RaspberryPi モデルB と モデルB+
だいぶ遅くなってしまいましたが、モデルB+を購入してみました。
発売まもなくB+についてはCrazyAudioさんが、アナログ音声出力の比較をされていて、その性能の差が一目瞭然となっていました。
CrazyAudioさんによると、オンボードのアナログ出力の歪み率は、低域では一桁近く B+ の方が優秀、中域は同等、高域ではノイズが多いという結果でした。
同じことをやっても仕方ないので、こんな比較をしてみました。
B+で大きく変わったところで気になるのは、3.3V、1.8VをLDOからスイッチングレギュレータに変更して消費電力を削減した部分です。
上の写真は、3.3Vのノイズ量を計測しています。
モデルB モデルB+
フィルタなし 3.01mV 4.09mV
A-wait 0.16mV 1.22mV
20kHzLPF 0.23mV 1.98mV
A+20kHzLPF 0.13mV 1.07mV
いずれも、volumioを起動して、アイドリング状態のノイズです。 再生を開始するとSDカードにアクセスしたときなのか、CPU負荷が掛かったときなのか不明ですが、ノイズが瞬間的に跳ね上がるので正確な数値を捉えにくいです。
フィルタなしでは、計測器の関係で500kHz帯域です。 A-wait(聴感補正フィルタ)を入れるとモデルB+は10倍近く電源ノイズが多いのがわかります。 つまり、B+は人の耳に聞える範囲のノイズが10倍多いということです。
数値だとイメージがわきにくいので、FFT解析も行なってみました。 おなじみWaveスペクトラです。 ノイズを計測するなら広帯域超低ノイズアンプを用意しなければならないので面倒だなって思っていましたが、1mVもの電圧があるなら直接PCのライン入力に入れても十分に計測できます。 私のPCのオンボード入力は192kHzサンプリングなので、計測帯域は96kHzまでです。
こちらは、PCのアナログ入力の素の特性です。 入力をショートしています。 言い換えると、これがノイズフロアで、それ以下の微小信号は捉えられません。
こちらが、モデルB の3.3V電源のノイズの周波数成分。
PCのライン入力のノイズフロアより、5kHz以上でノイズが多くなっているのが判ります。
最後に、モデルB+ の3.3V電源のノイズの周波数成分。
200Hzより高い周波数、ほぼ全域でノイズが多いのが判ります。
-80dBラインに注目すると判りやすいです。
波形にもノイズが定期的(15~20msごと)に現れるのが見えています。 これはモデルBでは見えないのでスイッチングレギュレータのノイズと考えて間違いないようです。
上の波形はクリックするとポップアップするようにしてありますので、じっくりと並べて比較してみてください。 500Hz-3kHzと人の耳の敏感なところで10dB以上の差があり、さらに多いところでは20dBくらい差があるように見えます。
この実験は、あくまでも電源ノイズを計測しただけで、音質に直接、影響しているかどうかは、現時点では何とも言えません。 RaspberryPiへの供給電源が貧弱な場合、供給元への負担が少ないという点でB+の方が優れているという風に考えることもできなくはありません。
また、アナログテープやLPレコードのようにキレイなノイズの場合は、多少ノイズが乗っていても心地よく聞くことができるということもありますので、見た目ほど悲観的になることはないと思います。
ただし、ビートノイズや不定期で現れるノイズなどは聴感上ストレスになります。 DCをコンデンサで切ってヘッドホンに繋げてこのノイズを直接聞いてみると「ビリビリビリっ」という不快なノイズが聞えました。 恐らく上の波形の15~20ms毎に現れるノイズが聞えているのだと思います。
■本日の結論
モデルB+は発熱が少ないので、24時間運用などのサーバ目的なら間違いなくお薦めできる。 オーディオ用として、B、B+のどちらが有利かは、まだ何ともいえない。
(強力で低ノイズな電源を供給できるのであればBの方が有利な気はする。)
■補足 B+の注意点
RaspberryPi モデルB+ の3.5mmジャックにヘッドホンを挿すと、コンポジットビデオが4極目にアサインされているので、ブーーーっというノイズがでて聞くに堪えない。 4極端子のビデオ入りジャックは、統一規格がなく、お店で買ってきても使えない場合がある。
せっかく特性改善されたアナログ出力を利用しようと思っている人にとって、こんなところに落とし穴が存在するという部分は、いささか惜しい気がしないでもない。
B+ は Zuneと一緒
iPhoneやAndroidは 1がMIC、2がGND (CTIA規格)
古いXperiaは 1がGND、2がMIC (OMTP規格) だそうです。。。
これに、バランス型ヘッドホンも4極を使うものが現われていて、4極JACKは互換性に難がある状況になっています。
※) ちなみに、IrBerryDACのアナログ電源3.3Vは、低ノイズLDOと固体コンデンサのおかげで6.8uV(80kHz帯域)でした。。。
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コメント
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はじめまして、とんとかいもと申します。
ブログ拝見しました。
Raspberry Pi B+の4極ジャックに関してですが、引用された図のanythingbutipod.comの図には誤りがあります。
Apple iPod (5G)のピンアサインは、次のリンクが正解です。
◆ Raspberry Pi Spy 「 Raspberry Pi Model B+ 3.5mm Audio/Video Jack 」
http://www.raspberrypi-spy.co.uk/2014/07/raspberry-pi-model-b-3-5mm-audiovideo-jack/
小生は、Apple純正の当時のAudio Video Cable M9765G/Aを所有しており、ピンアサインを確認しRaspberry Pi B+で音声を出力して確認済みです。
下記のリンクは、小生のブログのレポートです。
http://blogs.yahoo.co.jp/perlman_07/folder/999363.html?m=lc&p=2
投稿: パールマン | 2015年2月17日 (火) 12時57分
パールマンさん
情報、ありがとうございます。
B+の情報はまちがっていなかったですね。 iPod videoの情報は、ネットで検索すると2種類でてきます。 上の図もとあるサイトから持ってきたものです。(出所が図に書いてます)
TOSHIBAの液晶TVをかったら付属でついてきた4極ジャックは、残念ながら使えませんでした。 こんなケーブルに1000円も出したくないというのが正直なところですね。 M9765G/AをAmazonで調べたら4800円・・・ びっくりしました。
http://www.amazon.co.jp/Apple-iPod-photo-%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%96%E3%83%AB-M9765G/dp/B000IJ73OY
投稿: たかじん | 2015年2月18日 (水) 20時40分