Select Your Language

免責事項

  • 本サイトの情報の利用、内容、サービスによって、利用者にいかなる損害、被害が生じても、著者は一切の責任を負いません。ユーザーご自身の責任においてご利用いただきますようお願いいたします。

    本サイトで頒布している基板およびキットは、技術者、またはそれに準ずる電気的知識をお持ちの電子工作ファンの方のためのものです。一般のオーディオファンの方のためのものではありません。
    また、頒布基板およびキットは、いかなる条件でも動作を保証するものではございませんので、あらかじめご了承ください。

    電子工作では、火傷、感電、火災などの可能性があります。十分に注意をして作業して下さい。

    営利目的のご使用は認めておりません。 記事の転載や、基板・キットの商用利用の方は、ご連絡ください。学生やサークルの学習目的でまとめてご購入する場合は特別価格でご提供させていただきます。
無料ブログはココログ

スポンサー

« M3 タッピングを電動ドリルで一発!? | トップページ | ympdからI2S-DACを選択する »

2018年4月21日 (土)

MQA-CD ハイレゾデータが入るCDとは

かなりマニアックな話題ですが、かつてHDCDというフォーマットがあったのをご存知の方はいらっしゃるでしょうか。

Hdcd

HDCDは、録音からエンコード、デコードまでを決まった規則にそって作られた機器を用いることで20bitや24bit相当のデータを、CDに記録・再生できるというものでした。サンプリング周波数は44.1kHzです。HDCDに対応していない普通のCDプレーヤーでもオプション機能は働かないけど20bit/24bit相当の音が聴けるというものでした。

世の中にHDCDに対応したCDプレーヤーが少なかったのと、対応したディスクも少なかったため、相当なマニアしか知らないと思います。

 

HDCDの詳細はこちらをご覧いただくとして、ざっと書くと、ディザにより24bit相当の音を16bitに入れ込むのと、HDCDを認識する隠しコードをLSBに定期的に挿入しています。

似たような技術にソニーのSBM(Super Bit Mapping)やビクターのK2スーパーコーディングもありました。こちらは録音側だけの技術で16bitのデータに20bit相当の音をいれてあり普通のCDプレーヤーで再生することを前提としています。 20bitや24bitのデータを16bitに入れるディザ技術に関してはこちらを読むと良いかもしれません。

 

HDCDの場合は、識別コードをLSBに定期的に挿入しているため、厳密に言うと本来の音とは違うもの(ノイズ)が入っていることになります。HDCDデコーダーはこの隠しコードを認識してゲインを換えてます。また、オプションがあって潰したピークを元に戻したり、低レベル録音物のブーストを戻したりする機能もあるようです。(これらオプション機能をイネーブルしたディスクは非常に少ないらしい)

ということで通常のCDプレーヤで再生しても24bit相当の分解能で音楽を聞けるというメリットを受けられます。

ここまで、いずれもサンプリング周波数は44.1kHzです。

 

 

脱線しすぎました。

 

話題のMQA-CDですね。

Mqa01

HDCDやSBMなどと時代が変わっていますので、MQAはCDフォーマットへ176.4kHz/24bitや352.8kHz/24bit相当の音を入れられるようになっているようです。

どんな仕組みかといいますと、

Mqa_02

エンコード時は「Cの領域」を「Bの領域の微小領域」へ。 それを含んだ「Bの領域」の音を「Aの領域(可聴帯域)の微小信号領域」へと折りたたむように入れ込んでいきます。

 

Mqa_03

デコード時は、元の位置へと展開します。

MQAの説明では「音楽の折紙」という表現をされているようです。

 

20kHz以上の高域は音圧が低く、リニアPCMのように全ダイナミックレンジを確保しなくても良いので、非常に小さなデータとして扱える(圧縮すると更に小さくなる)という特徴を利用しています。 また、可聴帯域でも-120dBよりも小さい音は殆ど聞えていないので、その部分に押し込んでしまえ! という斬新で面白いアイデアです。

乱暴に言ってしまうと 20bit未満の微小データはどうせノイズだから、そこを利用しました! という感じですね。

4bit分が高域データのようです。

 

上の図は、MQAの冊子からのスキャンです。 MQA-CDではないので、折りたたんだ状態(下段の左側)でもダイナミックレンジが168dBあるような図になってます。CDフォーマットに入れるには16bitという限られた器の中へ高域データを押し込むことになります。

また、HDCDと同様、PCMデータに混ぜ込んである状態でMQAと認識できる隠しコードがあり、対応DACはその識別コードを発見するとMQAデコードモードに移行します。つまり、リッピングしてもデジタルボリュームやデジタルイコライジングなどでPCMデータを加工しなければ、MQAデータが保持されます。

 

理論ダイナミックレンジ DRは DR = 6.02n + 1.78 dB ですから

16bitのCDのダイナミックレンジは約98dBです。

同様に

20bitの理論DR:122dB

24bitの理論DR:146dB

32bitの理論DR:194dB  となります。

 

ここからは推測ですが、

MQA-CDは、LSB側2bitを使い、高域側のデータを圧縮して押し込んでいるのではないかと思います。 つまり、リニアPCMのデータ14bit高域データ2bit で構成されている?

普通のCDプレーヤーで再生すると、LSB側にノイズが入った14bit相当(86dB)の音楽がでるので普通に聞ける。という仕組みではないかと思います。

上の折紙の斜線部のダイナミックレンジ幅からすると、圧縮した高域差分データが4bitの可能性も考えられますね。 その場合はリニアPCM 12bit + 高域データ4bitという配分になります。

Mqa_04

<< CDに入る16bit(98dB)へ高域データを押し込む >>

いづれにしても、MQA-CDを通常のCDプレーヤーで再生した場合、16bit分が有効な普通のCDと比べてLSBデータ側が確実に破壊されていますので本領を発揮させるには、MQA対応機器が必要と思います。

誤解を恐れずにかくと、CDの14bit(12bit)未満のデータはどうせノイズだから、そこを利用しました。 ってところでしょう。 コレ、いいのかな???

 

AV-Watch

CDなのにハイレゾ? ユニバーサル ミュージックの「ハイレゾCD」を聴いてみた

から抜粋

既発売のCDと、ハイレゾCDのCD再生を比較すると、ボーカルや楽器の輪郭が、ハイレゾCD(CD再生)の方がシャープで、繊細な描写となる。全体として音がシャキッとして、細部も見やすく、見通しが良くなった印象だ。

 

とのことです。マスタリングの違いもありそうですし、多少ノイズがある方がよく聞えるという心理的な効果もあるので、こういう意見も間違いではないかもしれません。

 

 

■まとめ

それぞのCDを普通のCDプレーヤーで再生した場合を分かりやすくまとめると、

 HDCD : 20/24bit相当・122/146dB(たまに挿入される識別コードがノイズとなる)

 SBM、K2 : 20/24bit相当の音・122/146dB

 MQA-CD : 14bit相当の音(もしくは12bit相当の音)・86dB(74dB)

 

その他のCDは、こちらによくまとまっています。

e-Onkyoなどで楽曲データを購入するときも、MQA対応DACを持っていない(購入予定がない)のであれば、通常のハイレゾ楽曲を購入した方が良さそうです。

 

 

■MQAを試してみたい人は

http://www.2l.no/hires/

ここに、無料サンプルがあります。MQA(FLAC)と通常版(FLAC)を聞き比べしたいという方は試してみると良いと思います。ただし、ここのMQAは24bitデータですのでMQA-CD(16bit)のような分解能不足にはならないと思います。

 

 

※) 理論DRの「+1.78 dB」は正弦波を量子化したときの量子化ノイズ(主に三角波)の実効値が1LSBに対して1.78dB低くなるという補正量です。一説には1.76dBと表記している例もあります。

 

 

にほんブログ村 PC家電ブログ PCオーディオへ にほんブログ村
ブログランキングに参加中です。 めざせ1位! 
もしよろしければ「ぽちっと」お願いします。 

« M3 タッピングを電動ドリルで一発!? | トップページ | ympdからI2S-DACを選択する »

デジタルオーディオ技術」カテゴリの記事

コメント

いつも楽しい話題をありがとうございます。

HDCDやSBMのようにMQA-CDでも24bit相当のデータを14bitに入れてあるということはないでしょうか?

masack さん

とても目の付けどころが鋭いと思います。 その可能性もあるかもしれませんが、常識的に考えると何ともいえないですね。

というのは、16bit限界を下回る信号をいれるのはLSBが中心になるからです。 LSB側から2bitもしくは4bit分が別データでとられているとすると、微小信号をその上のbitに割り当てても、ほとんど意味がないと思われるからです。

いまのところ正式な資料がMQAから公表されていないので、想像の域を脱しませんね。

moracさん

それです。 記事中の図も、ほぼその図を流用していますが、CD版のMQAについては書かれていません。

16bitのデータに押し込むのはちょっとやり過ぎな気がしないでもないですね。
配信しているMQAデータは24bitなので、下位4bit分を高域データに割り当てて十分な効果が得られると思います。

どおりで音がよくないわけだ.

MQA-CDと通常版のCDを聞き比べると明らかに通常版の方が良い音がする.  キメ細かさがまるでなくなっているのだ.

LL-Brotherさん

まあ16bitの器に別の物を入れるので当然の結果ですよね。 さらにMQA社は、ちょっといやらしい戦略をとっているらしいです。

MQAのデコードソフトを搭載すると、MQAに対応していない信号を完全バイパスできず、音が劣化してひどくなるらしいです。わざとそういう仕様にしてバイパスを許していないとのこと。

新興メーカーは「新しい機能」が欲しくてMQA対応をひとつのウリにしていますが、アキュフェーズやDENONのDAC、CDプレーヤーなどしっかり音を聴いて判断する会社は採用を見送っている所からも伺えます。

通常のCDがこれまでの音で再生できなくなったら、客からクレームが来ますからね。 

本当に音が良くなるのでしたら、せこいことせずにバイパスを許せばいい。と思います。
ちなみに私がデモを聞いたとき、ハイレゾ対MQAで、完全にハイレゾ勝利でした。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: MQA-CD ハイレゾデータが入るCDとは:

« M3 タッピングを電動ドリルで一発!? | トップページ | ympdからI2S-DACを選択する »

サイト内検索(new)

2025年3月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31