ASUS TinkerBoard User Meetingに参加してきました。
TechShareさんとASUS Japanさん主催のASUS TinkerBoard User Meetingに参加してきました。
ついつい、RaspberryPiと同じ形なので使い方も機能も一緒と思いがちなTinkerBoard ですが、RaspberryPiと違う側面なども知ることができて有意義でした。
TinkerBoardは、ASUSのシングルボードコンピューター(SBC)で、カメラコネクタ、LCDコネクタ、USBコネクタ、Ethernetコネクタなど外形をRaspberryPiと同じにしてあるため、ケースを流用することもできますし、HAT(拡張ボード)の一部もそのまま使うことが出来ます。
パソコンの世界では古くはPC-AT互換機など、ちゃんと規格が存在して、それぞれPCメーカーが規格に沿って物を作ってきました。
SBCに関して、そういう規格がなく、みんな勝手に作っているのが現状ですが、一番、数が出ているRaspberryPiに合わせるというのは必然だったのかもしれません。
ハードウェアとして
さてさて、そんなTinkerBoardでありますが、昨年の夏に日本で発売され話題になりました。RaspberryPiに比べて遥かに高速だったからです。Androidもメーカーにてサポートされているというのも特徴です。(もうじきAndroid 7.0もでるそうです)
そして今年に入って「TinkerBoard S」という新しいモデルが世界に先駆けて日本で発売になりました。日本が最初だったのは知りませんでした。TechShareさんやASUSさん、関係者の方々の努力の賜物なのでしょう。大変素晴らしい事です。
ASUSのTinkerBoardのwebサイト(フォーラム)のアクセスも1位はアメリカで、2位は日本なんだそうです。
オーディオ的な観点で見ると「 S 」の最大の特徴はなんと言っても I2Sのスレーブがサポートされたことですね。DAC基板側をマスターにすることができます。
一般的な見方をすると16GBのeMMCが付いたことで、SDカードなしで起動できるという点でしょうか。容量的にもコレだけ積んであれば足りなくなることはまず無いと思われます。さらには、USBメモリからも起動できるとの事です。
ソフトウェアの互換性
筑波大学の准教授、山際伸一さんのお話しでは、なんとWiringPiが最初から入っていて、そのまま動くのだそうです。WiringPiのGPIO番号もそのままです。
試しに、gpio readall してみたところです。なるほど、素晴らしい。
PythonのRPi.GPIOの方はどうなんでしょうね。。。 物理PIN番号でソフトウェアを書いていると互換性があるのかもしれません。ライブラリのインポートのみの修正?
試しに、apt-cache search gpio してみたところ、ライブラリとしてはpython-mraa というものがあるようです。
mraaはインテルのEdison向けのgpioライブラリらしいです。まったく知りませんでしたが、C、C++、JavaScript、pythonで使えるようです。
ネットワークオーディオ的観点
ネットワークオーディオ的にみると、CPU(SoC)であるRK3288からUSBとEthernetが別々に出ていて、お互いのデータトラフィックが干渉しない所も有利と考えられます。EthernetはSoC内部にMACがあり、ARMコアとは内部バス(AMBA)にて接続されているはずなので、これ以上なく超高速です。
当然USB-Ethernet変換ICによるバッファリング遅延などもなく、結果としてNAS間のレイテンシが小さくなるのは間違いないと思います。(RaspberryPiの構成が不利なだけ)
USB-DACを使う場合においても、トラフィックが集中しないのでハイレゾ音源でも音切れしにくくなるのではないでしょうか。
TechShareさんの解説の中で「Sabreberry32」が出てきたのはびっくりしました。ありがとうございます。
こちらはワンボード・オーディオ・コンソーシアムの解説です。 LUXMANのこの箱にもTinkerBoard Sを入れていました。リヤパネルに挿すUSBメモリでOSを入換えやすいというのも良いですね。
実物を見たのは初めてです。ケースや電源を含めて非常に作りがしっかりしていると思いました。重さもずっしりしてました。また、LCDなど余計なものを省き、音楽再生に徹した方向性も良いですね。まだ販売は未定とのことですが、ぜひ実現してほしいです。現代によみがえるLUXKITですよ。
TinkerBoardに対して、192kHz/24bitどまりの仕様を384kHz/32bitまで対応して欲しいとのことです。
32bit対応していなかったんですね。音の良さと仕様上のスペックは必ずしも一致しないけどスペックも大切と仰っていました。
TinkerBoard Sで演奏したときの「聴感上の音のよさ」、特に低音の重心の低さは私も全くもって同感です。
TinkerBoard S のリビジョン
「S」の初期ロットと2ndロットでは仕様が異なっているそうです。初期ロットはGPIOから電源を供給しても起動しないんだそうです。2ndロットは起動できます。下の写真のようにUSBポートの上に「A02というシール」が貼ってあるのが2ndロットです。(初期ロットには貼っていないそうです)
こうしてユーサーの意見をどんどん取り入れて、細かい部分も改良していくのは素晴らしい姿勢ですね。
USB電源ポートは BC 1.2
TinkerBoard Sの電源用のmicroUSBポートは、BC1.2 というチャージ規格に沿って作ってあり、USBにV-bus(5V)だけを供給してもTinkerBoardは起動しません。
試しに、DC-ARROWを繋いでみると確かに起動しませんでした。対策としては、DC-ARROWの基板上でD+とD- ピンをショートするとよいです。実際にそれで起動できました。電流も足りているようです。
という感じで、RaspberryPiとちょっとだけ使い方が異なる部分があるようです。
使う上で助かるTIPSなどは以下が分かりやすいと思います。
https://physical-computing-lab.net/tinker-board
他にも発見があったような気もします。 思い出しましたら追記いたします。
皆様、おつかれさまでした。
台北からおこしのASUSさんもI2S部分の回路図の件、ありがとうございました。
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コメント
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ハード的なディメンションがRaspberryPiと同じ事でユーザー/開発者が増えて、BBB/BBRみたいなソフト/ハードの開発途絶えることが無ければ良いですねえ。
ASUSはスマホ/タブでは純中華に押し出され気味でもあり、企業としてはこれも一つの柱(特にオーディオやIoT?)に育てたいのでしょうね。intelみたいな超大物も狙ってるし、どんどん状況変わって行きそうです。
たかじんさんもそのプレーヤーの中の一人に!
投稿: CR-X | 2018年3月31日 (土) 20時54分
CR-Xさん
言われてみるとその通りですね。 IoTを狙っている会社は沢山ありますので、どれだけ続けられるかがキモになると思います。
こういうLinuxボードは、apt-getなどでサーバーにアクセスしてソフトウェアを更新するので、サーバーが止まってしまうとつらいですし。
TinkerBoardは他のSBCに比べて光るものがあるので、ASUSには頑張ってもらいたいですね。
投稿: たかじん | 2018年4月 1日 (日) 08時19分