Tinker Board S でSabreberry32をマスターにする方法
ASUSのTinkerBoard S は、TinkerOS v2.0.5からI2SのSlaveモード(DAC基板がマスター)をサポートするようになりました。
私もSを入手したので、さっそくSabreberry32も試してみました。
DAC基板がマスターとはどういう状況なのかを簡単に書くと次の図のようになります。
DAC基板上の低ジッター水晶発振源を基準にTinkerBoardがオーディオデータを送信してくれるようになります。これによりクロックジッターが少ない理想的なI2S信号が得られるようになります。勘違いする人もいる MCLK(マスタークロック)は、RaspberryPiやTinkerBoardに受信するポートがなく、DAC基板上のみで使用しています。余談ですがBeagleBone Black/GreenはMCLKを入力することが可能です。
結果はごらんのとおり Sabreberry32がMaster Mode で認識しています。
ドライバの入れ方は、以下の手順で行ないます。
TinkerOSを起動
まず公式サイトからOSのイメージファイルをダウンロードしてSDカードに焼きます。
https://tinkerboarding.co.uk/forum/thread-69.html
v2.0.5 - Debian stretch based. 2018/02/22 というバージョンです。
起動の方法(ジャンパ設定から、SD、eMMC起動、リカバリなど)についてはこちらが詳しいです。とても参考になります。SDカードから起動するときはジャンパはデフォルトのままでOKです。
TinkerOSには初期状態でavahiが入っていないため、IPアドレスが名前で解決できません。最初はHDMIとキーボード、マウスを接続した方が良いかもしれません。 他の方法でIPアドレスを調査できれば、最初からSSH接続しても良いでしょう。
私が試したところ、NetEnumでもFingでも見つかりませんでした。 v2.0.2のころは見つけられたはずなのですけども。
1回目の起動は、初期設定などを行なっているため2分くらいかかります。じっくり待ちましょう。 HDMI画面を繋げていれば自動ログインしてデスクトップ画面がでます。2回目以降は30秒くらいで起動します。この時間でデスクトップ画面が出るのは速いです。
mpdを入れる
デスクトップから、ターミナルを起動してコマンドを打っていきます。 ピンク文字の部分です。 mpd、avahiをインストール。それとpulseaudioが邪魔をするので削除します。
SSH リモートログインするときは
user: linaro
pass: linaro
です。 avahiを入れた後は、host: tinkerboard.local で接続できるようになります。
sudo apt-get update
少し待ちます。 ここでRaspberryPiとの速度差を感じ取れますね。
sudo apt-get remove pulseaudio
sudo apt-get install mpd avahi-daemon
Sabreberry32ドライバのインストール
wget https://nw-electric.way-nifty.com/blog/files/SabreBerry32tb.tar
tar -xf SabreBerry32tb.tar
cd SabreBerry32tb
sudo chmod +x sabre32_install.sh
sudo ./sabre32_install.sh
ここで再起動します。
sudo reboot
再起動後、sshでログインして、dmesg | grep sabre とコマンドを打って、sabreberr32が認識していることを確認します。
上のTeratermキャプチャのように「 mapping ok 」と表示されていればOKです。
蛇足ですが、上のインストーラの中で /boot/hw_intf.conf に
intf:dtoverlay=sabreberry32 という1行を追記していますが、これを
intf:dtoverlay=sabreberry32-slave に変更するとDACがスレーブモードになります。(S なしのTinkerBoard はこちらを使います。)
ハードウェアボリュームを使うためのmpdの設定
mpdの設定の詳細は他のwebサイトをご覧いただくとして、Sabreberry32のハードウェアボリュームを使うようにするには、/ect/mpd/conf のALSA出力部分を下記のように編集します。
# An example of an ALSA output:
#
audio_output {
type "alsa"
name "My ALSA Device"
device "hw:1,0" # optional
mixer_type "hardware" # optional
mixer_device "hw:1" # optional
mixer_control "Digital" # optional
mixer_index "0" # optional
}
とすればOKです。
Sabreberry32の設定
alsamixer
にてDPLL設定やFilterなどをお好みで設定してください。 デフォルトではオンボードデバイスが表示されていますので、「F6」を押してサウンドカード一覧からSabreberry32DACを選択します。
mpdクライアントソフトから操作
TinkerBoard 上でmpdが起動したら、操作はネットワークを介してmpdクライアントから行ないます。
mpcをインストールして、コマンドから操作するのも、ympdをインストールしてweb-UIから操作するのも自由です。おすきなmpdクライアントから操作してください。
私は、超軽量の SkyMPCを主に使っています。 以前はgmpcを使っていたのですが、昨年の夏くらいから起動しなくなってしまいました。(最新版を入れても)
音質は
ついにTinkerBoard も本領発揮ですね。
とてもエネルギッシュでハイスピード、かつ密度が高い音がします。それでいて繊細な音も出るところも興味深いです。RaspberryPiとは一味ちがい、好みが分かれるもしれません。
TinkerOSのI2S-DAC基板対応情報
https://tinkerboarding.co.uk/wiki/index.php?title=Audio-HAT-card
ここを見ると v2.0.5ではWM8804というSPDIF出力ICを使った基板のみ、I2Sマスター動作のようです。PCM5122を使ったDAC基板はv2.0.6からの対応と書いています。 ほんと?
WM8804は、PLLを内蔵したSPDIF出力ICです。システム上、27MHz水晶を基準にしたPLLをMasterClockにしていますので、もしかすると、生の水晶発振器をMasterClockにして動作させたのはSabreberry32が一番乗り??? さすがにそんなことはないでしょう。
3/30(金)には
「第1回 ASUS Tinker Board Meeting」
があるそうです。
詳細はこちらです。 場所は秋葉原UDX。 予約がいります。
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コメント
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Sabreberry32が少し気になっているので、見ています。
Tinker Board S で利用する場合、やはり熱いですか?
今はTerraBerryDAC2を無理矢理ポータブルにして使っているのですが、
Sabreberry32のポータブルにチャレンジするか悩んでまして。
PiZeroにSabreberry32は不釣り合いでしょうし。
Piとの好みの違いを試聴できないのがつらいところですね・・・
投稿: くれない | 2018年5月20日 (日) 21時27分
くれないさん
Tinker Board Sは、Pi3 よりも発熱が多いと思います。 ポータブル用途には、あまり向かないのではないでしょうか。
Pi ZERO とWは使えますが、寸足らずになりますので、無難なところでPi 3、 Pi 3 B+になりそうですね。
投稿: たかじん | 2018年5月20日 (日) 22時26分