ネットワークオーディオの分類 DLNA/UPnP/SqueezeBOX/MPDの違いはどこにある?
ネットワークオーディオには、いくつかの規格があり、全ての機器がどのシステムにも繋がるという訳ではありません。 対応した規格の機器でネットワークを構築します。
細かい点は除いてざっくりと違いをまとめてみました。
<<buffaloの説明図がわかりやすいが、この形が全てじゃない>>
こんなに沢山の機器を用意しないとネットワークオーディオって出来ないの?
実はそうでもありません。 ご安心下さい。
重要なポイントは、「楽曲データ」「プレイリスト」のありか。
そして「操作(UI)」「音の出口」です。
iPodやCDプレーヤー等では、いつも全てが1つの機器に入っているので迷いがありませんでした。
これらが分かれることのメリット・デメリットがあると思います。 メリットは、CDが1万枚入るCDチェンジャーのような使い勝手です。 デメリットは、ネットワークを引くのが面倒。機器を揃えて新しい使い方を覚えるのが面倒。という部分だと思います。
アルバム・ジャケットを開いて、紙に印刷された歌詞やリリースノートを見ながら音楽を聞きたいという人には向かないかもしれませんね。 液晶画面に映し出されたアルバム・ジャケットは味気ないものですから。
UPnP(ユニバーサル・プラグ・アンド・プレイ)は、ネットワークにつなげたら自動で機器を認識する規格です。マイクロソフトが提唱しました。
その中でAV機器向けに作られたのが「UPnP AV」です。 メディア情報を提供するサーバー、音や映像を出すレンダラー、そして司令塔の役目を果たすユーザーインターフェースをもったコントローラが定義されています。 機器が3つに分かれています。
じつは定義が広くて(緩くて?)互換性を確保するのが大変だったので、デジタル家電(AV機器)用にDLNAなど派生規格が生まれることになります。
WindowsPCの標準ソフト「メディアプレイヤー」を使うと、メディアサーバーとコントローラの両方を1台のPCで実現し、UPnP/DLNAに対応したデジタルTVなどのレンダラーでビデオ再生をすることが出来ます。 この場合、機器は2台のみです。
デジタルTVは殆どUPnP対応(DLNA対応)なので、ネットワークを接続していれば多くの場合、レンダラーとして出力させることが可能です。
DLNAは、UPnP AVの枠組みに則って作られたガイドラインです。
デジタルTVやBD/HDDレコーダ、メディア機能付きNAS、ゲーム機(PS3、PS4)などのデジタル家電間の相互ネットワーク接続を可能にすること目的としています。
DMS(デジタル・メディア・サーバー)
DMR(デジタル・メディア・レンダラー)
DMC(デジタル・メディア・コントローラ)
の3BOX構成が基本です。
誤解を恐れずに言ってしまうと互換性を高めたUPnP AVです。一部では録画設定などの連携もできます。
PS3などのゲーム機は、レンダラーとコントローラの両方の機能を1台で受持つDMP(デジタル・メディア・プレイヤー)になっています。
ネットワークオーディオ機器を作っているLINNが提唱して、規格をオープンにしました。 プレイリストをレンダラーに持たせることでコントロールアプリを閉じたりコントローラの電源を落としても、プレイリストに基いて再生は続きます。
ちなみに、Moode AudioやVolmioでは、内部のMPDに対してUPnP対応ラッパー(フロントエンド)のUpmpdcliを入れることでOpenHome対応できるので、RaspberryPiをOpenHomeレンダラーにすることもできます。
UPnP系は、このように派生が多くてややこしいです。 でも市販のネットワークオーディオ機器、デジタルTVなどのデジタル家電はUPnP系のDLNAを使っているのが現状です。
クライアント・サーバモデルに基いて作られたソフトウェアで、様々なフォーマットの楽曲データを再生するプレイヤーソフトです。
機器が3つあるように見えますが、上図の楽曲データを置いてあるNASは、UPnPベースと違って専用のメディアサーバソフトは必要ありません。 単にファイル共有でMPDを実行している機器からファイルが読めればOKです。Windowsのファイル共有でも良いですし、macのsmb共有でも良いです。MPDを実行しているマシンのローカルストレージでもUSBメモリ内データでも構いません。
ユーザーインターフェース部分を切り離して、別アプリに任せるようにしている点がとっつきにくいのですが、クライアントソフトウェアが沢山でてきて賑わっていて、iPadやAndroid、PC、mac、Linuxなど好きな端末から操作可能です。
ひそかにUPnPにも対応していますが、通常のMPD動作と切り替えるならUpmpdcliを被せた方が簡単です。
内部にMPDを使ったディストリビューション(OSとアプリ一式のセットみたいなもの)で、機能も役割も一緒です。
ユーザインターフェースがweb-UIによって作られていて、MPDクライアントソフト(専用アプリ)がなくてもWebブラウザでコントロール可能で、とてもお気軽です。
Moode Audioは、リリース3.5以降、有料化されましたが、完成度の高さと機能の充実ぶりから10ドルを払う価値はあると思います。 Volumio2も徐々に安定して動作するようになってきました。 その他RuneAudio、Archphile、LightMPD、symphonic-mpdなどがあります。
RaspberryPiを使ってネットワークオーディオを始めるには、これらのディストリビューションを使うのが手軽です。
2001年にはSLIMP3というSqueezeBOXの前身の製品を出していたので、ネットワークオーディオの元祖ともいえるべき機器です。(なんと初代iPodと同じ年) 有用性を買われて数年後にロジテックに買収されます。
サーバソフトウェアのLMS(ロジテック・メディア・サーバー)は、NASやPCなど楽曲データがある機器上で動作し、同時にリッチなWeb-UIも提供します。
コントローラはWebブラウザがあれば何でもOKです。
SqueezeBOX本体にも操作スイッチや画面、リモコンがあって、そこでコントロールすることも出来ます。 また、SqueezeBOX本体は日本で発売しなかったものの、LSMは日本語にも対応していてネットラジオの番組情報や写真なども見ることができます。
RadiRuKoプラグインにて、らじるらじるとラジコが聴けるのも特徴です。(ラジコプレミアムにも対応しています。)
RaspberryPiをSqueezeBOX化するにはSqueezeLiteを導入します。簡単なのはpiCorePlayerというディストリビューションを使うことです。
LSMは、qnapなどのNASに内蔵している機能を使うか、Windows版のLSMを使うのが簡単です。
Apple社のネットワークスピーカーのような仕組みです。 AirMac ExpressなどAirPlay対応機器を使うことで、iTunesが入ったPCやiOS機器の外部スピーカーのように機能します。
転送データはALAC(可逆圧縮)を使ってるため、Bluetoothの外部スピーカーに比べて遥かに音が良いのも特徴のひとつです。
途中でバージョンが上がって映像データも転送できるようになっています。(AppleTVをテレビに接続)
RaspberryPi だと、shairport-sync を使うのが定番です。
図を用意しませんでしたが、Android機からのChromeCastミラーリングも、pulse audioでネットワークスピーカー化したものもシステム構成的には似てますね。
それぞれの違い
これら、ネットワークを介したオーディオ機器(規格)は、幾つかのタイプに分別することができます。
■機器が2つで、ネットワークを介して外部スピーカー/外部モニターとして使うもの
■機器が3つに分かれているもの
機器が3つに分かれるものの中では、コントロールアプリやコントローラの電源を落としても再生を続けられるものと、止まってしまうものとに別れます。
図中のPlayListの位置がコントローラ側にあるシステムは止まってしまいます。 そうですUPnP(DLNA含む)だけが再生を続けられません。
MPDを使うにはLinuxコマンドを打ってNASをマウントして、設定ファイルをイジって。。。なんてドロ臭い話は、RaspberryPiの世界だとVolumio/RuneAudio登場以前のRaspyFi(5年前)で解決されました。
ユーザーインターフェースとして、KAZOO、Lumin、Kinsky、JRiver Media Center(JRemote)、roonなどの完成度の高さが、MPDクライアントAppやLMSとどのくらい違うのかまでは把握出来ていないのですが、一度洗練されたモノを使ってしまうと、完成度の低いものに戻りにくいのは想像に難くないですね。UIの重要性は認識しなければいけない現実と思います。
ネットワークオーディオが面倒!?
ネットワークオーディオがややこしいシステムと思われて敬遠される理由は、さらに別の理由が考えられます。
これは、YAMAHAの新機種 NP-S303ですが、対応している規格が複数あります。
カタログ見るとざっとこんな具合。 上に挙げた項目で「AirPlay」と「DLNA」に対応。
さらに
「USB」 「Bluetooth」 「ラジコ」 「Spotify」 「musicCast」・・・と続きます。
なにやら見慣れないマークも沢山。
これでは買っても、使いこなせるかどうか自信がなくなるのは仕方ありません。 オーディオを置いてある部屋にネットワークを引いていないというのもあるでしょう。(NASは大抵の場合、有線LANです)
ただし、この機種が4万円以下で買えることを考えると異常な時代になったとも言えます。
RaspberryPi を使ってDAC基板やUSB-DACを接続。 自力でネットワークオーディオを構築するというのは、あくまでも自作の趣味の範疇と考えるべきですね。
私が書くのもなんですが、
一般オーディオユーザは、メーカー製のネットワークオーディオ機器を買う方が幸せになれると思います。
にほんブログ村
ブログランキングに参加中です。 めざせ1位!
もしよろしければ「ぽちっと」お願いします。
« symphonic-mpd にOLED表示を付ける方法 | トップページ | Archphile 復活していました »
「PCオーディオ」カテゴリの記事
- RaspberryPi Pico USB-DDC化 I2SとMSBファースト後詰め出力対応(2022.03.21)
- RaspberryPi Pico USB-DDC化? I2S出力調査(2022.03.20)
- efuさんのWaveSpectraが公開停止していた(2022.03.09)
- ラズパイをUSB-DACとしてスマホに認識させる方法 gadget mode(USB Audio Class 2.0)(2020.10.16)
- PCに組み込むヘッドホンアンプ Sound RABBIT & 900万PVありがとう企画(2020.10.10)
コメント
« symphonic-mpd にOLED表示を付ける方法 | トップページ | Archphile 復活していました »
>ただし、この機種が4万円以下で買えることを考えると異常な時代になったとも言えます。
> 私が書くのもなんですが、
>一般オーディオユーザは、メーカー製のネットワークオーディオ機器を買う方が幸せになれると思います。
私も一般人でお手軽気軽に音楽を聴きたくなったのですが、数年前はこんな値段では導入出来なかったので、お財布にやさしいこっちに転がってきました。
もう一段安くなったら市販のネットワークプレーヤーを買ってみようかな。
投稿: 通りすがりのおじさん | 2017年10月15日 (日) 18時29分
ちなみに転がった先でも幸せを見つけれられましたw
投稿: 通りすがりのおじさん | 2017年10月15日 (日) 18時31分
明快なまとめ有難うございます。
もう一階層下位になりますが、音楽ファイルの再生についてです。MPD(mpc)とaplay、mplayerによる再生の本質的な?違いとは何でしょうか?MPDは、playlistによる再生が頭に浮かびますが、再生機能も後2者と異なるものでしょうか?
投稿: AYOR | 2017年10月16日 (月) 01時52分
Доброго времени суток,мы оказываем услуги грузоперевозок по индивидуальному заказу.
В наши услуги входит все нужное:
- автомобили разной кубатуры и предназначний
- грузчики
- Страховочное оборудование
Звоните , консультация именно вашей потребности и более точный расчет по цене - даром!
Сроки. Гарантии. Официальное оформление.
Ниже сайт:
http://gruzoperevozkisevastopol.ru
[url=http://gruzoperevozkisevastopol.ru] Заказать грузоперевозки в Севастополе [/url]
https://vk.com/sevastopolgruz
投稿: ThaddeusWV | 2017年10月16日 (月) 03時27分
通りすがりのおじさんさん
この手のオーディオ製品は価格破壊してますね。 AVアンプもですが。
> ちなみに転がった先でも幸せを見つけれられましたw
自分で作ることを楽しいと感じる人は、こっちの世界でも良いですね。
普通に音楽を聴きたいという一般の人すべてにRaspberryPiを勧めることはナンセンス。
何かの拍子に間違ってRaspberryPiを買ってしまって、家で眠っているという人には強引に勧める(笑
AYORさん
MPDもmplayerもmpg123もaplayも音楽プレーヤーソフトです。 使勝手や操作系が違うというだけですね。 そういう意味では根本的な違いはありません。(対応しているファイルが違うという部分はあります)
ただ、大抵の再生ソフトは、コマンドライン引数によって操作するのですが、MPDは、socket通信によって外部から操作を受け付けるというのが便利なのです。
簡単に言ってしまうと外部からのリモートコントロール(リモコン操作)が可能なのです。
投稿: たかじん | 2017年10月16日 (月) 21時03分
たかじんさん、
使っているライブラリやカーネルモジュールが共通なら、最終的に変わらないかも知れませんが、alsa直結のMPDとjackやpulse audio + etcの組み合わせ等で、音質調整に差異があるのかと思いまして。DACはI2Sです。
普段から、ネットラジオ流しっぱなしなので、再生環境はなるべく高音質かつ単純で良いのです。それぞれのソースを読むしかないですが。駄文でした。
投稿: | 2017年10月18日 (水) 02時58分
そういえば、pulse audioを使ってネットワーク接続の外部スピーカーとしても機能させることができますね。 すっかり忘れていました。
ご存知だと思いますが、jackやpulse Audio はALSAの一段上にのる、ラッパーのようなライブラリですので、その分CPU負荷が増えてしまいます。 音飛びなど不具合も出やすくなるかと思います。
Pi3のBluetoothのオーディオ出力はpulse Audio を使っていたのですが、かなり音飛びしやすいようです。 stretchになってからpulse Audio を使わなくなったので解消傾向にはあるみたいですが、まだ完全ではないらしいですよ。
X86のシステムよりもRaspberryPi のI2Sのバッファ容量が少なくて、条件が厳しいのだと思います。
投稿: たかじん | 2017年10月18日 (水) 22時45分