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2019年9月 7日 (土)

トランジスタ技術 10月号に黒田式アンプ基板が掲載されます

9月10日ころ発売のトランジスタ技術 2019年10月号に黒田徹氏が回路設計したゼロディストーションアンプの基板の記事が載ります。

このアンプ基板は、昨年の3月に話が浮上して4月に製作、GW中に最初の記事を書きました。

Toragi10c
    < アンプ基板は付録されません >

昨年の7月に開催されたエレキ万博2018に本機が展示されました。
直前に発売されたトラ技には、雑面の都合で黒田氏の回路シミュレーション記事のみ掲載されて、私が書いた分の原稿は流れに流れてました。

 

時期が流れてしまったおかげで共立電子さんの協力を得てキット化もできました。

Toragi10b

黒田氏にお会いして、いろいろお話を聞けたのもそうですし、アンプ基板の製作を通して超低歪アンプの計測の難しさを体験できたのも、とても貴重な経験になりました。

CQ出版さんには感謝です。

 

もし興味がございましたら10月号のトラ技、立ち読みでもしてみてください。

 

基板設計の話、放熱設計、黒田氏とやりとりしながら歪率を下げていくストーリー、疑似A級いろいろ、JEITA測定基準、などなどテンコ盛りで3回に分けて原稿を上げたのですが、かなり削減されて一部しか掲載されてません。

特に開発ストーリーは面白いと思って書いたのですけども、私の思いあがりだったようです。問題に直面したとき、どう解決していくのか? という部分に技術的な面白みがあると思っていたのですが、カットして結果のみ掲載です。

 

Zda_01

誌面の最初のページに乗っている写真はトランスが2個バージョンの初期のモノです。

途中で共立電子さんの300VAトロイダルトランスに変更して、最終バージョンになっています。

Toragi10

このトランスはケース入りの低磁束漏れタイプのトロイダルトランスで、大変素晴らしいものになっています。

市販品で探してもケース入りのトロイダルってほぼ見つからないですよね。最近ではオーディオメーカーでも乗せることが少なくなりました。

 

 

 


トラ技は、技術誌ということで音質うんぬんに関しては書いていません。

ここでは何の制約も受けないので、オーディオアンプとして音質面について書こうと思います。ちなみに試作は3回してます。

 

第1試作のツイントランスバージョン

トランスを含めて電源が左右で独立した構成なので、チャンネルセパレーションは抜群。そのおかげで空間描写に優れていました。

音質は、これまで聞いたことないレベルの「やわらかく、優しい音」で、刺激は一切ありません。

弦楽四重奏はすぐそこに浮かんでいるような雰囲気で心地よい空間が生まれます。

 

ただ、あまりに優しく、アタック音が前に出てきません。ロック、ジャズ、ポップス、R&B、フュージョン、打ち込み系などなど、私が好んで聞くジャンルで消化不良を感じていました。

例えるならば、ダイナミックスピーカーを使っているのにコンデンサ型スピーカで聴いているような雰囲気です。これはこれで一部のユーザーにはウケそうな音とも思います。

その後アイドリング電流を550mAから300mAへと減らしたバージョンでは、ふわふわで優しい音が引っ込んでしまいました。疑似A級(トランスリニアバイアス回路)といえどもアイドリング電流の影響を避けることはできないのかもしれません。

Zdr01
      < 初期バージョンの基板 >

ハムノイズ低減、共通インピーダンスの撤廃、アイドリング電流削減などなど、黒田氏と協力しながら歪率を下げる対策をしていきました。

 

 

ケース入り300VAトロイダルトランスバージョン

ドラムもベースもギターもピアノも、アタック音のすべてが鳴りを潜めていたのがウソのように解き放たれました。

軽快かつ、パワフル、それでいて嫌味な音が全くない自然さ。
ボーカル領域の明瞭度と奥行きも素晴らしいです。

 

トランスを変えて、こんなにも変貌するとは思っていませんでした。「アンプの音の半分は電源で決まる」なんて話もあるくらいですから驚かないつもりでいたのですけども、驚きました(笑  電源の違いモロにさらけ出すポテンシャルの高さがこのアンプにあるということなのかもしれません。

 

トランスを変えて歪が増えたのではないか?

という疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。

 

私もそう思ってスポット的に計測してみたのですが、なんと、全く変わりません。

これだけ「音が違うのに」です。

 

また新たな疑問が生まれてしまいましたね。

アンプは奥が深いです。

 

 

 

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パワーアンプ」カテゴリの記事

コメント

トラ技発売前?の質問で恐縮です。#本誌に記載があったりして(^^;;;
この共立電子さんの300VAトランスはどんな仕様なのでしょうか?
また、共立エレショップの通販ページでの扱いは無い様子ですが、一般販売の予定はあるのでしょうか?

いちあいさん

原稿を書いたのが昨年で、この300VAトランスを試作していただいたのが、今年の4月ころ。 ですので、記事中には一切登場しません。
キットの紹介写真として掲載されただけですね。

単体での発売は不明ですが、共立電子さんはユーザーの意見を尊重してくれるので、問い合わせしてみるのはいかがでしょうか。

仕様は、ざっくりと下記のようになっています。

1次:0-100-120V
2次:0-30V5Aが2回路

120Vタップに100Vを入れることで2次側を整流して32Vくらいになります。
8Ω負荷で40Wから50Wクラスのアンプとして丁度良いです。

100Vタップに100Vを入れると、整流後の電圧は40Vくらいになるかと思います。

こんばんは、オーシャンです

アンプキットはこちらだったんですね
D級アンプだと思っていました
お値段もかなり高価の様ですが、加工済みのケースが付いているのでしょうか?
CQ出版が直接扱うのですか?
トランスは、VFA-01に使うには、高過ぎですかね
2次側の巻線を4組にして、直並列で電圧を変える仕様は高くなりそうですね

オーシャンさん

そうです。加工済みケースや配線ケーブルまで、すべての部品が揃ったキットです。ただし、組み立てるための工具は別途必要です。

CQ出版のwebショップ扱いと書いてありますね。

VFA-01に使うトランスとしては、少し電圧が高いので定数変更をしなければいけません。電解コンデンサの耐圧も25V品だと足りないので50Vに変更する必要がありますね。

回路構成や基板の方は100Wクラスまで耐えうる設計にしてありますから、定数の再設計さえすれば大丈夫です。

D級アンプの方は、現在、部品実装屋に行っています。9月中には納品されるのではないかと思っています。たまたまキャンペーンをやっていて当初の予定よりも価格が抑えられたので、一発限りの頒布価格になりそうです。

個人的な経験になりますが、LME49990のような超低歪のオペアンプの音を何種か聴いてみましたが特に素晴らしいとは感じなかったこと、それらより一桁歪率の悪いMUSES01の方が音が良かったことなどから、歪率に疑問を持っています。

具体的な例として、44.1kHzのPCMで1kHzの矩形波を再生しようとした場合、CDPのラインレベルでも5.66V*44.1kHzで約250V/μSものスルーレートが必要になる可能性があります。
これだけのスルーレートがないと「波形によっては歪む」という状況を、サイン波による計測では見えてきません。
オーバーサンプリングフィルタを通しても0V付近のスルーレートはあまり変わらないのではないでしょうか。
実際にはここまで極端な信号を含む音楽があるかは不明ですが、ハイレゾやDSDはCDより高速のトランジェントが可能なフォーマットであることを忘れてはいけないと思います。

パワーアンプでは電圧スイングが大きくなる分、さらに高いスルーレートが必要なうえ、大電流のデバイスは高速で動かすのが難しいため、通常のリスニングレベルとかけ離れた出力のアンプを求めることにも疑問を持っています。
同じ歪率の10Wのアンプと100Wのアンプが同じスルーレートでなかったら、どちらを選ぶべきでしょうか。

MUSES01はスルーレートがさほど高くないのに音がいい理由ですが、シンプルな回路でレスポンスをよくすることで早く出力が変化し始めるようにしてこのような歪が生じにくくしているのではないかと考えています。

できれば低歪の方がいいですが、オーディオは出てくる音が良ければ測定値はあまり気にしなくていいのではないかと思っています。

ブログではいつも拝見させてもらっているけど
たかじんさんの開発ストーリー読みたかったですww

とんでもない計算間違いをしていました。
μSじゃなくmSなのでスルーレート自体は問題ないですね。
申し訳ありませんでした。
しかし、本来オーディオ用ではないAD811やTHS4631を流用するのは以前から行われていて、これらのオペアンプはトランジェントに重点を置いています。

また、音場再現に優れた環境だと、頭を少し動かしただけでも音場の変化を感じ取ることが出来るので、人間の耳は特にトランジェントに関して敏感だという印象を持っています。
敏感だからこそ、生音かどうか瞬時に判断できてしまうのだと思います。

ところが、歪率の測定法はトランジェントをほとんど考慮していないのが疑問を感じる点ということになります。

名無しさん

おっしゃること分かります。度の過ぎたS/N比やひずみ率は、おそらく人の耳には影響を及ぼさず、それ以外の部分の方が支配的になるような気がしています。

スピーカーのひずみ率は、さほど良くない(1%程度)ので、スピーカよりも一桁以上低歪(0.1%以下)であれば、十分という話も聞きますね。

ただし、正弦波で計測する静特性が良くないアンプは動特性も良いわけはないので、ある程度の指標にはなるとは考えています。

それと、普通の部屋で聴いているときの音量(出力電圧)は意外と小さいので、フルパワー時のひずみが小さくても大きくても、さほど関係ないという可能性もあります。1W以下を重視するというFirstWatt(ネルソン・パスさん)の考え方も、アリなのかもしれません。

メーカーがカタログスペックを重視するのは少なからずセールスへの影響があるからと思います。

同じ3万円を出して購入するとき、THD+N 0.01%のアンプとTHD+N 0.002%だと、理系の人や音を聴いても違いがよく分からない人は0.002%の方を選ぶ可能性が高くなります。(デザインやサイズも似たり寄ったりの場合)

てんねん水さん

ありがとうございます。そう言っていただけると少し救われた気分になります。

ツイントランスバージョンが「JAZZピアノの鋭いアタック、ドラムスのパワー感が物足りない」のは、「40W出力を得る電圧に対して1ch分の電流をギリギリ供給できるトランス」だからなのでしょうか?
余裕のある容量のトランスで、L/R独立トランスにしたらどうなるか興味ぶかいですね。

すぎさくさん

その可能性もありますね。 ただ、試聴しているときのパワーは平均で0.5Wも出していない領域です。(ピークで10W出ているかどうか)

以前、RSで売っているトロイダルトランスをいくつか試したときは、ほぼ同じ容量のトランスでも音に差がかなりありました。

おっしゃる通り、大きなトランスを左右独立、可能であればシャシーから分けたモノラルアンプ2台で組んでみたいですね。

共立で販売が予約受付開始されましたね。

Isingさん

情報ありがとうございます。 どこかに載っているのでしょうか? 店頭にて予約受付???

たかじんさん。URL張リます。
https://eleshop.jp/shop/g/gJ9D411/

Ising さん

ありがとうございます。 通販サイトでも予約受付しているんですね。

音が良い?電源トランスへの興味はいまだつきません。ファンダメンタルやソウルノートの設計者の話からもケース入りが理由では無い気がします。
おそらくバンドーエレクトロニクスへの特注品かなと推測します。名だたるオーディオメーカーへの納入実績があるので、オーディオ用トランス造りのノウハウの集積があるのでは?工場は国内では無いようですが。

onajinn さん

製造メーカーはわかりません。金属ケースに入っているため輻射ノイズが減り、周囲の回路に影響を及ぼさないという部分で効果はあると思います。もちろん唸り低減の効果も。音質面では、一体どこで差が生まれるのか、なんとも不思議です。

ソウルノートさんはトランスの防振もダメ。ケースもダメと言っていますね。

「トロイダルはこんな音」と決まらない事だけは分かってきました。EIやカットコア、Rコアトランスのように巻線を隙間なくキレイに巻くことができない構造上の問題で、良いトランスと良くないトランスとの差が大きいんでしょうね。

黒田式Zdistamp_TG01を購入し、このアンプを人生最後のアンプとすべく、金属箔抵抗・SEコン等に部品を変更して組み立てて使用しております。
ところが、音は最高なんだが1時間も使用してアンプ横のヒートシンクを触ると結構熱くなっていて、「こりゃ夏は使えんかも」などと思っておりました。
そんな折、「寄生発振対策」として、回路定数変更等の案内が部品付きで届きました。
この対策を適用した後、同じように使用して1時間後位にヒートシンクを触ってみると「な、な、な、なんと冷たい。」のです。
これで夏も安心して使えそうですが、トランジスタアンプでこんなことってあるのでしょうか。

黒霧さん

ご購入ありがとうございます。
初期の定数ではドライバー段からの発熱が多い設計でした。ヒートシンクにしっかり付いていればトランジスタが壊れるほどの温度ではないのですが、電解コンデンサなど周囲の部品に影響を及ぼす可能性があったため、クリップ時の寄生発振対策と一緒に電流値を少し下げることにしました。
おっしゃる通り、発熱が下がったおかげで夏場の使用でも安心感がでてきました。

それにしても金属箔抵抗、SEコンデンサとはすごいですね。

たかじんさま

なるほど。発熱対策も含まれていたのですね。
やってよかったです。
私のボリュームはいつも7時前後なので4Ω負荷でクリップなど関係ないかなと思っていました。
それにしてもC2,C3に使っていたSEコンは涙を流しながらはずしました。(笑)
PS.
対策実施後は、微妙に音が軽くなったのと音域が高域寄りに上がったように感じました。エージング不足か気のせいかもしれません。
いずれにしても素晴らしいアンプをご提供いただきありがとうございました。

黒霧さん

通常のご家庭での使用では、クリップするほどほ音量までは上げないと思われますが、低能率なスピーカーを、大きな部屋(デッドな部屋)で大音量で鳴らそうとするとすぐに到達してしまいます。

C2,C3のSEコン、もったいないことをしてしまいましたね。。。どこかで活躍の場があればよいのですが。。

おっしゃる通り、音質的な変化も多少あるようです。実は高域の伸びとスルーレートは位相補償を増やしたので落ちているのです。ですが聴感上で伸びているように感じるのは不思議ですよね。
アイドル時の消費電流が減ったおかげで電源への負担が減っているのも影響しているかもしれません。

たかじんさま

SEコンについては、ケミコンにパラると良いという話もありますので、お気を使われなくて大丈夫です。
ヒートシンクが熱くならないのであれば、今回どこかにつけておけばよかったです。
そういえば、当初より回路図にはないケミコンを方チャンネルで2個追加してあります。
何故かというと、べるけ氏が、http://www.op316.com/tubes/hpa/2019-hpa.htm(勝手にリンク貼ってしまってます。申し訳ございません。)の図<4>でダイオードをコンデンサでバイパスすると良いと言っておられたからです。
私は、電気回路のことは分かりませんので、随分悩みましたが、「やってみてダメだったら外せばいいや。」と、1,000μF/25Vのケミコンでバイパスしてみました。
実装には工夫が要りましたが、結果として良い音で鳴っておりますのでほっとしております。

黒霧さん

バイアス生成部にコンデンサを入れるのは、音質を調整するときによくやりますね。ひずみ率は殆ど変わらないのですが、聴いた感じはだいぶ変化があります。
ただ、電解コンデンサを入れても10u~100uFあたりが多いと思います。さすがに1000uFは私も入れたことありません。

個人的な意見ですが、容量を大きくするとキメ細かい音が少なくなって信号トランスを介した音のようになる傾向があると思っています。最終的には好みですので、容量を調整してみるというのもアリだと思います。もしかすると容量よりもコンデンサの種類によって違いが出るかもしれません。

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