Select Your Language

免責事項

  • 本サイトの情報の利用、内容、サービスによって、利用者にいかなる損害、被害が生じても、著者は一切の責任を負いません。ユーザーご自身の責任においてご利用いただきますようお願いいたします。

    本サイトで頒布している基板およびキットは、技術者、またはそれに準ずる電気的知識をお持ちの電子工作ファンの方のためのものです。一般のオーディオファンの方のためのものではありません。
    また、頒布基板およびキットは、いかなる条件でも動作を保証するものではございませんので、あらかじめご了承ください。

    電子工作では、火傷、感電、火災などの可能性があります。十分に注意をして作業して下さい。

    営利目的のご使用は認めておりません。 記事の転載や、基板・キットの商用利用の方は、ご連絡ください。学生やサークルの学習目的でまとめてご購入する場合は特別価格でご提供させていただきます。
無料ブログはココログ

スポンサー

« NEWヘッドホンアンプ ヒートシンク付けたよ | トップページ | 2020年になりました »

2019年12月30日 (月)

NEWヘッドホンアンプ ハムノイズの行方

試作中の新ヘッドホンアンプの続報です。

最終段の熱的な部分はヒートシンクを付けることで解決したかに思えたのですが、電流を50mA以上に増やしていくと2段積みした部分がやはりネックで、ヒートシンクに直接ついていない2段目のトランジスタの電流だけが走ってしまいます。

前回テストした40mA以下が実用上での限界。夏場の暑さを考えるとさらに半分の20mA程度に抑えておく必要がありますね。

エミッタ抵抗を大きくするか、2段積みをやめるか。

Pha1000_a

というわけで、2段積みをやめて3パラ・プッシュプルにしました。その代わり、エミッタ抵抗は0.47Ωの2パラで0.235Ωです。(≒0.22Ω)

電流を増やしてみると80mAでも大丈夫なようです。ヒートシンクが40℃以上に温まってくるので、この辺がいい感じかもしれません。

(80mAx3パラx2)^2x16Ω = 3.7WまでA級動作になります。

ヘッドホンアンプとしてはちょっとやり過ぎですね。ポタアンやってる人に怒られそうです。が、アイドリング電流を上げていくととんでもない音になってきます。±20Vの電圧がかかっているので、それなりに発熱も考えなければいけません。

 

 

 

さてさて、残ったのはハムノイズです。

 

ハムノイズとは「ブーン」という低い音がボリュームを絞り切った状態でも出てしまうノイズのことで、コンセントの50Hz/60Hzに起因します。周波数は主に100Hz/120Hzの低周波です。

どこで飛び込んでくるか? 

実は「侵入経路」は複数あるので対処に困る人も多いノイズです。

 

 

侵入経路1.トランスが発する磁界による電磁誘導ノイズ

(1)交流磁界が配線へ直接誘導ノイズを発生させます。配線とトランスを遠ざけるか、シールドが必要です。トロイダルトランスでも磁界は漏れます。

(2)トランスから距離が離れていても、面積の大きなグランドループは感度よく誘導されます。揺さぶられたGNDを基準にアンプが増幅するので、すぐに聴こえるレベルの電圧になってしまいます。電源やGNDでループ状の配線(基板上含む)を作らないようにします。

 

侵入経路2.静電誘導ノイズ

配線どおしでも静電容量によりノイズ飛び込むこともあります。リップル電流の大きな電源配線と微小な信号配線は平行して引き回さない方が良いです。

 

侵入経路3.電源リップルノイズ

100Hz/120Hzのリップル電圧が残った電源をアンプに使うと、そのリップルが音声出力へ漏れることがあります。PSRRが高いアンプほど影響は少なくなります。また、定電圧化回路(レギュレータ回路)やリップルフィルタで電源リップルを低減することもでも対処できます。ただし、多量NFB型レギュレータ(特にLDO)を使ったり、フェライト系のノイズ対策品などを電源ラインに使うとアンプの音が暗く、開放感がなくなるというデメリットも無視できません。カタログスペックを重視するなら低ノイズレギュレータ一択です。

 

 

 

ハムノイズの実際

HPA-12では信号GND配線(基板上の配線)をL/Rで1本(共通化)にすることでグランドループを作らないようにしていました。今回の新基板ではモノラル構成のアンプ基板を2枚使うため、どうしてもL/Rでグランドが2本に分かれてグランドループができてしまいます。

Gndoop

この図でいうと、赤線の部分です。ボリューム部でGNDが接続してある場合と、その前のプレイヤー側でGNDが接続されている場合とがありますが、いづれにしても、電源トランス近くにグランドループがあると誘導ノイズを受けやすくなります。

一見、電源をL/R独立にすれば解決しそうに思えますが、電源を2つにしたところで、プラス・マイナス電源の中点(GND)をシャシーアースにつなげると、結局ループができてしまいます。シャシーごと分けるモノラルアンプx2台なら、アンプの外でAC電源ラインが繋がっていたとしても電源トランスで絶縁されるためグランドループができません。

 

という訳で、ハムノイズがでる場合、

グランドループによる誘導ハムか、別の要因かを切り分けていく必要があります。

でも、切り分けはとても簡単です。

片方のアンプを切り離してしまうのです。電源と入力とを切り離して、モノラル動作させます。

 

やってみました。

 

 

 

 

 

ハムが消えない。

これはリップルノイズか?

 

と思っていたのですが、2枚のアンプを片方づつ動かすと様子が異なるのです。

電源配線を動かすとハムノイズの様子が変わり、ほぼ聞こえなくなる取り回しが存在します。(誘導ノイズを受けにくい配線の取り回しにする)

しかし、1チャンネルごとハムが聞こえない取り回しにしても、2枚同時に接続するとハムが出る。

つまりグランドループによるノイズもある訳です。原因がひとつではない複合要因ってやつです。

 

ちなみに、このハムノイズは、感度が高いイヤホンでしか聞こえません。私が検証に使っているイヤホン(MDR-XB40EX)は10uVのノイズも聞き取れます。特に低域の感度が高くハムバスターとして活躍します(笑 
MDR-M1STもノイズに対する感度は高いものの、ハムノイズ検証に関してはさすがにXB40EXに敵いません。

Hpa1000_b
   < 結局、このような配線取り回しに >

黄色がアンプのOUTPUT。赤白黒が電源の+G-。緑はシグナルGNDです。

無帰還アンプなので、OUTPUT信号が誘導ノイズの影響を受けてもキャンセルするようにアンプは動作しません。ですから、OUTPUT配線を電源ラインと並行にするとハムノイズが増えるのが判ります。(電源配線からの誘導ノイズ)
向かって右側は電源ラインと引き離すだけでノイズが下がりますが、左側はトランスに近いのでトランスから受けていているようです。こんな難しさがあるんですね。

 

なかなか面白い。

 

これを踏まえて、出力インピーダンス切り換え搭載の新電源基板の方も設計を進めています。電源リップルフィルタを付けて電源配線からの誘導ノイズを減らすのと、リレー式の出力インピーダンス切り換えです。Hi,Mid,Lowの三段階をレバースイッチ一つで行います。

Prt03

PRT-02と同じサイズには収まりそうにありません。。。

という中途半端な状態ですが、今年のブログ更新はこれにて終了にする予定です。

 

 

本年も、皆様には大変お世話になりました。

来年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

にほんブログ村 PC家電ブログ PCオーディオへ にほんブログ村

ブログランキングに参加中です。 めざせ1位! 

もしよろしければ「ぽちっと」お願いします。 

 

« NEWヘッドホンアンプ ヒートシンク付けたよ | トップページ | 2020年になりました »

ヘッドホンアンプ」カテゴリの記事

HPA-1000」カテゴリの記事

コメント

トロイダルトランスは漏れ磁束は小さいと思います。トロイダルの中心の取付ネジは鉄製ではないですか?
プラスチックネジが無難だと思います。

通りすがりさん

EIコアに比べるとリーケージフラックが少ないのは確かですね。それでも、ゼロではありません。
以下に載せましたが、オシロで簡単にトロイダルトランス誘導ノイズ(波形)を見ることが出来ます。
https://nw-electric.way-nifty.com/blog/2020/01/post-cd60fa.html


また、同じトロイダルと言っても、差があると思うようになってきました。
4種類ほど買ってみたところ、鳴きの大小、音の違いが結構あるからです。

ねじはおっしゃる通り鉄だと思われます。プラねじでM8サイズなど太いものは見かけませんが、真鍮をつかったと書いているオーディオメーカーもあるくらい、ここにも差が出る可能性はありますね。


ちなみに、トロイダルトランスを立てて、穴のがあいている方向をアンプ側に向けると、ハムノイズはぴたりと止まります。土星の輪のように磁束が漏れているらしいところまでは判ってきました。

ご丁寧な返信ありがとうございます。フォノイコライザー(低域で60dB)を製作していた時のことです。ネジをいじるとハムの出方が変わりました。これは?と思い、プラネジに交換したら、見事にハムが消えました。
ネジとアンプケースまでの距離でもハムの出方が変わったのを覚えています。
かつてのタムラやタンゴのトロイダルはケースに入っていたことに納得しました。
(トランスケース内のコアが樹脂でダンプしてあり、中心にネジはなし)

土星の輪のように出た磁束の向きはどうループを描いているのでしょうね。興味あります。そして、透磁率の低い鉄ネジがあった場合その磁束ループはどうなるのでしょう?
ネジがトロイダルの完璧な中心にあれば、影響は小さいかもしれません。

なお、コメントで一点気になったこととしては、トランスを立てた実験をされたときは、鉄ネジ無しの状態ということはないでしょうか?

戻ってきた通りすがりさん

フォノアンプは影響おおきそうですね。

トロイダルトランスでもケースに入れているのは漏れ磁束を低減するためだと思われます。
トランスは固定ネジ(と底板、上の円盤状鉄板)ありの状態のまま立てて実験しました。

面白い発見をしました。
100円ショップで売っている超強力ネオジウム磁石(1円玉よりも少し小さい円盤)を指でつまんで、電源が入っているトランスの近くに持っていくと漏れ磁束でバイプレーションして、磁束の強弱が判ります。

このアンプに使っているトロイダルトランスで円周方向では距離15cmくらいまで振動を感じますが、上下方向では6~7cmでぴたりと反応が消えます。
3cm以内は、円周でも上でも同様に強いバイブレーションを発して強度の違いは感じません。

土星の輪状の漏れ磁束は、どこがN極、S極というのはないんでしょうね。コイルの切れ目がないのでトロイダル内部の鉄心部も、N極、S極の切れ目がないでしょうし。

ケースに入っていないトロイダルトランスをお持ちでしたら、ネオジウム磁石バイブレーションを試されてみると新たな発見があるかもしれません。といいますか、単純に面白いです。

なんと!
磁石で体感できるのですね。これは面白そうです。昔々スペアナ(会社のです。)にピックアップコイル(輪にしたFETプローブ)を接続し、スペアナ画面を見ながら、トランス(EIコア)を回転させると、なるほど斜めで漏れ磁束が最少になるのを見たことがあります。これと同じことが、しかも100円ショップの磁石で体感できるとは痛快です。ハイゲインアンプ、ローノイズアンプの配置を決めるのに役立ちそうです。情報ありがとうございます。

戻ってきた通りすがりさん

その後、いくつかのトランスに磁石を近づけてみたのですが、なんと、漏れ磁束には大きな差があるようです。

ケースに入ったものは、1cmくらいでも振動は感じません。

ケースに入っていないものでも、2cmほど離れると殆ど感じなくなるものもあります。

この記事で使ったトロイダルトランスは特別に漏れ磁束が多いモデルなのかもしれません。

続レポートありがとうございます。
どのトロイダルも漏れ磁束は少ないと思っていてはいけないのですね。
自分の経験の範囲だと、
・例の取り付けネジ
・大電流を流したトロイダル
この2つ以外で、漏れ磁束で困ったことはありませんでしたので、ヘッドホンアンプの電流くらいなら、取付ネジが漏れ磁束をばらまいているにちがいないと思いこんでいました。
お騒がせしました。ごめんなさい。

1つ気になっていることがありますので、書いてしまいます。
ケース入りトロイダルの話です。タムラのトロイダル(有名なMJのベテランライター推薦品)は、アルミのケースに入っています。(タンゴのは珪素鋼板に入っている印象)

Q.アルミのケースで磁気シールドの効果あるのでしょうか?

珪素鋼板とか、銅メッキをした鉄板(サンスイ高級アンプ)でないと漏れ磁束は減衰しないと思い込んでいる(?)のですが。(静電シールドではないので)

シャーシ込みでショートリングの効果を狙っているんでしょうかね。

それとも、タムラトランスは、優秀な職人さんが巻いているから、バランスよく巻かれていて、そもそもの漏れが小さいんでしょうか?

もし、ご存じでしたらご教示いただきたく。

PS.
磁石実験。EIコアは顕著ですね。確かに楽しいです。(笑)
定量的ではないのですが、体感できるのはアマチュアにはとても良いです。
今後は、ケースに穴開けする前に実験して位置決めしようと思います。

補足です。
アルミケースで磁気遮蔽できるなら、小さいアルミケースに入れてから、シャーシに入れてみようかと。
タムラもタンゴも廃業した今、次期フォノイコライザーは、ケースにケースを入れるのもいいかと思いましたので。

再び戻ってまりましたさん

磁石実験、楽しんでもらえたようで良かったです。

トロイダルトランスの支柱と、リング状のシールドについて、マランツのアンプの説明に少し書いてありました。
http://www.marantz.jp/jp/Products/Pages/ProductDetails.aspx?CatId=HiFi&SubCatId=Amplifier&ProductId=PM8006

ケイ素鋼板による磁気シールドと、アルミによるショートリングだそうです。

アルミや銅板を使ったショートリングについては、不思議に思う人もいるかもしれません。磁力を通すだろ! って

でも、磁石のように動かない磁力は貫通しても、動く磁力(トランスからも漏れ磁束も50/60Hzの交流)は、通しにくいという特性があります。もう少し詳しく書くと、渦電流という現象がアルミや銅板の中で発生して、磁力を反発するように作用します。

先日、磁束漏れの多いトロイダルにアルミテープを1周巻いてみました。水平方向の効果はわずかです。厚みが足りないのか、上下方向にしか効かないのか不明ですが、過度の期待は禁物なようです。

わざわざ、マランツのサイトまで調べ、紹介していただき、誠実な対応に感謝です。タムラトランスのケースはアルミですが、トランスの蓋(アルミ製の銘板)が付属しており、あれでショートリング効果があったのかと理解・納得することができました。単に電圧と配色がわかるだけのものではなかったのですね。(オールドファン以外のみなさんは、Googleで、タムラ トロイダルトランスと検索して、画像を見ていただければ、何のことかわかると思います。)
★ショートリングはぐるっと一周・囲わないと効果がないので、アルミの銘板を入れることで縦方向もぐるりと一周完成。
★アルミテープを巻かれてリーケージを対策中とのこと。(ご存じかもしれませんが)以下の特許を参考に紹介しておきます。お役にたてれば幸いです。

https://astamuse.com/ja/published/JP/No/1994005426

またマランツのページですが、取付ネジについても非磁性体の真鍮製との言及があり、たかじんさんの取付ネジのコメントは、マランツのサイトのことだったのですね。ありがとうございます。フォノイコライザでの体験が裏打ちされたようで我が意を得たり(笑)です。ケースを閉めるとハムが変ったのを覚えていますので、ネジとケースでループを作って、フォノイコライザの信号ループ/GNDループと鎖交していたのだと思います。

これですっきりしましたので、現在計画中のフォノイコライザ(MC専用ハイゲインタイプ)を作る場合は、無塗装(ループが塗装で途切れないため)のアルミケースにトランスを入れ、それをシャーシにいれて、リーケージ対策をしてみようと思います。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« NEWヘッドホンアンプ ヒートシンク付けたよ | トップページ | 2020年になりました »

サイト内検索(new)

2025年2月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28