工データとして、ここまでの図をDXF出力すればOKですがアクリル板はレーザー彫刻という加工もできるので、それも「別のレイヤー」に追加してみましょう。

Eco2.Userを使います。標準の色が黄色っぽくて外形の色に似ているので、赤に変更しました。

Cad_07

ここで重要なポイントがあります。 文字の線幅は0.3mm以上にしてください。これはレーザー彫刻加工の制約です。

 

それと、データを出力するときレイヤーごとに独立して出てくるので、位置合わせとして目印になるものを用意しておくと良いです。この例では僅かに直径が違う円を置いています。十字にしても良いですし、L字にしても良いと思います。位置合わせした後で消します。

 

Cad_01

ここまで来たらデータ出力をします。

出力フォーマットをDXFに設定

単位は「mm」



Eco1.Userは DXFオプションのPlot graphic item using their contous を OFF

にして出力。

Eco2.Userは DXFオプションのPlot graphic item using their contous を ON

にして出力。 つまり2回 別々に出力します。

Cad_08

AutoDeskのビューアーで確認しています。ばっちしですね。

 

もし Plot graphic item using their contous を ON で出力すると下記のようになります。

Cad_09

外形の線が2重になってしまうので加工データとしてはダメですね。

 

レーザー彫刻の方は線幅が必要になるので、以下のようになるのが正解です。

Cad_10

 

 

 

寸法線や図示など

今回のアクリル板の加工には寸法線は必要ありませんが、一応、寸法線などを入れることもできます。

寸法線は一発で書けるTOOLがあります。ただ、穴径の指示などはLineと文字を組み合わせて書くので少し面倒です。

Cad_11

そもそも機械系CADのように中心線に線を合わせたり各所スナップする機能などもないので、あくまでも簡易的な2D-CADになります。

手書き図面の手順をイメージすると良いかもしれないです。ドラフター、T定規を使って書く手書きよりは圧倒的にラクチンです。

 

 

 

 

 

KiCADから出力したデータをアクリル加工用テンプレートに貼り付けていくところは後日、紹介しようと思います。

 

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コメント

KiCAD、回路図作成に使ってます。
禁断のClassAA基板も作成してみようかなと思ったのですが、基板設計のノウハウもなく、また使用部品のフットプリントもなかなか見つからず、基板作成の方はお預けです。

KiCADも6.0がリリースされましたが、データフォーマットやUIに結構な変更があるようです。

三毛にゃんジェロさん

KiCADは機能があまり多くないので、わりと迷わずに使えるように出来ていると思います。
最初につまづくのはフットプリントですよね。 探すよりも自分で作った方が手っ取り早いかもしれないです。

KiCAD 6は入れてみたけど、時折落ちるのでもう少しだけ待った方が良いかもしれません。データを変換しちゃうと5に戻れません。

KiCAD6使い始めました。
PCBを起こすわけではなく、部品のレイアウトのためです。

紙と鉛筆だと間違えるんで、部品に配線が付いてくるこれは便利。
無茶するとハングしますが、無理しないように使ってます。
フットプリントはリストから選択するだけなんで適当ですが。

シャーシの穴開けテンプレートはSolidEdgeで作ってます。
適当に操作するんで、原点がいつも変なところになってしまいます。
正しい使い方は知りません(笑)

天 婦羅夫さん

KiCadを部品配置にご活用とか。いいことを聞きました。
タカスのIC-701系ユニバーサル基板はそのパターンを紙に印刷して、ペンで書き入れてましたが、特に大きな電解コンデンサでは微妙な試行錯誤の繰り返しで紙の汚くなること。

今度、KiCadも部品レイアウトに使ってみることにします。
慣れれば、基板も作れるかな?

天 婦羅夫さん

KiCAD6を使い始めたとのこと、嬉しいです。 部品配置などは適当な2D-CADでも良いとは思うのですが、その「適当な」CADが見つからないです。

KiCADは使ってみると意外と簡単ですし、使い方を説明しているwebサイトや動画もありますので、敷居は低めだと思います。

SolidEdgeは使ったことがないのですが、DXF、DWGの読み書きは出来るのでしょうか? それが出来たらフリー2D-CADの決定版になりそうです。


三毛にゃんジェロさん

紙に書くのは、基本ですよね。 私もよく手書きでパターンを考えてからCADをいじってました。 立体的なものも紙モックアップを作って検証したりします。 3D-CADを勉強しているとはいえ、頭は超アナログです(笑)

KiCADは機能が少なく単純なので1週間くらい悩んでいるとパターンが出来上がりますよ。
でも、パターンを引いたあと、データ出力方法が最大の壁になります。 KiCADのガーバービューアーはどんなフォーマットでも表示できてしまうけど、基板屋が受け付けられるデーター形式が限られている点に注意が必要です。中華基板屋のweb版ガーバービューアーで確認できますがKiCAD6で出力したデータは化ける。。

三毛にゃんジェロさん
一応、難しそうな部分は紙にシャーペンで落書きっぽく、あーでもない、こーでもないと並べて、線の引き方が良さそうになら、KiCADに移して煮詰めてます。
できないことは、印刷した時にデバイスを繋ぐ線まで印刷されないとこですね。
ここは残念ながら手書きですね。 ファイルとして残るのは利点ですが。


たかじんさん
小規模な回路図は割と簡単に書けますね。 大物は大変そうですが。
Blue Snow DACもKiCADですか?
今日はLTSPICEでPRT-01をシミュレーションして、電圧がスパッと切れる(当たり前)のを見て喜んでました。

Solid Edgeは拡張子がdxfとdwgのファイルを読むようです。ちゃんとした使い方してるか怪しいですが、毎回それらをドラフトのテンプレートで読んで触ってます。

天 婦羅夫さん

今はすべてKiCADにしています。 5と6をインストールしてますが、6は配線ハイライトが機能しなかったり、5のライブラリが適応されなかったり、時々落ちたりとで全面移行できていません。
回路図を書いているときは別に何とも思わないけど、基板エディタで部品がざざーっと並んだ時、毎回めげそうになります(笑)

LTSpiceも楽しいですよね。 Solid Edge 2Dをちょっと調べてみました。 これよさそうですね。ファイルはdwg保存なんですね。そこも素晴らしい。

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