MUSES72320で実験したこと(2)
昨日の続きです。
4.余っている可変抵抗を使って可変Bass Boost回路を実現できるか
https://nw-electric.way-nifty.com/blog/2012/11/post-a11a.html
こちらで紹介した、ラウドネス回路の応用で、パッシブ低域ブーストを可変タイプにできるか
どうかを確かめてしました。 これができれば、小さいスピーカを使ったとき、低域不足をある程度解消できます。 ヘッドホンではブースト量ゼロで使用したいので可変は必須です。
実は、今まで内緒にしていた目玉はこれでした。
MUSES72320の可変抵抗は、このように配置されています。 20kΩの方は音量調整として
つかいますが、10kΩの方はバッファアンプを使わない場合、余ってしまいます。
それを有効活用しようという目論みです。
上の図でいうと5pin-7pin間の抵抗は、GAIN 0dB設定の時に抵抗値ゼロになると思っていました。
残念ながら、GAINを0dBに設定しても抵抗値はゼロにはならず、低域ブーストがかかりっぱなしになってしまいます。 8pin側は1.5kΩの抵抗が内部に入っているとデータシートに書かれています。
こればっかりは、そうやって使うものではないので、ねらい通りとはならず諦めるしかありません。
結果は、実現ならず。
5.マイコン動作が音質へ影響しているかどうか
これは、一番の懸念事項と言っても良いかもしれません。 アナログ回路にとって、すぐ近くに高速のパルスノイズを発生させるデジタル回路がある事は、デメリット以外の何者でもありません。
ボリュームの設定が終わったところでマイコンのクロックを止めてしまうという手法で実験してみました。
マイコンのスリープだと低速クロックは動いています。 一番簡単な実験方法はマイコンをリセットしっぱなしにすることです。 これは基板にスイッチをつけてやってみました。
念のため、LCDをはずしておきます。 LCDにもICが内蔵されていて、内部的に更新を繰り返しているからノイズの発生源と考えることもできるからです。 LCDだけをはずしても特に音質の変化は感じられません。
マイコンのクロックを完全停止します。 やはり、明確に違いは感じることができませんでした。 前述のフローティングGNDが功を奏しているのか、マイコンの電流が小さく、元々影響しにくいのか理由は定かではありませんが、特に問題なしと判断しました。
結果は、問題なし。
6.信号の整流回路が音質へ影響しているかどうか
やはり、これを確かめなくては実験を終えることが出来ません。 オーディオ信号を整流回路へ接続している配線をはずして、確かめてみました。

こちらも、特に変化は感じられないようです。 音質へ影響しにくい整流回路が想定通りの動作をしているためか、電源、GNDが直接繋がらないような構成を取れるMUSES72320の良さが活きた結果なのかもしれません。
こういう部分ではPGA2311より有利に働くところがありますね。
JRC、ちょっと見直したゾ。
結果は、問題なし。
以上で、大まかな検証は終了です。 この実験基板を作った甲斐がありました。
このボリューム、非常に滑らかで刺激のない音です。 マイルドになりすぎという気もしないでもないですが、ホールの広さや天井の高さが感じられる響きや、ふわっと浮かぶボーカルの表現力など、さすがとしか言いようがありません。
これが、本来の録音されていた音なのでしょうか? 謎です。
この音、エージングで変化するのでしょうか? それも謎です。
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