NFBはいらない。no-NFBしか聴かない。というあなたへ
80年代あたりでしたでしょうか。 NFBはいらない。という風潮がオーディオアンプの業界に吹き荒れていて、各社でno-NFBアンプが発売されていました。
多くは、終段をフィードバックループ外にして、いわゆる終段無帰還アンプだったと思います。HPA-1000もその一種で、出力バッファ段をループ外にして2段目から負帰還をかけています。
< 2段目からACを帰還している >
でも、世の中には、そういう帰還をかけない完全な無帰還アンプというのが存在しています。
ソウルノートのアンプがその一例で、上下対称差動回路の完全無帰還回路を採用しています。
HPA-1000でも無帰還にできることは何度か書いていますが、3dBから9dBというごく少量のフィードバックを基本としています。
実は、定数そのままで完全な無帰還設定にすると増幅率が約21dBと高くなってしまい普通のヘッドホンアンプには適しません。ゲインが高いと感度の高いヘッドホンを使ったときにホワイトノイズが目立つというデメリットもでてきます。
ということで、今日は完全な無帰還アンプしか望まない。NFBはいらない。という人向けの定数変更を提案いたします。
2本だけ定数を変更すると、このようにゲインをヘッドホンアンプに最適な15dB近辺にすることが出来ます。0Ω、100Ωと書いてあるのがR11の抵抗値です。R11=0Ωにすると完全無帰還。R11=100Ωでは3dBほどの帰還がかかります。
変更点
R18 = 4.7kΩ -> 2.7kΩ
R19 = 4.7kΩ -> 2.7kΩ
です。ゲインが下がることで、出力に出てくるホワイトノイズも減ります。
もちろん「no-NFBしか聴かない。」というひとはR11を0Ωに固定しておきます。 切換スイッチまで配線を引き延ばすデメリットもゼロではありません。潔く切り捨ててしまうのがベストです。
実際に、この定数で聴きこんでみると、、、
ああぁ、NFBいらないかも。 と思ってしまいました。
これで聴くLed Zeppelinはしびれます。
ということで、HPA-1000のTIPSでした。
よろしくお願いします。
※)no-NFBと言っても、各段で自己帰還はかかっています。段をまたぐような帰還がない(NFBループがない)という意味で完全無帰還と称しています。
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コメント
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たかじんさん
TRS-1000は、すごい売れ行きですね。僕は、共立に基板とトロイダルをセットで予約注文してしまった後だったので、あきらめました(先立つものが^^;)。
先日やっと届きましたが、忙しくて未だ手を付けられず、いろいろ妄想してます。^^ USB-DAC内臓にしようかと考えてます。
NFBに由来するTIM歪みがないnon-NFBと、通常の歪みを抑えたNFB、どちらが音楽を聴くのにベターなのか、興味深いところです。NFBをフロントパネルのスイッチまで引き伸ばすのはあれなので、R11をバイパスする配線と、4.7Kを2本のR直列にして中点をアースに落とす配線をリレーでon, offするようにしようかと考えてます。
切り替えて音の違いを聞くのが楽しみ。^^ いつも素晴らしい基板を領布いただき、感謝致します。m_ _m
投稿: kontiki | 2020年7月13日 (月) 21時09分
kontiki さん
USB-DAC内蔵、いいですね。 私はラズパイごと内蔵・・・と考えてしまいました。
TIM歪は、1V/usec以下というスルーレートが遅いアンプの場合は出ると思いますが、現代のアンプは、ほぼ大丈夫じゃないでしょうか。
NFB量と音質の関係は、奥が深いですね。 実際、どちらが有利なのかは私も分かっていません。
投稿: たかじん | 2020年7月14日 (火) 22時25分
たいへんお久しぶりです!m(UU)m
松居です。
いつも自作アンプや既存のアンプの回路方式等々との自分的な考察に相変わらず参考にちょこちょこ観ております。(笑
さて、HPA-1000の回路を眺めていて、
【ふとした疑問(愚問??)】
なのですが、
NFBは途中の電圧増幅段から行い、終段のパラレルパワートランジスタからは帰還をかけないので、SPからの逆起電力の影響をなくす設計だと思いますが、ふと、220kの抵抗をかいしてるとはいえ、終段のパラレルパワトラからのDC帰還経路から、SPの逆起電力の影響はないのですか?
もしくは、SPの逆起電力は、考え方として、
R12(220k) - C5(47u),R11(470)
によって分圧、もしくはC5,R11からグランドを通してリターンするので影響がないという考え方でよろしいのでしょうか?
ふと、疑問(愚問だったらすみません。。。(;^_^A)に想ってしまったので、書き込んでみました!
m(UU)m
投稿: 松居純哉 | 2020年8月27日 (木) 12時49分
松居純哉さん
お久しぶりです。
おっしゃる通り終段からの影響はゼロではありませんね。
ゲイン15dB(5.6倍)のアンプとすると、
終段からNFBをかける場合のベータ回路は、出力信号が1/5.6に減衰して初段の差動へと帰ります。つまり逆起電力も1/5.6に減衰して入力されるということになりますね。
上の回路は古い定数ですが、220kと470というベータ回路になっているため1/469に減衰します。
1/5.6と1/469の差は約83倍になります。
では、終段からNFBをかけると逆起電力の影響を受けて、出力信号が入力信号とかけ離れてしまうのか?
というと、そんなことはないと思います。逆起電力も含めて比較して入力波形と相似になるよう出力を常に補正しているからです。
これは個人的な意見ですが、逆起電力の影響うんぬんはNFBを悪者にしたい人たちの単なるこじつけなんじゃないでしょうか。
この終段no-NFB回路は、NFBに頼らずに低インピーダンスで駆動できる出力段の実力、そのままを聴いてみたいという思いが根底にありました。
投稿: たかじん | 2020年8月28日 (金) 01時55分
たかじん様
早速のお返事、ありがとうございます!
m(UU)m
また、解りやすい解説と納得のいく説明いつもありがとうございます!
特にベータ回路の事まではあまり頭になかった為、非常に腑に落ちた説明でとても納得しました!
ありがとうございます!
m(UU)m
投稿: 松居純哉 | 2020年8月28日 (金) 13時06分
松居純哉さん
いえいえ、こちらこそよろしくお願いいたします。
ベータ回路という言い回しはちょっと古いですが、基本的に抵抗分圧による減衰回路です。あとは位相補償回路もつけたりしますが、今回は位相補償しなくても安定しているため抵抗分圧だけです。
投稿: たかじん | 2020年8月30日 (日) 17時38分