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2018年9月12日 (水)

ネルソンさんのA級アンプ

いろんなアンプを聴いてみようシリーズの続きです。

diy Audio にて配布していたネルソン・パスさん設計のAmp Camp Ampについては、以前、ちらっとだけ書いたと思います。送られてきたのは8月末で、ようやく組み立てて聴いてみました。

Aca00

ケースも一緒についていますが、このケースが色々と大変でした。

 

アンプ基板の方は、部品点数が少ない為とても簡単です。 取り説どおりにハンダして組み立てます。

Aca01

 

15分もあれば基板は完成します。しかし、そこからが難航しました。

シャシーのステーの位置が定まらないのです。

 

穴が大きくガタが大きい。気にせず組み立てると、ネジ穴が合わなくなりカバーが取り付けられません。

ネジ位置も悪く、組んでいくとドライバーが垂直に入りずらなくなってきます。斜めからドライバーを挿して仮止めしながら前後パネルと左右(ヒートシンク)を囲うように合わせて、底板をネジ止めして位置出ししてから、本締めすると良いようです。

3回くらい組んではバラして。。。ケースの組立てだけでトータルで3時間くらい難儀しました。

 

また、DCジャック部の接続がマニュアルと違う部品がついていて端子が足りなかったり、フロントにパワースイッチがついていて、その部分の配線が足りなかったりと、しばし考え込む状態に(笑

 

回路の詳細については、ネルソンさんが説明しているので、こちらの資料をご覧下さい。

Aca05

 

ざっり書くと、MOSFET(IRFP240)で増幅しているA級アンプです。回路の分類としてはソース接地アンプになります。電圧増幅率は10dBに設定されています。

この略図には載っていませんが、前段のJFET(K170)は、ソースフォロアで単なるバッファです。

電源は片電源で、SPK出力は3300uFのコンデンサでDCを切っています。

 

 

音を聴いてみましょう

電源をONすると、スピーカーのコーンが前後に揺らぎながら「ぎゅーん」 と発振音を2秒間ほどだして起動します。

真空管アンプよりは起動が速いです。ポップノイズが想像よりも抑えられている点は感心します。さすがに電源OFF時は「ばつん」っと盛大なポップノイズがでます。許容入力が5W以下のスピーカーでは負担が大きいかもしれません。

 

一番の懸念点は3300uFの出力DCカットコンデンサと思っていたのですが、想定以上に低音が普通に聞こえてきてびっくりしました。

 

まだエージングが十分ではありませんが、音質的な感想も書いておきます。

MOS-FETのシングルA級アンプという、半導体アンプ黎明期でもみたことない不思議な回路構成の割に、普通の音が聴けます。

信号が通る素子の少なさからくる音の鮮度の高さと、ほどよい響きの明るさがあります。普段から使用するアンプとして十分と思える音です。

 

もう少し詳しく書くと、低域に関しては非オーディオ用3300uFのコンデンサのおかげか、いくぶん軟らかく明瞭度が少し足りません。それでも安物のアウトプットトランスを使った真空管アンプよりは細かな再現性は出ていると思います。コンデンサ次第でもっと良くなる可能性があると思っています。

それ以外、中音域・高音域に関しては、なんとも絶妙な自然さで誇張がありません。

色付けがないというと嘘になりますが、耳障りな音を一切感じさせず爽やかな高音です。またボーカルの滑らかさも十分でリスニングを楽しませてくれます。もう少しだけ艶か、みずみずしさがあっら最高ですね。

IRFP240にこんな実力があったとは驚きです。大抵のアンプのMOSFETはソースフォロアで使用し、電圧増幅器として使っていませんからね。ネルソンさんの発想に感服しました。

 

ひずみは小さい方がよい? 大きい方が味がある?

歪率カーブは、パワーを上げるとひずみが増えていく、真空管アンプのカーブに似ています。そのため、パワーを入れてガンガン鳴らさないといけない低能率なスピーカーには合わない可能性があります。

Aca04

      <こちらの資料から抜粋

1Wで0.7%とかなり高めの歪率。 試聴は、ごく小音量で行ないました。おそらく0.1Wからピーク時で1W程度と思います。

能率が高めで、ゆったりとならせるスピーカーをお持ちでしたら、本領を発揮できるのではないでしょうか。今現在、私が所有しているスピーカー4種類(付録スピーカー含む)のうち1つだけ相性が抜群でした。

エレキットの300Bのキットよりも、私の好みに合います。

どちらも低域ゆったり系ですが、きめ細かい表現力はACAの方が上手と感じます。

 

半導体アンプでは、沢山の素子を使い、超低ひずみなアンプを作ることも可能ですが、このように極端に少ない素子数で組み上げるアンプの良さというのもありますね。そこは真空管アンプの音の良さに通じるものがあるのではないかと思います。

シミュレーションとはいえ、THD -170dBの超低歪アンプ回路を組んでいたのが恥ずかしくなる思いです。トラ技を読んで期待しちゃったひと。ごめんなさい。

 

やはりA級は熱い?

 

Aca02

割と大きめのヒートシンクがついているけど、かなりの熱を発して15分後には触れないくらいの温度になります。 24V電源で左右合わせて3Aほどのアイドリング電流が流れているため、常時、約70Wの損失があるからです。

寒くなってくる季節にはぴったりですね。

 

 

買ってはいけない人

色々と褒めていますが、以下のひとは満足できない可能性がありますのでご注意ください。

 

 ●真空管アンプよりも半導体アンプの方が絶対的に好きなひと。

 ●低音域の正確さを求めるひと。ベーシストなど職業病なひと。

 ●大音量派

 ●能率の低いスピーカーを使っているひと。

 ●空気感を大切にするひと。

 ●First Watt社の音 そのものを求めているひと。

 

10万円、20万円のメーカー製のアンプと比べて音が良いのかというと、また別次元の話になります。自作キットとして楽しむことができる人にはおすすめできると思います。

エレキットの300Bアンプに10万円を出す勇気がないので、ACAを先に試すというのは素晴らしく良い案ではないでしょうか。

 

 

 

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パワーアンプ」カテゴリの記事

コメント

試聴記興味深いですね。ちょっと違いますが昔 部品集めで終わったままの新井 晃氏シンプル・オーディオ・シリーズ(MJ 1986年ころ)を思い出しました。
“MOS-FET OTL A級 10W 4石パワーアンプ”組立ててみようかな。

R1~R4が目を引きます。 ご本人はSEPPとかSRPPとかmuなんとか言ってますね。

たかじんさん、こんにちわ。
いつも有益な情報をありがとうございます。参考にさせて頂いております。

ネルソン・パスさん設計のAmp Camp Ampということで、First Wattのアンプのエッセンスを抜き出した設計という感じですね。

一石アンプということでは、以下の様な基板を出されている所があります。音の違いなどが比較できたら面白いですね。

ご存じかも知れませんが、ご参考まで、、、

http://audioworks.ocnk.net/product/196

私も作りました。

少なくとも終段の3300μFの電解コンデンサーを交換すれば、音が変わるのか...

onajinn さん

そんな回路があるのですね。 MJは昔も今もすごいですね。
ぜひ組んで感想をお聞かせ下さい。


天 麩羅夫さん

R1~R4は、並列にしている部分もありますが、その中点をSPK-OUTにしているところが特徴的ですね。 個人的には上部の定電流回路も含めてすごく面白い部分と感じています。

定電流回路なのに、インピーダンスが高くない回路に見えるのです。 そんなことありえる???


Masa Yossyさん

URLありがとうございます。 そちらの回路はソースフォロアなので電圧増幅していないですね。 パワーアンプの出力段を切り出したようなアンプと思います。
ヘッドホンアンプの出力を増強するような使い方で真価を発揮するのではないでしょうか。


AYOR さん

さすがです。 取説では3300uFは松下のコンデンサがついていますね。 私の所に送られてきたものは、どこかよくわからないメーカーのコンデンサでした。

低音域のアバウトささえ解消できたら、更に良くなると思いませんか?

 ウチのには、Cornell Dubilierの電解コンデンサーがついてきました。この容量は、入手可能なモノの選択肢があまりないですね。
 異なった容量でも良いのなら、選択肢は拡がりますが、なぜこの容量なのか、同ブログでも見つけられません。

低域は2台用意してBTL駆動させると多少マシになりますよ!
起動時の発信音やOFF時のポップノイズもなくなったのでお勧めです。

中高域はたかじんさんとまったく同じ印象を持ちました。マランツのPM11S3を使っていますが、そちらと比べてもより自然だと感じました。

しかしこれ、改造するのはちょっと躊躇してしまいますね。低域以外はすでに良いバランスなのでこれを崩さずにレベルアップというのは難しいように感じます。

最終段のカップリングコンデンサ以外、オリジナルの容量は変えず、コンデンサのを交換しています。diyAudioで最終段を10000μFにしている人のを参考にしています。

AYOR さん

CDEはCornell Dubilierですね。 大変失礼しました。 どこか中国あたりのコンデンサかと思っていました。

3300uFという容量は、低域の下限ですね。 それ以上の容量があれば帯域が狭くなることはないと思います。

10000uFとはスゴイ。 3300uFでも低域が狭い感じはしないので容量よりもコンデンサの品種による違いが出てきそうです。


towano さん

なるほど。 というか、いきなり2台投入ですか。 素晴らしいです。
金額が金額なので、そこまでは行けませんでした。

おっしゃるとおり、低音以外は完成度がかなりのものと思います。 PM11S3を超える勢いとは驚きですね。

それでもFirst Wattの製品よりは歪率が高いので、なにか工夫すると、同等になるものなのか、考え込んでいる次第です。 電源電圧を落として、アイドル電流を増やすなんてのはどうかなって思います。

昔の話で恐縮ですが、数年前にTRS-12なるRコアトランスを頒布され、私も3個程手にすることができました。
現在は完売とのことですので、特注で注文しようと思っていますが、メーカーがわかりません。
是非とも本トランスのメーカ名を教えて頂きたく、宜しくお願い申し上げます。

k1_kash さん

TRS-12を3個ですか。その節はありがとうございました。

メーカーはフェニックスさんです。TRS-12という型番でコアサイズRA20で注文していたものです。

仕様は下記です。
https://nw-electric.way-nifty.com/blog/trs_12.html

リピートとして発注できれば、全く同じものが入手できるかもしれません。 2~3個まとめるなら、私が頒布していた時よりも安く入手可能かもしれませんね。(私が中間マージンを少し頂いておりました)

よろしくお願いいたします。

たかじん 様

連絡をありがとうございます。助かりました。
場違いな質問で誠に申し訳ありませんでした。

3個のTRS-12は現役で活躍中です。電圧設定が絶妙なので、5V、3.3V用として使用しております。それでも数が足りなくなったので発注に先立ちメーカー名をお尋ねした次第です。
取り急ぎ、御礼まで。

k1_kash さん

たしかに、5V用のトランスとして、ちょうどよい電圧ですね。
あのあたりのトランスは、意外と良いものがなく、特注していました。

こんにちは。
今まで安いコンポで音楽を聞いていましたが、
雑誌の付録のOM-MF5と激安アンプLEPY2024+Sabreberry32を購入し,
SymphonicMPDで聞いてみて、音の良さに驚きました。
どうせなら全部DIYでより高音質をめざそうと真空管アンプのKITを調べていましたが、
LEPYの置き換えにこのAMP CAMPはどうかなと思っています。
ボリューム調整用にプリメインがあったほうがいいのでしょうか。
それともソフトウェアボリュームで十分でしょうか?

ゆくゆくはたかじんさんのアンプ基板で作ってみたいですが電子工作初心者でちょっと自信がありません(汗)

Pogeline さん

ACAは、ケースも含めて購入するなら金属加工などをせずに組み立てられます。

音の方は、使用するスピーカーに大きく左右されると思います。

OM-MF5は中高音が歪感が少なくキレイなので、ぴたりと方向性はあっていると思いますが、低音が少ないので、重心が高めな音になってしまうかもしれません。

それでも、エレキットの6BM8キットよりは、多くの人が満足できる音が出るのではないかと思います。

私もACAを聴く時は、Sabreberry32のh/wボリュームで絞っていて、外付けの可変抵抗は使っていません。 ただ、Volumioなど、起動したときに最大音量になっていたりすることがあるので注意が必要です。

ちなみに、上で書き込みしてくださったtowanoさんのPM11S3というアンプは30万円以上する高級機です。
それよりも自然な音を聴かせてくれるということで、おススメできるアンプキットだと思います。

無知まるだしの質問に丁寧なご回答ありがとうございました。

Sabreberry32はH/Wボリュームを持っていたのですね。
安心してACAのBatch3の募集を待ちたいと思います。

Pogeline さん

起動したときに、大きなボリュームになっていると爆音がでるので、気をつけなければいけません。

そういう意味では可変抵抗のボリュームの使勝手のよさというのはあるのだと思います。

 10000uFのオーディオグレードの電解コンデンサに、その他、一部の電解コンデンサをPMLcapに替えただけで聞いています。

 DACとの間にボリューム(アッテネーター)を入れていますが、手持ちのスピーカーユニットで、聴感上、歪みやノイズが乗らないようにするには、音量を絞らざるを得ません。低音量時にも、発振はしていないと思われますが。

 BTLで、2台使われている方がおられましたが、1台では厳しいかもです。ニアフィールドならOKですが。

AYORさん

コンデンサを交換しましたか。 私の方はまだ手付かず。

能率の低いスピーカで音量を上げようとすると、歪みの多い領域に突入してしまうことになるのであまり良くないかもしれませんね。

さすがに1%歪みだと耐えられる人が減ってくるかと思いますので、1W以下で使うのがこのアンプのおいしい使い方と思われます。

以前書いたエレキットの300Bも、音量をあげると響きがあつかましく感じるようになってくるので、同じように低出力で使うのが適切な領域のようです。

右肩上がりでひずみが増すアンプは、最大出力の1/10以下のパワーで使うのが幸せかもしれません。


また、この回路で気になっているのは、デカップリングコンデンサの容量です。 左右それぞれ10uFしかない。 パワースイッチの後に4700uFくらいは欲しいかも。

近々、友人用にこのアンプを作る予定です。もしその後の検討での改善案があったら教えて頂けませんか?

ヨシダ さん

そうですね。ACAは中高音域に関して文句のつけようがない完成度で素晴らしいのですが、低音域がややボンヤリしています。

そこを改善するのがとても難しいです。量感は十分なので容量が足りていない訳でもありません。

ということで、電源デカップリングを追加してどう変化するか? という部分くらいでしょうか。

返信ありがとうございます。電源の強化ですね。
たかじんさんのアンプ(hpa12,hycaa,alx03)でも電源強化は変化が大きくて驚きました。
まずは4700μF(片側?)から試してみます。

ヨシダさん

いえ、その4700uFは、出力のカップリングコンデンサです。

基板に小さい10uFが付いてます。そこが電源のパスコン(デカップリングコンデンサ)です。

アンプの電源って影響力大きいですよね。。

質問ですがよろしいでしょうか? ACAの標準キットを(PSU24V)作りました。調整のところで、Q1の2ピンを測ると24Vでした。左右とも同じです。調整なので、POTをぐるぐる回しても12Vまでは下がらないのではないかと思って、そこでやめています。基板からの配線は間違いないように思うのですが、どこに問題があるか、どうすればよいか、(当方はあまり技術的な知識がないもので)考えられそうなことがありましたら、ご教授いただければ助かります。

失礼いたしました。ミスを発見いたしました。全然無意識に取り付けていたMOSFETですが、足を曲げる際に反対に曲げたようで…。お騒がせいたしました。現在修正中です(笑)。

supslv66 さん

判明してよかったです。
MOSFETが壊れていないことを願うしかありませんね。

壊れてはいなかったようで、(たぶん)正常に鳴っております。最初はモヤッとしてましたが、だんだん、良くなってきています。お騒がせいたしました。

楽しく拝見させていただいております。ACAのQ1を秋月電子で販売しているSiCFETに交換したところ、分離の良い素晴らしい音が得られました。全くのdrop-in replacementです。お奨めはUJ3C065080T3S、@¥590。TO-220と小粒ですが分離の良い音を聴かせてくれます。
This SiC FET device is based on a unique ‘cascode’ circuit
configuration, in which a normally-on SiC JFET is co-packaged with a Si
MOSFET to produce a normally-off SiC FET device.
Enhancement タイプですので、Nelson PassがSITシリーズで狙うところをACAで簡単に真似ることができるような、、。

しろうさん

情報ありがとうございます。
TO-220のSiC-MOSFETなんですね。 SiTはデプレッション型だと思うので、サイプレスのSiCあたりですかね。 SiC JFETなんて書かれ方もしていました。

Pchは存在しないので、準コンプリもしくはA級動作になりそうですね。


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