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2015年10月25日 (日)

差動回路の動作 = 勘違いしやすいけど、実は+入力と-入力の信号は同位相

差動回路の動作原理の説明で、+入力と-入力の位相を180度(逆位相)で書いてある本が多いと思います。 差動回路の動作の説明としては、それで良いと思いますし間違っていません。 

しかし、実際に差動回路(オペアンプなど)がリニア動作している帯域内では、+入力端子と-入力端子は同位相です。   

   本当なの?  と思う人も多いかもしれませんね。  

 

回路シミュレータで確認すると、すぐに判ってしまうことですが、ここではあえて、トランジスタの動作で説明していきたいと思います。  表面的、もしくは、最終的な答えを知るより、内部の動作を把握しておいた方が良いところもあるからです。 

 

E_com03

 図-1 非反転増幅回路 

簡略化してますが、差動入力部を見せた形でのオペアンプ回路を示しています。 こちらは非反転アンプ回路です。  古い書物ではR1、R2の部分を四角で囲ってβ回路(NFB回路)と表現することもあります。 

 

E_com04

 図-2 反転増幅回路

こちらは反転アンプ回路です。 信号は-IN端子へと入力しているので、出力は反転になります。 

 

一度に2つの回路を説明するのには、ちょっとした訳があります。 

実は、差動のトランジスタの共通エミッタノード(図中のA点)は、非反転アンプと反転アンプとで違った電圧をとるのです。  このことを念頭において考えると判りやすいと思います。 

 

■反転アンプ回路のときのA点は、どうなっているでしょうか? 

図-2のTR1側の入力(+IN)は、GNDに接続しているので、TR1のベース電位は0Vで固定です。 そのため、TR1のエミッタ電位は、約0.6V下がった-0.6Vでほぼ固定されます。 つまり、A点は -0.6Vで固定。 

交流的にはGNDへエミッタを接続しているのと等価ですから、TR2の動作は、先日説明したように、エミッタ抵抗がないときのエミッタ接地の動作と同じです。 TR2の入力インピーダンスは数kΩと高くなく、増幅率は高い状態です。 

アンプ全体としてみた場合、NFB(フィードバック)がかかるため、+INと-INの間にはバーチャルショート(仮想短絡)が成り立ちます。 つまり、-IN端子は+IN端子と同電位=両方とも0V固定になるので、-IN端子の入力インピーダンスは見かけ上「ゼロ」になります。 「IN端子」側からみた反転アンプ回路全体の入力インピーダンスは 入力部に挿入された R1 となります。 

 

 

■非反転アンプ回路のときのA点は?  

信号の入力は、+IN端子へと入り、増幅された同相信号がOUT端子へ出てきます。 その信号をR1とR2で抵抗分割して-IN端子へと入ります。  この時点でお気づきと思いますが、アンプがリニアに増幅できている周波数帯域では、どこにも反転信号は現れません。 

また、バーチャルショートという考え方からしても+INと-IN端子は、あたかもショートされているかように動作し、同じ電位、同じ位相を保ちます。 

つまり、共通のエミッタノードであるA点も、入力信号に合わせて振幅していて、ベース電位より約0.6Vだけ低い値になります。 大きな信号が入れば、その分、A点も大きく振幅することになります。  A点は、入力信号-0.6Vで振幅しています。 

非常に乱暴な説明になりますが、TR1とTR2はベース電位もエミッタ電位も共通ですから、まるで並列に接続されているかのような動作です。 

そして、エミッタ抵抗REが高抵抗(定電流回路)なため、TR1もTR2もベース側から見たインピーダンスは、数百kΩから数MΩと高くなります。 

このように、反転アンプと非反転アンプ時の差動回路の動作は、先日のREの有無の違いと同じようにTRの動作が違ってくるのです。 

 

NFB側の入力インピーダンスが高い場合、フィードバック信号の電流は殆ど流れこまず、電圧のみが帰還されるため 「電圧フィードバック」 と呼ばれます。 反転アンプでも-IN端子自体には、電流が多量に流れ込んでいる訳ではないので電圧帰還です。 

対して、電流フィードバックという帰還方式もあります。  巷では、電流フィードバック(カレントフィードバック)という言葉が、あやふやに書かれていることがあります。 そこは後日、詳しく説明しようと思います。 スピーカーを含めて”システム”として電流値を帰還しているモノがあるので、勘違いしやすくなっているようです。 

 

 

 

注意1) 図-1、図-2ともバイアス電流を考慮していない概念図のためこのままの回路構成では、問題が起こる可能性があります。 

注意2) 整流動作や、コンパレータ動作など、リニア動作させていない場合や、高域限界時はバーチャルショートが成り立たず、これらの説明とは違った挙動を示します。 

 

 

 

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電子回路」カテゴリの記事

コメント

たかじん先生
いつもわかりやすい電子回路講座ありがとうございます。前回の講座は、これに繋がっていたのですね。
差動回路については「一応」勉強していたので、以前、LTspiceで非反転増幅回路の出力がほぼ同位相になっているのを見て、「あれっ?」と思いました。たかじんさんの解説にあります通り当然なのですが(そうじゃないとNFBで差動回路の利得調整ができませんよね)、いわゆる差動回路の一般的な説明を「なんとなく」理解していた者にとっては、不思議でした。
確認ですが、反転増幅回路の二つのRLにおける出力は互いに逆位相ですね。
今後、どのように講座が発展してゆくのか、楽しみです。^^

kontiki さん

2つのRLに流れる電流は、差動動作になります。 定電流回路が定電流として機能していれば、片方のRLへの電流が増した分、反対側のRLの電流が減るからです。

初段の出力波形としては、反転アンプの方が入力波形に近い形になると思います。 非反転アンプの場合は、ちょっといびつに見えるかと思います。 左右の差成分を増幅するような動作となるからです。 この波形をシミュレータで見てしまうと、ちょっと気持ち悪いですね。 

たかじんさん
レスありがとうございます。
以前、2段目にフォールディッド・カスコードを用いた回路の波形をシミュレータで見た時は、ちょっとどころではなく、激しく歪んだ波形でした。位相補償コンデンサとか入れても改善しませんでした。これを見て、実際に製作するのを止めた記憶があります。出力自体は普通なのですが、やっぱり気持ち悪いですよね・・・

kontiki さん

フォールデッド・カスコードは、使いこなしが非常に難しい回路と思います。
電流が形見分けのように2段目へと流出するので、初段差動のエミッタ側(ソース側)に定電流回路を組んでも台無し。。。 
電圧増幅は、1段のみなのでゲインが低いです。 メリットは発振しにくい。 高周波まで伸びる。 デメリットは、NFB量が少ない。 PSRRが低い。 って感じですかね。

一時期、マランツが銅ケースに収めた増幅回路モジュールで多用していたようです。 まともな音にするのには相当なノウハウが必要と思います。

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