MoodeAudio 7.3をPi4でUSB3.0接続SSDから起動する方法
Pi4をUSB-SSDから起動する方法は、あちこちに情報が載っています。
多くの記事ではRaspberry Pi OS標準のSD Card CopierというGUIソフトウェアでSDカードの内容をSSDにコピーしています。対応しているOSは・・・なんて書かれてますが、
< DeskPi Pro V2 ケースに USB-SSDを内蔵 >
もちろんMoodeAudio にはSD Card Copierなんて入っていません。
古くからLinuxをいじっている人は「dd」があることをご存知だと思います。HDDのMBRごとコピーできるddならできるはずです。
Pi4をUSB-SSDから起動するのは、大まかに以下のような手順になります。
ざっくり手順
・bootloaderをアップデートしておく(古いとUSB起動できない)
・SDカードから起動してSSDにデータを完全コピー
・raspi-config で起動の順番をUSBデバイスにする
これだけです。意外と単純ですね。
では、ひとつひとつやっていきましょう。
bootloaderのバージョン確認
MoodeAudioのSDカードで起動して、sshでログイン(user:pi、pass:moodeaudio)したあと、
以下のコマンドで現在のbootloaderのバージョンを確認します。ピンク文字が打ったコマンドです。
pi@moode:~ $ vcgencmd bootloader_version
Sep 3 2020 13:11:43
version c305221a6d7e532693cc7ff57fddfc8649def167 (release)
timestamp 1599135103
update-time 0
capabilities 0x00000000
2020年9月3日と出てますね。 2020年4月ころより以前のものはUSB起動できないらしいので、一応OKそうです。
sudo rpi-eeprom-update コマンドでCURRENTバージョン、LATEST バージョンの確認もできます。
sudo rpi-eeprom-update -a でLATEST バージョンにupdateできます。
その他、raspi-config で行う方法もあります。どちらも一緒です。
そもそもLATEST バージョンですら古いときは、新しいRaspberryPi OS LiteのSDカードで起動してupdateしてください。 MoodeAudioのままsudo apt update と sudo apt full-upgrade を実行すると、あれこれ不調に陥ると思われるのでお薦めできません。
eepromに入っているbootloaderはSDカード側ではなくPi4本体に保存されるため、SDカードを入れ換えてもupdateしたbootloaderは保持されます。PCのBIOSアップデートみたいなイメージで合っていると思います。
起動中のSDカードの中身をSSDに完コピ
USB-SSDの中身は全部消えます。ご注意ください。
1.SDカードの使用量を調べる
sudo fdisk -l
色々なDeviceが表示されますが、「/dev/mmcblk0」がSDカードの情報です。
/dev/mmcblk0p1(FAT32)
/dev/mmcblk0p2(Linux)
ふたつのパーティションがありますね。サイズは256Mと3.9Gなので合計は約4GBっぽいです。16GBのSDカードだけどmoodeAudioではカード一杯まで拡張していないのでコピーデータも少なくて済みます。
2.丸ごとコピー
USBデバイス1個目がsda、2個目はsdb、3個目はsdc という具合ですが、間違いを防ぐためUSBに挿すのは1個だけにしておいた方が無難です。つまりUSBデバイス1個のみ接続していればUSB-SSDは「/dev/sda」です。
早速、ddコマンドを打ちます。
sudo dd if=/dev/mmcblk0 of=/dev/sda bs=1M count=4500
これでしばらくするとコピーが終わります。
bs=1M はバッファサイズ指定。
count=4500 はバッファサイズ(1MB)のデータを4500回分コピーするという意味でトータル4.5GB分をコピーします。ぎりぎりだと最後らへんのデータをコピーし損ねる可能性もあるので、ちょっと多めのcount数にしておくのが吉です。
3.コピーの確認
再度 sudo fdisk -l コマンドで/dev/sda のパーティション情報を見てみます。
おおぉ。 ちゃんと「/dev/sda1」と「/dev/sda2」が出来てますね。 FAT32 と Linuxと書いてあるし。
起動の順番をUSBデバイスに
raspi-config コマンドで以下の項目を変更します。
Advanced options -> Boot Order -> USB Boot
OKすると再起動がかかります。
USB Bootと言っても、SDカードが無かったらUSBデバイスから起動するという順番なので、万一USBデバイスの中身がダメだったとしても、またSDカードを挿せばそちらから起動できます。ご安心ください。
かってに再起動するのでSDカードを抜くタイミングがありません。
一度OSシャットダウンして、SDカードを抜いてから再度電源ONするとUSB-SSDから起動します。
いかがでしょうか。SDカードよりも起動が速くて良いですね。
別のOSから起動したいときはSDカードを挿せば、そちらから起動できるので特にデメリットも感じません。
強いて言えば、USB-SSDを簡単に交換できないことくらいです。(このケースの構造上)
さて、ここからはSSD起動のMoodeAudioをカスタマイズしていくお話です。
SSDの余った領域をsamba共有でNASに
使ったSSDは512GBのものですが、OSの領域として約4.5GBしか使ってません。残り未使用な部分を使えるようにしていきます。
まず、
sudo fdisk /dev/sda コマンドでSSDに新規パーティションを作ります。
この辺はPCと一緒ですね。
p エンター(プライマリパーティション)
3 エンター(3番目のパーティション)
エンター(デフォルトの開始セクタ)
エンター(デフォルトの終了セクタ)
w(書込みと終了)
で終わり。
※ あとでOSを入れ換えることを考慮すると、開始セクタを16GB以降くらいまでズラしておくべきでした。
新規で作った3個目のパーティションをフォーマットします。特にこだわりがなければ標準のext4でOKと思います。
sudo mkfs.ext4 /dev/sda3
しばらく待つと完了します。
自動でマウントさせるためにsudo nano /etc/fstab として編集します。
PARTUUIDは01、02パーティションを参考にして末尾03にします。(環境によってPARTUUIDは変わります)
proc /proc proc defaults 0 0
PARTUUID=067e19d7-01 /boot vfat defaults 0 2
PARTUUID=067e19d7-02 / ext4 defaults,noatime 0 1
PARTUUID=067e19d7-03 /mnt/NAS/SSD ext4 defaults,noatime 0 1
最後の水色の部分が追加した行です。保存して閉じます。
次にmountするディレクトリを作っておきます。(MoodeAudio固有)
sudo mkdir /mnt/NAS/SSD
外部から書込みできるようにするためフルアクセスを許可しておきます。
sudo chmod 777 /mnt/NAS/SSD
これでMoodeAudioのライブラリのNAS項目の下にSSDというのが出てきます。
MoodeAudioは最初からsambaが動作しているのでネットワーク経由で楽曲データを書き込めます。
Windows機からネットワークで「\\moode」を探せばOKです。
設定上、NASの中にSSDが入っているように見えます。
リアのGPIOに挿したNorthFoxDigiで再生可能に
Volumioだとうまく再生できなかったリアのGPIO端子ですがMoodeAudioでは再生できました。原因ははっきりしないもののPi4の温度が関係しているように思います。
先日、DeskPi Pro V2 ケースのFANを駆動してCPU温度はFANを回していないときと比べて劇的に下がっています。そしてVolumioよりもMoodeAudioの方がCPUクロックが低く、温度上昇が抑えられるのです。
それでも2〜3時間以上鳴らしているとやっぱり再生不能に陥ります。温度だけの問題でもないかもしれません。
リアに挿したHAT基板は、ちょっとインパクトのある絵面です。 一番上の写真がそれです。
まだ実用的とは言えませんが、これで音出しできるのはちょっと便利です。
Blue Snow DACのデバッグ機として活躍中です。
FANコントロールを無段階に
先日の記事では4段階で制御するFANコントロールは素晴らしいと書きましたが、閾値近辺の温度のときにFAN回転の増減を繰り返すのはやっぱり気になります。「1℃高くなればちょっとだけFAN回転数が上がる」みたいなのが理想ですよね。
< 30℃でPWM30% --- 55℃でPWM100%の例 >
そこで、この図の緑の線のように
1.FANが回り始める温度と最小PWM値
2.上限温度と最大PWM値
の2ポイントを指定して、その間を直線的にPWM値をコントロールするという風にソフトウェアを改変しました。
ソフトのコンパイル方法とインストール方法はこちらを参考にしてください。
deskpi-config コマンドの「6」を選択したあと、
30 エンター (30℃)
30 エンター (pwm30%)
55 エンター (55℃)
100 エンター (pwm100%)
あとは適当に(入れた数値は未使用)
0 エンター
0 エンター
0 エンター
0 エンター
と設定します。 /etc/deskpi.conf ファイルを直接編集してもOK。温度とPWM値はお好みで設定してください。
これでPCのFAN制御と同じようにCPU温度に応じて適切なFAN回転数にコントロールできるようになりました。
めでたしめでたし
Blue Snowの原因不明なフリーズ現象もようやくしっぽが掴めたので、こちらもめでたしめでたし
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コメント
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あれれ、ケースを黒に塗ったんですか?
投稿: 天 婦羅夫 | 2021年9月26日 (日) 01時44分
天 婦羅夫さん
いえ。 写真の撮り方の違いでしょうね。 濃い目のガンメタリックのようなアルマイト塗装です。 フロント、リアのパネルはクリアブラックっぽいアクリル板。
投稿: たかじん | 2021年9月26日 (日) 08時26分
そうでしたか、ガンメタ系はなかなか渋い色でいいですね。
投稿: 天 婦羅夫 | 2021年9月26日 (日) 13時36分
天 婦羅夫さん
おそらくガンメタだと思いますが、黒と言われると黒かもしれません。 そんな感じの色です。
投稿: たかじん | 2021年9月27日 (月) 20時26分