デジタル録音機の歴史
とある資料を探していて、全く別のものが出てきたので紹介しようと思います。
PCMレコーダの歴史です。
PCM(Pulse Code Modulation)方式が発明されたのは、なんと1937年のことだったようです。
LPレコードが発売されるのが1947年ですから、その10年前にPCMが発明されていたとには驚きます。 ただし、機器として実現に至ったのは発明されてから30年後です。
世界初のデジタル録音システムは1969年にNHK技研により開発されました。 サンプリング周波数は30kHz。 量子化は12bitで、1インチのVTRを使って記録するものでした。
周波数特性の高域限界は13kHz。 ダイナミックレンジが70dB程度だったようです。 この録音システムは試作機であって、実用化はもう少し先になります。
VTRを利用する初期のPCMレコーダ
1969年 NHK ---- 40kHz/12bit 試作機
1972年 日本コロンビア DN-023R 47.25kHz/13bit 実用機
1977年 ティアック PU-101 46.06kHz/12bit 試作機
1977年 NHK/日本コロンビア ---- 47.25kHz/14bit 実用機
1977年 NHK/ソニー ---- 44.1kHz/16bit 実用機
1977年 ソニー PCM-1 44.056kHz/13bit 民生機
1978年 ソニー PCM-1600 44.1・44.056kHz/16bit 業務機
1980年 日本ビクター BP-90 44.1・44.056kHz/16bit 実用機
その後、東芝、松下、シャープ、三洋、日立などなど各社各様のフォーマットで登場していくらしいです。 サンプリング周波数としては44.1kHzと44.056kHzが多いですが、この周波数はVTRに記録させるためにNTSC(アナログのTV信号)に合わせた周波数だったようです。VTRの水平同期周波数はなぜか2種類あって、そのどちらにでもあわせられるようになっていました。
CDのマスタリング作業としては、PCM-1600の後継機のPCM-1610、PCM-1630が事実上の標準機として活躍していったらしい。
この他にも、ほぼ同年代の1972年から1980年に、固定ヘッドを使ったマルチチャンネルのPCMレコーダも登場してきましたが、それはまた別の機会にしましょう。
当時は、日本のデジタル機器が世界で最も進んでいて、市場を独占していったようです。
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