Select Your Language

免責事項

  • 本サイトの情報の利用、内容、サービスによって、利用者にいかなる損害、被害が生じても、著者は一切の責任を負いません。ユーザーご自身の責任においてご利用いただきますようお願いいたします。

    本サイトで頒布している基板およびキットは、技術者、またはそれに準ずる電気的知識をお持ちの電子工作ファンの方のためのものです。一般のオーディオファンの方のためのものではありません。
    また、頒布基板およびキットは、いかなる条件でも動作を保証するものではございませんので、あらかじめご了承ください。

    電子工作では、火傷、感電、火災などの可能性があります。十分に注意をして作業して下さい。

    営利目的のご使用は認めておりません。 記事の転載や、基板・キットの商用利用の方は、ご連絡ください。学生やサークルの学習目的でまとめてご購入する場合は特別価格でご提供させていただきます。
無料ブログはココログ

スポンサー

« Sabreberry32 フル実装のご案内 | トップページ | 格安の電流プローブは使えるのか? »

2018年7月 1日 (日)

回路シミュレーションと実際の回路

電子回路シミュレータは非常に手軽で、色んな回路を試すことができます。

パソコンの性能もあがり、SPICEエンジンを使ったシミュレーションソフトウェアが無料になり、だれでもやる気になれば、面白い回路をひねり出せるようになってきました。

Widlar_hpa1_2

例えば、こんな感じ。(全回路はちょっと伏せさせてください)

ヘッドホンアンプを想定して、負荷は30Ωです。

 

 

FFTの項目をみると、2次高調波、3次高調波がおおよそ-175dB です。 信号は1kHzで0dB(LTspiceは1Vppが0dB)

LTsipceは

.Four 1k v(out)

.option plotwinsize=0

というオプションを回路図中に記載しておくと、歪率(THD)を数値としてみることができます。なぜか右クリックの「Error log」から見ます。

Widlar_hpa2a

結果はこんな感じ。 0.000003%

 

実際に組んだとしても、多分、ありえないですね。

トランジスタの種類は適当に選んでます。NPN、PNPの表記のままだと理想トランジスタとしてふるまうので、適当でも何かの型番を選ぶ必要があります。

最終段のトランジスタのアイドリング電流は約30mAに設定しました。初段も2mAくらい。その他も含めて現実的な電流に設定しています。

 

では、なぜ、こんなに歪が小さくなっているのか?

という種明かしはNFBにあります。 超多量NFBです。

Widlar_hpa3_2

オープンループ特性はご覧のとおり。 150dBほどの増幅率があります。

近年のオペアンプで140~150dBくらいあるのをデータシートで見たことがありますので、現実世界でも2段増幅で140dBという増幅率というのは可能な気がしますね。難しいのは多量のフィードバックをかけても発振させないことの方です。

この回路の仕上がりゲインはおおよそ20dBなので、1kHzでは約90dBのNFBがかかっていることになります。

素の特性を-80dBのひずみに抑えることができれば、理論上-170dBという驚愕の歪率が出せます。 シミュレーション上の話ですけども。。。

 

ちなみに、現在販売されているなかで最も低歪率まで測れる測定器はAudio PrecisionのAPx555だと思います。 -120dB(0.0001%)を切るくらいまで計測可能です。

30年くらい前に開発されたパナソニックVP-7722Aは1~10kHzで-130dBまで計測可能でした。シバソクは更に上。 Audio Precisionも、ようやくこのレベルに登ってきたかという感じです。「APはグラフがかっこいいだけ」と酷評されないレベルになって嬉しいですね。

 

ということで、本日はシミュレーションあそびでした。

 

 

 

 

 

 

ちなみに、ナショセミあたりが始めたオペアンプの超低歪率な測定方法は、40dBのゲインで計測して、ユニティゲイン時(0dB)にはその計測値の100分の1にできるという数値マジックを使っています。

計測時に0.005% という数値がでたものを

データシートで0.00005%と謳う のです。 マジです。

Ns_thd  

System Twoという、高精度ではない測定器でもすんごい歪率を出せるマジック。JEITAのような測定方法・カタログスペックへの表記の統一規格がないので何でもありの世界なんですかね~ 大きな数字を出したもの勝ち!!

 

近年のオペアンプのデータシートは鵜呑みにしてはいけないのかもしれません。

少なくとも、別のメーカーやデータシートを作った時代が違うと同列比較できません。

やたらと良い数字が載っているものには気をつけましょう。 1nV/√Hzあたりの低ノイズOPAMPも怪しいかもしれませんよ。 NJM5534と同列比較して、むしろノイズが多かったりもしていましたし。。。

 

 

 

 

 

にほんブログ村 PC家電ブログ PCオーディオへ にほんブログ村
ブログランキングに参加中です。 めざせ1位! 
もしよろしければ「ぽちっと」お願いします。 

« Sabreberry32 フル実装のご案内 | トップページ | 格安の電流プローブは使えるのか? »

電子回路」カテゴリの記事

コメント

ワイドラー型電流源。。。

何やら新しいヘッドホンアンプの予感。。。!?

buntaさん

するどいですね。

色んな回路を模索しています。
ヘッドホンアンプとしてはあまりに低歪率だとつまらない音になるので、おそらくこのような超低歪狙いのアンプにはしません。

nzatoです

 昨年、HPA-12を作ったとき、公開してもらった回路でシュミレーションを試しました。入力の差動回路でどのくらい増幅されているのかと、差動回路の出力部分にプローブをあててみると、波形が見られず驚いてしまいました。
 落ち着いて確認してみると、低いレベルで出力されていることが確認できました。バッファーと出力段の増幅度が、差動回路のNFB量として働くので、ヘッドホンへ2VPPの出力を出していても、差動出力は5mVPP程度でしかありません。これでは、小さなー60dB程度の信号ではマイクロボルトレベルになり、回路のノイズに影響されてしまうのではないかと心配になり、低NFB回路で作成しました。
 大きなNFB量で、扱う信号レベルを小さくしてしまうことに問題は起きないのでしょうか。

nzato さん

鋭いご質問です。

おっしゃる通り、初段のコレクタ側は、とても振幅が小さくなっています。
NFBがかかっている状態では、その差分が現われるためです。 差分が小さいということは、入力と出力の波形が似ている(相似)ということです。

低NFBと高NFB回路を比較してどちらがノイズに強いのかというのは、シミュレーションでノイズに見立てた信号を電源にいれてみて、出力に現われるかを見てみると良いと思います。

ただ、音質に関しては別の次元の話と考えるのが妥当ですね。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 回路シミュレーションと実際の回路:

« Sabreberry32 フル実装のご案内 | トップページ | 格安の電流プローブは使えるのか? »

サイト内検索(new)

2023年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31