MUSES72320で実験したこと(1)
今回の電子ボリューム基板での実験は、いろいろ試してみたいことがあったから作ったのですが、そのうち、想定通りだったもの。 想定と違っていたものなどを紹介したいと思います。
1.外付けのバッファアンプ(オペアンプ)なしで使用できるのか。
この辺りはデータシートをみて大丈夫そうと見込んでいましたが、何事も実験してみないと不測の事態が待っている可能性もあります。
どうしてもデータシートをみて解明できなかったのが、この2つのグラフ。 のこぎり状になった入力インピーダンス。 矩形になった出力インピーダンス特性です。
なぜこのような形になるのか、今でも解かりません。 しかし、出力インピーダンスはさほど
高くないため、バッファアンプがなくても問題は起きなさそうと思っていました。 普通のボリュームを使ったって、センター付近ではこのくらいのインピーダンスになります。
矩形になっている部分が気になっていましたが、ボリュームICと後段のアンプの距離を短くすることで外来ノイズの影響はさほどでもありませんでした。 測定するとノイズ悪化が予想されます。 どうしてもという場合にはシールド線を使うという手もアリでしょう。
バッファアンプ と シールド線 どちらが音への色づけが大きいかというのは問うまでもありません。
結果は、想定通り、問題なし。
2.アンプ側の入力インピーダンス低下はどこまで許されるのか
データシートでは、バイポーラ入力オペアンプの時でもバイアス抵抗は470kΩと、極端に大きなものが入っています。 これは、IC内部のアッテネータのステップをリニアに見せるための工夫なのですが、実用上、どこまで下げられるのかは、実際に動かしてみて判断したかった。 HPA-12でバイポーラ入力の場合、入力インピーダンスは7kΩ弱です。
実際に音楽を聴きながら1dBステップでボリュームを上げ下げすると、23dBと24dBの間でちょっと段差が大きい。 上の出力インピーダンスの図でも段差があるのが分かります。
それ以外は、特に気にするほどではないです。 ステップが小さくなる部分というのは、よほど気にしない限り問題はないように思いました。 23dB問題として、取上げておきましょう。
これが、業務用アンプや、精密に音量を調整が必要なミキサーなどでしたらNGです。
が、音楽を聴くだけのアンプというなら、許せる範囲だと思います。 アンプの入力インピーダンスを上げて、外来ノイズを拾いやすくなるのと天秤にかけたら、23dB問題の方を目を瞑る方が良いと私は思いました。 バッファを入れずシンプルな方が良いとというのは
単に私のポリシーです。
ちなみに2dBステップですと、この23dBのステップ量の違いには大半の人は気が付かない、もしくは、気にならないと思います。
結果は、7kΩだと一部でステップ量が違うことが判別できる。
ぎりぎり想定内ではある。 実用上も、まあ問題なし。 と甘く評価しておきます。
3.フローティングGNDにできるか否か
これには、ちょっと説明が必要です。 データーシートを見て気がついたのですが、この電子ボリュームICは、GNDを基準にしていない。 ロジック回路も+5Vと基準GNDに10kの抵抗が入っていますし、±電源のGNDも接続するようには書かれていません。
ここで、ちょっと悪いことを思いつきました。 これは、もしかすると・・・・
内部回路で、ロジック、アナログSWの部分は、抵抗体の信号経路とは直接繋がっていないんじゃないかという推測です。
そういう推測のもとに、信号のGNDは左右で接続せず、マイコンのGNDとも接続しない、フローティングGNDとして動作させてみる。 実際には、電源の大元で繋がっていて電位は大きくズレはしないのですが、オーディオ信号の流れ的に、ボリュームの部分でGNDを接続しないでアンプまで入力したかったのです。 ボリューム部で左右GNDが交わることもなく、制御系とのGNDループも発生しません。
この実験は実にうまく作用しました。 独立した2連ボリュームのようにGNDを独立させたままアンプ入力へと信号を伝えることに成功したのです。
4. ・・・ 長くなってきたので つづきは また明日。
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