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2020年1月26日 (日)

BC550Cという海外トランジスタを初段に迎えて

新ヘッドホンアンプは、ハム対策も終えて出力インピーダンス切り換え機能付きの電源基板も依頼しています。(春節でお休みに入っています。)

Bc550c_1

音質の方は、おおむね満足できるレベルにはなってきました。初段にKSC1845というトランジスタを使っていた時、低域のクリア感というかベースの音色の描き分けがもう一息で低域マニアな私としては少々不満でした。なんというか、低域にごわごわとしたモヤがあったのです。

初段の電流値を変えると発振したり、終段の3段ダーリントンが特定条件で発振したりと、まあ色々と実験していたのですが、試しにBC550C(on-semi/元Fairchild)に変更してみました。

低ノイズトランジスタの中で気に入っている2SC2240は、まだ秋月ではGRランクのみ売っていますが、ディスコンから4~5年経っているので、もう時間の問題です。BC550CはHPA-12の時も実験してよい結果が出ていました。C2240と同等か、もしかすると超えているとすら思えてきます。

 

 

ここでの問題は2つ

(C2240と同じように使えないという意味で)

 

ひとつめは耐圧の低さ。これは電源±25V以上の場合、励振段に使えないことを意味しますが、差動回路の初段においてはVceoが45Vでも足ります。

 

ふたつめの問題は、PINのアサイン。センターがベースになっているため、以下のように足を曲げてスワップして実装しました。

Bc550c_3

 < ピン入れ替えして基板に挿す >

電源を入れて発振していないことを確認。音を聴いて驚きました。エージングなしでも素晴らしいです。

ガラスのような艶やかな透明感とでもいうのでしょうか。もやもやしていた霧が晴れて清々しいエレキベース。女性ボーカルも艶があって生々しい。大げさに書くとセピア風だった風景画が油絵になったようなイメージです。風景画が写真になったわけではありませんが、これはこれでアリだと思える説得力があります。

しかもBC550Cは、かなり低ノイズです。
残留ノイズ 6.6uV(a-wait)はこのトランジスタで実現できました。

Bc550c_4

 < 背中合わせになっていますね・・・ >

 

BC550Cは、秋月で売っていないのがネックですが、ビスパ、マルツ(デジキー)、RSコンポーネンツでも扱っています。

実は、このピンアサインだと、JFETの2SK170やK117、K30などと差し換えが可能です。オーケストラなど一歩引いた距離感で聴きたいのでしたら、K117やK170もいいかもしれません。(秋月ではすでに売っていません)

Bc550c_2
 < 海外製トランジスタはピンのアサインが違うことがある >

 

バイポーラ (ベース) (コレクタ) (エミッタ)
         ||       ||       ||
 JFET   G(ゲート) D(ドレイン) S(ソース)

細かくは完全互換ではありませんが、このようにアサインすることで動作させることが出来ます。

 

 

 

そんな感じで、春節を終えて基板が届くのを楽しみにしています。

 

 

 

 

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コメント

う~ん…。期待が益々高まるレポートですね。
お使いになったBC550Cはどちらのメーカー製造品ですか?
気にするほどの違いはないかもしれませんが。

onajinn さん

ありがとうございます。
BC550Cは元FairchildのOn-semiです。元Philips/NXPは製造中止したみたいです。

この手のトランジスタ・FETはOn-semi 一強になってくるのでしょうか。
東芝やNEC(現ルネサス)のように現存する会社のトランジスタは廃品になっていくのに、On-semiに買収された会社のトランジスタは生き延びる。という不思議な現象が起きているように感じます。

BC550Cはちょっと入手性が悪そうな感じですね。
digi-keyで購入する機会があれば、確保しておこうかな。

Tr/FETのモールド品のディスコン問題はオーディオ自作関係者にとって死活問題ですよね。
実際、K30A、K170、K117等は実物を見たことものないですので、
C2240の問題だけではないのですが。
チップ品を考慮に入れると、はんだ付けの技術力が問題になるので悩ましいですね。変換基板を介しても、配線のインダクタンス・キャパシタンス・熱結合等が問題になって、実装して動かすと問題噴出になってしまいそうですけど。

実際に互換にあるかデータシート上でしか調べておりしませんが、
K30A:K208
K117:K209 (dual品K2145)
K170:ないですね。海外の有名オーディオフォーラムAudioDIY(だったかな)で、米国のLinear System社の2SK170相当品 LSK170が購入できるらしいです。もちろん特性のそろったペア品らしいです。お高いですけど。これは、モールド品。

C2240のチップ品らしきものは秋月にあるにあるので、変換基板をかまして使用できるのかもしてませんが。 120V 500mA
2SC3324-GR コンプリ品 2SA1312
2SC4117-BL コンプリ品 2SA1587

実際に使用したこともない、データシート上の情報なので、参考までに。
間違いがあればすみません。

sue18jp さん

チップ部品情報ありがとうございます。

2SK170はぺるけさんが好んで使っていたこともあって、早々になくなってしまいましたが、
2SK117は、3年くらい前までは秋月電子に在庫がありました。
ノイズはK170が非常に少なく素晴らしいFETでした。

とは言っても、通常のアンプの構成では初段にバイポーラ(2SC2240など)を使う方が低ノイズなアンプになります。

FETを好む人とバイポーラを好む人の違いは、ノイズの大きさよりも音色と思われます。

まあ、無くなってしまったものは、潔く諦めて、いま入手できる部品で最高の音を目指してアンプを作っていきたいなって思います。

個人的には、ロックやジャズなどではバイポーラの音の方があっていると思いますし。

国産メーカはユーザーを大事にしディスコンには慎重だったのにリーマン以降無慈悲に事情おかまいなし強引になディスコンをかけてくる。筆頭が東芝。デジタル用なら労力を割けば力ずく接変できるがオーディオ用高音質品なんか唯一無二が多い。そんな価値のあるものを経営の収益視点だけで削りまくり気がついたら残した事業は皆レッドオーシャンになっていた。 MBA財務CEOやCFOが小賢しい理屈を振りまき幅をきかせるとあらゆる事業が破壊されていき最後は身売りしかできなくなる。 脱線したが、もう本物を発掘するのは限界なので 偽物、セカンドソース海外、中華アジア品のなかから音の良いものを発掘するしかないのだろう。 高音質デバイスは物理構造や素材の影響もあるが多くは偶然の産物なのでそれに期待するしかない。 最近では有機トランジスターに淡い期待を寄せる今日このごろ。

オーディオ熱再びさん

おっしゃる通りですね。 トランジスタを製造していた東芝、NEC、三菱、三洋、松下など、理由は同じではないにしろ大多数を製造中止にしてしまいました。

トランジスタ以外の半導体部品、ICなんかもそうですし、近年では抵抗やコンデンサの製造中止も勢いを増しているように思います。

新しいトランジスタというと、SiCやGanなど、高速高耐圧のものが注目されていますが、これらも今後は中国が中心になるというアナリストの予測がでてますね。

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