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2013年12月16日 (月)

DACに使用するIV変換の検討 (4)

1系統のみIV変換回路を組んで電源を投入してみました。

DAC-ICは前回までと一緒で、PCM1792Aです。 

 

Iv020

この回路をざっと、説明しておきますと、ベース接地で受けて、ウィルソン型カレントミラーで電流を折り返して、2段ダーリントンバッファにて出力。 それを電流帰還にてIV変換する。 という回路です。

DACに使用するIV変換の検討

DACに使用するIV変換の検討 (2)

DACに使用するIV変換の検討 (3)

をご覧下さい。

 

さてさて、出力電圧は、このようになりました。

Iv021

ご覧のように、かなり2次歪が出ています。 これは、抵抗だけでIVした時にも出ていた歪みです。

抵抗IVの時は、抵抗値が高すぎて信号の振幅電圧が高くなったために歪んでいたと思っていたのですが、これはPCM1792Aの特性なのでしょうか。 IV変換回路の入力電圧=PCM1792Aの出力電圧は、この図の黄色いラインで、0.6Vで一定です。 殆ど振幅していませんから振幅電圧による歪ではないことが判ります。

差動合成すると、2次ひずみは打ち消しあうので、こういう特性で良いのかもしれません。

-10dBくらいになると、ほぼ歪みは見えなくなります。

※差動出力の片側をオープンにしていたために波形が歪んでいたことが判明しました。 まだ使っていないもう片方の出力に負荷抵抗をつけると、オシロで見えるような歪みの発生はなくなりました。

 

Iv022

こちらの図は、-60dB信号を時間・電圧レンジを拡大した時の波形です。 マルチレベルのデルタシグマらしい波形です。 気になるのは「ヒゲ」です。 デジタルの場合、グリッチノイズとも言いますがDAC-OUTの時は何と呼ぶのでしょうか。 

このヒゲは非常に高速なパルス(パルス幅 約18ns)ですが、電流帰還アンプだと、高速なスルーレートのおかげで、こういったパルス成分もそのまま増幅できてしまいます。 

差動回路に、アンプが応答できないほどの高速パルスを入力すると、片側のTRへ電流が集中・飽和してしまい、差動動作ができなくなるためにTIMひずみという歪みを発生させてしまいます。  片側TRへ電流集中してしまうと、そこから正常な状態へ戻るのに時間がかかるため、音質へ大きく影響すると言われていました。

 

今回のIV変換回路では、そのTIMひずみの発生はありません。 なにせ差動回路自体ない訳ですから。 

さてさて、これにフィルタ回路を入れるために、帰還抵抗へ並列にコンデンサを入れると、予想通り発振します。 対策案は2つほどありますので、今のところあまり心配していません。 

 

DCの安定度は、まずまずといった感じです。 10分間で1mV程度しがズレませんでした。 予想よりマイナス側へオフセットしていますが、DCオフセット調整が可能と思います。 実験回路ではまだオフセット調整を付けていません。 近日中に半固定抵抗を買ってこないとならないようです。 

 

という所で、本日の実験はココまで。

 

 

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コメント

着々と実験が進んでいますね。

来年になりますが、FujiwaraさんのところのFN1242Aシングルを使ったDACを組んでみたくなりました。

どんな音がするのかちょっと興味深々です。

mr_osamin さん

FN1242Aも、なかなか評判は良いようですね。 他にはないデジフィル特性
ですから、1つ持っていても損はないかもしれません。

http://www.diyaudio.com/forums/digital-source/221743-testing-pcm1794.html
ここの#2も片側だけをIVした出力ですが100Ωを反転入力の前に挟んでも2次高調波は-115dB程度です。
波形を見てわかるほどの歪みではないので他に原因があるかもしれません。

前回のパターン図だと、初段のエミッタ抵抗が片側だけだったのでそこで2次歪みが残りそうですが
それでも波形でわかるほどというのはシミュレーションの結果とも違っておかしいですね。
不思議です。黒田徹さんはひずみ率が変なときは高周波発振を疑えと書いていましたが…
この波形だと、2次ひずみは1%くらいか、もっとでしょうか?

henさん

情報ありがとうございます。 

原因らしきものがわかりました。
差動出力の片側だけで動作させていましたが、どうもそれがいけなかったようです。
差動の反対側へ負荷抵抗をぶら下げると、目で見えるような歪みは消えました。

なるほど・・・  出力電流がアンバランスだと歪むんですね。
早急にもう1系統回路を組む必要がありそうです。

デルタシグマのPDM 1bitの誤差出力の波形も、差動出力で同じタイミングで
出ていました。 内部のデルタシグマ変調は、1つで、電流出力だけが反転と
非反転の2回路ある。 ということです。 差動合成したときに帯域外ノイズが
もれにくいですね。

たかじんさん

>FN1242Aも、なかなか評判は良いようですね。

単なる興味だけです。
しかし、市場在庫がなくなる前に一度聞いてみたい。
それだけです。

差動の反対側出力をオープンにしていたのですか?
先のURLの#13にパッシブIVで片側だけ使う場合
直接グラウンドに落とすか抵抗を入れるかでひずみ率が変わるという実験結果があったので
その処理も疑ったのですが書きませんでした。
PCM1794の各カレントセグメントは電流源を+出力と-出力に振り分けているので
オープンだと最悪壊れるのではないかと思ったので…
このアンプの実験には片側は直接グラウンドに落としておけばほぼ問題ないのではないでしょうか。

mr_osamin さん

帯域以上の音が出るという触れ込みで話題になったフルエンシーの末裔ですからね。
あの時代でオーディオに興味があった人は、ここで入手しないと、二度と手に入らない
かも知れないという気持ちになるのはわかります。

かくいう私も秋月でFN1242Aを1つ買いました。 AX-Z911というデジタルアンプに
積もうかなと思いまして(笑  失礼、デジタル入力つきアンプです。

hen さん

なるほど。 電流源は1つで、それを+/-に振り分けているんですね。
片側オープンにしていても、そこそこ信号が出ていたのは不思議ですが、あまり深追い
はしないでおきましょう。
抵抗IVのときは、両方抵抗をつけていたのですが、抵抗値が330Ωと高かった
ために歪んでいたってのは仕方ないですね。 今週末あたりには両方の回路を接続
して実験でもしようかと思っています。  平日、この時間からハンダ付けはする気に
なれません(笑

それより、空気が乾燥してきて静電気が危険です・・・ パソコンに触るときにパチっと
火花が指先から・・・


>かくいう私も秋月でFN1242Aを1つ買いました。 

あら、

買ったのは、春です。 
AX-Z911はデジタル入力のときメモリバッファを通してからDACへ流しているのと、YAMAHAのデジフィルのデータシートが見つからないのとで、なかなかFN1242Aと接続できずに、時間が経ってしまいました。

ディスクリートのIV変換について調べています。
>差動回路に、アンプが応答できないほどの高速パルスを入力すると、片側のTRへ電流が集中・飽和してしまい、差動動作ができなくなる
とありますが、この現象は入力部分がJFETのペアであれば回避できるのでしょうか?

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