DAC 考察(2)
アップサンプリングについて
オーディオのデジタル信号のアップサンプリングが一部で流行っているようですのでちょっとだけ、その内容について書こうと思います。
対してアナログ信号は、一切途切れることがない連続信号です。
さて、このサンプリングの周期ですが、CDでは44.1kHzが採用されました。 DATや業務用録音機の多くは48kHzでした。 DVDや地上デジタル放送、衛星放送でも48kHzが標準です。
48kHzの2倍のサンプリング周波数は96kHz 更に倍は192kHzです。
つまり標準の4倍が192kHzなのです。
1982年CDプレーヤの初期モデルは各社、1倍のサンプリング周波数のままDA変換し、その後アナログフィルタで階段状になった波形を滑らかにしていました。いわゆるNOS-DACですね。
ただし、DAC-ICの動作速度には限界があり、8倍までは正当な方法で対応していたのですが、16倍は、8倍された2つのDACの出力を半サイクルずらして合成する手法がとられていました。
16倍の周波数を受け付けることが出来ないか、可能なDAC-ICでも、限界に近い高速動作は、逆に音質が悪くなるという結果があったようです。
つまり、アップサンプリングすること自体は、最近の技術ということではないのです。 これは個人的な意見ですが、パソコンでアップサンプリング変換してデータを増やしたファイルを持つことは、HDDの肥やしと言ったら、ちょっと言い過ぎですが、さほど意味がある行為とは言えないと考えています。 再生しながらリアルタイムにアップサンプリングして、ファイルとしては大きなデータを持たないのであれば、有意義なこともあると思います。
アップサンプリングの手法については、次回にしようと思います。
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たかじんさん
とても参考になります。ありがとうございます。
>再生しながらリアルタイムにアップサンプリングして、ファイルとしては大きなデータを持たないのであれば、有意義なこともあると思います。
私も同感です。
MPDを使えば、簡単な設定でリアルタイムにアップサンプリングデータをDACに送信できるので、そのほうが効率が良いと思っています。
CPUの負荷は上がりますが、それほどでもありません。
また、量子化ビット数の問題についても言及していただけるとありがたいです。
イコライザーを導入してから、オーバーライドの問題が発生しゲインを下げるとダイナミックレンジが狭くなり音の勢いが無くなります。
これをうまく調整するための試行錯誤が始まりました。
あちらを立てればこちらが立たず(笑)
なかなか難しいものです。
投稿: mr_osamin | 2013年10月10日 (木) 15時01分
Dear mr_osamin
デジタルイコライザーは、なかなか難物なのですね。
アナログ世界だけでなく、デジタル世界にも、オーディオの沼が・・・っ!
投稿: 若輩者 | 2013年10月10日 (木) 15時59分
若輩者さん
デジタルはアナログとは別の理解とアプローチが必要のようです。
ですので、たかじんさん解説のオーバーサンプリングの理解も必要と思います。
とりあえず、MPD側で16bit->24bitで送りだし、イコライザ側のゲインを下げることで調整をはかっています。
が、理論と実際の聴感は一致しないケースもあるのでややこしいです。
投稿: mr_osamin | 2013年10月10日 (木) 16時34分
mr_osaminさん 若輩者さん
ソフトウェアによるアップサンプリングは、その特性を変更できる点が
メリットと思います。 リアルタイムで負荷が軽いとなると、あまり複雑なことが
できないので、どの程度のアップサンプリングの処理がされているか、
若干不安もありますね。 デジタルフィルタICは、専用につくられた乗算器で
すからそれなりの信頼性・特性が確保されています。
ビット数については、デジタルフィルタの説明のときにでもしようと考えています。
アップサンプリング演算をしないで、ビット数だけ増えるという事はないです
から、単にフォーマットあわせで、「0」をLSB側へと付け加えているだけの可能性
もあります。
イコライジングすると、演算がでますので、16bitで切り捨てや丸めこみを
しないで24bit分出力しているなら大丈夫です。
ところでオーバーライド問題ってなんでしょうか?
投稿: たかじん | 2013年10月10日 (木) 21時55分
>ところでオーバーライド問題ってなんでしょうか?
言葉が正確かわかりませんが、
入力レベル過多で、加えてイコライザのブーストがかかるとリミッタが利いてデータの一部をオミットするようです。
これを抑制しようとゲインを下げると、ダイナミックレンジが抑制されて音の力感が無くなってしまいます。
PCのデジタルボリュームを絞った状況と同じと思います。
投稿: mr_osamin | 2013年10月10日 (木) 23時09分
>アップサンプリング演算をしないで、ビット数だけ増えるという事はないですから、単にフォーマットあわせで、「0」をLSB側へと付け加えているだけの可能性もあります。
おっと!
確かに演算無しでビット拡張の処理ってできますね。
>イコライジングすると、演算がでますので、16bitで切り捨てや丸めこみをしないで24bit分出力しているなら大丈夫です。
ひょっとすると、サンプルレートコンバーターを介したほうが確実かもしれないんでしょうか、ね?
投稿: mr_osamin | 2013年10月10日 (木) 23時14分
>入力レベル過多で、加えてイコライザのブーストがかかるとリミッタが利いて
おぉ、分かりました。 デジタルの0dBはフルスケールでして、それ以上大きな値を
表現できないのですが、入力信号が0dBまで入っているのに、更にイコライジングで
ブーストしようとするとクリップしてしまう事を言っているんですね。
これは原理上避けて通れない現象です。
もしイコライジングで+側へと持ち上げる設定なら、その前段で少し減衰させて
おくしかないです。 イコライジングで-側だけのカーブで済ませることができるので
あれば前段で減衰させる必要はありません。 いづれにしても、デジタル処理で
周波数特性をいじると、音は劣化方向に行ってしまいますから、補正は
あまり派手にやらない方がいいかもしれません。 デジタル補正による劣化よりも
SPや部屋の音のバランスが整うほうが有利な場合があります。 小型SPで
低音が出にくい場合いのバスブーストなどにも効果ありですね。
>サンプルレートコンバーターを介したほうが確実かもしれないんでしょうか、ね?
はい。 確実に劣化します(笑
投稿: たかじん | 2013年10月10日 (木) 23時41分
>それ以上大きな値を
表現できないのですが、入力信号が0dBまで入っているのに、更にイコライジングで
ブーストしようとするとクリップしてしまう事を言っているんですね。
はい、そうです。
困ったことにJ-POP系などはイコライジング以前にすでに入力レベルが高すぎて、クリップするケースが多いです。
クラシックはそういうことは稀なんですけど。
>いづれにしても、デジタル処理で
周波数特性をいじると、音は劣化方向に行ってしまいますから
現状は、補正以前の問題です。
>>サンプルレートコンバーターを介したほうが確実かもしれないんでしょうか、ね?
>はい。 確実に劣化します(笑
あ、MPD側で対応するよりもSRC側で対応したほうが確実でしょうかね?という質問でした。
劣化はともかくSRCを介在させると音が変わることが前提になりますね。
投稿: mr_osamin | 2013年10月11日 (金) 11時38分
>困ったことにJ-POP系などはイコライジング以前にすでに入力レベルが
すでにCDに入っているときからクリップしてますからね。 どんなレコーディング
なのか、疑いたくなります。 ミキサー、マスタリングでクリップさせるのでしょうか。
>あ、MPD側で対応するよりもSRC側で対応したほうが確実でしょうかね?という質問でした。
MPDのSRCがCPU負荷が軽いということで、さして複雑な演算をしていないと予測
できますから、あまり期待しないほうが良いと思います。
とっても重たいけど、いい音がするって話なら、それなりの処理をしていそうですが。
SRCにも当然デジタルフィルタが使われています。 デジタルフィルタは掛け算の
オンパレードですので、まともにやろうとするとかなり重たいです。
デジタルですと、ビットパーフェクトといわれる、全ての情報が一致することが
劣化なしと考えることができますから、データが変わる=劣化と表現していました。
mr_osaminさんの「音が変わる」という方が優しくていい表現ですね。
ちなみにデータが変わらなくてもジッターや、DAC後のアナログ部で音が変わ
りますから、劣化という表現はどこで使用していいものか、真剣に考えると
難しいものですね。
投稿: たかじん | 2013年10月11日 (金) 20時12分