ツェナーダイオードの特性
ツェナーダイオードは、逆方向に電圧をかけていった時に降伏電圧で急激に電流が流れ出すことを利用したものです。 通常のダイオードでも降伏電圧で同じことが起きますがツェナーダイオードは意図的に降伏電圧が低くなるように作っています。
つまり、使うときには、逆向きで電圧をかけます。 順方向に電圧をかけると0.6v付近で電流が流れはじめます。
細かく書きますと、ツェナー現象とアバランシェ現象というのがあり、約6Vを境に電圧が低いと負の温度係数、高いと正の温度係数と温度特性が変わってきます。
温度の影響をなるべく小さくしたいときは5.6Vや6.2Vのツェナーを使いなさいと、師匠に教わりました。 実は、流す電流によっても温度係数が違ってきます。
本当に温度係数ゼロの電圧源が欲しいなら、ツェナーを使わず、もっと優れたリファレンス電圧源ICを使用しましょう。
次に、どのくらいの電流を流せばよいのでしょうか。
データシートを読んで理解するというのが、電子部品を使うときの鉄則です。
簡単に書きますと、このグラフのようにIz-Vz特性をみて電圧が変動しない部分を使うというのが正しいです。 このグラフはNEC製のツェナーダイオードの特性です。
あくまでも一例として、その特性を見てみましょう。
例えば、RD12FM という12Vのツェナーダイオードでは1uAから8mAくらいが、とても直線的で電圧がブレません。
6.2Vのツェナーは5mAから70mAくらいでしょうか。それ以下では電圧が変動しています。 もっと低いツェナーでは、電流が変化するとゆるやかに電圧も変化しています。
つまり、使用するツェナーダイオードの特性を良く見て流す電流を決めなければならないということです。 電流を沢山流すと、発熱の影響も出てくるので温度特性も気にする必要がでてきます。
最後に、動作中の抵抗値をみてみましょう。
uAオーダーの部分が出ていませんが、1mAよりも10mAの方が抵抗値が低いのがわかります。 この抵抗値は、そのままジョンソンノイズの発生源となりますのでノイズが出るというのが分かります。 とは言っても6.2Vツェナーは1mA時に50Ω程度、10Vのツェナーだと8Ωくらいの抵抗値です。
ところが、電圧の高いツェナーは、降伏現象で発生するノイズが多くなってきます。 低ノイズを目指すのであれば、あまり高い電圧のツェナーを使わない方が賢明です。 雑音電圧はデータシートみて確認してください。 製品によって大きく異なります。
20uV以下なら、並列にコンデンサをつけることで、殆どのアプリケーションで問題にならないノイズ量になります。 さすがに1mV以上のノイズがあると使うのをためらいますね。 低い電圧のツェナーを直列に接続して使用するなどの工夫で対処することも可能です。
まとめ: ツェナーダイオードは、製品シリーズや電圧によって特性が
大きく異なるのでデータシートをちゃんと見ましょう。
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久しぶりに、ツェナーダイオード(定電圧ダイオード)を
触りましたが、今までは電圧の安定化にしか目がいって
いませんでしたが、音が関連してくると、なかなか難しい
デバイスだったのだと思いました。
>雑音電圧
なるほど。これがノイズの原因でしたか。
0db HyCAAが非常に低ノイズという事もあって
よけいに音のにごりというか、ノイズというか
何か聞こえてしまうというのが分かるようになりました。
>データシートをちゃんと見ましょう
はい。耳が痛い話です。
そして何種類も購入していたので、正確な製品名が
分かりませんので、今度、店に行って型番をメモ
しようと思っています。
そしてデータシートみて、あれまー、という事になる
と思います。
ただ、これまでの例のように、数値が素晴らしいから
良い音か?というと、そうとは言えないのが音の
難しさですね。痛感しました。
投稿: まるは | 2013年10月 8日 (火) 23時17分
>ただ、これまでの例のように、数値が素晴らしいから
>良い音か?というと、そうとは言えないのが音の
>難しさですね。痛感しました。
ですね。 最低限の数値はあるかもしれませんが、それ以上の性能を示す場合は、あまり意味がなくなってくると思います。
s/nなら90dB以上。 THDなら0.5%以下。 くらいでしょうか。
投稿: たかじん | 2013年10月 9日 (水) 08時28分