AK4490 DACの試作機の進捗
Twitterでは少し写真を載せたりしていますが、年末から正月にかけて基板設計をしていたAK4490 DUAL DAC基板を2月中旬から組み立て開始しています。
これは電源部だけ実装したところ。全部実装してしまうと、もし電源電圧がおかしかったら回路を壊してしまう可能性があるので、こうやって順をおって組み立てるのが良いです。
半分はディスクリート電源(DC-Arrowっぽい回路)で、デジタル系はレギュレータICを使用しています。
電源が問題なく出ていることが確認できたので、次はAK4490を1つだけ実装。1個でステレオ、かつバランス出力がだせます。
マイコンのプログラムで少々手間取ってしまいましたが、無事に信号が出ることが分ったので、2つ目のAK4490と後段のアナログ部を実装。
こちらは、SoundRABBITの回路と似ています。OPAMP+TLB回路構成。
ちまたでは、プリアンプだって超強力なトランスを使って駆動力の高い出力段を持つものが音が良いとされていますし、DACの音質は、電源と出力アンプに大きく左右されるので、DAC-ICの性能を引き出そうとすると、こういう部分は決して手抜きはできません。
フルディスクリートで組もうとすると、さすがに基板の規模が大きくなりすぎるのでこの構成にしましたが、SoundRABBITは透明、かつダイナミックな音で、今、個人的に気に入っているので採用しました。
SoundRABBITと違う部分として、スイッチング電源をつかわずDC-Arrowのようなno-NFB電源にしたので、更に良くなることを期待しています。
DAC-ICのアナログ5Vも同様にno-NFB電源をPOL配置で供給。少々やり過ぎ感が漂いますが、どうなることやら。。。
機能が色々あるので、メニュー構成をどうするのが使いやすいのか悩みながら作っていますが、デバッグ途中、面白いものを発見したので紹介いたします。
AK4490に入っているSuper Slow Roll-offフィルタというデジタルフィルタ。
インパルス応答は、こんな感じ。
1kHz正弦波。
これでフィルタが入っているのか謎ですね。まるでNOS-DACのような波形です。
オーバーサンプリングせず、fsのまま出力するときは、アナログ段のポストフィルタで帯域外ノイズを落とす必要があるのですが、近年ではそのまま出してしまうのが流行りのようです。
折り返しノイズが非常に高いレベルで漏れるため、高価なスピーカーを使っている人は要注意です。まあ、一部界隈で需要があるようなので音の変化を楽しむアイテムとしてとらえると良いでしょう。
以前測定した別のNOS-DACのスイープのスペクトル波形。
音の重なりが少ない独唱などを聴くときはNOS-DACは面白いですよね。逆にガチャガチャと沢山の音がひしめくロックだとやかましくなってしまう。さくっと切り替えられるメニュー構成にしておくなら実用的になりますかね。
こういう曲は、NOS-DACで聴くとちょっと鳥肌がたちます。
さて、AK4490 DUAL DAC基板は、予定している全機能のメニューがまだ完成していないため、もう少しかかりそうです。音のも、デバッグとして正弦波、方形波、インパルスしか出していないため、どんな音楽を奏でるのか楽しみです。
にほんブログ村
ブログランキングに参加中です。 めざせ1位!
もしよろしければ「ぽちっと」お願いします。
« 久しぶりの散歩 | トップページ | AK4490 DACの試作機の進捗(2) »
「DAコンバータ」カテゴリの記事
- Bluetooth モジュール BM83入手(2024.06.04)
- BlueSnowDAC 準備中(2021.10.10)
- 月刊ステレオ 2021年9月号にて Blue Snow DACが紹介されました(2021.08.29)
- AK4490 DUAL DACの名称決定しました!(2021.05.27)
- AK4490 DACの試作機の進捗(4)(2021.04.30)
「BlueSnowDAC」カテゴリの記事
- BlueSnowDACにIRリモコンを増設する方法 Seeeduino XIAO(メニュー操作編)(2021.11.27)
- BlueSnowDACにIRリモコンを増設する方法 Seeeduino XIAO(ソフトウェア編)(2021.11.24)
- BlueSnowDACにIRリモコンを増設する方法 Seeeduino XIAO(準備とハードウェア編)(2021.11.23)
- BlueSnowDACにSPDIF入力を付ける方法(秋月電子 AE-DIR8416編)(2021.11.15)
- BlueSnowDACにSPDIF入力を付ける方法(WM8805編)(2021.11.07)
AK4490DACの進捗、拝読いたしました。
とても期待感が高まります。
増幅部の回路がSoundRABBIT同様というのは
期待感をさらにさらに高めてしまいます。
心配なのは、やはりAK4490の供給体制がどうなるか。
クリーンルームの火災は、
設備のほぼ全てが廃棄・新調になり、
新設備とプロセスのレシピをゼロから積み重ねる必要から
復旧に年単位の時間が強く予想されてしまいます。
我々から見ると外部要因になるので、
何とももどかしいものですね。
たかじんさんに置かれましては
ステップバイステップで作業を進められますよう、
また、
一区切りついたところでのレポート発表をいただけることを
お願い申し上げます。
投稿: sawanoriichi | 2021年3月13日 (土) 10時11分
sawanoriichi さん
ありがとうございます。
おそらくAK44XXシリーズのいくつかはディスコンになるでしょうね。
今のオーディオ業界は1年で10%づつ市場規模が縮小していると言われています。
クリールームの建屋の工事だけで1年コースっぽいです。DACの生産再開が2年後3年後になることを考えると、昨年のDACのラインナップを揃えても利益を出せない可能性が高いからです。
ちなみに上記基板は、音出しを開始していています。
どっぷりと安定感のある低域。 少し煌びやかでリアリティのある中高音。
ESSのような独特のクセを感じさせず、かってのバーブラウンのDACのような素直さがあるように感じています。サウンドセッティングなるパラメータもある(まだ未実装)ので、どんな音になるか楽しみです。
投稿: たかじん | 2021年3月15日 (月) 21時12分
いつも楽しく読ませていただいています。
AKMは現在火災の関係かDAC等の入手が難しいですね。
AK4490はAK4493とほとんどPIN互換なので4493版も開発して頂けたらと希望します。
投稿: Michi | 2021年3月17日 (水) 11時22分
Michi さん
なるほど。AK4493は同一パッケージなんですね。 データシートが公開されておらず、旭化成のwebサイトに登録して入手しなければいけないようですが、火災の影響で今でもデータシートを出してくれるかが問題ですね。
違いがはっきりしたら対応させることは可能だと思います。
投稿: たかじん | 2021年3月19日 (金) 23時08分
とりあえず、AK4493のデータシートを入手したので、レジスタ設定など、対応できるようにできればと思います。
最大の難関はデバイスを入手できるかどうかですね。
投稿: たかじん | 2021年3月21日 (日) 08時36分