オープンソースカンファレンス初参加レポート
2017/9/9、9/10に開催されたオープンソースカンファレンス(OSC)東京/FALLに参加いたしました。
出展してみて気がついたことなど赤裸々にレポートしたいと思います。 あまり写真を取らなかったので文章が中心です。
私自身、初の出展者側ということもあって右も左も分からないところからのスタートでした。
人違い=出会い?
ことの発端は、春のヘッドホン祭にてSabreberry32を展示してくれるという「ラズパイオーディオの会」の会長さんからのお知らせでした。
わざわざ私の作った基板を展示してくれるということで、これは挨拶しなければ、と中野サンプラザにお伺いしました。そこで”ラズパイオーディオの会”のTシャツを着た方が、OSCを主催しているびぎねっと社長の宮原さんだったのです。
「松○さんですか?」 と声をかけて「いや違います。 松○さんはあちらです。」とやけにの若い人を紹介頂きました。 宮原さんとの出会いは、そんな”人違い”でした。 そして挨拶を早々ににすませて踵を返すように松本さんのところに行ってしまい、本当に失礼極まりない態度をとってしまいました。申し訳なかったです。 その後、ツイッターでフォロー頂いて、超細いパイプでゆるーく繋がっていくことになります。
Maker Faire Tokyoに申し込むも・・・
そんなこんなで時が過ぎたゴールデンウィークにMaker Faire Tokyoの申込みがあって、RaspberryPiを使ったラジコンの製作者と共同で出品しようとしたのですが、今年の申込みも無残に散ってしまいました。
RaspberryPiを応用したラジコンをネットで検索すると、似たようなモノを作ってる人もいらっしゃいます。 しかし、モータードライバの許容電流や、モータのON/OFF程度の操作系とは別次元のものです。 こちらは完全なレーシング用RS-540モータも余裕でドライブできる能力と、約400段階の滑らかなコントロールが可能です。
「たった200文字の紹介文」では、時速5キロ程度しか出ないお子ちゃまラジコンとの差を理解してもらうのが想像以上に難しいようです。
ド級のラジコン基板
レース用のRS-540チューンドモータは100Aを超えるピーク電流が流れ、4WDの車体に積むと時速50キロに到達するのに3秒かからないという強烈なスペックを誇ります。当然、ボタンのON/OFFやスマホの傾き検出程度の操作系じゃコントロールできません。ゲームと違って高速走行時に何かにぶつかると車体はクラッシュしますし、人にぶつかったら大変です。
このラジコン基板は、過電流保護回路、過熱保護回路、出力リミット設定、バッテリー電圧モニターが搭載されているのと、戦車など左右ツインモータ対応、フロント・リアのツインモータ対応、最大3サーボ出力により砲身制御も可能。セーフティー機能としてWifi通信監視による自動ブレーキも実装しています。
RaspberryPiならではの機能
デモうけを良くするためにラジコンにカメラを載せて映像をだしていますが、レース用モデルでは車速が速すぎてオンボードカメラの映像だけみて運転は無理ゲーです。 戦車モデルなら実用的と思ったら戦車もかなりの走行速度でした(笑
準備運動 pic.twitter.com/dI4RQh7qA5
— Takazine (@TakazineZone) 2017年9月10日
RaspberryPiを使っているので、例えば6軸センサーを搭載しプログラムを作ってオートカウンター機能(ドリフト時の逆ハンドル操作)をつけるとか、距離センサーを付けて衝突防止機能をつけるとか、フロントの床側にラインセンサーを付けて高速ライントレーサーにするなど自由自在です。
最先端技術を使うなら、深層学習して特定コースを人の操作に頼らずに最速で走るなんてことも可能かもしれません。
OSCへの参加希望
落選して今年も見せ場を失ってしまったのですが、どこか展示できるところはないのかと探していた時に、秋に東京でOSCがあることを知って宮原さんにツイッターで相談してみることにしました。
OSCでラジコンを走らせられますか? と。
回答は「大丈夫です」とのこと。
OSC事務局の方とも相談させていただきまして、エスカレータがあるロビーや部屋の隅あたりを走行させてもよいということになりました。
ありがたや。 ありがたや。
せっかくなので面白いものを作ろう
出展できると決まれば、私も普段から作ってきたアンプやDAC基板だけではなく、見た目にも楽しいものを展示したいと思いました。 RaspberryPiを使ったオーディオは、既に「ラズパイオーディオの会」が展示していますしね。
そこで、3年ほど寝かせていたレベルメーターの製作に取り掛かることにしました。 以前、電子ボリュームIC MUSES72320と組み合わせてレベルメータを作っていましたが、そのレベルメータ部だけを切り出して作ろうと思っていたものです。
どうせ専用のレベルメータとして作るならLCDやOLEDよりも、やっぱりLEDです。視認性とか輝度とかじゃなく、あのキラキラ感が単純に好きなのです。
LEDドライバ(PCA9685)は、I2C接続で16個のLEDを4096段階の明るさコントロールができるICです。さくっと基板を起こしてPythonでテストプログラムを作りました。
アクリルを使ったオブジェ
LEDバーメーターには、何かしらのカバーパネルが必須です。そこで普段からお付き合いのあるEmerge+さんに声をかけてみました。Emerge+さん自身も、かねてから電子工作向けの基板を開発中で、一緒に展示するということが一瞬で決まりました。こういう瞬間的な判断とノリの良さはさすがとしか言いようがありません。
アクリルチューブスピーカーも現実離れしたデザインセンスが素晴らしいです。工房では普段から使っているそうです。工業デザインとアクリル板の加工だけでなく、回路設計・基板設計・組込みソフトウェア開発までできるのは強いですね。
そうこうしているウチに、LEDバーを仕込んだミニチューブタワーの写真が送られて来ました。仕事が早い。
サーボメータパネルも、私の都合でLEDバックライトを仕込む時間がなく、中途半端になってしまったのですが、注目を浴びていました。
難航するALSA-libプラグイン開発
音楽に合わせてLEDバーメーターを動かすにはLinuxのオーディオエンジンであるALSA-libを使って音楽再生のレベル信号を取得する方法を調査する必要があります。しかし、ALSAの資料が多岐に渡っていてどう使うと簡単なのかが見えてきません。
そこでPimoroniのレベルメータ基板を1枚買って調査してみました。この基板のLEDは独自の2線シリアル信号で、配線をシーケンシャル接続してGPIOからコントロールするものでI2Cとは全く違いましたが、ALSA-libからデータを取得しています。
これを参考にすればALSA-libからデータを取得できるぞ!
と光が見えてきたとき OSCの1週間前。
期間ギリギリなんですけどー
のんびり屋の私もさすがに危機感を感じてきました。他の出展者も本業を抱えながら僅かな時間を利用して制作し、開催直前には寝る間も惜しんで作業しているに違いない。
と思いつつも、日曜日には8cmクラブミーティングに遊びに行ってしまいました。
刻々と迫る開催日
5日前深夜:ALSA-libを利用したコンパル環境が完成。
4日前深夜:プログラムコードを書いて、コンパルエラーが出ないところまで。
3日前深夜:I2Cデータがデタラメでも出ているのを確認。
イニシャライズに失敗しているようだ。
2日前深夜:オシロでI2C信号解析をして不具合箇所を特定。
LEDバー1本をモノラルで点灯。
1日前朝方:ステレオで動作OK。 オートレベル調整機能も実装。
1日前深夜:サーボメータ制作開始。 25時頃にソフト完成。
OSC当日:朝6時半に自宅を出発して展示会場へ。 そして遅刻!?
いよいよ初の展示 新たな出会い
初めての出展者として、楽しみもあり、不安もありました。
机いっぱいに自作モノを展示していると、来場者も出展者も興味深々に声をかけてくれます。そして、他の展示会にも参加しませんか? とか、会社にきて講義をして頂けませんか? など嬉しいお誘いもありました。
日曜日のラジコン実走行デモも、本当におもしろかったです。あまりのパワーでタイヤが空転して加速せずドリフトを始めるラジコンカー。 WIFI混雑で制御を失って椅子にぶつかる戦車。。。 などなど。
今後の改善項目も幾つか見えて、とても有意義だったと思います。
ソフトウェアのイベントだからハードの展示はご法度?
他の出展者の中にもハードウェアを製作されている方々も幾つかありました。HALF ADDERやカウンターをプラレールで実現していたり、CD-ROMドライブのトレーの開閉でモノを動かしたりと、市販製品をあらぬ方向に応用している展示も楽しかったです。
オープンソースカンファレンスというソフト中心のイベントで、ハードは関係ないように感じるかもしれませんが、今やハードはソフトなしでは動きません。
来場者からの質問も 「どうやって動かしているのか」 という内部構造的興味が含まれているのを感じました。 説明すると専門用語を使ってもみなさん理解して頂けるのか、いい感じで頷いてくれます。
ラジコンカーに関しては、自分は挑戦して挫折したけど、ここで実現しているのはスゴイ。ぜひ内部について教えて欲しいとの声が何件もあり、出展した甲斐があったなと思う瞬間でもありました。 どんなソフトウェアを使い、どのようにハードウェアを動かしているかというパネル展示があると来場者の理解が深まりますね。こちらも説明もしやすくなるので、今後の課題のひとつです。
来場者とのお話しは情報とアイデアの宝庫
声をかけてくれる人の殆どはRaspberryPiとLinuxに関する基礎知識をお持ちでした。 そして、ALSAライブラリ、WEBサーバ、Python、WiringPi、GPIO、モータドライバ、カメラ、MJPEG、Bluetoothなど技術的な話も違和感なく通じるという技術レベルの高さも感じました。
嬉しかったのは、来場者とお話ししている中で、考えもしなかったアイデアが出たり、別の手法もあるという事を教えてもらったことです。 気がつくと私の方から逆に質問攻めしてしまう場面もあったほどです。
2日間という開催期間のなか1100人の来場者がいらっしゃったそうです。 おそらくMaker Faireと比べると少ないと思うのですが、会話する人、ひとりひとりの内容が濃くて非常に貴重な経験になりました。 また、お名前までは把握できなかったけど、新たな出会いもありました。
デモで大きな音を出しても許してくれた同室の出展者さん、戦車をぶつけてしまった来場者さん、並びにOSC事務局の皆さん、明星大学の有志の皆さんにこの場をお借りして心より感謝いたします。
ありがとうございました。
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コメント
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お疲れさまでした。
ちょっと遠くて行くのはあきらめましたが
ラジコンカーは見てみたいと思いました。
個人的には、ちゃんと自動ブレーキのセーフティ機能が組み込んであるところが素晴らしと思います。
投稿: Silverbbs | 2017年9月14日 (木) 23時44分
お疲れさまでした。
日曜日こっそり覗かせていただきました。あの机上はどれもアツい展示で見入ってしまいました。
今の若い人はレベルメーターってあまり目にしないらしいですね。録音自体しないので、何に使うのか思いつかないらしいです。
私もBlinkt!の発売時にコレコレ!!と思って即買いした後で「あれ、どうやったらレベル取れるんだっけ?」と泥縄で調べました。途中で放置してますが…実現力がなさすぎますね。
また他のイベントでも面白いアイディアとその結晶を拝見できれば幸いです。
投稿: h.imagine | 2017年9月15日 (金) 08時12分
Silverbbsさん
ラジコンは、会場内のWIFI-APが30局くらい見えているような状況で、かなり厳しかったです。 完全に切れてしまうとブレーキがかかるのですが、そうではなく、中途半端に遅延して通じるといことが分かっただけでも良い経験になりました。
h.imagine さん
いらっしゃっていたのですね。 レベルメータは、もはやイルミネーションかもしれないですね(笑
オーディオが殺風景になりがちなところ、LEDレベルメータがあるだけで、雰囲気が変わるかもしれません。 まだピークホールド表示を入れていないので、もう少し改善する予定です。
サーボパネルメータも針メータのVUメータとして動かしたらどうなのか、という興味もありますので、今後も遊んでいこうと思います。
投稿: たかじん | 2017年9月16日 (土) 20時19分