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2015年12月13日 (日)

パワーアンプ VFA-01の測定結果 

ざっくりと計測してみました。 測定結果を公表いたします。  回路はこちら。

 

■歪率特性(THD+N) 

まずは気になる歪率をみてみましょう。  歪は、信号の劣化ぐあいの指標で少ないほうが良いす。 

Vfa01thd225ma

8Ω負荷のときの出力対歪率カーブです。 
 計測器:VP-7722A 帯域幅80kHzで計測しています。 (※) 

アイドリング電流は、0.22Ωのエミッタ抵抗の両端の電圧で50mV。 つまり、50mV÷0.22Ωで227mAの状態で計測しました。 20kHzのひずみは、以前よりも僅かに大きくなっています。 これは、初段をバイポーラトランジスタからJFETに変更したため。 バイポーラとJFETではゲインが違うのが主な理由と考えられます。 

出力が大きくなるとひずみが上昇しているのは、電圧増幅段と電力増幅段の電源電圧が同じ場合として通常の形で、とても素直な特性を示しています。 1W時に0.004%を切っているくらいだと、特別に良いと言うほどでもないですが、まあまあの数値と思います。 

歪率カーブは、昔、アキュフェーズなどカタログには必ず載っていたものです。 意味が分からないのにモデルチェンジの都度、カタログを見比べて僅かに良くなった部分を喜んでいました。(笑 

いつのまにか公表しなくなって、ちょっと寂しいですね。 

 

では、次に行きましょう。 

■ダンピングファクタ

ダンピングファクタ(DF)を見てみました。 ダンピングファクタは、どれだけスピーカーを正確に駆動できる能力があるのかという1つの指標です。 数値が大きいほど、良いとされますが、100以上では差は殆ど無いとも言われています。 超ド級のP-7300では”DF=1000”と大台に乗っています。 

昔ながらのON/OFF法で計測しました。  8Ωの負荷をON/OFFしたときの出力電圧の差をみます。 周波数は1kHz。 

Fva01_df  

上が負荷OFFの電圧(E1)
下が負荷ONの電圧(E2)    1W相当の出力で計測します。

 

計算式は DF = 1 / ((E1/E2)-1) 

 DF = 1 / ((2.828/2.818)-1) = 281.8  です。 

意外と良い数値がでました。 約28mΩの 出力インピーダンスとなります。 例の260A MOSFETが効いたのだと思います。 

 

 

■残留ノイズ

特に写真は撮りませんでした。 

 16.1uV / 16.0uV  (L/R)  A-Wait ON

初段に2SC2240を使っていたとき(9.8uV)より、幾分悪化しています。 しかし、スピーカーからノイズが聴こえるのかというと、聴こえないです。 初段に使えるJFETの種類が限られている現在としては、このあたりが良いころあいなのかもしれません。 パワーアンプとしては十分な値です。 

カスコードブートストラップによる悪影響も数値上は計測されませんでしたので一安心です。 DCサーボをかけないシンプルなDCアンプを堪能できると思います。 

 

 

■C負荷テスト

次に、C(キャパシタ)負荷の発振耐性のテストです。 

エミッタフォロアはC負荷で発振しやすいという特性があるので、しっかりとテストしなければなりません。 大切なスピーカーを痛めてしまわないためにも必要ですね。 

手っ取り早くて、よく使われる方形波応答の波形で見ていきましょう。 

 

テスト波形は10kHz方形波。 出力はフルパワーではなく、5Vppで行ないました。 

まずは、8Ωのみの負荷です。 

Fva01_10k8ohm 

全く問題のない、余裕の方形波応答ですね。 

 

次に、8Ωと0.22uF のキャパシタの並列です。 

Fva01_10k8ohm224  

ちょっとリンギングが出てすぐに収束しているのが分かります。

 

最後に、0.22uFのみ。 純粋なC負荷です。  

Fva01_10k224 

これも、キッチリと収束しているのが分かります。 

全く問題ありません。 

 

キャパシタンスをどこまで増やしてテストするのかは、メーカーや担当者によって考え方が違うのですが、0.1uFまでのC負荷で発振しなければ市場で問題は起こらないだろうと思っています。 上の波形は、その2倍に相当する0.22uFです。 写真は撮りませんでしたが2パラの0.44uFでも平気でした。 本当は、もっと小さい容量、色々テストするのですが、今回はまだ行なっていません。 (1000pF~1.0uFまで色々な容量でテストするのが吉です。) 

Capacitor  

 

発振しないと判れば、メインスピーカーに安心して繋げられますね。 

 

 

現在、エージングも兼ねて試聴テスト中です。 

基板の改版前と比べて、予想より音に違いが出ています。 低音マニアにはうれしい方向に。(笑  
部品も回路も一緒なので、ちがうとするとプリントパターンです。  ベース音、バスドラの表情が妙に豊かになりました。  

 

 

 

※ PC測定器(WaveSpectra)だと、歪率が1桁くらい良い数値が出てしまうので、やっぱり測定には、ちゃんとしたものを使わないといけないなぁー、と思います。 自作計測器にしても、iPhone計測ソフトにしても、測定器メーカが出している本物の測定結果と比較して相違ないことを確認しないと、信頼できる値とはいえないです。 WaveSpectraはとても良いソフトですが、精度はPCのサウンドカードに依存します。。 

 

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パワーアンプ」カテゴリの記事

コメント

このパワーアンプの記事が掲載され出してから、アクセスカウンターの伸びが半端ないですね。今日、明日中に300万ヒット行きそうな感じです。如何に皆さんがパワーアンプに興味を持っているかということですねえ。
すごいDF値です。超低on抵抗のMOS-FETを使った保護回路に加えて、やはり3段ダーリントンが利いているのでしょうね。さすが設計通りの申し分ない性能を叩き出されているようですが、たかじんさんが万を辞して世に問われるPAですので、必ず特性以上の「何か」があると期待してます。^^ ちなみに、僕は低音マニアではありませんが、Jeniffer WarnesのThe Hunterにおけるバスドラの弾むような豊かな響きがきちんと出るか否かを、一つの評価指標にしてます。グラウンドパターンの設計が豊かな低音の決め手でしょうか。期待が高まります。
ところで、VFA-01ということは、将来、CFA-01もあるのかなあ。^^

少し質問させて下さい。

DFについて、1kHzで測定されていますが、DFの周波数依存性はどの程度あるのでしょうか?

素朴に、30Hzとかの低音域のDFが重要で、実は1kHzぐらいになるとDF:100もなくて大丈夫ってことはないでしょうか。
あまり、考えたことがなかったので・・・。

若輩者さん

お察しのとおり、DFにも周波数特性はあります。 TRIOでは、シグマドライブなどいわゆるリモートセンシングを入れていたとき、周波数は100Hzや55HzのDF値をカタログに載せていたと思います。

EIAJの測定方法としては1kHzと書かれていたハズですが、わざわざ周波数変えたものをカタログに載せていたということから、DFは低域で重要と判断したからだと思います。


kontiki さん

するどい。  お楽しみに。 
The Hunter いいですね。 私もすきです。 

あぅぅ、300万ヒット逃してしまった。T_T 今、このHP見てる間に、3000023から3000046に増えました。すごい・・・

たかじんさん

返信ありがとうございます。

>お察しのとおり、DFにも周波数特性はあります。
>TRIOでは、シグマドライブなどいわゆるリモートセンシングを入れていたとき、周波数は100Hzや55HzのDF値をカタログに載せていたと思います。

なるほど。
スピーカーのインピーダンスは、1kHzより低いところに最小値があるのが普通なので、DFも低いところの値にしたのでしょうか。

DFに拘っているわけではないですが、VFA-01のDFの周波数特性が気になってきました。

kontiki さん

300万 いきましたね。 みなさんのおかげです。 近いうちに、ちょっとしたイベントを考えてますので、お楽しみに。


若輩者さん

コーンの制動という意味では、バスレフの共振周波数でドライブ能力が必要と思います。 ちょうど共振点でインピーダンスが低くなっていますね。 
DFは配線のわずかな抵抗で、スピーカー端子からみた実質的な数値が落ちてしまうので、スピーカーケーブルって大切なのだろう、って思いました。 そういうこともあって100以上では実効的な差はあまり無いということなのかもしれません。 

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