各種クロックの位相ノイズ比較 ジッターの数値より差が分かりやすい
OCXOがどの程度位相ノイズが低いのか気になったので調べてみました。
単に周波数精度(ppm、ppb)だと、オーディオ用途の指標としては、少し別の方向に向いていることは、わりと広く知られているのではないでしょうか。
あくまでも数値上の比較ですが、ジッターの数値よりも位相ノイズの比較の方がどの周波数のゆれがあるのかが分かって、比較しやすいように思います。
NDKが公表している数値や、海外でグラフを載せているところから、数値をを読み取ってグラフを作ってみました。 計測方法など、同一ではないことをご了承ください。 また、同じシリーズの水晶発振器でも、発振周波数によっても少しカーブが異なります。 ですので、あくまでも傾向を見れる程度と考えるほうが良いです。
さてさて、少し面白い結果が見えてきました。
こちらのNZ2520SDのグラフをみると、NDKのOCXOと大差ないように見えます。
もちろん、絶対的な精度(指定周波数からずれない、個体差でバラつかない)はOCXOの方が良いはずですし、周囲の温度変化にも影響されずに同じ時間を刻み続けられると思います。
しかし、こと、オーディオ的な観点としての重要なのは、古くはワウフラッターに表わされるように割と短い時間での揺れです。 1年間で1秒ずれと、1年間で10秒ずれという絶対精度の違いは、音楽を聴いていても認識できないと思います。
これは私の推測ですが、1Hzから4-5kHzくらいまでの揺れが音質に深く関与するのではないかと思っています。
それ以上の領域(10k以上の周波数)もひずみには関与すると思いますが、グラフを見る限りではXOとDuCULoNを除くと差が全くありません。
グラフではXOとDuCULoNを除くと10kHz以上では-155から-158dBc/Hzの範囲に収束しています。 これは測定系のノイズフロアで頭打ちの可能性も考えられます。
唯一DuCULoNが低いですが、これはDuCULoNの特殊性を数値に出すために、計測系から見直した可能性があるようにも見えます。 しかしながら、10kHz以上の歪(2次高調波は20kHz)は人の耳に聴こえないだろうという考えもあり、1Hzから4~5kHzが重要という推測にいたっています。
ちなみに、グラフに載せたMORION(MV89)は、HP(現キーサイト)のユニバーサルカウンタに内蔵される基準クロックで、さらに超高精度オプションに使用されているものです。 OCXOとしては世界ナンバーワンの絶対精度と長期安定性を誇るシロモノらしいです。 さすがに1Hzから100Hzの位相ノイズがダントツで低いですね。 ロシア製。
こうして比較してみると MORION製のOCXOの音を聴いてみたいって思ってしまいました。 って無理ですが。。。 ハムマニアの中には、こういった基準クロックをつかっている人もいるようです。
安いTCXOの位相ノイズも比較したのですが、上のグラフには載せませんでした。 まったく良くなかったからです。
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コメント
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MORION(MV89)の位相雑音の値は10MHzのもの、DuCULoNは45あるいは49MHzのものかと想像します。
大きく発振周波数の異なる発振器の位相雑音性能をそれぞれの周波数の位相雑音測定値で比べることには無理があるというのが常識のところかと思います。だいたい経験則的に、周波数が倍になるとおおよそ10dBは、位相雑音が増加するようです。
投稿: Bunpei | 2016年7月18日 (月) 20時46分
Bunpei さん
おっしゃる通りですね。 私もそう思いますすのでグラフのすぐ下に書いてます。 でも1Hzの位相ノイズが-105dBc/Hzというのは、OCXOでもなかなかだと思います。
一部のDACでは10MHz基準クロック入力のある機種がありますが、あれは、10MHzから内部動作クロックをどう作っているのでしょうかね?
PLL(vco)で数倍に逓倍したあとDDSシンセサイザーなどで22/24MHzくらいの周波数を作り出している?
逓倍した時点で超低位相ノイズの基準クロックは台無しになりそうですが、他の機器との同期を取るという意味では業務用機には適しますね。
投稿: たかじん | 2016年7月18日 (月) 20時59分