DACに使用するIV変換の検討 (2)
先日の続きです。
DACに使用するIV変換回路でこんな回路をあげていました。
PCM1792AというDAC-ICの電流出力に接続するIV変換回路です。
■基本的な構造

ということで、これにバッファをつけてみます。
■バッファを追加
バッファと言っても、エミッタフォロアを1段つけただけです。 NPNでもPNPでも良いのですがとりあえず電圧が少しでも0Vへと向くようにとPNPで書いてみました。 たったこれだけで、おおよそ1/hfeにインピーダンスが下がります。 高hfeなTRの方が有利になります。
ちょうど、DAC-OUTから1つ目のTRへとベース電流が逃げた分、エミフォロ段でベース電流が戻ってきます。 とは言っても2つのTR間で何か相関性がある訳ではありません。
○(丸)が2つ重なっている記号は定電流回路の意味です。
この回路でも問題なく動作はすると思いますが、やはり、もうひといきゲインを拡大させてフィードバックでTRの非直線成分を抑制したいところです。
エミッターフォロアーやカレントミラーと言えども、
TRを通して負荷をかける(電流を流す)と必ず歪が発生するからです。
という訳で、こんな回路が浮かんできます。
■ゲインの増大
このようにカレントミラーで電流を折り返して、ハイインピーダンス同士をぶつけることでゲインを稼ぎます。 そのまま抵抗をぶらさげると抵抗IVとしてゲインが定まりますし、 ボリュームを付ければ可変ゲインのIV回路の出来上がりですね。
今回は、バッファをつけて出力インピーダンスを下げてみます。 そうするとドライブ能力を増すことができます。 DAC出力と言えどもドライブ能力を軽視してはいけません。
■バッファを追加
一般的なコンプリメンタリのエミッターフォロアーバッファにしてみました。
これにフィードバック回路を追加します。 と言っても抵抗1本。
■フィードバックする
こんな感じ。
+15V側の定電流回路をどうするか、少し悩ましいところではありますが、基本構成は、こんな仕組みです。
初段のエミッタという低インピーダンスな部分へフィードバックしているので、お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、この回路、実は電流帰還(カレントフィードバック)です。
あまり他ではやっていないこの回路の特徴をあげるとすると、
・DAC-OUT端子は、初段TRのVbe分浮いた0.6Vで一定の電圧
・差動回路を使っていないディスクリート(上下非対称)
・ゴニョゴニョゴニョ。。。
ディスクリートで回路を組む場合、気をつけなければならないのは、回路構成をあまり複雑にしすぎないという点だと思います。 動作不良の場合、検証するのが大変です。 また、差動出力のDAC-ICの場合(多くのDAC-ICはそうです)、この回路を4つ用意して初めてステレオになります。 差動を合成する回路も必要になりますので、回路規模は更に大きくなります。
そんな複雑な回路を使うのでしたらオペアンプを使う方が良い結果を生むことになるかもしれません。 これは意外と難しい問題で、悩ましいことです。
続きはまた後日。
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こんにちは。
最後の回路は、OP-AMP IVと同じ構成になるかと思いますがいかがでしょうか。無帰還の音も聴いてみたいですね。
投稿: Greece7 | 2013年11月21日 (木) 20時48分
Greece7さん
オペアンプも内部はトランジスタやFETですから、結局は一緒といえば一緒です。
あえて、分けるのあれば、
IC・OPAMP<-->ディスクリート (半導体<->真空管)
差動回路<-->非差動回路
無帰還<-->帰還 (電圧帰還<-->電流帰還)
という感じでしょうか。
最後の回路は、半導体ディスクリートで非差動回路、そして電流帰還に属します。
一般的なオペアンプIV回路は、OPAMP、差動回路、電圧帰還になります。
最終的に電流を電圧に変換しているのは、1本の抵抗です。そこに違いはありません。
その1本にどうやって直線的に電流を流すのか。 色んなアプローチがあると思います。
ちなみに最後の回路で、無帰還にするのは簡単です。
NFB抵抗を初段エミッタへつなげず、BIAS部からGNDへ接続するだけです。
色々実験はしてみるつもりです。
今回は、この部分では直線性を保ちたい理由があります。 が、まだ内緒です。
続きをお楽しみに。
投稿: たかじん | 2013年11月21日 (木) 22時42分